【トランプUSA・識者に聞く】(03) “アメリカによる平和”終息へ――イアン・ブレマー氏(国際政治学者)

20161117 03
次期大統領に就任するドナルド・トランプ氏(70)を考える上で重要なのは、彼は外交を“取引”だと考えていることだ。自分のビジネスや(離婚後も良好な関係とされる)彼の妻たちと同じで、共有する価値観に基づくものではなく、どのような利益を得られるかで判断する。“アメリカ第一”は孤立主義ではなく、一国主義と言うべきものだ。それが成功するかどうかは別問題だが、これまでのアメリカの姿勢とかなり違うのは間違いない。米露関係では、トランプ氏は「ウクライナ南部のクリミア半島はロシアのものだ」と明言し、ウクライナ問題にも介入しないことを鮮明にしており、関係が大幅に改善することは確実だ。米露協力で、シリア問題は上手くいくだろう。(トランプ氏らが主張する)イラン核合意の破棄は、良い代案が無い為、難しい。米中関係は、2つの問題が予想される。1つは、核開発を進める北朝鮮だ。アメリカが直接介入するのではなく、中国に解決を求めて圧力をかけるだろうから、中国の反発は必至だ。貿易問題では「中国に奪われた仕事をアメリカに取り戻す」と言うが、経済が国際化したこの時代に中国からの輸入品に25%・50%と高い関税をかけるのは、非現実的だと言える。

『環太平洋経済連携協定(TPP)』が実現しない可能性が高くなることを、中国は歓迎するだろう。実現しなければ、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領のように、アジア諸国もアメリカから離反する道を探るかもしれず、中国は好機と見ている筈だ。同盟国が不安になるのは間違いないが、日米関係についてはあまり心配していない。トランプ氏は日本に対し、(貿易摩擦が激化した)1970~1980年代のイメージを抱いており、これは好ましいことではないが、安倍首相との会談が逸早く決まったことは非常にいいことだ。TPPが実現しなければ、日本の落胆は大きいものの、安倍政権は防衛力整備に積極的で、憲法改正も視野に入り、何れもトランプ氏は歓迎するだろう。日露両国が急接近しても、トランプ氏は問題だと感じない。寧ろ、懸案となっている北方領土問題で「積極的に手助けをしたい」と言い出すかもしれない。アメリカは今後、どのような道を歩むのか。長期的に見て、内政は上手くいく可能性がある。議会は共和党が優位で、様々な施策を実現できる。積極的な財政出動で、社会基盤(インフラ)整備も進む。財政赤字は増えても、深刻化するほどではない。ただ、国際関係は悲観的だ。(国際秩序で主導的な国家がいなくなる)“Gゼロ”状態が進み、“パックスアメリカーナ(アメリカによる平和)”は終息する。トランプ大統領は最早、“自由世界のリーダー”とは呼べなくなる。 (聞き手/ニューヨーク支局長 吉池亮)


⦿読売新聞 2016年11月13日付掲載⦿
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