【トランプ政権誕生・試練の安倍外交】(中) 在日アメリカ軍の意義説く

20161118 03
ドナルド・トランプ次期大統領の側近である元国防情報局長官のマイケル・フリン氏は先月中旬、民間企業等での講演の為、来日した。菅義偉官房長官は、この機会を利用してフリン氏に会った。「安全保障政策は従来通り、キチンとやる。トランプ氏は極めてクレバーで現実的だ」。フリン氏は菅氏にこう述べ、「安保政策の大転換は無い」と強調。「私が責任を持つ」とも語った。フリン氏は大統領選後、政権移行チームの副議長に就任した。日本政府関係者は、取り敢えず胸を撫で下ろしている。トランプ氏は選挙戦で、「アメリカが攻撃を受けても、日本は何もしなくていい」と主張し、日米同盟を「公平ではない」と公言してきた。『日米安保条約』見直しを示唆し、アメリカ軍駐留経費の負担増要求が受け入れられなければ、在日アメリカ軍を撤退させる可能性までちらつかせた。日本の安保環境は今年、厳しさを増した。北朝鮮は弾道ミサイルを20発以上発射した。ここ数年のミサイル発射数を大きく上回っている。核実験も2回強行した。中国は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で公船の領海侵入を繰り返している他、東シナ海のガス田開発を一方的に進めようとしている。

トランプ氏が在日アメリカ軍撤退を決断したり、“核の傘”を否定したりすれば、日本の存立は脅かされかねない。トランプ氏の過激な主張を恐れた在米大使館関係者は今夏、フリン氏と会談し、「横須賀の原子力空母をサンディエゴに移したら、アメリカの財政負担が増える」と説明した。日本は、横須賀等でアメリカ軍基地を提供している。基地従業員の人件費や光熱費も、一部肩代わりしている。サンディエゴに移れば、これらが全てアメリカの負担になる――という理屈だ。アジア・太平洋・インド洋までをカバーするアメリカ海軍第7艦隊が司令部を置く横須賀は、アメリカ国外で唯一の原子力空母の母港だ。在日・在韓アメリカ軍や日本の自衛隊は、総兵力では中国や北朝鮮に比べて見劣りする。しかし、アメリカ軍の原子力空母・イージス艦・最新鋭ステルス戦闘機等の装備面での優位さのおかげで、アジア・太平洋地域の平和は保たれている。防衛省幹部は、「アメリカ軍撤退論が如何に安易な発想であるかを、トランプ氏にわかってもらわないといけない」と語る。トランプ氏は今月10日、安倍首相との電話会談で、日米関係を“グレートパートナーシップ”と称賛した。一方で、トランプ氏は“タフネゴシエーター(手強い交渉相手)”を自任しており、「日本の負担増等の要求をそう簡単には下ろさない」との見方もある。トランプ氏は約30年前に出版した自伝『ジ・アート・オブ・ザ・ディール』に、こう記している。「私の取引のスタイルは単純明快だ。目標を高く定め、手に入れるまで押して押して押しまくる」――。

■EU、団結の契機に  ドミニク・レニエ氏(パリ政治学院教授)
アメリカ国民の生活環境が悪化し、収入や雇用にこれほど不満を持っていたとは衝撃だった。テロや移民への恐怖心が予想以上に強いことも示した。メディアが一斉にトランプ氏に反対したことも、逆に既存政治への抗議活動を煽った。トランプ大統領の誕生は、『ヨーロッパ連合(EU)』にとっては良い結果を齎すかもしれない。アメリカとの関係は難しくなるが、(イギリスの離脱等で揺れる)EUが結束を強める合図になり得る。アメリカに頼らず、テロや難民等の問題を協力して解決する必要があるからだ。ただ、トランプ氏は中東問題から距離を置く姿勢を示している。米露関係がどのように変化するかによるが、和平交渉でフランスやEUの負担は大きくなるだろう。来年のフランス大統領選挙にも影響を与える可能性がある。アメリカの選挙結果を見れば、美辞麗句を並べたトランプ氏の手法が、選挙で勝つには最も効果がある。(“反移民”等を掲げる極右の)『国民戦線』のマリーヌ・ル・ペン党首には有利だ。トランプ氏の戦略は、国民の分断を助長することでもあった。ルペン氏も、その先頭に立つだろう。一方で、トランプ氏の勝利の反動で、フランス国民がより穏健な大統領を望む姿勢に変わることもあり得る。 (聞き手/パリ支局 三好益史)


⦿読売新聞 2016年11月15日付掲載⦿

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