【霞が関2016秋】(16) くすぶる“内部留保”課税…経済界にいら立ち

政府は、今月16日に開く『働き方改革実現会議』で、企業の賃上げを議論する。政府と『日本銀行』は「経済の好循環に賃上げは不可欠」との認識で、政府は経済界に4年連続となる賃上げを要請する。企業収益に陰りが見え、物価下落という状況で議論すれば、大幅な賃上げは期待できない。政府内には、経済界が最も嫌がる“内部留保課税”等、現預金を活用するアイデアが燻っている。既に舌戦は始まっている。政府が9月30日に開いた『経済財政諮問会議』で、財務省の麻生太郎大臣は「(企業部門の)内部留保が3年間で73兆4000億円も増え、トータルで約380兆円の内部留保が積み上がる一方、現預金は220兆円ある。労働分配率は、3年前の70%から67.8%に下がっている」と指摘した。この発言のポイントは、内部留保ではなく、金利が付かない多額の現預金を保有する理由を問い質したことだ。諮問会議では麻生発言を受け、『日本経団連』の榊原定征会長が「現預金は企業の運転資金の約1.6ヵ月分で、必ずしも適正範囲を超えた水準だとは思っていない」と反論した。出席していた政府関係者は、「内部留保活用への警戒から出た発言だろう」と解説する。

「もう散々“アメ”はやった」。経済財政諮問会議を担当する内閣府の幹部は、苛立ちを強める。これまでは経済界に配慮し、法人実効税率の引き下げ等に取り組み、賃上げ環境を整えてきたからだ。政府・日銀が目指す“2%+α”には届かず、足元の賃金上昇率は0.5%程度に止まる。日銀の黒田東彦総裁は、「物価が毎年2%上がると、労使が共有して賃金交渉するのが筋だ」と提案している。経済界は、政府・日銀がどのように賃上げ圧力を強めるかに注目している。内部留保課税が働き方改革実現会議の場で出てきても、不思議ではない。実現には課題も多く、未だ公の場で閣僚が発言したことはないが、「経済界への脅しという点では効果的」との意見が政府内にはある。例年、政労使の賃上げ議論は11月末までに決着している。経済界の賃上げ要請への回答が小幅なものに止まることが見えてくれば、内部留保課税で政府が圧力を強める可能性は高まる。同16日に開く会議では、閣僚の発言に注目したい。 (藤川衛)


⦿日本経済新聞電子版 2016年11月8日付掲載⦿
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