【特別対談】 “地方創生”って必要ですか?――江種則貴(中国新聞編集局長)×畑谷広治(信濃毎日新聞編集局長)×松岡和也(高知新聞編集局長)

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――地方の人口減少と、安倍晋三内閣が掲げた“地方創生”が注目されています。地域の実情を最もよく知る地方紙はどう見ているのか。3紙の編集局長に集まって頂きました。この3紙は、気骨のある紙面作りで一目置かれています。広島県に本社を置く『中国新聞』は、日本で最も過疎化の進んだ中国山地を抱えていて、正月から始めた連載『中国山地』は集落の危機的な姿を描いています。高知県は“限界集落”の概念発祥の地で、離島以外では最も人口が少ない大川村(昨年10月の国勢調査では397人)があります。県紙の『高知新聞』は昨年、そうした地区の窮状を知事選に絡めて連載しました。長野県は南北に長いだけでなく、谷毎に気候・方言・考え方まで違います。『信濃毎日新聞』は県紙として、また新聞協会賞を最も多く受賞した地方紙として、“小さな社会”がどう生きていけるか、考える記事を書いてきました。先ず、其々の地元の現状を教えて下さい。
江種「“中国山地”の連載を最初に行ったのは、“過疎”という言葉が生まれた1966年です。以後も機会ある毎に連載してきたのですが、過疎化が先鋭的に進んでいる地区だけに、高齢者すら減ってしまい、今や集落が維持できるかどうかの瀬戸際に立たされています。昨年は、中国山地を貫いて走るJR三江線(三次-江津間)の廃止検討方針も打ち出されました。2年前に元総務大臣の増田寛也氏らが発表した“消滅可能性都市”で、中国地方は107市町村の内、62市区町村が“消える”とされました。増田さんの主張は多分に危機感を煽る側面を感じますが、総じて事態は深刻です」
畑谷「長野県で消滅の可能性を指摘されたのは、77市町村の内、34市町村でした。当たっているかどうかは別にして、確かにそういう心配はありますね」
松岡「高知県は1990年、都道府県で最初に人口が自然減になりました。当時、82万人台だった人口は、昨年の国勢調査で72万人台に落ち、これはもう昭和初期の水準です。2060年には39万人に下がるという推計もあり、県は何とか55万7000人に止めたいとしています。人口が減って、経済が縮小し、地域が弱って、また人口が減る。尾崎正直知事は“負のスパイラル”と言っています。“限界集落”とは、65歳以上が半数以上を占める集落です。そこでは冠婚葬祭等の集落行事が困難になるとして、1988年に高知大学の教授が提唱した概念です」
畑谷「長野は山岳県なので、山で阻まれた集落毎に異なる文化があります。村は35と、都道府県で最多。1000人以下の村も含めて、小さな自治の単位が形成されています。うちの新聞では昨年10月から、大学の問題を集中的に取り上げています。18歳人口に占める県内大学入学者数の割合は2014年、都道府県で最低の15.4%でした。東京を中心とした県外への進学が人口減少の起点になってきた訳ですが、新幹線の金沢延伸で北陸の大学が長野でも学生の勧誘を行うようになり、少ない若者の奪い合いが始まりました。そうした危機感から、県内の私立大学が公立化の検討を進め、国立大学も含めて新しい学部を設ける動きが出ています」

――現場では、予想もしていなかった事態が起きているのでしょうか?
江種「“中国山地”の連載で、市町村を対象に『今後10年、若しくは20年で消滅の恐れがある集落は幾つあるか?』というアンケートをしました。ところが、把握していない自治体が相当数ありました。市町村が自分の地域さえ見えなくなっているのです。ショックでした。広島県は、平成の大合併での市町村の減少率が全国2位。村はゼロになりました。地方創生では、拠点機能を集約するコンパクトシティー化が進められていますが、市町村の行政機構は合併で既に集約が進み、周辺部に目が届かなくなっています。国は、そうした現状を真に理解した上で“地方創生”と言い、それで本当に地域が自立できると思っているのでしょうか?」
松岡「高知県では34市町村の内、23が“消滅可能性都市”とされました。増田さんは、人口を一定の地域に止めるダムとして、拠点となる都市への投資が必要と言っていて、総務省は人口20万人以上の自治体を“連携中枢都市”に指定して、財政支援しています。しかし、高知県で該当するのは、人口33万人強の高知市だけです。次に人口の多い南国市は、僅か約4万8000人に過ぎません。この施策が進めば、日本における東京一極集中と同じ現象が高知県内で発生し、人も施設も高知市一極集中になってしまいます。高知県では、『何でも大きな拠点に集めるのでなく、小学校単位の小さな拠点を作っていこう』という施策が進んでいます。こうしたエリア毎に、産品の開発等も行っています」
畑谷「私が驚いたのは、昨年の統一地方選です。34の市町村議選で当選した議員の約75%が60歳以上でした。県内の全77市町村で は、10の議会が全議員60歳以上になりました。8年前は無かったのに、急速に高齢化しています。若者や働き盛りの人が少ないのに加えて、公共的な活動に時間が割ける職業を選べなくなっているのです。一方、女性の正副議長は18人で、前年夏の9人から倍増しました。女性が『政策を考えていこう』『リーダーになっていこう』という動きは、小さな村でも起きてきています」
松岡「今年の参院選で、高知と徳島、島根と鳥取の4県で合区になります。“高知・徳島”選挙区の候補者は、自民党も野党第1党の民主党も徳島県側から立ちます。これで高知の代表と言えるのでしょうか? 衆院選も、高知と徳島は其々3つあった小選挙区が、前回から2つに減りました。このた為、高知県選出・出身の衆参両院議員は、ピーク時の2000年まで9人いたのが、現在は6人です。“1票の格差”はわかるのですが、都道府県代表という側面を無視した数字合わせでいいのか」

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――高知と徳島の仲は?
松岡「良くはありません(笑)。アンケートで『徳島に親近感を感じるか?』と聞いたところ、6割以上が『感じない』と答えました。“四国は1つ”と言いますが、やっぱり4つなんですよ。昨年12月、合区4県の地方紙等で世論調査を行いました。4県とも合区反対が6割を超え、高知は最も高い69%でした」
江種「人口が少ないからと言って住民の声が届き難くなるというのは、制度として疑問無しとは言い切れません」

――過疎地の声を国政に届ける方法は無いでしょうか?
松岡「消滅しそうな地区でどんな暮らしが営まれているかを伝えるのは、我々の役目ですね。9年前に“500人の村がゆく”という連載をしました。冒頭で紹介された大川村の人口が未だ500人あった頃、当時の編集局長が村長に『田舎は住んでみないとわからない』と言われて、社会部の39歳の記者を1年間、家族と共に住まわせました。その記者は、『住んでいると、自治体が段々壊死していくような気がしてくる。もっと中山間地域に目を向けてほしい』と話していました。連載には、親類を訪ねるのに道無き道を2時間も歩く高齢の女性が出てきます。ただ、こうした暮らしが悲惨かというと、そうではありません。明るく、逞しく、人間的でした。幸せとは何か、深く考えさせられました」
江種「市町村合併を批判する一方で、我々も一部の地域で支局を畳んでいる。それで、地域の端っこの話を紙面で取り上げる機会が減ってしまっては、申し開きが立たない。私たちが“中国山地”の取材を続けるのも、松岡さんの言うように、『それが地方紙だ』と自覚するからです」

――安倍政権の地方創生は、どう見ていますか?
畑谷「国による地方の誘導策で、地域の足元から出てきた政策ではありません。自治体が地方版総合戦略を策定すれば、政府が交付金を上乗せする。ニンジンをぶら下げて、『食べたければどうぞ』という施策です。大規模に誘導する為なのでしょうが、これでは自治は育ちません。総合戦略もコンサルタントに作成を依頼する例が多いので、内容は金太郎飴的で、新幹線駅がどこも同じなのと似ています。全面的に否定する訳ではないのですが、『徒に煽られてはならない』という思いを込めて、私達は鉤括弧を付けて“地方創生”と書いています」
松岡「これまで沢山の計画を作ってきた自治体が、『また計画を作らなければならないのか』と悲鳴を上げています。予算規模は今年度で1000億円程度しかなく、しかもたった5年間の施策なので、『創生なんてできる筈がない』というのが、地方行政に携わっている人々の声です。国も、実際には財布の紐を締めています」
畑谷「『選挙対策か?』と勘繰りたくなる」
江種「新国立競技場は値切っても1600億円以上ですから、曲がりなりにも地方に目を向けてくれた点は有難いですし、東京一極集中への反省が出発点になっている筈です。ただ、実際はどうか。『中央が栄えれば』と言われても…」
畑谷「『地方に富が滴り落ちる』と言う。あれは違いますよね」
江種「そうした批判が出てきた昨年、安倍さんが『全国津々浦々にアベノミクスを』と発言し、地方創生が出てきました。だから、どうしても選挙対策に見えるのです。これまでも、1962年から5次に亘る“全国総合開発計画(全総)”で、“国土の均衡ある発展”をキャッチフレーズに開発が進められました。しかし、地方の現状は見ての通り。地方創生は、全総の検証を基にしているのでしょうか? たとえば、『高速道路は暮らしの向上に必要だ』として造ってきた。でも、都会から『無駄遣いだ』と散々批判された。一方で私たちも、しっかりと使い切れていない現状には忸怩たる思いになります」
畑谷「私にも、地方創生が『東京一極集中の是正とセットになった政策だ』とは感じられません。『国の官庁を地方に移す』と言っても、漸く京都や徳島に官庁の一部の名前が上がった程度です。政府は、何でも東京に集まる仕組みを、どう変えようとしているのか、わかりません」

――「地方創生は評価できない」と。
畑谷「トータルな姿勢としては、前に進めるべきです。でも、やっぱり鉤括弧付きの評価です。これだけ壊れた日本が、5年で戻る訳がありません。22世紀に向けて考えないといけないぐらいのテーマです。安倍政権の施策で、前向きに捉えられるのは2つです。先ず、ふるさと納税。『東京で働いているけど、地方の衰退を望んでいない』という人の意思表示とも受け取れます。ただ、『このままだと自治体が煽られて、本来の目的を見失ってしまうのでは?』と心配しています。もう1つは、地域おこし協力隊です。市町村が都市の人材を受け入れる人件費を、政府が財政支援する制度で、想像した以上に20~30代の若者が来ています。長野県にも、52市町村に189人がいます。『任期終了後、その地域に定住できるかどうか?』という課題はありますが、東日本大震災後の若者に、人口の増加や国内総生産(GDP)の成長だけを重視してきた価値観の転換が起きているのかもしれません」
江種「ただ政府は、東京オリンピックで人材も財源もどんどん首都圏に注ぎ込もうとしています。一極集中の是正や、震災復興の為のオリンピックというコンセプトはどこへ行ったのか?」
畑谷「1998年の長野冬季オリンピックでは、新幹線が開通し、競技施設や関連道路等の公共投資が進みました。夏季大会は冬季より規模が大きく、国が威信をかけて社会資本を整備するので、東京一極集中は更に進みます。地方創生と言いながら、国土全体のグランドデザインが見えないのです。これを機に東京志向が加速すれば、日本人の意識にまで変化を及ぼさないでしょうか?」
松岡「私は期待していることもあります。主会場となる新国立競技場のデザインは隈研吾さんです。隈さんとは、高知の山の中にある梼原町と、木造芝居小屋の保存運動をきっかけに交流ができ、町内には隈建築が4つもあります。隈さんがずっと使っているのが地元産材で、新国立でも木材が使われます。尾崎知事は、『前回は鉄とコンクリートのオリンピックだったが、今回は木のオリンピックになる可能性がある。これをきっかけに木造建築が脚光を浴びれば、地方に波及する』と言っています。高知は県土の森林率が84%で、これまでは非常に重荷になってきましたが、宝の山になるかもしれません。高知県では、“CLT”という集成板を使った建築を、全国に先駆けて推進しています。強度が高いので、欧米では中高層ビルに使われています。『新国立でも採用されるのでは?』と、密かに期待しています」

――地方からの発信で、東京オリンピックに、政府が思いもよらなかった価値付けができると面白いですね。その意味では、国の言いなりになるのではなく、『これこそ地方紙が考える真の地方創生だ』と、逆に政府を突き動かすような事例はありませんか?
畑谷「中々該当例が無いのですが、若者は価値観を転換しようとしています。長野の学生らが“信州若者1000人会議”を作りました。発端は、小布施町をどうするか、240人の若者が話し合う催しでした。ところが、東京の県出身大学生が『東京でやったら1000人ぐらい集められる』と言い出したのです。集まって終わるのではなく、チームに分かれて県産品を駅で売ったり、将来戻って来たい人の為に“若鮭アカデミー”を開いたりしています。未だ小さな動きですが、大きく広がってほしいですね。もう1つ。『人口を増やさなければならない』『GDPも上げなければならない』という物差しだけで人間の幸福は測れないので、それと並ぶ幸せの物差しを提案していきたいと思います。人間関係や自然の豊かさを含めた幸福度を測り、そこからグランドデザインを描くようなダイナミックな転換が、今の日本には必要です」
江種「田園回帰は若者の価値観が変わってきた証拠なので、この流れを太くする環境作りが大切です。そこで気になるのは学校です。安倍政権は小中学校の統合を進めていて、折角都会から来ても、近くに学校が無く、教育に困るようでは元も子もありません。『大勢の中で揉まれたほうが子供にはいい』と考える親もいますが、地域作りを担う人材をどうやって育てるか、高校や大学の在り方も含めて、皆で考えたいですね」
松岡「高知大学には昨春、“地域協働学部”が出来ました。学生が地域に飛び込んで、住民と一緒に課題解決に取り組もうとしています。高知新聞は同学部と協定を結び、同じような志を持った高知工科大学や県立大学の学生の活動も含めて、週に一度、紙面で取り上げています。田園回帰では、映画監督の安藤桃子さんや、著名ブロガーのイケダハヤトさんが移住してきました。地域のコミュニティーと接触すれば、新しい地域作りに繋がるかもしれません。『新聞がその橋渡しをできないか?』と考えています」

――田園回帰の流れができたとはいえ、都市への流出人口が比較にならないほど多いのが実情です。田舎には若者が就きたい仕事が無い、若しくは仕事そのものが無いのが背景です。どうすればいいですか?
畑谷「短期的には変わらないでしょうが、ポイントは農業です」
江種「その通りだと思います。広島市近郊では、若者や中堅農業者が経営手腕を発揮し、葱や小松菜等の栽培で成功するケースが増えています。しかし、中山間地域は高齢の零細農家が多く、棚田に象徴される地形の制約もあって、効率は良くありません。企業進出は期待し難いし、仮に現れたとしても、集落の維持まで面倒を見てくれるとは限りません。中山間地域が農業で生計を立てるには、6次産業化や地産地消しかないのでしょうが、都市住民のバックアップが不可欠でしょうね」
畑谷「企業については、工場ではなく、本社を地方に移転させる安倍政権の施策がゆっくりでも進んでいけば、産業界のバランスは変わってきませんか? セイコーエプソンは長野県諏訪市に本社があり、技術的な繋がりで力強い下請け企業群が形成されています」
松岡「しかし、アベノミクスは広報戦略ばかり先行していますね。安倍さんは、高知県の有効求人倍率が初めて1.0倍台に乗ったと繰り返し発言しています。確かに数字上はそうなったのですが、仕事を探す人が都会に出てしまい、分母が小さくなったことも要因です。しかも、正社員だけだと0.58倍しかありません。実際には厳しさの裏返しなのです」
江種「介護職の雇用をどう守るかも課題ですね。一時期、『団塊の世代が定年後に田舎に帰る』と言われましたが、それほどでもなさそうです。ただ、高齢者が減る中国山地では、介護施設の空きも増えそう。国は東京の高齢者に地方へ移ってもらうようなことを言っていますが、意外に時宜を得ているのかもしれない。勿論、都会の都合ばかり押し付けられても上手くいきません」
畑谷「一度そこで暮らし、子育てをすれば、東京でも愛着が湧きます。年を取ってからの移住は、必ずしも幸せではありません。県内ですら、『親を田舎から呼び寄せたら認知症になった』という話を聞きます。長野は東京と車で行き来できるので、平日は東京で働いて、週末は戻る“週末信州人”という暮らし方ができます。両方に拠点を持ちながら、“終の棲家”をどこに置くか、家族で考えられる環境が作れたら、人の流れは変わってくるかもしれません」

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――つまり、進学や就職で県外に出た人との繋がりを切ってしまわないことが大切ですね。
畑谷「そうです。ところが、田舎を“限界集落”等と壊れていく場所みたいに呼んでいたら、人は帰ってきません。人の心を掴める言い方で地域を表わさないと」
松岡「“消滅可能性都市”と言われたら、シュンとしてしまいますよね。でも、成功例はあるんです。先程お話しした梼原町は、2014年度の人口減少がたった1人でした。子育て支援や移住者対策に力を入れている他、地元高校に町外から野球少年が集まっています。県大会でベスト8に進出し、町から甲子園を目指そうと頑張っているのです。それから、高知県は柚子の輸出が5年間で5倍になりました。新しい東洋の柑橘として、フランスのシェフに受け入れられています。未来への萌芽を紙面で応援し、育てていくのは、我々の大事な役割です」

――外国人観光客の増加は、雇用や地域の活力に繋がりませんか?
畑谷「日本人が関心を示さないような場所に外国人が注目し、改めて長野の魅力を教えてくれています。ニホンザルが温泉に入る山ノ内町の地獄谷野猿公苑は、外国人で一杯です。私たちも発信していこうと、紙面で“ウェルカム信州”というキャンペーンをしています。考えさせられるのは、異文化とどう接していくかです。スキー客の多い白馬村では、『観光客が夜遅くまで騒いで苦情が出ている』として、歩きながらの飲酒や深夜の花火を禁止する“マナー条例”が制定されました」
江種「広島には原爆ドーム・宮島の厳島神社と、世界遺産が2つあり、欧米人を中心に人気です。中国新聞は、原爆や平和関連の記事を外国語に翻訳して、ホームページで発信しています。ただ、地元の人にとって魅力のある地域でなければ、観光客も楽しめない筈です。その観点から今年は、広島の魅力を再発見する連載も始めたいと考えています」
松岡「四国で外国人が増えているのは、お遍路です。同じような巡礼地がスペインにあるので、協力協定を結びました。更に、『世界遺産に登録できないか?』と運動が始まっています。じゃらんリサーチセンターの調査で、高知は2年連続で“地元ならではのおいしい食べ物が多かった”県の1位になりました。中山間地の食べ物が評価された結果です。是非、活力に繋げたいですね」

――地方紙の役割は非常に大きいのですが、人口減少時代を生き延びられるでしょうか?
畑谷「出口はありませんが、長野県の人口減少率より部数の減少率のほうが小さく、『読者との繋がりは未だある』と確信しています。しかし、『子供たちに新聞の役割や重要性を伝える地道な取り組みは怠ってきた』という反省はあります」
松岡「確かに無頓着でしたね。1950年から、全国に先駆けて小中学生向けの“こども高知新聞”を創刊し、週刊で掲載してきましたが、その対策として2011年に衣替えし、日刊にしました。小学生は“こども記者”として、4936人を任命しています。年間の投稿記事は1万3162本。本紙の投稿欄にも原稿が載り、それに対する地域の方々の投稿もあって、世代を超えた交流が生まれています」
畑谷「地元の人々と一緒に地域作りをする“ニュースペーパーインリージョン(NIR)”という活動を始めました。長野市に2005年に合併された旧大岡村は、人口1000人ほどの地区で、鹿の獣害に悩んでいます。読者センターのチームが地元と一緒にシンポジウムを開いて、鹿肉がどんな料理に適しているか探ったりしました。2~3年毎に色んな地域を回ろうと思います。広い県なので、長野本社とは別に松本本社を置いています。これを松本城の近くの市街地に移転することになりました。『街の賑わいに貢献できる社屋にしたい』と“まちなかプロジェクト”と名付けて、100人に意見を聞き、投書で意見を募り、ワークショップも3回開きました。プレゼンテーション大会も催しました」
江種「昨年5月に“中国新聞SELECT”を創刊しました。購読者が減ってきた夕刊を休止し、朝刊と一緒に配達する新しい新聞に生まれ変わらせたのです。長めのインサイドストーリーを中心に掲載し、部数は伸びています。また、百人一首を特集した京都新聞のページを丸ごと掲載する等、友好紙とのネットワークも太くしています。全国紙に負けない地方紙連携のスタイルを作っていきます。ただ、私たちはやっぱり記事で、ニュースで勝負したい。黒田博樹投手がアメリカからカープに帰ってくることを朝刊1面で報じた時には、山陰地方の駅売りも完売でした。活字には力があると信じています」
畑谷「新聞社の土台は、ニュースの信頼性です。『丁寧な取材と、愚直な新聞作りを続けていくしかない』と思っています」
松岡「まさにそうですね」 (聞き手・構成/地方自治ジャーナリスト 葉上太郎)


キャプチャ  2016年4月号掲載

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テーマ : 地方自治
ジャンル : 政治・経済

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