【トランプショック】(06) 積極財政に疑問、円安修正の可能性も――篠原尚之氏(元財務官)

20161121 13
――イギリスに続き、アメリカでも保護主義の台頭が鮮明です。世界経済への影響をどう見ますか?
「ドナルド・トランプ氏の大統領就任で、世界的な貿易量の減少が加速する懸念がある。アメリカの環太平洋経済連携協定(TPP)の批准は難しいだろう。既存の貿易交渉の見直しには時間がかかり、自国の産業を守るのは、アンチダンピング(不当廉売)措置が最も手をつけ易い。バラク・オバマ政権と同じように、トランプ政権でも日中やヨーロッパ連合(EU)に対してアンチダンピングを乱発する可能性はある」
「中期的には、アメリカの保護主義は、アメリカ国内にいる企業よりも、カナダやメキシコでアメリカ向けに製品を作っている企業が影響を受け易い。北米自由貿易協定(NAFTA)脱退にはビジネス界が反対する筈だが、今後の展開は見えない。日本の自動車メーカーが多く進出するメキシコは、NAFTA脱退の懸念から通貨が急落しており、日本企業に影響が及ぶリスクがある」

――外国為替市場では、選挙前の予想に反して急速に円安が進みました。持続性はありますか?
「当初は、選挙結果自体がサプライズで、円高が進んで神経質な動きになった。『短期的には、大型減税や財政出動の拡大で国債が増発される』との観測から、アメリカの金利が大きく上昇して一転、円安が進んだ。アメリカの金融政策の方向性が、選挙結果を受けて変わるとも思えない」
「ただ、トランプ氏の政策が実行に移せるのかは疑問だ。財政出動は、伝統的な共和党の政策とは異なるからだ。例えば、トランプ氏は来年前半、政府債務の上限の引き上げを巡る“財政の崖”問題の対応を迫られる。積極財政に、アメリカ議会の共和党がすんなり賛成するかは不透明だ。トランプ氏が現実的な政策に転換すれば、円安も修正を迫られる可能性がある」

――トランプ氏は選挙期間中、中国や日本を「自国通貨安に誘導している」と批判してきました。
「トランプ氏がドル安を志向するかはわからないが、少なくとも為替介入を含む不公平な取引は許さないだろう。オバマ政権の為替監視国リストは客観的な数量を基準に決めたが、今後はもう少し主観的な判断も入ってくるかもしれない」
「『日本の円売り介入は認めるけど、中国は駄目』という訳にはいかない。日本経済がそこまで悪くない中、日本が円売り介入をするのは難しい。ただ、今は日本が介入する必要性は無い」

――トランプ政権の誕生で、主要7ヵ国(G7)の役割も変わりますか?
「少なくとも、経済におけるG7の役割に大きな変化は無いと思う」 (聞き手/経済部 中村亮)


⦿日本経済新聞 2016年11月16日付掲載⦿
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