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【村西とおるの「全裸で出直せ!」】(30) 人間の願望で最も強いものは、カネや地位もそうでしょうが、先ずは“他人に認めてもらいたい”なんですね

酒乱の金ちゃんは、普段は大人しい男でした。大人しいというより、ニコニコと愛嬌たっぷりで、細かなところにも気がつく、気遣いの男です。そうした抑圧した生活を送っていたことで欲求不満が溜まり、酒を飲むとその力を借りて豹変し、爆発するのでした。“猫を被っている男ほどいざとなると危険だ”は金ちゃんから学んだ教訓でしたが、もう一人、猫を被っていた為に、信頼するH弁護士を手古摺らせた男がいました。男はビニ本店や古本屋にご禁制の裏本を卸して歩く、通称“カバン屋”と言われる仕事をしていました。南関東を縄張として大きな商売をしていて、手前どもの大得意先の一人でもあったのです。ある日、相棒であった女房ドノが、息せき切って事務所に駆け込んできました。「亭主が卸し先のビニ本店で捕まった。どうしよう」と言うのです。女房ドノは30歳の亭主より一回り上の姉さん女房でした。前夫との間に生まれた20歳の息子と3人でカバン屋をやっていた女丈夫でございます。亭主がビニ本店で商売をしている間、乗っていた車にガソリンを給油して戻ったら、件のビニ本店の前にパトカーが数台止まっていて、大捕り物の真っ最中となっていたとの経緯でした。女房ドノに「とりあえず、警察に下着の差し入れをしに行ってみたら? そうすれば亭主の様子がわかる筈だ」とアドバイスしました。

2日後、女房ドノは悄然として姿を現しました。下着を届けに行って面会を申し込んだら、亭主に「会いたくない」と断られたというのです。女房ドノは「どうして私に会ってくれないのだ? そんなに私のことが嫌いだったのだろうか?」と、“愛”に疑いを持ち始めていました。そして、「ひょっとしたら私のことを共犯だとゲロっているのでは?」との疑心暗鬼の囚われ人にもなっていたのです。H弁護士に面会に行ってもらいました。「本職の弁護士なら面会が叶う筈だ」と考えたのです。が、男はH弁護士との面会も拒絶したのです。「忙しい最中を態々2時間かけ、神奈川の田舎町の警察まで出向いて頂いたのに」と、面目がありませんでした。私は警察のネットワークを持っていました。そのネットワークを使い、男がどうして面会を拒んでいるかの探りを入れると、意外な真実がわかりました。男はカツラを被っていて、「自分のハゲがばれるくらいなら死んだほうがマシだ」と、頑なに面会を拒んでいたのです。男が逮捕されてから1週間、何も喉を通らず、げっそりしていた女房ドノに、そのことを伝えました。すると、女房ドノは急に激昂し、「あの男がハゲなのは、出会ったその日からわかっていたわよ。2㎞先からでもはっきりとわかるカツラを被っていたんだから」と涙を流しながら、口汚く男を罵るその目には涙が浮かんでいました。それは、失うことなく愛を取り戻すことができた、年上女房の安堵の涙でした。


村西とおる(むらにし・とおる) AV監督。本名は草野博美。1948年、福島県生まれ。高校卒業後に上京し、水商売や英会話教材のセールスマン等を経て裏本の制作・販売を展開。1984年からAV監督に転身。これまで3000本の作品を世に送り出し、“昭和最後のエロ事師”を自任。著書に『村西とおるの閻魔帳 “人生は喜ばせごっこ”でございます。』(コスモの本)・『村西とおる監督の“大人の相談室”』(サプライズBOOK)等。


キャプチャ  2019年12月5日号掲載
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