【Test drive impression】(02) 『WRX S4 tS NBR CHALLENGE PACKAGE』――S207のDNAを持つ究極のスポーツセダン

初めて目にした瞬間、「これはS207じゃないか!」と叫び…はしなかったが、そう思ったことは確か。『S207』とは、昨年10月29日に『東京モーターショー』で発表され、僅か1日で限定400台が完売したモデルだ。『スバル』のモータースポーツを担う『STI(スバルテクニカインターナショナル)』が手がけたコンプリートカーで、『スバルWRX STI』をベースにしながら、最高出力は328馬力、最大トルクは431Nmまで性能アップが図られ、足回りを始めとする専用パーツがテンコ盛り。徹底的にチューニングされ、価格は600万円台に達した伝説のマシンだ。そんなS207と瓜二つの姿を纏い、先月、『WRX S4 tS』は登場した。そう、このモデルは、S207のベースとなるWRX STIと同じボディーを持ちながらも、トランスミッションにスポーツリニアトロニックCVTを与えられ、AT限定免許でも乗れるスポーツセダンWRX S4(334万8000円~)に、STIが手を入れたモデルなのだ。ここで少し解説しよう。STIは、エンジンチューニングを行った上で、足回りや内外装にまで完璧に手を入れたモデルを“Sシリーズ”と呼ぶ。これは、先のS207がそうだ。そして、それとは別に、エンジンには手を入れずに足回りや内装に手を入れた、Sシリーズよりライトチューニングが施されたモデルを“tSシリーズ”と位置付けている。今回のモデルは、そんなtSシリーズに属す。故に、エンジンはノーマルのWRX S4と同じ最高出力300馬力・最大トルク400Nm(ってノーマルで十分にハイパワー!)を発生。ここに、専用の足回りや内外装が与えられた。

先に記した通り、その姿はまさに、あのS207を彷彿とさせる。事実、外観上の違いもS207のエンブレムが無い程度で、それ以外はほぼ同じ。写真からも、かなりの迫力が伝わるのではないだろうか。しかし、である。このS4 tSはノーマル同様、トランスミッションはスポーツリニアトロニックCVTを搭載しているので、これだけ圧倒的な存在感を持つスポーツモデルをAT免許で乗れる。WRX STIやS207の場合は抑々、6速MTだけの設定だ。乗るにはMT免許が必要だし、「ぶっちゃけ、MTしんどいっす」という理由で購入を見送る人もいた。一方のWRX S4は、AT免許で楽に乗れて好評ではあったが、「もっと迫力が欲しいなぁ…」って声があったのも確か。そこに登場したのがS4 tSなのだから、まさに「待っていました!」の1台ではないか。しかも、CVTを組み合わせたとはいえ、走りは抑々スポーティー。それをSTIが専用のパーツで更に磨き上げた訳で、スポーツマインドを擽られないほうがどうかしている。実際、タイヤ&アルミホイールは19インチサイズとされ、見た目の迫力と共にカーブを曲がる時の踏ん張りも増し、ノーマルより粘る特性を手にした。また、ホイールの奥にはイタリアの名品『ブレンボ』製のゴツいブレーキを備え、ノーマル以上に強烈なストッピングパワーを発生する。ということはつまり…その気になれば、このままサーキットもOKとなる。ATでも走りが楽しめる稀有なモデルだ。今回は残念ながら、サーキット走行をしていない。公道を走るのみだったが、それでも実力の片鱗は窺えた。S4 tSは、走り出すとノーマルに比べ引き締まった乗り心地で、路面の段差でははっきりと強いショックがある。つまり、サスペンションが固められ、より次元の高い走行を可能とした証拠だ。

ただ、それでも快適性を手に入れることにも注力しており、段差等での固さこそ感じるが、なるべく滑らかにサスペンションを動かして、ギリギリ普段乗りもOKのコンフォート性も実現している。今回は首都高も走ったが、エンジンは元々パワフルで文句無し。アクセル一踏みで体が後ろに持っていかれるレベルだ。が、そこは専用のレカロシートががっちりとサポートする。そして、速度ベースが上がるほどフラットな感覚が増し、ピタリと路面を捉える。この感覚ならば、サーキットではより路面に吸いつき、安定するだろう。因みに、今回試乗したS4 tSは、大きなリアウイング・専用のブラック塗装されたアルミホイール・リアに専用エンブレムを与えられた“NBRチャレンジパッケージ”というモデルだ。これは、今年5月にドイツの『ニュルブルクリンク24時間耐久レース』でクラス優勝を果たしたWRX STIを記念してのグレードだ。実際、レーシングカーと同じ『WRブルーパール』のボディーカラーが選べるのも、ファンなら胸熱だろう。最後にもう1つ。このWRX S4 tSはトランスミッションがCVTとなるので、スバルの“安全お家芸装備”とも言える『アイサイト』を搭載している。つまり、高速道路の渋滞では、前車に追従する楽チンな移動を実現。これまで、この手の硬派モデルはアイサイトとは無縁であり、渋滞では正直言うと我慢を強いられた。しかし、WRX S4 tSでは、スポーツモデルにおいても安全装備を手に入れたのだ。AT免許で本格的な走りと普段使いを両立し、アイサイトで安心・安全まで手に入れたコンプリートマシンは、来年3月12日までの期間限定受注販売だ!


河口まなぶ(かわぐち・まなぶ) 自動車ジャーナリスト・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1970年、茨城県生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、『モーターマガジン』のアルバイトを経て、1995年からフリーに。


キャプチャ  2016年11月28日号掲載

スポンサーサイト

テーマ : 新車・ニューモデル
ジャンル : 車・バイク

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR