【トランプ政権誕生・試練の安倍外交】(下) アメリカの内向き、日本逆境

20161122 01
安倍首相は今月10日夜、首相公邸に与党の参議院国会対策委員会の幹部を招いた宴席で、衆議院を通過した『環太平洋経済連携協定(TPP)』承認案・関連法案の参議院審議への協力を求めた。ドナルド・トランプ氏がアメリカの次期大統領に決まり、TPPの発効は困難な情勢だ。幹部の中には、「日本が承認しても無駄に終わりはしないか?」と懸念する見方もあった。首相は国対幹部を気遣うように、「トランプ氏との会議でTPPについても真意を聞いてくる」と語った。首相は会談で自由貿易の重要性を訴える考えだが、トランプ氏は保護主義政策を進めようとしている。選挙後に発表した政権構想では、直接は触れられていないが、選挙戦ではTPP脱退の他、『北米国由貿易協定(NAFTA)』の再交渉等を主張した。日本がアメリカ産牛肉に38%台の関税を課していることを批判し、対抗措置として、日本車に38%の関税をかける考えを表明したこともある。

NAFTAが見直されれば、日系メーカーがメキシコの生産拠点からアメリカに輸出する自動車の関税が引き上げられる可能性もある。昨年度の対米輸出額は、輸出全体の20%を占める15兆円に上り、日本にとって最大の輸出先がアメリカだ。アメリカが“内向き”になれば、日本の輸出産業は打撃を受けることになる。アベノミクスの柱に位置付けられてきたTPPの発効が厳しくなり、政府内ではアメリカ抜きでも発効できるようにする案や、日本や中国等の『東アジア地域の包括的経済連携(RCEP)』に軸足を移す案等が取り沙汰されているが、方針は定まっていない。石原伸晃経済再生担当大臣は同日、自民党石原派の会合で、「政府も、この(トランプ氏当選という)事態を受けて、構造改革を更に進め、経済の潜在成長率を高める(必要がある)。財政出動も非常に重要な政策の1つだ」と述べ、経済財政戦略の見直しが必要との考えを示した。「“トランプショック”は、首相の解散戦略に影響を与える」との見方もある。公明党の支持母体『創価学会』は同14日、同28日に予定していた衆院選対策の会議の延期を決めた。「『暫く衆議院解散は無い』との判断だ」(公明党議員)。自民党内からも、当面は日米同盟の確認とアベノミクスの立て直しが最優先課題となる為、「衆院選に打って出る余裕は無いだろう」(幹部)との声が出ている。一方で、経済が今後減速するようなことになれば、2018年の衆議院議員の任期満了が近付くにつれ、“追い込まれ解散”のリスクが高まる。首相の政局判断も問われている。

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今井隆・栗林喜高・小坂一悟が担当しました。


⦿読売新聞 2016年11月16日付掲載⦿
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