【トランプUSA・識者に聞く】(05) アメリカの“縮小”、中国には有利――王逸舟氏(北京大学国際関係学院副院長)

20161122 02
ドナルド・トランプ氏は、大統領就任後、ヒラリー・クリントン前国務長官の遺産である“アジア重視”政策を見直すだろう。“航行の自由”を掲げ、『環太平洋経済連携協定(TPP)』を結び、日本や韓国との同盟関係を強化する同政策は、中国に対抗する姿勢がはっきりしていた。現段階では、南シナ海でのアメリカ軍の哨戒活動がどうなるか、わからない。在日・在韓アメリカ軍が部分撤退するとも言い切れない。あらゆるものが、トランプ氏が最も重視する「アメリカ経済に有利かどうか?」によって、再評価されることになる。“中国包囲網”や“世界の警察官”といった安全保障分野は、アメリカの政策決定の重心ではなくなるのだ。「見直しの基調は、アジアにおけるアメリカの政治的・軍事的プレゼンス(存在)の縮小になる」とみている。中国には有利である。安保面での国際的圧力が減じることを意味するからだ。TPPが近い将来、再浮上することはあり得ない。これも中国にはチャンスだ。周辺諸国は、(中国主導の国際経済圈構想)『一帯一路』を選ぶと思う。

トランプ政権は、関税等経済分野で中国に強硬姿勢を示すかもしれないが、中長期的にはマイナスよりプラスが大きい。これまでの一時期、中国の対外強硬策が比較的目立っていた。では、トランプ政権誕生後、アジアでのアメリカの縮小に乗じ、軍事面での動きを更に強めるのか。そうではないだろう。近年のフィリピン・日本・韓国等との関係悪化は、中国指導者に「周辺諸国との緊張は国の発展に不利である」ということを気付かせた。今、習近平国家主席・李克強首相共に、トランプ氏と同様、国内の安定と成長を最優先している。中国にとって突出して重要な問題は、経済の減速と就業難だ。これからの改革と発展には、平和的で協力的な国際環境が欠かせない。大統領選前にフィリピンとの関係を改善させたように、中国は今後、ソフトな外交攻勢に力を注ぐと思う。中国の対外強硬策に繋がるのは、アメリカ大統領選の結果ではなく、国内情勢の悪化だ。対米関係では、抑制的な姿勢でトランプ氏の次の一手を見極め、対応することになろう。指導者は、アメリカとの協力に自信を持っている。アメリカをアジアから追い出そう等とはしていない。トランプ氏に「中国の“核心的利益”を認めよ」と急いで求めることもない。ただ、冗談ではなく、中国は台湾・チベット・南シナ海等に加え、50年後には宇宙や極地も“核心的利益”と言っているかもしれない。アメリカは、こうした中国がアメリカ自身の経済の為になるか、計算するだろう。 (聞き手/中国駐在編集委員 杉山祐之)


⦿読売新聞 2016年11月17日付掲載⦿
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