【トランプ新政権の課題】(05) 最高裁構成、右傾化も――人権団体、差別容認を危惧

20161122 03
大統領選中に人種偏見や女性蔑視を助長する発言を繰り返したドナルド・トランプ次期大統領に、アメリカの人権団体は警戒感を強めている。共和党がホワイトハウスと議会の上下両院を制し、アメリカ国内で論争の絶えない同性婚や中絶の是非等で重要な判断を下す連邦最高裁判所判事の構成が右傾化する可能性も高まった。アメリカ社会にできた亀裂の修復は容易ではない。「法廷で会おう」――。アメリカ最大の人権団体『全米市民自由連合(ACLU)』は、大統領選翌日の今月9日、トランプ氏の写真を使った広告をソーシャルメディアで発信した。「トランプ氏が選挙戦中に公約・発言した全ての不法移民の強制送還・イスラム教徒の入国拒否・中絶した女性の処罰等の政策を強行すれば、訴訟を起こす」と宣言した。ACLUは、5日間で約720万ドル(約7億8000万円)の寄付を集めた。こうした訴訟に最終的な判断を下すのが、連邦最高裁だ。トランプ氏は、選挙後に初めて登場した同13日放映の『60ミニッツ』(CBSテレビ系)のインタビューで、今年2月に死去した保守派のアントニン・スカリア判事の後任について、「“中絶反対派”の保守派判事を指名する」と改めて表明した。女性が中絶する権利を認めた1973年の最高裁判決を覆す可能性のある判事を選ぶ考えを示した。

連邦最高裁は9人で構成する。スカリア氏の死去により、現在はリベラル派が4人、保守派と保守寄り中道派が4人と勢力が拮抗している。残る1つの空席を保守派が埋め、更にリベラル派判事の内、高齢の2人が交代すれば、保守とリベラルが7対2になることもあり得る。アメリカの最高裁判事は終身制で、死亡や辞任に加え、弾劾を受けない限り、任期は無期限。連邦最高裁の判事構成が右に傾くことで、否定的な判断を受けそうなのは、積極的な差別是正措置・銃規制・不法移民の保護等だ。トランプ氏は、「アメリカ社会に犯罪とテロの脅威が蔓延している」として、“法と秩序の回復”を訴え、警察の権限強化やイスラム教徒の監視等を公約に掲げた。バラク・オバマ政権は、警察官による黒人の射殺事件の頻発を受けた警察改革や、テロ対策でのイスラム教徒との協力関係構築を進めてきた。強硬路線への急激な転換は、新たな社会の軋轢を生みかねない。一方でトランプ氏は、ゲイやレズビアン等の性的少数者に友好的な姿勢を示してきた。同日のインタビューでも、同性婚を全米で合法化した昨年の最高裁判決に関し、「既に決まったことだし、私は構わない」と容認する考えを示した。それでも、性的少数派には不安が広がる。特に、キリスト教保守派として知られるマイク・ペンス次期副大統領の影響力に懸念を示す声が強い。ペンス氏はインディアナ州知事として同性婚に反対し、業者が“宗教の自由”を理由に性的少数者へのサービスを拒否することを認める州法に署名した。性的少数派の差別を事実上、容認した。トランプ氏は勝利宣言で、「全てのアメリカ国民の大統領になる」と約束した。トランプ氏の政策を、国内外の人権団体が注視している。 (芦塚智子)


⦿日本経済新聞 2016年11月17日付掲載⦿
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