【トランプ大統領とアメリカ】(02) 沸騰ウォール街

20161122 05
今月9日未明(現地時間)。ドナルド・トランプ(70)の祝勝会が開かれていたマンハッタンの高級ホテルから1人の男が抜け出し、指示を出した。「アメリカ株を買えるだけ買え」――。10億ドル(約1080億円)を注ぎ込んだ男の名前はカール・アイカーン(80)。“物言う株主”として、ウォール街で名を馳せる投資家だ。「トランプ勝利はアメリカ経済にプラス」としてきたアイカーン。トランプショックに揺れた市場は、「理由も無くパニックに陥っている」と見て取った。読み通り、その後のダウ平均は過去最高値まで駆け上がった。1992年、ジョージ・ソロスと共に“ポンド売り”で『イングランド銀行』を打ち負かした“伝説の投資家”スタンレー・ドラッケンミラー(63)は、開票が進んだ同8日夜に金を全て売った。金は、株や債券等に比べて伝統的に市場の混乱に強いとされるが、トランプ勝利で「持つ意味が消えつつある」とした。

市場の潮目を変えたのは、議会選挙の結果だ。共和党が多数派を維持し、大統領と議会多数派が食い違う“捻れ”が解けた。トランプの大型減税やインフラ投資が現実味を帯びる。移民拒否等の極端な政策は、与党の共和党が議会で歯止めをかける。ウォール街は、そんないいとこ取りのシナリオに乗った。尤も、ヒラリー・クリントン(69)に巨額の献金をしたウォール街の内実は複雑だ。両党の有望な候補に目配りするのがウォール街流だが、ニューヨーク州選出の上院議員も務めたクリントンとの関係が深く、トランプの躍進を読み誤った。『ゴールドマンサックス』最高経営責任者(CEO)のロイド・ブランクファイン(62)は、選挙前にクリントン支持を示唆した1人だ。同10日には、「トランプの政策は市場に優しい」と平静を装ってみせた。民主党支持者である『JPモルガンチェース』CEOのジェイミー・ダイモン(60)も、選挙後に「変化を願うアメリカ国民の声には耳を傾けるべきだ」とした。バラク・オバマ政権は『ドッド・フランク法』を作り、金融を厳しい規制で縛った。金融危機の再発を防ぐ為だが、トランプはその撤廃を唱える。アメリカの住宅バブルを招いたとも批判される『連邦準備理事会(FRB)』元議長のアラン・グリーンスパン(90)は、同法を「悲惨な過ち」と呼んで、こう続けた。「消え去るのが楽しみだ」。ウォール街の陶酔が始まった。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年11月16日付掲載⦿
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