【トランプ大統領とアメリカ】(03) 勝ったのはプーチン

20161124 03
今月9日午前のロシア議会下院。“ドナルド・トランプ勝利”の結果が伝わると、拍手喝采が巻き起こった。有力議員は院内で130本のシャンパンを記者らに振る舞い、興奮気味に語った。「米露関係にとって歴史的な瞬間だ」。ドナルド・トランプ(70)の勝利を最も歓迎した国の1つがロシアだ。大統領のウラジミール・プーチン(64)は逸早く祝電を送り、『ロシア連邦共産党』党首のゲンナジー・ジュガーノフや『ロシア正教会』トップも一斉に祝意を表明した。首都のモスクワ近郊では、街に“トランプ通り”を造る構想まで浮上した。ロシアのウクライナやシリアへの軍事介入で、米露関係は“新冷戦”と呼ばれるまで悪化している。トランプは選挙戦で、一貫して米露の関係改善を主張した。「プーチンはオバマより優れた指導者だ」。こんな発言がロシアを喜ばせた。ロシアは、前代未聞とも言えるアメリカ大統領選への介入を疑われた。民主党のヒラリー・クリントン(69)は対露強硬を唱えた。

クリントンが党の大統領候補に正式に選ばれる直前に、民主党全国委員会がハッカーに攻撃され、機密メールが流出した。アメリカ政府は先月、「ロシア政府が指揮した」と断定した。「アメリカの政府機関のシステムを破るのは難しくない」。ロシアの元治安機関員は9月末、「国防省等複数のロシア政府組織がハッカー集団を擁している」と明かした。疑惑を尻目に、プーチンはこう言ってのけた。「誰がやったかではなく、暴かれた内容のほうが重要だ」。独立系ラジオ局が同9日に実施した世論調査では、「プーチンがトランプ勝利に一役買った」と考える国民が3割に上った。トランプ陣営の中枢も、ロシアと関係が深い人物が目立つ。「アメリカ大統領選で勝ったのはプーチン」。政権寄りの人気漫談家であるミハイル・ザドルノフは、こう断じた。アメリカと張り合うもう1つの大国・中国は複雑な思いだ。「バラク・オバマ政権のアジア重視戦略が後退し、各国と領有権を争う海域で自由度が増す」と期待する半面、保護主義への警戒感も強い。外交筋は、「暫くは様子を見るしかない」。中露首脳は今月13~14日、トランプと初めて電話協議した。中国は「中米の唯一の正しい選択は協力だ」との呼びかけに止めたが、ロシアは「米露関係の正常化と協力推進で一致した」と成果を誇った。トランプはアメリカの外交を大きく転換させるのか。大国関係は未だ見えない。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年11月17日付掲載⦿
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