【トランプUSA・識者に聞く】(06) 人種分断、危うい2大政党――久保文明氏(東京大学大学院教授)

20161124 04
今回のアメリカ大統領選は、2大政党の候補者がどちらも保護貿易主義だった。共和党は戦後、基本的には自由貿易主義的な人を候補者に指名してきたが、民主党以上に保護貿易主義的なドナルド・トランプ氏を指名した。国際秩序の観点でも変化があった。共和党は従来、「アメリカが一定の犠牲を払ってでも国際秩序を守る」という国際主義的な人を指名してきた。にも関わらず、咋に国際主義でない人、自ら孤立主義を語る人を指名したのも衝撃的だった。しかも、その人が本選で勝利した。この共和党の変化は今回だけなのか、それとも将来に残るのか、大きな懸念事項だ。共和党内では、反不法移民・反自由貿易・反国際主義の3点セットで戦った人はいなかった。一種のタブーだったからだ。そういう意味でも、共和党の長期的な変質が気がかりだ。共和党が変わると、アメリカの外交政策そのものが変わってしまうかもしれない。心配なのは、アメリカの2大政党制が益々人種の分断ラインになってしまうことだ。共和党はどんどん白人の政党になり、民主党は白人もいるが、黒人・ヒスパニック・アジア系が多い政党になる。

多民族社会で、人種や民族で分裂した2大政党制が健全と言えるだろうか。民主党はマイノリティー(人種的少数派)のほうに顔が向き過ぎている。高学歴の人たちの政党になっていて、性的少数者(LGBT)の権利擁護等には熱心だが、生活に苦しむブルーカラー(労働者層)の白人への配慮がかなり疎かになっている。その結果、ブルーカラーの白人票を大量に失った。マジョリティー(人種的多数派)である肝心の白人票を失い続けている民主党が、共和党と対抗していけるかという点も、今回の民主党敗北の中に隠されている問題だ。“トランプ外交”の方針は未だわからない。トランプ氏から、中国の軍事的脅威や南シナ海での活動への警告を聞いたことはない。トランプ氏自身の考えに基づくと、極端な場合、中国が通商上の譲歩をすれば、アメリカが見返りとして東シナ海や南シナ海に関与しないこともあり得る。取り返しのつかないことになる可能性があり、危険だ。トランプ氏は、日米安全保障条約の基礎もあまり知らない可能性がある。同盟関係とは、「どちらがお金を儲けるか?」ということではない。重要な戦略目標を共有しているからこそ同盟だ。安倍首相はトランプ氏との会談で、先ず日米がどういう戦略目標を共有しているか、しっかり認識してもらうことが大切だ。昨年整備した安全保障法制の下、日本は条件が揃えばアメリカと共に他国の攻撃を排除できることになった。アメリカが一方的に日本を守る関係では最早ない。その側面も理解してもらう必要がある。 (聞き手/編集委員 福元竜哉)


⦿読売新聞 2016年11月18日付掲載⦿
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