【トランプショック】(09) TPP前提の戦略再考――岡藤正広氏(『伊藤忠商事』社長)

20161125 02
――アメリカ大統領選の衝撃は、今も続いています。
「安倍晋三首相は、約1週間でドナルド・トランプ氏に会った。その行動力に拍手したい。日本の経済界も不満や文句を言うのではなく、日米の新しい関係を築いていくべきだ」

――トランプ氏の人柄や経歴をどう見ますか?
「圧倒的に不利な選挙戦で、厳しい状況に追い込まれながらも、最後には勝った。大したものだ。知恵や戦略に長けた人物なのだろう」
「“トランプ”関連の商標を数多く登録している。不動産業で失敗した経験を元に、自らが全てリスクを背負うスタイルから、商標を第三者のビル等に提供して利用料を稼ぐビジネスに変えている。伊藤忠商事も、衣料事業で採用している手法だ。リスクを回避するビジネスでの経験が、政治のベースになるだろう」

――経済活性化へ政策を打ち出しています。
「アメリカ経済が上振れすれば、世界経済にプラスだ。実業家出身ならではの、大胆で的を射た規制緩和を期待したい。例えば、ITと金融サービスが融合する“フィンテック”。革新的な金融技術を呼び込めれば、大きな力となる。高水準のインフラ投資は、日本からのアメリカ向け輸出拡大に繋がり、伊藤忠も『現地での発電所運営等が増えるのでは』と期待している」
「中国で歓迎されているのが目を引く。お金儲けが好きな中国人と馬が合うのだろう。習近平国家主席と誕生日が1日違いであることも、親近感を抱かせているのでは。米中関係が深まることは日中関係改善に繋がり、ビジネスが生まれる」

――日本の企業はどう動くべきでしょうか?
「期待はしているが、彼は政治経験が無い。具体的な政策は全くわからないので、じっくり様子を見たい。その後の状況の変化に、素早く的確な手を打っていく」

――アメリカの内向き志向で、グローバル企業のリスクは高まりますか?
「サプライチェーン(供給網)を見直す必要が出てくる。衣類をアメリカへ輸出しているベトナム工場を伊藤忠が拡張したのも、『環太平洋経済連携協定(TPP)でアメリカが関税を引き下げる』とみた為だ。販売先を日本等に変えることも考える」
「困惑しているのは日本の自動車産業だ。メキシコから部品・完成車を輸出している。関税引き上げがあればえらいことだ。ただ、フォードもメキシコで工場を造る。AppleのiPhoneは中国で作ることで儲けている。保護主義はアメリカにとっても打撃だ。トランプ氏も、状況を把握すれば極端な政策は出さないのではないか」 (聞き手/企業報道部 渡辺伸)


⦿日本経済新聞 2016年11月23日付掲載⦿
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