【トランプ大統領とアメリカ】(04) 「オバマの票が流れた」

20161125 03
「ガラスの天井は、いつか誰かが破るだろう」――。民主党のヒラリー・クリントン(69)は今月9日の敗北宣言で、初の女性大統領という夢を後進に託した。事実上の引退宣言に聞こえた。選挙戦で何を読み誤ったのか。大統領選の翌9日、自動車産業が集まるミシガン州デトロイト近郊。民主党の牙城だが、中産階級の住宅街はドナルド・トランプ(70)を支持するボードが彼方此方で目についた。庭のボードは候補者の勢いを映す。“クリントン支持”はトランプの1割。大接戦となり、トランプ優位のまま最終集計が続く。「1年半前から『トランプ現象は本物だ』と報告していたのに、本部は取り合わなかった。甘く見ていたんだ」。民主党の支持母体である『全米自動車労組(UAW)』の支部幹部であるウェイモン・ホールティー(44)は、こう吐き捨てた。情勢を軽視した結果として、「バラク・オバマの票が大量にトランプに流れた」。

大統領選の敗因の1つは、“身内”の造反だ。出口調査で対抗馬のトランプに投票した民主党員は9%に上った。クリントンに投じた共和党員は7%。“暴言王”のトランプを嫌った共和党員より、“クリントン嫌い”の民主党員が多かった。「多くの人々が、『民主党は白人労働者の味方ではない』と感じている」。クリントンと党候補の指名を争った上院議員のバーニー・サンダース(75)は同14日、こう語った。傷を負った民主党内からは、不協和音も聞こえる。クリントン側近で党全国委員会の委員長臨時代理であるダナ・ブラジル(56)は、同10日の会合で敗北を総括し、再起を呼びかけた。ある男性スタッフが、公然と異を唱えた。「貴女は欠陥のある候補を支持した。信頼できない」。返事も聞かずに、男性は立ち去った。「頷いていた人も多かった」と別のスタッフは語った。4年後の大統領選でトランプに対抗できるのか。若者に支持されるサンダースは高齢だ。大統領夫人であるミシェル・オバマ(52)の待望論もあるが、本人は「もう十分」。オバマが大統領に就いた2009年から、次の本命をクリントンと見做し、後進の育成を怠ったツケが響いている。クリントンは同10日、夫と愛犬を連れ、山歩きに出かけた。穏やかに歩いていたというクリントンは、今の民主党に何を思うのか。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年11月18日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 国際ニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR