【トランプ大統領とアメリカ】(05) 「話が違うじゃないか」

20161125 04
「大変温かい雰囲気で会談できた」――。首相の安倍晋三(62)は今月17日夕(日本時間昨日朝)、ドナルド・トランプ(70)と笑顔で写真に納まった。元々、安倍は同19日からペルーで開かれる『アジア太平洋経済協力会議(APEC)』首脳会議の前にニューヨークに立ち寄り、次期大統領との会談を狙っていた。唯一、且つ大きな誤算は、その相手をヒラリー・クリントン(69)とみていたことだ。何故か。「クリントン勝利の流れは変わりません」。外務省は、こう報告し続けていた。同9日夕の首相官邸。安倍は、トランプ勝利を報告しに来た外務省幹部に、「話が違うじゃないか。兎に角、早く電話で話したい」と苛立った。その場に外務次官の杉山晋輔(63)はいなかった。今年9月の安倍の訪米時。外務省はクリントンとの会談だけを設定。安倍は、「トランプ側にも仁義を切ったほうが良いんじゃないか?」と漏らす。

そこで外務省は、トランプの経済顧問であるウィルバー・ロス(78)との面会も決めたが、クリントンの反応を気にして会談は秘密にした。「『クリントンが勝つ』と決めつけないほうが良い。保険を掛けよう」。こう主張していたのは、駐米大使の佐々江賢一郎(65)だ。公使の岡野正敬(52)らにトランプ人脈開拓を指示していた。投開票日の数日前には、トランプに近い関係者に外務省側から「勝利した時には安倍首相から電話したい」と打診。政府高官によると、トランプ側は「『祝いたい』と電話してきた国は初めてだ」と喜んだという。安倍が同9日夕に“電話協議”を指示したことを受け、外務省は佐々江らの面会記録等を基に、トランプ人脈に片っ端から当たり、どうにか同10日朝の安倍・トランプの電話に漕ぎつけた。首相周辺は、「投開票数日前の打診が効いた」とも話す。「予想していた訳では必ずしもない」。同9日午後、財務官の浅川雅嗣(58)は、トランプ優勢の報にそう漏らした。浅川も、クリントン政権なら財務長官候補とされる人物と親交があった。だが、トランプ側とのパイプはほぼゼロ。同16日にニューヨーク入りし、人脈作りを始めている。「大統領がトランプさんなら、それはそれでいいじゃないか。やれることを考えよう」。同11日夜。安倍は与党幹部を前に、自分自身に言い聞かせるような口調で語った。 《敬称略》 =おわり

               ◇

吉野直也・古川英治・大塚節雄・川合智之・島田学・永井央紀・兼松雄一郎・山下晃が担当しました。


⦿日本経済新聞 2016年11月19日付掲載⦿
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