【警察の実力2016】(19) 退職後も世話し忠誠誓わせる“天下り先”102社全公開!

「世話してもらったから何も話せない」――。ある警察OBは、本誌記者の取材にこう答えた。優良企業への再就職を紹介されていたからだ。こうした“天下り”の世話には、隠された狙いがあった。

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『東京メトロ』麹町駅から5分程度歩いた千代田区平河町にある『平河町共済ビル』。そのワンフロアに、『たいよう共済』という会社が入居している。主な業務は、損害保険の代理店な業務。会員を集めて保険会社に取り次ぎ、団体割引の適用を受けて、会員の納める保険料を安くするといった内容だ。だが、一般人は加入できない。加入対象が、特定の組織に所属している人に限定されているからだ。その組織とは警察。警察官とその家族しか入れないのである。こうした営利事業は、警察本体で扱うことができない為、1977年に株式会社として設立。当時、学園紛争が頻発していたことを受けて、保険加入希望者が急増したものの、薄給だった為に入ることができなかった。そこで、「希望者を集めて団体にし、割安にしよう」という狙いがあった。社長以下幹部は、何れも都道府県警察本部の本部長を務めていたような幹部ばかり。それもその筈。たいよう共済の幹部自らが「我々は警察組織の1つ」と語るように、警察官の再就職を大量に受け入れているからだ。右表をご覧頂きたい。これは、内閣官房が発表している『国家公務員の再就職状況の報告』の内、警察官をピックアップ(警視正以上は国家公務員扱いになる都道府県警の警察官も含む)し、昨年3月31日までの5年分を集計したものだ。これを見れば明らかな通り、たいよう共済は52人と群を抜いている。「社員300人の内、3分の2は警察OB。幹部だけでなく、警部補クラスまでを採用している。残りの社員は、殉職したり、怪我をして働けなくなったりした警察官の配偶者や子弟」(たいよう共済)だといい、「退職した警察官の“受け皿”的な意味も持つ会社」(ある県警の幹部)と言える。待遇は、現役時代の8割程度。しかし、保険業務を一から勉強しなければならない上に、署長経験者でも平の社員となり、嘗ての部下や後輩に頭を下げて営業する仕事は「意外に辛い」(たいよう共済)という。

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再就職先のランキングを見てみると、たいよう共済のみならず、『自動車安全運転センター』・『警察職員生活協同組合』・『日本道路交通情報センター』等、警察に関連の深い団体や財団等に再就職しているケースが目立つ。一方で、民間企業へ再就職する人も少なくない。業種別で見ると、最も多いのは銀行を始めとする金融業で、実に100人に上る。次いで保険業、そして旅客鉄道業・建設業・不動産業と続く(左図参照)。ある銀行の幹部は、金融業が多い理由について、「銀行にとって、暴力団や総会屋といった反社会的勢力の排除は必須。しかし、それでも現場ではトラブルが発生する。そうした際に対応してもらったり、知り合いの現役警察官に連絡してもらったりといった。“用心棒”的な役割を期待して引き受けている銀行が多い」と明かす。こうした事情は、生命保険会社・損害保険会社・証券会社といった金融系の業界でも同じだ。例えば、損害保険会社のある担当者は、「抑々、反社会的勢力の契約は引き受けないが、事故の相手は選べない。過去、事故の相手から担当者が威圧されるケースもあった。その為、危ないケースでは警察OBに面談同行等の対応をしてもらっている」と言う。待遇については、年収べースで700万~800万円程度といった厚遇を提供する企業も一部にはあるものの、500万円前後の企業が多い。勤務時間は、「9時に出て17時に帰る。やることを探すのが大変」(銀行に再就職した警察OB)といった企業がある一方で、「現場ではトラブルが多く、1日中飛び回っている」(保険会社に再就職した警察OB)といった企業もある等、再就職先によって大きく違うようだ。では、どんな企業に再就職しているのか、具体的に見てみよう。民間企業で最いのは『東日本旅客鉄道(JR東日本)』で17人。エリア内の各都道府県に嘱託社員という形で配属している。「駅や車内における安全確保に関する指導や助言を行ってもらうと共に、人身事故や犯罪発生の際に警察と連携する業務を担ってもらっている」(JR東日本)という。次いで多いのは、『野村證券』の11人。“参与”という肩書きの嘱託社員として、「支店等の警備、及び安全対策強化の観点等から働いて頂いている」(野村證券)としている。10人だった『あいおいニッセイ同和損害保険』は、事故や保険金支払時等のトラブル対応に加え、現役時代の知見を生かして、交通事故を防止する為の研修会や、勉強会の講師も務めてもらっているという。

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とはいえ、こうした大手企業に再就職できるのは、階級が高いOB等といったほんの一握りの話。地方警察の現場の警察官たちは、少々事情が違うようだ。「給料が良い、体面が保てるネームバリューがある、給料はそこまででもないが現役時代同様に振る舞える…といった就職先が人気だが、現役時代に上手く立ち回り、組織や上司の覚えめでたい人しか入れない」(関西の県警に所属する刑事)という。そうしたことができない警察官は、「頭を下げずに済み、ぶっきらぼうでもやっていけて、時間が9~17時等と定められている仕事を狙う」(別の県警所属の刑事)といい、高速道路の料金所職員・警備員・スーパーマーケットの私服巡回員等の職に就くという。とはいえ、民間であれば自分で再就職先を探さなくてはならないが、警察官の場合は「県警の人事課が紹介してくれるケースの他、先に再就職した元上司が引っ張ってくれるケースもある」(同)といい、恵まれている。ピークこそ過ぎたものの、それでも未だ地方警察官だけで毎年1万人前後が退職しており、都道府県警の人事課にとって、再就職先の開拓は大きな仕事だ。「大手企業に有力OBが再就職すれば、それに紐付く形で数人の警察官を受け入れてもらえる。だから、必死で民間企業に打診している」(警視庁幹部)という。「警察の仕事は、時に命を懸けなければならないほど大変。退職後の面倒は勿論、自分の身に万が一のことがあっても、遺族の面倒を見てくれるという安心感は大きく、組織に忠誠を誓わなければならないと思う」(警視庁所属の巡査部長)。警察がここまで面倒を見るのは、警察官たちの士気向上を図ると共に、組織への忠誠心を高める狙いもあるのだ。


キャプチャ  2016年7月30日号掲載

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