【Jazzyの裁判傍聴ライフ】(18) 「私を殺して!」…嘱託殺人の実態

“殺人罪”とは、故意に人の生命を奪う行為で、厳しく処罰される犯罪です(因みに、過失の場合は“過失致死罪”)。しかし、若しも相手に「殺してほしい」と頼まれたら…。

■生活苦に耐えられない!
妻(60代)は、夫(60代)が経営する会社の運営が厳しいことに悩み、苦しんでいました。ある日、妻は夫に「殺してほしい」と依頼。夫は「もうちょっと頑張っていこうよ」等と励ましましたが、妻の意志は固く、夫は車の中で妻の首を絞めて殺害を遂げました。そして、夫は“嘱託殺人罪”で逮捕。夫は借金を抱えていたものの、自らが置かれている切迫した状況を認識しておらず、思い悩む妻の気持ちを理解していなかったようです。裁判所は「被害者の翻意を強く促すことをしなかった。短絡的犯行で刑事責任は重い」とし、夫を懲役2年6ヵ月の実刑に処しました。
■元カノと一緒に死のう
40代前半の男は、職場で知り合った20歳近く年下の女性と交際し、同棲。しかし、別れることになり、女性は家を出ました。暫くして再び連絡を取り合うようになり、女性は「全てが嫌になった」等と男に相談をしていました。実は、女性はこの頃、情緒不安定で、精神科に通院していたのです。事件の前日、女性から電話で「殺してほしい」と依頼され、男は説得しようと翌日、彼女に会うことにしました。落ち合った2人はホテルに入り、話し合いました。死にたい理由は明確ではありませんでしたが、結局、男は彼女の望みを叶えようと決意。ベッドの上で首を絞めて殺害したのです。その後、男は自殺を試みましたが、死に切れず自首。“嘱託殺人”の罪で逮捕となりました。被害女性の母親は法廷で、「頼まれたからとはいえ、人の命を奪う権利は無い。娘の命は貴男のものではありません!」と涙ながらに声を荒らげました。そして迎えた判決公判…。裁判所は「他の選択肢を検討することもなく、安易に被害者に同調して犯行に及んだ。その経緯に酌むべき点は無く、刑事責任は同種事案の中でも重い」とし、男を懲役2年6ヵ月の実刑に処しました(求刑懲役5年)。本人の同意を得て殺害する“同意殺人”には、今回挙げた“嘱託殺人”の他に、“承諾殺人”と呼ばれるものもあります。これは心中等、相手に「殺していいか?」と確認し、承諾を得て殺害する行為です。何れも“殺人罪”よりも軽い法定刑が定められていますが、当然ながら遺族らの悲しみは深く、その処罰感情は決して軽いものではありません。一方、重篤な病気を患っている家族の介護を続けていく中で安楽死を求められたり、「殺してほしい」と懇願されて犯行に及ぶケースでは、その事情を考慮して執行猶予が付く場合があるようです。「大切な人の苦しむ姿を、これ以上見たくない。楽にしてあげたい」と思う気持ちはわからなくもないです。しかし、「一緒に生きて、苦しみを分け合う」という選択肢もあると思います。どんな殺人事件でもそうですが、特に同意殺人は「他の解決方法が無かったのか?」と考えさせられ、聞いていてとても辛くなります。若し、家族や恋人に「殺して」と頼まれたら…皆さんはどうしますか?


キャプチャ  2016年12月5日号掲載
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