【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(24) 検問所の兵士に教わった“アルカイダ”という名の街

フリー、フェア、グローバルな金融市場を目的として実施された制度改革、日本版金融ビッグバン。市場は流動性を取り戻し、暴力団の海外資本取引も活発化してきた2004年頃、その当時の物語である。「必ずや大きなシノギになる」と、石油を求めてマレーシアからオマーン経由でイエメン国境までたどり着いた筆者は、検問所の兵士の口から“アルカイダ”という言葉を聞き、自分の向かう場所がそこであることを初めて知った。正しくは“アルガイダ(AL-GHAYDAH)”。国境から西へ約70マイル先にある街の名前だった。テロリスト集団の『AL-QAEDE』とは綴りが違っていた。中東の人名や地名に付く“AL”とは定冠詞で、英語の“THE”に当たる。アルカイダと聞いて9.11テロを連想し、「自分はとんでもない世界へ入り込むのではないか?」と思っていたが、只の地名と知って少し安心した。「お前は何故、髭を生やさないんだ? ここでは、髭の無い男はホモと間違われるぞ」。検問所で思わぬ物言いがついた。「中東では大人の男が髭を生やすのが当たり前」という話は聞いていたが、筆者は髭が大嫌いだし、抑々薄くて生え揃わない。検問所では、入国審査というほどの手続きも無く、アラビア語で書かれた入国許可証に、スタンプと係官のサインがある紙切れ1枚を渡されただけだった。首都・サナアの空港なら厳しい入国管理が行われるのであろうが、ここは政府機能よりも、部族による自治が優先されるような所だ。だから、パスポートに押すスタンプさえない。ランドクルーザーの通関には2時間近くの時間を要し、イエメンの国境を無事通過することができた。走り去る筆者たちの車に、ずっと手を振り続けている髭の男の姿がバックミラーに映っていた。

イエメンは土色と灰色の国だった。砂漠とばかり思っていたが、左手には海が見え、右側には山も見える。道路は土挨で、地面とアスファルトの区別がつかない。途中、給油の為に立ち寄った集落は、煉瓦と剥き出しの土壁で出来た建物が並んでいた。商店らしき店には、年老いた男性が腹巻に短剣を差して腰掛けている。筆者は車を降りて、店内に入った。最初に目に入ったのは、天井から吊るされた10丁ほどの自動小銃だった。カラシニコフ、AK47だ。安価で殺傷能力が高く、世界中のテロリストから愛されている銃である。老人は頼みもしないのに、吊るされた中から1丁を取り、筆者の手に持たせた。使い込まれた木製の銃床の裏には、金槌のような刻印があった。どうやら正規品ではなく、東欧辺りのライセンス製品であるらしい。60年以上前に製造された自動小銃が、今も世界中のテロリストに愛用されているのは驚きだ。そういえば以前、ミャンマーへ行った時、旧日本軍の38式歩兵銃が使われていたのを見たことがあった。こちらは100年前の銃だ。AK47の本体価格は100ドル、マガジン入りの銃弾30発が100ドル。日本なら38口径の拳銃が8000ドル(約88万円)はするから、格安と言えるだろう。しかし、日本の暴力団が多数の敵と市街戦を繰り広げる想定は無いので、需要は期待できない。山一抗争の時、竹中組の竹中正相談役(故人)がハワイでロケット砲を買おうとして、『アメリカ連邦麻薬取締局(DEA)』に逮捕されたことがあった。当時は最も暴力団が過激で、武装化の進んだ時代だった。イエメンでは、辺鄙な村の商店で、日用品と共に自動小銃が売られている。それほど危険な場所であるということだ。オイルビジネスの中核に近付けば近付くほど、暴力の匂いは濃くなる。この先が思いやられるのだった。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年11月29日号掲載
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