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【輝け!世界の日本人】(01) サウジ女性、五輪へ導く

海外で暮らす邦人が増えている。最新の外務省統計で、139万人を超えるまでになった。「日本人は内向きになった」と言われる中、世界を志向し、そこに根を張る理由は何か。離れて見る母国に何を思うのか。海外で活躍する日本人たちを訪ねた。

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流れる空気は違っても、高田知穂さん(28、左画像左)には白い柔道着がよく似合う。身長1m50㎝の小柄な身が負う期待は重い。昨年末、高田さんはサウジアラビアの首都・リヤドの体育館にいた。頭を覆うヘジャブを被った女子選手たちに、鋭い視線を送る。「もっと相手を引き寄せて」。柔道歴1年半のラニーム・アブハルベシさん(20)に、片言の英語でアドバイスした。サウジアラビアは、2020年東京五輪で女子柔道に特別枠を得て、1人の派遣を目指している。アブハルベシさんは63㎏級での出場を狙う。「もっと技を習得して強くなり、やればできることを示したい」と意気込む。厳格なイスラム教に基づくサウジアラビアでは、女性の運転や、女性だけでの旅行が長年禁じられる等してきたが、少しずつ緩和が進む。「肌の露出が好ましくない」としてタブー視されてきた女性のスポーツ参加も、政府が後押しするようになり、高田さんはサウジアラビア側の要請を受け、『全日本柔道連盟』から派遣された。熊本県八代市で生まれ育った高田さんは、6歳で柔道を始め、学生時代に全国大会でベスト8進出を重ねた。山梨県の大学を卒業後、自衛隊体育学校へと進み、五輪出場を目指したが、壁は厚く、2018年4月に海上自衛隊へ。柔道への思いは断ち切れず、海外で指導者となることを目指して、昨年3月に自衛隊を退職した。リヤドの空港に降り立ったのは6月だった。

日本から飛行機を乗り継いで22時間。てっきり宿舎に向かうと思っていたが、出迎えた『サウジ柔道連盟』の関係者が直行したのは服飾店だった。女性が体形を隠す為に着る黒い衣装『アバヤ』を買わされた。この約4ヵ月後まで、アバヤの着用は外国人の女性にも義務付けられていた。レストランへ行っても、入り口からテーブルまで男女で隔てられている。女性の席は人目につかないようになっていた。「何故、こんな閉ざされた所で食べなければいけないの?」。息苦しさを感じることも多かった。週5日の教室で教えるのは、中学生から社会人までの計約100人。「体を動かしたい」「護身術を学びたい」。そんな動機で通ってくるが、遅刻する生徒が多く、練習の合間も私語が絶えない。自衛隊の厳しい規律を経験した身としては、緩い練習態度が信じられなかった。アラビア語で「ヤッラ、ヤッラ(早く、早く)」と毎日のように叱った。ある時、生徒たちの運動能力を試そうと側転をさせてみた。すると、1人が着地に失敗した。生徒たちに話を聞くと、公立学校では2017年まで、女子には体育の授業がなかった。「皆、本格的に柔道に挑戦したいと思っているけど、体がついていかない」と打ち明けられた。それからは、「先ずはスポーツの楽しさを感じてほしい」と気持ちを切り替え、接するようにした。生徒たちは最近、インターネットで見つけた柔道の動画を持ってきて、「先生、この技を教えて」と言ってくる。昨年11月、高田さんは2人の選手を率い、指導者として初めてオーストラリアでの国際大会に挑んだ。しかし、1人は初戦の相手がイスラエル選手となり、やむなく棄権した。国際政治の舞台では、サウジアラビアとイスラエルは敵対関係にある為、対戦を避ける慣例に従った為だ。もう1人も、アメリカの選手に試合開始直後、体落としを決められた。宿舎に戻ると、電話が鳴った。早々に敗れた選手からだった。「先生、何をしていますか? 練習したいです」。夕日の浜辺で、技を仕掛けるタイミングをみっちり2時間、教えた。東京五輪出場が実現すれば、サウジアラビアの女子選手の参加は2012年ロンドン大会から3大会連続となるが、サウジアラビア社会には保守的な考えが根強く残る。親の反対や観客の前での試合が受け入れられず、辞退する女性たちもいる。「批判がある中、意思を貫いて五輪の舞台に立つことを大事にしている選手の力になりたい」と高田さんは思う。彼女たちの活躍が、サウジアラビア女性の社会進出に繋がる――と信じて。 (上地洋実、写真も)


キャプチャ  2020年1月4日付掲載
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