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【輝け!世界の日本人】(05) カイロから、バレエの挑戦

20200212 02
夢を追って海を渡った女性たちがいる。遠い異国の暮らしは楽ではないが、ステージで舞う彼女たちの表情は明るい。ナイル川の畔に立つカイロのオペラハウス。日本の支援で、1988年に造られた。昨年12月29日、ここでエジプト国立のバレエ団の公演があった。演目は年末恒例の『くるみ割り人形』。少女クララがクリスマスイブの夜に見た夢を表現した、チャイコフスキーによる名作だ。松本さつきさん(22、左画像中央)は愛くるしい動作で、少女時代のクララを熱演した。バレエとの出会いは2歳の時だった。生まれ育った埼玉県加須市のバレエ教室を見学、3歳から通い始めた。中学卒業後はウクライナに渡り、技を磨いた。1m50㎝の身長は、バレリーナとしては小柄だったが、国立バレエ団のオーディションに合格した。「必要とされている場で踊りたい」と意を決し、2015年にウクライナからエジプトに直接やって来た。背が低い為に、「鼠が動いているみたいだ」と評されたこともある。だから踊る時は、「人よりも高くジャンプし、ダイナミックに見せる」ことを心がける。今では準主役を任されるようになり、エジプトに来たことに満足している。「もっともっと上を目指したい」と語る。国立バレエ団は1966年の創設だ。現在、65人が在籍する。この内、10人が日本人だ。彼女たちの存在感は大きい。

羽田愛美さん(23)は、昨年1月にメキシコであった国際コンクールで入賞し、スカウトされて入団した。故障を経験している膝が「激しい踊りに、いつまで耐えられるかわからない」と時々、不安になるが、舞台に立つとそんなことを忘れ、夢中で踊る。石森葉月さん(26)は2年半前まで、東京都内の小学校で栄養士として働いていた。インターネット上でオーディションがあることを知って、プロへの夢が再燃した。「今、自分が踊れているなんて信じられない」と話す。プロとはいえ、エジプトの公務員でもある団員の給与は、新人の場合300ドル(※約3万2000円)程度。奥田美瑠さん(21)と根岸美凪さん(19)は節約の為、カイロ近郊のギザにアパートを借り、2人で暮らしている。「仕送りに頼らないよう、家計簿をつけてやり繰りしている」と奥田さん。オペラハウスまで地下鉄2駅の距離を、45分かけて歩いて通う。日本で6つのアルバイトを掛け持ちして作った貯金を切り崩しながらの暮らしは、楽ではない。でも、仲間と一緒だからこそ、乗り越えられる。2人はいつも、キッチンに並んで料理をし、映画にも出掛ける。フランスにバレエ留学の経験もある根岸さんも、「あの時は一人で寂しくて、日本に帰りたくなったが、今は何でも話せる友人がいて、バレエに打ち込めている」と楽しそうだ。夢を追う彼女たちにとって、エジプトは通過点でもあり、終着点でもある。彦坂柚さん(21)が目指すのは、イギリスのバレエ団入りだ。「印象的な踊りができるように、ここで技術を磨き、将来の選択肢が増えるようにしたい」と言う。一つの区切りを迎えようとしているのが恒吉杏奈さん(27)だ。今春、バレエ団を引退し、母親が地元の大阪府寝屋川市で開くバレエ教室で、講師として新たな一歩を踏み出す。少子化が進む日本での教室経営は難しいと思うが、「丁寧な指導で、バレエの技術だけでなく、生徒のマナーや心も成長させられるようにしたい」と思い描く。自分の挑戦を伝え、世界に羽ばたいていく後輩の育成に力を入れるつもりだ。彼女たちの人生は、未だ始まったばかりだ。 (上地洋実、写真も) =おわり


キャプチャ  2020年1月10日付掲載
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Author:George Clooney

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