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【アメリカ大統領選2020】第3部・消えない格差(下) 医療費高騰「払えない」

20200214 10
格差是正を前面に掲げる急進左派に支持が集まる要因の一つに、医療を巡る格差の広がりがある。「私の身に起きたことは、私だけでなく、誰にでも起きる。公的な国民皆保険が必要なんです」。今月9日夜、ボストン郊外の図書館の一室で開かれた勉強会で、1児の母、レベッカ・ウッドさん(40)が地元住民ら約50人に訴えた。ウッドさんは2012年、長女のチャーリーさん(7)を未熟児で出産した。子供や低所得者が対象の公的保険『メディケイド』が適用されたが、それでも診察代等の自己負担額は毎月1000ドル(※約11万円)超に上った。ウッドさん自身も喘息を患っていたが、「夫の会社が提供する民間保険では高い薬代を支払えず、自分の病気はいつも我慢していた」と振り返る。ウッドさんの歯に罅が入り、口に炎症が起きたのは4年前だった。医師は早期の治療を勧めたが、費用は8000ドル(※約88万円)と言われ、放置した。数日後、急に顔が腫れて息が吸えなくなり、病院に緊急搬送された。結局、全ての歯を抜く手術を受けた。「何故、民間の保険に入っても医療費が高いのか。政治家も一般人も同じように使える医療保険が必要ではないか」。ウッドさんは公的な国民皆保険の実現を目指すNPOに参加し、自らの経験を発信するようになった。

アメリカには全国民をカバーする公的な健康保険制度が無く、無保険者は約2700万人(※2018年)に上る。『カイザー家族財団』の昨年の調査によると、民間保険の適用対象となるには1人あたり1655ドル(※約18万円)の自己負担が必要で、その額は10年前の2倍に増えた。医療技術の向上による費用の高騰が主な要因だ。世界最高水準と言われるアメリカの医療が、国民の家計を苦しめている。病院が医療費の不払いで、患者を訴えるケースも増えている。昨年7月、テネシー州ノートンに住むアマンダ・スタージルさん(41)は、自宅を訪れた保安官にこう告げられた。「貴女は病院から訴訟を起こされた」。きっかけは、2017年12月に椎間板の病気に苦しむ次女(18)が受けた背中の手術だった。勤務先から提供された民間保険が適用されたが、自己負担分は約2100ドル(※約23万円)に上った。病院に毎月150ドル(※約1万6000円)を分割で支払う予定だったが、離婚協議中の夫から金銭援助はなく、4人の子供の生活費を工面するのがやっとだった。フリーマーケットで日用品や思い出の指輪まで売ったが、病院への支払いは度々遅れた。病院が勝訴すれば給与差し押さえの可能性もある。スタージルさんは、こう語る。「人々が救われる筈の医療によって、何故ここまで苦しめられるのか。何かが間違っているとしか思えない」。大統領選では、エリザベス・ウォーレン上院議員(70)ら民主党の急進左派が、公的な国民皆保険制度の導入を訴えているが、警戒感も根強い。昨年10月にカイザー家族財団が行なった調査では、導入に賛成が51%、反対が47%で、賛否が真っ二つに分かれた。反対の最大の理由は、実現に巨額の費用がかかることだ。ウォーレン氏の公約では、皆保険の導入には10年間で20.5兆ドル(※約2200兆円)の財源が必要になる。共和党支持者は、皆保険制度の導入は政府による個人の自由への干渉と受け止める人が多い。民主党内でも、皆保険ではなく、民間保険加入を補助するオバマケアの拡充で対処すべきだという声が根強く、今も議論が続いている。

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(ワシントン支局)横堀裕也・山内竜介・船越翔/(ニューヨーク支局)村山誠が担当しました。


キャプチャ  2020年1月23日付掲載
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