【霞が関2016秋】(18) 政府税調、所得税改革で問われる存在意義

政府税制調査会は今日、配偶者控除の見直し案を含む所得税改革の提言を正式に纏めた。中里実会長(東京大学教授)は、同日の会議後の記者会見で「一定の成果があった」と強調したが、目新しい内容は、パート主婦の減税枠拡大を“一案”として盛り込んだぐらい。政治主導で検討が進むパート主婦減税を追認するだけに止まった。所得税改革の推進役としての役割が期待された政府税調に停滞感が漂う。政府税調は昨年11月、所得税の抜本改革案を盛り込んだ中間整理を纏めた。今年の議論が始まった9月初めは、中間整理に沿って具体化していく機運が盛り上がった。だが、今回纏めた提言の内容は、中間整理と然程変わらない。9月から議論を重ねてきたが、新しい部分は「配偶者の収入制限である103万円を引き上げることも一案」として、パート主婦減税の拡大を容認した部分だけだ。「抜本改革の掛け声の下で委員就任を受けたのに、実際はどんどん萎んでいる」。一部の委員は、こう零す。

政府税調の議論が停滞したのは、政府・与党が先月初旬、共働き世帯等にも減税を適用する“夫婦控除”創設の先送りを固めた時期と重なる。配偶者控除を廃止して、夫婦控除を創設すると共に、中低所得者に減税の恩恵が大きい税額控除も導入する――。更に、基礎控除・扶養控除・給与所得控除等の抜本改革に踏み込んでいく。政府税調の昨年の中間整理案は、こうした抜本改革の道筋を示したものだったが、首相官邸が専業主婦世帯の反発を恐れて、早々と夫婦控除案は見送りが固まった。今月9日の提言取り纏めに向けた委員の非公式会合。「“103万円を引き上げるのも一案”という記述は承服できない」。廃止を前提に抜本改革の道筋を描いていた一部委員から、反発の声がでた。今日の会議では、委員の1人である『連合』の神津里季生会長が、「(配偶者控除という)一部の制度の議論ではなく、所得再分配を進めるべく、税体系を見直す議論を早期に開始すべきだ」と訴えた。このような発言の裏には、「税制のあるべき姿を描く専門家集団と言われた政府税調の存在意義が揺らいでいる」との懸念がある。 (飛田臨太郎)


⦿日本経済新聞電子版 2016年11月14日付掲載⦿
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