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【英EU離脱】第2部・欧州の針路(02) 自国通貨、“危機”の防波堤

20200219 06
紳士靴8ユーロ(※約1000円)、婦人用コート10ユーロ(※約1200円)――。2008年にセルビアから独立を宣言した欧州の最貧国、コソボ。首都のプリシュティナにある商店街では、商品の値段は全てユーロで表示されている。人口約190万人のコソボは、行政運営から治安維持まで、ほぼ全ての政府業務をEUが支える。独自の通貨はない。ユーロを発行する『欧州中央銀行』が、流通を黙認しているのが実情だ。コソボはセルビアの自治州だったが、1990年代以降、民族対立が深まり、セルビア通貨の流通を止めた。それに代わり、ドイツの承認を得ずにドイツマルクを使い始めた。ドイツが2002年、ユーロの一般流通を始めたことで、コソボも同じ通貨圏に入った。スケンデル・ヒセニ元外務大臣は、「我々は西欧の一員なのだというメッセージを世界に送る為だった」と、マルクやユーロに込めた政治的な思惑を説明する。通貨発行は、国家の主権の根幹をなす。1999年に誕生した欧州単一通貨『ユーロ』を導入することは、経済がEU諸国と一体化することを意味する。

ユーロは、欧州各国の統合を進める上で、最も強力な手段の一つとなってきた。一方、イギリスは自国通貨のポンドを維持している。EU全体で見ると、ユーロを使うのは、加盟28ヵ国(※イギリスを含む)の中で19ヵ国にとどまる。リトアニアが2015年に導入して以降、新たにユーロを採用した国はない。2004年にEUに加わったハンガリーでは、現在も独自通貨のフォリントが使われている。司法やメディアへの規制を強め、EUとの対立姿勢が目立つオルバン・ヴィクトル首相は、「ユーロの将来は不安で、導入時期の目標は定のない」と述べている。財政赤字をGDP比で3%以内に抑える等、ユーロ導入に必要な条件をクリアすることはできるが、「意図的に満たしていない」のだと主張する。ユーロを一度導入すれば、二度とEUから出られないのではないか――。そう した懸念が浮かび上がる。一部の野党は2017年、「民主主義を含む欧州の価値体系に参加しよう」と訴え、ユーロ導入に向けて国民投票を行なうよう政府に求める運動を展開した。EUの2019年の調査で、ハンガリーでは66%がユーロ導入を支持した。運動を率いた一人、ペーテル・アーコシュ・ボド元産業貿易相は、「政府は主権の維持に固執し、より強い統合に繋がるユーロを導入したくないのだ」と語る。EU加盟国のチェコやポーランドも独自通貨を手放さない。両国とも、自動車関連の輸出等が経済を引っ張り、成長が続く。通貨の信用が相対的に高い為、ユーロ導入の機運は高まっていない。EU加盟国には、ギリシャの財政危機をきっかけに、2010年初めから山火事のように欧州に広がったユーロ危機の記憶が生々しく残っている。ユーロの通貨としての信認は大きく揺らぎ、収束までに約3年を要した。EU内ではギリシャやイタリア等の財政健全化が遅れており、ユーロに信用不安の火種が消えたわけではない。独自通貨を続けることは、ユーロの危機から自国を守る防波堤になる。そうした信念が、単一通貨の拡大を足踏みさせている。ユーロを採用せず、経済統合を避けてきた英国は、EUを抜ける。中東欧諸国の将来にとって、イギリスの離脱が“歴史の教科書”となる日が来るのだろうか。


キャプチャ  2020年1月30日付掲載
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