【衝撃トランポノミクス】(上) 高関税、世界が縮む

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任するまで2ヵ月を切った。公職経験ゼロの実業家が掲げる経済政策“トランポノミクス”に、世界中で不安と期待が渦巻く。影響と課題を検証する。

20161201 02
「トランプ氏に、我々は新たな関係を迫られている」(メキシコのエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領)――。ペルーのリマで一昨日閉幕した『アジア太平洋経済協力会議(APEC)』。21ヵ国・地域の首脳らが参加した一連の会合で、“主役”は約6000km離れたニューヨークにいる不動産王だった。『環太平洋経済連携協定(TPP)』から離脱・メキシコ、カナダとアメリカによる『北米自由貿易協定(NAFTA)』の再交渉・中国製品へ45%の高関税…。トランプ氏は大統領選中、自国産業を優遇する保護主義的な通商政策を訴えた。世界最大の経済国で実施されれば、各国も余波を免れない。「トランプ氏はどうだったのか?」。APEC会期中、日本政府の出席者は質問攻めにあった。安倍首相が直前にトランプ氏と会談した為で、各国は情報収集に必死だった。トランプ氏の考えの根底にあるのは“アメリカ第一”だ。保護主義的な主張は、支持層である白人労働者の“雇用を守る”ことにある。白人の低所得層には、「アメリカ企業が賃金の安いメキシコや中国に工場を移転し、自分たちの仕事が奪われた」と不満を持つ人が少なくない。「TPPは、そうした産業空洞化に拍車をかける」と見る向きが多い。

「外国製品への関税を高くすれば、アメリカ国内に生産拠点が戻る」との期待もある。大統領の通商権限は強い。NAFTA離脱や特定の輸入品への関税引き上げは、議会の承認無しでも可能だ。トランプ氏への警戒感が広がっている。『日産自動車』は、ワシントンにいるロビイストを増員することにした。トランプ新政権との人脈作りが最優先課題だ。日産等といった日系自動車大手4社は、NAFTAのおかげで、メキシコから関税のかからないアメリカ向けに年間約56万台輸出している。アメリカがNAFTAから脱退すれば、アメリカ向けの関税が復活する為、戦略の練り直しを余儀なくされる。中国共産党系のメディア『環球時報』は今月14日、トランプ氏の高関税政策に対し、「損には損で応じる。中国でアメリカの自動車が大打撃を受け、Appleのスマートフォンが排除される」との記事を配信。中国政府の報復を示唆した。アメリカの『ピーターソン国際経済研究所』は、「(選挙中に主張した通商政策を実施に移せば)アメリカ経済は不況に陥り、数百万人の雇用が失われる」と予測する。高関税の応酬は貿易を縮小し、不況を各国に広げる可能性がある。トランプ氏の勝利後、アメリカのスポーツシューズ大手『ニューバランス』が製造したスニーカーが燃やされる抗議運動が相次いだ。“アメリカ製”を売りにする同社は、“ベトナム製”等への関税を下げるTPPに反対する。同社幹部が「トランプ氏となら正しい方向に進める」と米紙にコメントしたことが反発を招いた。アメリカの世論も一枚岩ではない。トランプ氏は当選後、貿易分野で発言を控えている。次期副大統領に就任予定のマイク・ペンス氏は、自由貿易の推進派だ。バラク・オバマ大統領は、初当選となる2008年の選挙で、NAFTAの再交渉や、前政権が韓国と合意した『自由貿易協定(FTA)』の反対を訴えたが、就任後は自由貿易の推進に舵を切り、米韓FTAを批准した。そのオバマ氏は、APEC首脳会合後の記者会見で、トランプ氏について期待を込めて語った。「一部の問題は、現実に合わせて取り組み方を修正せざるを得ない」。


⦿読売新聞 2016年11月22日付掲載⦿
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