【歪んだ外国人実習】(01) 「外泊は強制帰国」…事前に“合意書”、恋愛禁止も

外国人技能実習生の保護強化と制度拡大を図る為の法律が昨日、成立した。23年前に始まった制度は、途上支援を目的としながら、実際は低賃金の労働力確保に利用され、大量の失踪者も生んでいる。歪んだ“実習”の実態と課題を追う。

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今春、愛知県の中部国際空港に中国人58人の団体が降り立った。バスで4時間かけて向かった先は、日本一のレタス産地として知られる長野県川上村。全員が、村の農家で受け入れる実習生だった。「半年で130万円は稼げる」。その中にいた江蘇省出身の男性(30)は、そう聞いて来日を決めた。母国では鳶職だった。標高約1100mの村は、4月でも寒さが厳しい。棒状の器具で土に穴を開け、苗を植える作業は、立て膝の姿勢を長時間強いられた。収穫期の6月に入ると出荷の箱詰めも加わり、夜明け前から照明器具が灯る畑で黙々と働き続けた。5~6月の手取りは計約28万円。中国の送り出し機関に対する手数料約20万円の支払い分等を引くと、「『来日前の稼ぎとほぼ同じだ』と初めて気付いた」。男性は、そう振り返る。2000年代中頃まで、川上村の農業の“主力”は日本人学生だった。農家の男性(72)は、「単純作業だから、日本人でも最低賃金しか支払っていなかった。今は、この賃金では日本人は集まらない」と話す。制度上の技能実習期間は現在、最長3年だが、村の実習生の大半は。農繁期の7ヵ月間働いただけで帰国する。農家の都合に合わせた労働現場であることを物語る。『日本弁護士連合会』は2014年11月、実習生の受け入れ窓口となる同村の監理団体(※解散済)に対し、「長時間且つ休日の少ない労働環境と、狭く不衛生な宿舎で、実習生の人権を侵害した」として、改善を求める勧告を出した。それでも、村では今年も約900人が働いた。

公益財団法人『国除研修協力機構』によると、昨年度は実習先の約66%が従業員19人以下の零細企業だった。業種別で受け入れ人数が最も多かったのは、機械・金属の1万4632人で、以下、建設・織維&衣服・食料品製造・農業が続いた。実習生が逃亡したり、トラブルが発覚したりすれば、実習先の業者はその後の受け入れが難しくなる。「外泊は直ちに強制帰国、違約金50万円」「恋愛は警告。聞き入れない場合は違約金20万円。2回目は違約金50万円と強制帰国」。本紙は、様々な違約金について取り決めた“合意書”を入手した。2011年に来日し、福井県の縫製会社で働いた黒竜江省出身の女性(25)が、中国の送り出し機関と交わしたものだ。実習生の支援団体によると、監理団体がトラブル防止の為、送り出し機関にこうした合意を依頼するケースがあるという。技能実習制度で違約金の徴収は認められず、女性を受け入れた監理団体や縫製会社は、「合意書の存在は知らなかった」と説明する。「作業がもたついただけで用具を投げつけられた」(愛知県の建設会社のベトナム人男性)、「平手で頭を叩かれ、へルメットが飛んだ」(埼玉県の建設会社のべトナム人男性)、「スパナで頭を殴られた」(岐阜県の建設会社のカンボジア人男性)」――。複数の実習生が本紙の取材に対し、日本人の指導担当者らの暴力行為を証言した。支援団体にも同様の訴えが相次ぐ。だが、実習先が認めなければ証明は難しく、入管当局が昨年、実習先等に指摘した不正行為の内、暴行・脅迫・監禁は2件だけだった。新たな法律では、実習生を保護する為、監理団体や実習先を指導・監督する『外国人技能実習機構』が新設されることになり、実効性が今後問われる。前出の川上村の男性実習生は、来日の3ヵ月後、農作業中にトラックと接触する事故で足を骨折した。痛みが残り、現在は岐阜県の支援団体に身を寄せるが、鳶職への復帰は難しい。「日本での仕事や生活は、想像とはかけ離れていた。来日をとても後悔している」。


⦿読売新聞 2016年11月19日付掲載⦿
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