【政治の現場・長期政権の展望】(01) ABE、世界で存在感

来月、第2次内閣発足から4年を迎える安倍政権。自民党総裁任期の延長で、歴代1位も視野に入れる。長期政権が齎す果実と軋みを検証する。

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2人の会談に、世界中の視線が集まった。今月17日、安倍は外国首脳としては初めて、アメリカ大統領選で勝利したドナルド・トランプとニューヨークで対面した。会談は大統領選直後、同10日の電話協議で決まった。「貴男の仕事は高く評価されている。長く一緒に仕事をしよう」。トランプは、電話口で安倍を称えた。安倍が話す間、何度も「素晴らしい(Excellent)!」と相槌を打った。会談の呼びかけにもトランプは即答した。「一番いい形で会いたい。夕食を一緒にしよう」。バラク・オバマ政権への配慮から夕食は見送られたが、会談に慎重だった外務省の幹部は驚きを隠さない。「会えるかどうかは、電話をするまでわからなかった。嘗てないほど、日本の首相の存在感が高まっている」。政権に返り咲いてから約4年。安倍は“地球儀俯瞰外交”と称して、延べ100ヵ国以上を訪れ、各国首脳と個人的な関係を築いてきた。そんな安倍と会談しようと、9~12月は海外15ヵ国の首脳級の訪日ラッシュが続く。「アメリカと決別する」と宣言し、物議を醸したフィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテもその1人だ。ドゥテルテは6月の就任直後、首相の親書を持ってダバオのオフィスを訪れた首相補佐官の河井克行を、「私は安倍さんのファンだ」と言って出迎えた。

先月来日した際、安倍の実弟である外務副大臣の岸信夫を交えた会食の席では、こんなリップサービスまで披露した。「駐比アメリカ大使から面会を申し込まれているが、会わない。どうせ忠告したいことがあるのだろう。忠告があるならミスター安倍に言えばいい。俺は、安倍の言葉には耳を傾ける」。ロシアとの北方領土問題を含む平和条約交渉では、安倍とウラジーミル・プーチンの関係がカギを握るとみられる。安倍は周囲に、「第1次内閣の時からプーチンは大統領だったから、ずっと一緒にやっている感覚だ」と話す。2人の会談は、第1次内閣を含めて15回を数える。長期政権が外交面でプラスであることを、安倍自身も実感している。自民党総裁任期を3期9年に延ばすことが決まり、安倍が2018年の総裁選で3選されれば、2021年9月末までの任期を手にする。総裁任期延長の党内議論が本格化していた9月27日夜、安倍は自民党衆議院議員の城内実や評論家の金美齢らと、東京都内の京料理店で会食した。「オバマさんが退任すれば、世界のリーダーは安倍さんだ。経験と知見で、2018年以降も世界を引っ張っていってほしい」。城内の言葉を、安倍はニコニコしながら聞いていた。だが、内政に目を向ければ、長期政権で抱え込むリスクもある。仮に3選を決めれば、2019年10月まで延期した消費税率10%への引き上げを、再び自らの責任で実施する立場となる。重ねて先送りした場合、「2020年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する」という“財政健全化目標”達成への道は完全に絶たれる。成長戦略の柱と期待した『環太平洋経済連携協定(TPP)』は、トランプの離脱表明で風前の灯だ。経済が悪化すれば、経済政策“アベノミクス”の失敗も問われかねない。政府の政策目標は、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年を目標に定めたものが多い。安倍はその結果に、自ら向き合うことになる。「長期政権は、言いっ放しで逃げ切れない。言い訳できない辛さがある」。政府高官は、長期政権の厳しさを感じ始めている。 《敬称略》

■来年5月に在職歴代5位
安倍首相の在職日数は今日、第1次内閣と合わせて1800日となる。来月5日には中曽根康弘氏、来年5月には小泉純一郎氏を抜き、戦前も含めて歴代5位に躍り出る計算だ。安倍首相の自民党総裁任期が2021年9月末まで延長された場合、在職は10年近くに及び、明治・大正期の桂太郎首相の2886日を上回って、歴代最長となる可能性も出てくる。主要国の首脳の任期は比較的長い。アメリカの大統領は2期8年、中国の国家主席は2期10年、ロシアの大統領は2期12年だ。日本では、5年5ヵ月続いた小泉内閣の後、6内閣が短命政権に終わり、「国際社会で存在感を発揮できない」(外務省幹部)状況が続いた。


⦿読売新聞 2016年11月28日付掲載⦿

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