【霞が関2016秋】(19) 雇用助成金の“迷路”、塩崎厚労相がメス

「まるで迷路」――。ある厚生労働省の幹部は、同省が手掛ける雇用関係助成金の複雑ぶりを、自戒を込めてこう表現する。企業の側からすると、自分たちがどの助成金を使えるのかわかり難い仕組みになっている。数の多さだけでなく、助成金の名前から使い道を想像し辛いものが多い。同省の塩崎恭久大臣は、そこに鋭くメスを入れ、労働者の生産性を高める仕組みも入れ始めた。塩崎大臣は、「元々、助成金という存在が嫌い」(大臣周辺)という。先ず手を付けたのが、助成金の総点検だ。継ぎ接ぎに次ぐ継ぎ接ぎを続けた結果、助成金は36種類に膨張し、使い道別に71のメニューに分かれていた。そのメニュー自体が更に複数のコースに分かれている場合すらあり、企業にとって“使い易い”とはとても言えない状況だった。省内で“棚卸し”の名称で進められた見直し作業の結果、助成金は20種類を削減。コースも59に減り、名称も使い道がわかり易いものに改まった。執行率が10%に満たない低い助成金は原則、廃止することになった。

改革のもう1つの柱は、労働者の生産性の向上に役立つ助成金改革だ。「最低賃金を引き上げる為には、生産性を向上させる必要がある」。今年6月に開かれた『中央最低賃金審議会』。安倍政権が過去最大となる3%の最低賃金引き上げを目指す中で、塩崎大臣は生産性を引き上げる必要性を強調した。生産性の改善を伴う賃上げでないと、持続性に欠けるからだ。そこで考案したのが、生産性上昇を促す道具として助成金を使うアイデアだ。仕組みはシンプル。企業の従業員数や営業利益の水準等をみて、過去3年間で6%以上生産性が改善していれば助成金を優遇する。逆に減少していれば、助成金を減らす。“バラマキ行政”の象徴でもあった助成金を、生産性向上の道具に作り替えた。このアイデア自体は、厚労省の官僚が考えたものではなく、塩崎大臣の長年のブレーンによる発案だという。政府が進める働き方改革のテーマの1つも、生産性の向上だ。但し、その達成の手段は、“同一労働同一賃金”による非正規労働者の処遇改善等、分配重視の色彩が濃い。元々、“政策新人類”で鳴らした塩崎大臣とは考え方が異なる。省内からは、生産性向上による助成の優遇額が僅かでしかないこと等を理由に、助成金改革の効果に否定的な声も出ている。塩崎大臣の孤軍奮闘が続きそうだ。 (小川和広)


⦿日本経済新聞電子版 2016年11月15日付掲載⦿
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