【警察の実力2016】(20) 年間予算は約3兆7000億円! 警察の気になる“お財布”の中身

新聞やテレビで目にしない日は無い警察の活躍。だが、そこで使われているお金の中身が注目されることは殆どない。ここでは、警察の予算とその使い道を明らかにする。

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国内の治安を日夜問わず守り続ける警察。日本国民が払う、その“用心棒代”はお幾らなのか。日本の警察組織の頂点に立つ警察庁の今年度の一般会計予算は3277億円(交付税特別合計繰入646億円を含む)。今年5月に開かれた『伊勢志摩サミット』の警戒警備費として143億円が計上されたことで、前年度と比べ61億円増となった。だが、この額は、日本の行政機関1府13省庁の中で、意外なことに“ブービー賞”だ。警察庁よりも予算が少ない国の行政機関は環境省(同3233億円)のみ。しかも、その差は僅かだ。ところが、警察全体の予算となると話は全く違ってくる。年間予算6000億円を誇る警視庁を筆頭に、47都道府県が支出する都道府県警察(地方警察)の予算を全て合わせると3兆7000億円弱。桁が1つ違ってくる。右図を参照してほしい。旧民主党政権(2009年9月~2012年12月)以降は3.5兆円を割り込む年が続いたものの、今年度は大台を回復。過去10年を俯瞰すれば、ほぼ横這いで推移していることがわかる。この3.7兆円を、前出の国の行政機関の予算と再び比較すると、第6位まで浮上する。これは、5兆円規模の予算を持ち、国外の脅威に対応する防衛省に次ぐ規模だ。因みに、この警察予算の総額を国民1人当たりに換算した金額は、約2.7万円となっている(2014年度)。但し、警察庁と地方警察の予算の使途は大きく異なる。特に違うのが、人件費の比率だ。警察庁の人件費比率は3分の1程度に止まるのに対し、地方警察は8割超を占める(左下図参照)。これは、8000人に満たない警察庁の人員の少なさも然ることながら、各地方警察の主だった装備や施設等を警察庁(国費)が負担しているからだ。わかり易い例を挙げれば、街中で見掛けるパトカーや白バイの大半は、車体に“○○県警”と記されていても警察庁が購入し、各地方警察に配分したものだ。

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人件費以外で警察庁の予算の大きな割合を占めるのが、“警察基盤の充実強化”の予算だ。“警察基盤”とは、警察活動に必要な人的・物的インフラのことで、今年度予算では330億円強と、全体の1割近くに上っている。中でも、警察庁が目下、やり繰りに頭を悩ませているのが、警察基盤予算の半分を占める“拠点施設の整備”。つまり、地方警察の警察本部や警察署等の建て替え・修繕・耐震補強工事といった費用だ。「全国で、建築から40~50年経った老朽化した警察署が増え、大規模な更新時を迎えている」(警察庁幹部)ことが要因だ。例えば、警察署の新築工事の場合、1件当たり10億~20億円程度、耐震補強工事でも1億円前後と、多額の費用が掛かる。こうしたインフラ整備に苦しめられているのは、地方警察も同じ。警察庁が、東京オリンピックが開かれる2020年までの更新を促している信号機は、その最たる例だ。信号の色を変える制御器は、19年毎の更新が定められているが、財政的に厳しい多くの地方警察においては遅々として進んでいないのが実情だ。これまで見たように、警察予算の支出先の多くは、人件費や通常の装備の更新等、地味なものが多い。とりわけ、当初予算はその傾向が強い。「その時々に発生した世の中を騒がせた事件への対策」(前出の幹部)は、補正予算に盛り込んでいくからだ。例えば、昨年度の補正予算で耳目を引いたのが、“国際テロ対策の弾化”予算(63億円)だ。特に、移動するテロリストを銃撃戦覚悟で追い詰める、防弾能力を高めた警察車両の導入は話題となった。この背景にあるのは言わずもがな、昨年11月にパリで起きた同時多発テロだ。特別車両は、パリの事件のように逃走するテロリストに対応する為の警察の新たな“足”となることを期待されている。その前年度の2014年度の補正予算では、事件ではなく災害対策が目玉となった。長野県と岐阜県の県境にある御嶽山の噴火や、広島県で起きた大規模土砂災害を受けて、災害用の資器材と災害訓練施設の整備等で17億円を計上したからだ。また、2011年度の補正予算では、東日本大震災への対応に加え、『三菱重工業』等がサイバー攻撃を受けたことから、サイバー空間の安全確保に5.5億円を計上した。年間予算3.7兆円の巨大官庁である警察。民間企業にとって、その規模は極めて魅力的に映る。しかし、その業務内容は特殊な為、付き合う企業も独特だ。多額の予算で、どのような“お買い物”をしているのか。最終回となる次回は、その中身とお値段を明らかにする。

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■手当や残業代で好待遇でも使える捜査費は所属先で大差
元来、仕事柄から“秘密主義”と呼ばれる警察。その予算(警察費)の事細かな中身が、白日の下に曝されることは滅多に無い。警察費において、警視庁と大阪府警に次ぐ3番目の規模を誇る神奈川県警。歳出総額に占める警察費の割合では、47都道府県の中で唯一、10%を超える(2012年度)。神奈川県は昨年、そんな“金食い虫”である県警に対し、包括外部監査を断行。報告書を発表した。地方警察の出費の大半は、人件費で占められる。これは神奈川県警も同じ。2013年度は人件費として1557億円を計上しており、同年度の警察費1799億円に占める割合は、何と86.5%だ。その背景には勿論、人員の数が多いことがあるが、他の地方公務員に比べて恵まれている給与も一因となっている。1人当たりの平均給与は、巡査部長(平均年齢33.9歳)のケースで平均月額33.9万円。これは、神奈川県の行政職(主任・平均年齢37.1歳)の平均30.9万円よりも3万円ほど高い。警察官の給与は、行政職の同クラス役職よりも総じて1割ほど高く設定されている。警察官は、より危険な職務に当たる為だ。また、時間外勤務手当(残業代)として神奈川県警は、警察費の8%弱に当たる142億円(2013年度)を支出している。神奈川県警の場合、残業代の支払対象者が97%以上と、民間企業(最大でも9割未満)と比べて多いことも関係する。「諸々の業務手当や残業代を含めれば、同世代の他の地方公務員と比べて1.5倍くらいの年収になる」と明かすのは、警視庁のある捜査員だ。その警察官の業務手当一覧が右表である。“暴走族取り締まり”や“被害者相談”等、給与とは別に様々な業務手当があるのだ。一方、捜査経費や、情報提供者や協力者への謝礼である捜査費はどうか。捜査費は原則として都道府県が負担するが、国政選挙に絡む犯罪捜査や広域重要犯罪捜査等といった一部は国費負担となっている。神奈川県警の場合、2013年度で9241万円。県警本部の捜査費に絞ると、同年度は約4554万円が計上されているが、部署毎の支給額のトップは“捜査第1課”の1373万円で、2008年度から倍増。また、“サイバー犯罪対策課”には2013年度に支給が開始された。片や、“暴力団対策課”は375万円で、2008年度から3分の1以下に激減している。“負け組”部門の捜査員は、「使えるのは月に2000円程度。情報提供者とも喫茶店でしか会えない。重要案件でも月額1万円しか認められず、皆が自腹を切っている」と嘆く。高い給与を貰っても、職務は危険と隣り合わせな上、冷や飯を食う警察官もいるのだ。


キャプチャ  2016年7月30日号掲載

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