【政治の現場・長期政権の展望】(02) “1強”で遠のく改憲

20161206 03
衆議院憲法審査会が先月27日に開いた各党幹事懇談会は、約1時間20分に及ぶ激論となった。焦点は、憲法審査会の議題をどうするかだった。民進党組織委員長の武正公一(野党筆頭幹事)は、“立憲主義”を要求した。立憲主義という言葉は、野党共闘のキーワードだ。集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法を“違憲”と主張する野党の土俵に乗せる狙いがあるように、与党には映った。「“立憲主義の名を借りた政権批判”に陥ることなく、静かに議論してくれるのでしょうか?」。自民党衆議院議員の中谷元(与党筆頭幹事)は懸念をぶつけた。押し問答が続き、最後は自民党衆議院議員の森英介(同審査会長)が武正の要求を受け入れた。野党を憲法審査会のテーブルに着かせることを優先した。今年7月の参院選の結果、憲法改正は現実味を帯びるかにみえた。衆参両院で、与党と改憲に前向きな勢力が、国会発議に必要な3分の2以上の議席を確保した為で、自民党は当初、改正項目の絞り込みを今年中に始めるシナリオを描いた。しかし、現実は乖離している。漸く、約1年5ヵ月ぶりに実質議論を再開した今月17日と24日の衆議院憲法審査会は、民進党が安保関連法や自民党憲法改正草案を取り上げ、結局、政権批判の場になった。憲法改正の国民投票で過半数の賛成を確実に得るには、野党第1党である民進党の賛同が必要だが、自民党内では「憲法改正に正面から向き合わない民進党のスタンスは変わらないのではないか?」との懸念がある。

首相の安倍晋三(自民党総裁)が目指す憲法改正が遅々として進まない背景には、3つの誤算がある。先ず、“安倍1強”体制の長期化が民進党を弱体化させ、民進・共産両党の接近を促す皮肉な状況だ。民進党は元々、改憲派と護憲派が同居する“お家事情”を抱えるが、参院選で民共両党は“立憲主義の回復”を選挙協力合意に盛り込み、事態は複雑になった。改憲派が声高に主張し辛い局面だ。民進党代表の蓮舫が、政策立案よりも“反安倍”のスローガンに頼る姿勢を取るようなら、日本共産党主導の護憲色は一層強まりかねない。『日本会議』等の保守系団体が憲法改正を目指す国民運動を展開し、国会の外で与野党対決ムードが強まっていることも、想定外の事態だ。安倍内閣の参院選勝利を受けたものだが、野党の態度を硬化させる要因になっている。3つ目が、合意を最優先とする与野党の“憲法族議員”の手法だけでは局面を打開できない現実の苦しさだ。参議院憲法審査会が行われた同16日夜、森は東京都内の料亭で、参議院憲法審査会長の柳本卓治と財界人を交えて会食した。森は「参議院は紛糾せず、うらやましい。どうすればよいでしょうか?」と助言を求めると、柳本は「野党と一緒に飯でも食べて、信頼関係を作るのが一番や」と語ったが、即効薬は示せなかった。憲法論議の現場は、与野党がパイプ作りから始めようとしている状況だ。同席した自民党憲法改正推進本部長の保岡興治は、「時期が来れば、熟柿が落ちるように答えは出る」と周囲に語り、改憲項目の与野党合意を辛抱強く探る考えだ。自民党総裁任期の延長によって、安倍が2021年9月まで首相を続けることになれば、残された時間は5年弱に延びる為だ。憲法改正を実現するには、“数の力”が必要だ。だが、議席数が増えるほど悲願の実現が遠のくジレンマに、安倍は苦しんでいる。 《敬称略》

■結党以来の党是
自民党は、憲法改正を党是としてきた。1955年11月の結成大会で、“現行憲法の自主的改正”を図るとした“党の政綱”を決定した。結党50年の節目を迎えた小泉純一郎首相時代の2005年10月、新憲法草案を作成した。野党に転落していた2012年4月には、谷垣禎一総裁が新たな憲法改正草案を取り纏めた。2012年草案は、国防軍の保有を明記する等、保守色の強い内容で、民進党等野党が批判している。自民党は先月、与野党が協調した形で改憲論議を前進させる為、2012年草案を衆参両院の憲法審査会に提案せず、2005年草案と併せて党内議論の土台に止める基本方針を決めた。


⦿読売新聞 2016年11月29日付掲載⦿

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