【経済の現場2016・農業再生】(03) 企業参入進まぬ土壌

20161207 09
兵庫県北部に位置する養父市。周囲を山で囲まれた畑でニンニクを植えているのは、文具メーカー子会社『兵庫ナカバヤシ』の社員らだ。担当の社員は、本業である製本の仕事が忙しい時期は工場に戻るが、それ以外は畑に出る。手慣れた様子で農作業を進める姿に、工場長の小谷英輔さん(59)は「生産量をもっと増やし、高く売れるようにしたい」と目を細める。同社は先月、農家から借りている農地4haの内、役0.4haの取得に踏み切った。国家戦略特区である養父市で、企業による農地取得が全国で初めて解禁されたからだ。農地を借りているより経営のリスクは大きくなるが、“本気度”を地域に示すことができる。飽く迄も特区での限定的な取り組みだが、“岩盤規制”を突き破る一例だ。養父市の広瀬栄市長(69)は、「全国的に企業参入を進めないと、日本の農業は壊滅する」と更に踏み込んだ規制緩和を要望する。高齢化に伴って離農する人が増え、「このままでは農業を守れなくなる」という危機感がある。全国の農家の平均年齢は66歳で、養父市では70歳近い。農家の後継ぎや、農家主体の農業法人だけでなく、企業を含めた担い手が多様になれば、農業の可能性は広がる。

それでも、“企業の農地取得”を認める動きが今後、日本各地に広がるかどうかは見通せない。農業は嘗て、きつい・汚い・格好悪いの“3K仕事”とも呼ばれてきた。今、そのイメージは変わりつつある。「あと1個、こっちのケースに入りますよ」「運ぶの手伝って」――。埼玉県日高市にある『イオン埼玉日高農場』のレタス畑で、大きな声が響く。収穫作業をしているのは、『イオン』の農業子会社『イオンアグリ創造』の20代の社員と、50~60歳代中心のパートの計8人だ。農地を借りて経営し、収穫したレタスは近郊の系列スーパーに出荷する。収穫時間まで記載し、新鮮な“今朝採り野菜”は消費者の人気が高い。“職場”としての人気は高まっている。イオンアグリの場合、勤務時間は1日8時間で週休2日。イオン本体と労働条件は変わらない。昨年の入社組は40人いるが、履歴書を送ってきた大学生らは4000人。競争率100倍の難関だ。イオンアグリ創造の福永庸明社長(47)は、「企業に入って農業をやりたい若者もいる。農業の担い手を増やしたいなら、そういう受け皿を作ってあげないといけない」と話す。農林水産省によると、昨年の新規就農者数は6万5000人と、2年連続で増えたが、農業人口の減少は止まらない。この為、政府が先月29日に決定した『農業競争力強化プログラム』には、農業法人等を就職先として選んでもらえるよう、様々な支援策を盛り込んだ。ただ、『吉野家』や『東芝』等、農業に参入したものの、「採算が合わない」等と縮小や撤退に追い込まれるケースも多い。「成功例を広げていくことが重要だ」。10月13日の国家戦略特区の区域会議では、委員らから指摘が相次いだ。担い手を増やす為の改革を更に後押しすることが欠かせない。


⦿読売新聞 2016年12月2日付掲載⦿
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