【歪んだ外国人実習】(03) 高収入求め難民偽装…逃亡や申請はブローカーが指南か

20161208 01
宮城県の縫製工場で今年6月下旬、外国人技能実習制度で半年間働いていたミャンマー人女性(31)の姿が消えた。同僚たちが寝静まった深夜から未明に寮を抜け出し、JRの駅近くに自転車を乗り捨てていた。工場が実習生の受け入れを始めたのは、約15年前。所得水準が向上した中国人が集まり難くなった為、昨年からミャンマー人に切り替えた。工場の職員が同国に赴いて、面接で採否を決め、逃亡はこれまで1度も無かった。「彼氏に会いに行く」。女性は逃亡前、周囲にそう言い残していた。その“彼氏”とみられるミャンマー人の男(26)が先月下旬、入国管理当局等に『入管難民法』違反(資格外活動)容疑で摘発された。男は、この女性や、神奈川県と茨城県の自動車解体工場等から5~6月に逃亡した同国人の実習生ら計7人と、SNS等で連絡を取っていた可能性が浮上している。7人は逃亡後、全員が入管に難民申請した。男も昨年12月の来日後、約3ヵ月で難民申請しており、入管当局は「男がミャンマー人実習生に難民申請を指南するブローカーだった」とみている。男は入管当局の調べに対し、7人との繋がりを否定しているという。法務省によると、実習生の逃亡は昨年、過去最多の5803人に上った。背景には、日本の難民認定制度の“抜け穴”がある。入管当局は2010年から同制度の運用を改正し、難民申請者の生活を成り立たせる目的で、申請6ヵ月後から日本で就労できるようにした。

実習生が実習先以外で働くと不法就労になるが、難民申請すると在留資格が“技能実習”から“特定活動”に変わり、異議申し立てや再申請を繰り返せば、合法的に別の場所で働き続けることも可能だ。昨年、難民申請した実習生は731人で、2010年の45人から約16倍に増えた。ミャンマー人は、実習生1978人の16.9%に当たる336人が逃亡し、逃亡者の割合は、中国(約3.5%)やベトナム(約3%)に比べて突出している。ミャンマー人実習生の間で、「難民申請すれば待遇の良い職場で働ける」という情報が広がり、申請を指南するブローカーが暗躍している――。入管当局は、そうした見方を強めている。岐阜県の縫製工場から今年1月に逃亡した別のミャンマー人女性(31)が今月中旬、本紙の取材に応じた。本国の送り出し機関から「月に数十万円稼げる」と言われたが、9~21時まで働いても、手取りは月7万~8万円程度だった。同国出身の友人から「難民申請すれば働ける」と聞き、寮を抜け出した。女性は東京都内の知人宅に身を寄せて難民申請し、9月に就労が許可された。今は都内の日本料理店で働き、10~16時の勤務でも手取りは月10万円を超えている。今月18日、『技能実習適正実施・実習生保護法』と同時に成立した『改正入管難民法』には、実習生が他の仕事をすれば、“技能実習”の在留資格を直ちに取り消せる規定が加わった。だが、難民申請すると在留資格が“特定活動”に切り替わる為、この規定の適用は難しい。実習生は来日に当たり、政府等公的機関の推薦状を得ている。法務省幹部は「本国の“お墨付き”を得た実習生が難民と言えるのか」と話し、技能実習制度が偽装難民申請の“入り口”になっている現状に危機感を募らせる。別の幹部は、「逃亡対策には、偽装申請に対する審査態勢の強化が不可欠だ」と指摘する。


⦿読売新聞 2016年11月21日付掲載⦿
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