【政治の現場・長期政権の展望】(03) 内閣の中枢、不変

20161208 02
安倍内閣の強みは、菅義偉という司令塔の存在だ。首相官邸主導の政権運営の牽引役として、安倍を支えてきた。癌治療薬『オプジーボ』の50%値下げに道筋をつけたのも菅だった。「オプジーボの問題、ちょっと深掘りしますよ」。菅が先月上旬、官邸で安倍に打診すると、安倍は「うん、どんどんやって下さい」と応じた。有効性は高いが、患者1人当たり年間3500万円もかかり、その大半が保険料や税金で賄われている為、財政の圧迫が問題視されていた。「大幅値下げは製薬会社の打撃になりかねない」と、25%の値下げを検討していた厚生労働省に対し、菅は「不十分だ。国民は納得しない」と再検討を指示した。菅の打診から僅か約1ヵ月後の今月16日、値下げ幅は倍の50%で決着した。そのスピード感に業界は驚愕し、安倍-菅ラインによる政策決定の速さが国民の支持を生み出している。「首相に示した方向性は、先ず反対されない」。周囲にそう語る菅は、衆目が認める安倍の懐刀だ。菅に全幅の信頼を置く安倍も、2012年の第2次内閣発足以来、“一内閣一官房長官”を貫く。菅と共に、第2次内閣発足時から安倍を支えているのが、副総理兼財務大臣の麻生太郎と外務大臣の岸田文雄だ。2人は『先進7ヵ国(G7)』の中でも在任期間が長く、麻生は「日本の国際的地位の向上に繋がっている」と実感している。

首相経験者の麻生は、安倍の後ろ盾として様々な助言を送っている。今月中旬、官邸に赴いた麻生は、アメリカのドナルド・トランプ次期大統領との会談を控えた安倍に、1つのアイデアを授けた。「トランプは国内投資が中心だが、ゴルフ場だけは海外に投資している。それぐらいゴルフ好きだから、ゴルフの話には必ず乗ってくる」。自らもゴルフが趣味の安倍は、トランプに『本間ゴルフ』製の約50万円のドライバーを贈った。2人は意気投合し、会談は予定の倍の1時間半に及んだ。麻生は、軽減税率導入や消費増税延期で安倍に異を唱える等、意見の相違も目立つ。ただ、側近の議員は「麻生さんは自らの経験上、最後は首相の判断に従う。安倍-麻生-菅のトライアングルが崩れない限り、安倍政権は難攻不落だ」と太鼓判を押す。7月の参院選後の内閣改造で、安倍は菅や麻生ら中枢を維持しつつ、自民党の各派閥が入閣を求めていた“待機組”も多く起用した。党総裁任期延長や憲法改正には党の協力が不可欠で、長期政権への布石を打ったと言える。安倍は、相次ぐ閣僚不祥事で短命に終わった第1次内閣の反省から、当初は派閥の推薦に拘らず、答弁能力やスキャンダルの無さを重視した。だが、党内の不満解消に力点を置くにつれ、人事は“適材適所”から“順送り”に変容しつつある。失言や“政治とカネ”を巡る問題で批判を浴びる閣僚の多くは派閥推薦組だ。不祥事リスクを事前調査する“身体検査”のクリアが、必ずしも起用の前提になっていない。安倍自身、「身体検査で引っかかっても、多少は我慢して起用しないと党内が収まらない」と周囲に語っている。長期政権を見据えた派閥への配慮は、却って政権の弱体化を招く危険を孕んでいる。 《敬称略》

■官邸スタッフ、経験者重用
安倍首相は、第1次内閣を経験した首相官邸スタッフを重用している。政務担当の今井尚哉首相秘書官は経済産業省出身で、第1次では事務の首相秘書官を務めた。当時の調整能力を買われて第2次で政務に起用され、首相の政策や政局判断に影響力を持つ。第1次で警察庁出身の首相秘書官だった北村滋氏は、現在は内閣情報官に、内閣広報官だった長谷川栄一氏は首相補佐官を兼務し、対露外交等にも携わる。首相周辺は、安倍政権の強さの理由を「首相の考えを熟知する経験豊富な事務方が多いから」と説明する。一方、省庁側からは「権力が側近に集中し過ぎている」(幹部)との不満も出ている。


⦿読売新聞 2016年11月30日付掲載⦿

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