【働く力再興】第1部・安住の根を絶つ(04) 女性・シニア“補欠”じゃない…最前線に立ち続けよ

20161208 05
高齢者や女性の社会進出は着実に進むが、その広がりは今一つ爆発力が無い。時間や生活の制約を受ける可能性が高い働き方と、勝手に思い込む空気が影響していないだろうか。男性正社員の補助戦力とは言えない存在になっているのに。“毎日が日曜日”だからこそ引く手数多だ。人材派遣会社の『高齢社』(東京都千代田区)。「時間と実績がある高齢者こそ求められる」。緒形憲社長(67)は、経験に裏打ちされた仕事ぶりで、時間に余裕のある高齢者を自信を持って送り出す。登録する高齢者765人は週3日ほど働き、1人月8万~10万円を得る。お金がかかる臨時雇いや、経験不足のアルバイトよりも重宝されているようで、派遣先の人気は業績に直結。2000年の創業後、昨年度の売上高は5億円に伸びた。『国立社会保障・人口問題研究所』の日本の将来推計人口をみると、2050年までは毎年約50万~100万人のペースで生産年齢人口(15~64歳)が減っていく。求人サービスの『インテリジェンス』は、「2025年の日本の労働市場で約600万人の人手不足が起きる」とみる。高齢者を補助的に使うぐらいでは、働き手消失の危機を跳ね返せない。

『伊藤忠商事』の建設・物流部門で働く山上美都樹さん(36)は今年7月、半年の育休を経て出産前の仕事に復帰した。「ブランクが長くなると、育休前の状態に戻るのに時間がかかる」。伊藤忠では育休を最大2年取れるが、実際に取得するのは平均10ヵ月。10年前は、大半の社員が最大限利用した。子育てとキャリアを両立したい女性の思いが、社業を支える。働く意思のある女性には兎に角、働き続けてほしい。配偶者控除の恩恵を受けられなくなり、自分から働きを抑える“年収103万円の壁”、それに保育所に入れない待機児童の増加…。難関は幾つもある。時代に合わない制度は素早く見直し、効果があるなら国のお金も使えばいい。女性の働きは、男性中心の社会を確実に変える。『丸井グループ』は役職員の5割弱を女性が占め、育児休暇からフルタイムへの復帰は6割を超える。人事企画部門で働く金子真吾氏(40)はここ1年半、ほぼ残業ゼロ。「仕事に濃淡を付け、早めに動けば残業は不要」。退社後の時間は、育児やビジネススクール通いに使う。問題は社会の空気だろう。民間の意識調査をみると、育児を女性の仕事とみる男性管理職は未だ多い。一方で、バリバリ働くのを敬遠する女性も少なくない。高齢者の就労を躊躇う企業も多い。定年を迎えた人は賃金を抑えられ、短時間労働も嫌がられる。一旦、会社や仕事を離れると、復帰のハードルは高くなる。力のある人にはどんどん働いてもらえばいいだけの話だ。性差や年齢差への拘りは捨てよう。そんな余裕、今の日本に無い。


⦿日本経済新聞 2016年9月3日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR