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【新幹線vs航空機】(16) チームプレーで遂に実現! 新幹線『のぞみ』12本ダイヤ

20200427 06
まさにチームプレーだ。『JR東海』が運行する『東海道新幹線』は、ピーク時には1時間当たり片道10本の『のぞみ』が運行するが、来年春のダイヤ改正で更に2本増やし、1時間当たり片道最大12本ののぞみが運行する。東海道新幹線には他にも『ひかり』が2本、『こだま』が3本も走っていて、これ以上本数を増やすのは容易ではない。しかし、JR東海の各部署がパスを繋ぎ、トライを目指すラグビー宛らのチームプレーで、世界一過密とも言えるのぞみ12本ダイヤの実現にこぎつけたのだ。「金曜日夕方の下り列車等、平日でも時間帯によっては満席状態になることがある。満席はお客様にとって“品切れ”の状態であり、改善を急がねばならない」と、同社新幹線鉄道事業本部運輸営業部の辻村厚部長が話す。現在の東海道新幹線は主力車両のN700Aが中心だが、走行性能や東海道新幹線内の最高時速が僅かながら劣る700系も併せて運行中。両者の性能差が、現状以上の増発が叶わなかった理由の一つだ。しかし、来年春までには東海道新幹線から700系が引退し、全てN700Aに統一され、新型のN700Sも登場する。車両の違いによる性能差が無くなることで、本数を2本増やせるのではないかという機運が生じた。新ダイヤの実現には、東京駅での折り返し時間を短くすることが非常に重要な要素となる。中でも、車内清掃の時間短縮は必須条件だった。車内清掃を担う『新幹線メンテナンス東海(SMT)』は、現在でも列車が到着してから凡そ12分で清掃を済ませ、車内に新たな乗客を迎えている。スタッフが乗車するのは乗客全員が降車してからなので、実際の作業時間は12分よりも短い。

他社にはシートが自動で向きを変えるタイプの列車もあるが、東海道新幹線の車両は伝統として、スタッフがシートの向きを1列ずつ転換。また、枕カバーも1323席全て交換している為、作業内容は多岐に亘る。「プロジェクトが始まった約2年前に本社に呼ばれました」と、SMTの中島美津代さんと廣瀬明奈さんが当時を振り返る。のぞみ12本ダイヤ実現の為には、清掃時間を10分にする必要があった。スタッフの人数はそのままで約2分の短縮、しかも列車の本数は2本増える。勿論、クオリティーの低下は厳禁。スタッフたちが知恵を絞り、特製の掃除用品の開発、トイレ清掃等手順の見直しで、作業時間の短縮に成功した。10月から既に10分間清掃を行なっており、本番までの準備に余念がない。東京駅では、列車の到着と出発を如何にスムーズに行なうかもカギとなる。その為列車の『自動列車制御装置(ATC)』を改良し、停止に向けて自動でブレーキがかかるタイミングを他の駅より若干遅らせ、高速でホーム内を進行できるように改良。ほんの数秒だが、停止までの時間をやや短縮した。また、自動ブレーキ作動後は、運転士が手動でブレーキをかけて列車を停止させるが、それを補助する停止操作アシスト機能を新たに導入。万が一、運転士のブレーキ操作が甘かった場合に、この装置が停止動作をサポートする。「安全、操作、乗り心地、時間短縮効果のバランスの最適化に苦心しました」と語るのは、新幹線鉄道事業本部車両部車両課の西村浩一担当課長。ATCの専門家だ。時間短縮だけでなく、利用者目線で各種技術に拘って、ATCをセッティングした。駅ホームにも、開通予告表示灯と呼ばれる新装置が設置される。本来なら、開通表示灯が切り替わってから、駅員と車掌は出発に向けた作業を開始するが、開通予告表示灯は間もなくポイントが切り替わることを伝える装置で、やはり時間にして数秒間だが、出発動作の開始を早めることができる。この数秒の積み重ねで、運行本数を2本増やすことができた。運行本数が増えれば、線路の保守や電気系統、運行システムの情報処理能力の増強といった細部までの改良が必須となり、これらも併せて実施されている。のぞみ12本ダイヤは、こうした多くのスタッフの努力の賜物なのだ。 (取材・文/鉄道写真家 村上悠太)


キャプチャ  2019年11月2日号掲載
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