『山口組』分裂騒動から1年、派手に煽っているのは警察だった?――ヤクザ担当記者覆面座談会

「絶対にあり得ない」と言われていた山口組の分裂から、8月27日で丸1年が経つ。山口組が創設されてから100周年、また司忍組長が6代目就任から10周年という節目の年に、突如として発生した衝撃は、ヤクザ業界だけに止まらなかった。普段は滅多にヤクザ関連のニュースを報じないNHKや全国紙でも、 山口組分裂には大きくスペースが割かれたのである。そして、当事者である『6代目山口組』(司忍組長=兵庫県神戸市)と『神戸山口組』(井上邦雄組長・4代目山健組組長兼任=淡路島)の組員らと同様に、分裂騒動を追うマスコミ関係者らも、日毎目まぐるしく変わる状況に翻弄され続けたという。そこで、不規則な毎日を送る山口組分裂騒動の番記者3人から、分裂に纏わる感想や、両山口組の組員らの愚痴、更には他のマスコミ媒体では絶対に報道されない裏話について聞いてみた。超多忙の上、「対談している暇があれば寝ていたい」と嘆く彼らには、高級焼き肉ランチを振る舞い、「若し緊急事態が発生したら、その場で打ち切る」ということを条件に、対談はスタートした。 (聞き手・構成/フリーライター 本郷海)

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――この度は、本当にお忙しい中お集まり頂き、有難うございます。早速ですが、間もなく分裂から1年を迎えますが、率直な感想をお願いします。
A「分裂にも驚いたが、これほどまでに神戸山口組が持ち堪えるとは想像できなかった」
B「それは自分も同じです。当初、記者仲間では『3ヵ月も持たない』と囁かれていたんです。ところが、井上組長の下、直系組長12人で立ち上げてから、今年7月末までに直系組長は24人に倍増しました。これは中々できることではありません」
C「神戸山口組の傘下組織組員でも驚いていますからね。分裂した時に『直ぐ戻るから』と、離脱しなかった6代目山口組系組織の仲間に伝えていたそうです」

――そうした末端の組員らは、今回の分裂劇をどのように見ていますか?
B「偉い人たちが勝手に始めた喧嘩に付き合わされ、困惑している組員が殆どのように感じます。『向こうには負けない』と意気込んでいるのは極一部です」
C「『仲の良い仲間がいるのに、分裂してしまったことで付き合い辛くなった』という話はよく聞きます。同じ山口組だから当然ですが、分裂前から兄弟分の契りを交わしている組員が沢山いるんです。分裂しても兄弟分の絆は変わらないので、互いの地元から離れた場所でこっそり飲んでいるそうです」
A「俺の知り合いの若い組員は、分裂直後だけは気を使って電話で連絡を取り合うだけにしていたが、最近は会って飯を食うこともあるようだ。ただ、勘違いされると拙いので、直接の親分には兄弟分の存在を話して了解を得ているらしい」
B「それから、『マスコミと警察は俺たちに喧嘩させたがるので困る』と、両山口組の組員らはよく嘆いています。分裂騒動後に雑誌の部数が一気に伸びたのは事実ですから、『何か事件が起きないか?』というスケべ心があるのは本当です。それでも、両山口組が態々いがみ合うような真似はしません。Aさんじゃないんですから」
C「Aさん、本当ですか?」
A「そんな訳ないだろ。でも、昔はそういう恐ろしい記者もいたんだよ。山一抗争の頃、一触即発の状態で睨み合っている両方の組織に行っては、『“アイツらなんか直ぐに倒せる”って言っていました』『裏切り者は容赦しないそうです』って互いを煽りまくった。それで、組織間で抗争が起きる瞬間を収めたスクープ記事で名を売った記者が何人もいたな。そんな猿芝居に乗せられ、懲役に行ったヤクザもいるんだから、気の毒だよ」
C「警察は、マジで抗争を激化させようと必死ですね。冗談かどうかわかりませんが、『もっと空気入れるような記事を書け』って何度も言われましたから」
B「特に、マル暴相当のデカさんらは、分裂以降、活き活きしています。予算も沢山付いたのか、羽振りが良さそうです」
A「ヤクザの抗争が起きると、デカさんらがヤクザ以上に元気になるのは、昔も今も変わらない」

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――両山口組の組員らは色々と大変なようですが、他にはどんな苦労がありますか?
C「一番困っているのは、やっぱりシノギでしょう。分裂が起きてから、真面にシノギができない両山口組の組員らは増えていると思います」
B「抗争になれば、組員らには待機命令が掛かりますからね。組織毎に対応が違いますが、事務所に交代制で24時間詰める場合もあります。そうなれば、とてもじゃないですがシノギは難しい」
A「人を使って稼ぐような会社とか店とかのシノギなら問題ないだろうが、債権回収とか、自分が動かないとカネにならないシノギだと、途端にカネに詰まる」
C「6代目山口組と違って、神戸山口組は会費(上納金)の額がかなり少なく設定されているということで、神戸山口組に移籍した組員らは喜んでいました。しかし、それでも色々と悩みがあるようです」
A「2次団体のトップが1次団体に納める額が減る訳だから、2次団体・3次団体の組員らが納める額も減るのが自然だ。ところが、中には末端の組員らが納める上納金の額を変えない2次団体や3次団体のトップもいるんだよ。その差額分をどうするかといえば、全額をポケットに入れるんだろうな」
B「下の組員らは『あれ?』って感じますよね。でも、親分には文句を言えませんから、余計に辛いでしょう。若しかしたら、6代目山口組のほうが諦められる分、楽かもしれません」

――昨年末ぐらいから、両山口組の傘下組織事務所に対して攻撃が繰り返されるようになりました。警察当局は“抗争”と見做しているようですが、この抗争について組員らの反応を教えて下さい。
B「皆、一様に『関わりたくない』の大合唱です。これは、両山口組の組員らに共通する意見です。何の恨みも無い相手を攻撃することに気が引けるのは当然ですから」
A「昔は、『事務所に突入するなら全壊、人をやるならタマ(命)を取れ』と親分や兄貴分から教え込まれたもんだった。しかし、今回の抗争の車両突入の大半が、事務所の壁に罅が入ったり、郵便ポストが潰れたくらいで、どれも迫力が無い。銃撃や火炎瓶投擲にしても、できるだけ人が傷付かないよう配慮している。実際、抗争で命を落としたヤクザが非常に少ないのは、明らかに両山口組共に抗争したくないからだ」
C「誰だって、無闇に懲役に行きたくありませんからね。昔、ヤクザ同士の喧嘩なら、一般人の傷害事件より刑罰が軽かったようですが、現在は、ヤクザ相手には刑罰が3割増しと言われるほど厳しいです。下手すると、ヤクザ人生が懲役で終わってしまいますから、“抗争ごっこ”でお茶を濁しているという状態です」

――以前に比べ、ここ最近は落ち着きを取り戻しつつありますが、両山口組の抗争は今後、どのように展開するでしょうか?
B「既に、その傾向が出てきていますが、『抗争事件が起きても、犯人がわからないまま迷宮入りする』というマフィア化は避けられないと思います」
C「厳罰から逃れて、組織の為に貢献したいなら、それが一番ですね。『抗争事件をきっかけに自身の名前を広める』という昔ながらのスタイルは、完全に終わりました」
A「俺は未だ、本格的には抗争が起きていないように感じる。5月末に岡山で神戸山口組系組織幹部が射殺されたが、神戸山口組は“カエシ(報復)”に動いていない。これは、ヤクザの抗争ではあり得ない事態で、それこそが事件だ。抗争は想像以上に長引きそうな気がする」

その時、3人の携帯電話が一斉に鳴り始めた。慌ててメモを取ったりしている様子から、何か分裂に関して動きがあったようで、約束通り、ここで座議会は幕を下ろすこととなった。随分沈静化したとはいえ、山口組は未だ抗争状態にある為、事件を追って走り回る記者らの奮闘はまだまだ続きそうである。


キャプチャ  第21号掲載

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