【仁義なきメディア戦争】(04) 63年続く受信料制度で問われる存在意義…基礎からわかるNHK

受信料制度の見直しについて議論する上で避けて通れないのが、NHKの抑々の存在意義や『放送法』の解釈である。NHKを巡る基礎知識を解説する。

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Q1. 抑々、NHKは何故存在するのか?
A1. 放送法第15条では、NHKは「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組」を放送する目的を達成する為に設立される法人と定められている。“公共の福祉”という目的が、NHKが公共放送となった所以だ。しかし、“公共の福祉”の概念は曖昧だ。災害報道等、公共性がわかり易いものは兎も角、民放と同じような娯楽番組について、NHKが何故受信料で制作するのか。“公共の福祉”の目的にどう合致するのかをNHKに尋ねると、「人と人とを互いに“繋ぐ”という公共的な機能に対する期待に応える」(広報)ことが今、求められているとし、「NHKだからこそできる放送で、文化水準の向上に貢献することが使命」(同)だとする。NHKの元経営委員である早稲田大学法学部の上村達男教授は、「NHKの公共性については、経営委員会でも真面な議論がされてこなかった。受信料の義務化を図るなら、先ず公共性についての議論が不可欠」と語る。

Q2. 何故、受信料を払う必要があるのか?
A2. 放送法は、NHKの番組を受信できる「受信設備を設置した者は(NHKと)契約しなければならない」と定め、その上で、契約の条項を記したNHKの放送受信規約において、「契約者は【中略】放送受信料を支払わなければならない」と定めている。この背景には、「視聴者が遍く受信料を負担することでNHKを財政的に支え、政府やスポンサーに干渉されない自主性を保障する」との狙いがある。但し、“受信設備を設置した者”から広く受信料を徴収することの合理性については、議論が分かれる。元々、放送法は1950年に施行され、NHKがテレビ放送を開始したのは1953年だ。受信料を巡る裁判を手掛けてきた高池勝彦弁護士は、「当時は放送局も少なく、テレビを持った人が受信料を支払う制度に合理性があったが、今や放送局が多数存在するのに、NHKを見ない人まで受信料を払わなければならないことの合理性は乏しく、時代錯誤だ」と指摘する。前述のように、「放送法に“契約”の義務を明記し、別の放送規約に“支払い”の義務を記すという2段構えの構造がわかり難い」との指摘も、予てから根強い。また、「放送法で定められた契約の義務自体が、民法に定められた“契約自由の原則”に反するのでは?」との議論もある。NHKは近年、受信契約を拒む世帯に受信料支払いを求める訴訟を起こしている。被告側の「契約自由の原則に反する」との主張について裁判所は、「NHKには公共性がある為、例外だ」と判断し、NHK側の勝訴が続いてきた。しかし、この議論は終わった訳ではなく、今月には同様の裁判で、NHKがテレビ設置者に契約を求めれば自動的に成立するかについて、最高裁判所が重要な法的問題についての判断を示す大法廷で審理することが決まった。最高裁の判断次第では、NHKが主張する支払いの根拠が崩れ、受信料徴収に影響が及ぶ可能性もある。

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Q3. 受信料の不公平感は解消できないのか?
A3. 受信料制度は義務化に向けて見直しの議論が進むが、その理由の1つが、受信料負担の不公平感だ。NHKによると、昨年度末の支払い対象世帯に占める不払い率は2割超。「単身世帯やオートロック付きマンションの住人だけでなく、教育機関やホテル等の事業者の不払いも多い」と言われる。地域差も大きく、秋田県や島根県では支払い率が9割を超す一方、最低の沖縄県では5割未満だ(左表)。事業者については“部屋単位”の支払いとし、2件目以降の受信料を半額にする割引制度がある。しかし、テレビ設置の全部屋から徴収しようとするNHKに対する反発は根強く、『東横イン』等のホテル業者とNHKは、支払いを巡って係争中だ。罰則規定が無い限り、不公平感については抜本的な解決は望み難いのも事実で、解決策として考えられるのが“税金化”だ。税金化は、これまでも議論の対象となった経緯がある。不公平感の解消が果たされ、税金であれば、NHKが掲げる“公共性”の目的にも適う。但し、NHK側は「国家権力に依存すれば自主性が損なわれ、表現の自由を守れない」と反対の立場を取る。「独立行政委員会のような形態にして、別に番組のチェック機関を設ければ、国営放送になる歯止めはかけられる」(高池弁護士)との声もあるが、現状では税金化に向けた本格的な議論は起こっていない。

Q4. スクランブル放送は何故導入できないのか?
A4. 料金を支払った者のみが視聴できる放送の仕組み(スクランブル化)は、受信料の不公平感の解決策としてよく挙がる意見だ。現状のデジタル放送受信機には『B-CASカード』が挿入されており、技術的には可能となっている。しかし、この方法もNHKは「公共放送の理念と矛盾する」「よく見られる番組に偏ってしまい、(番組)内容が画一化する」といった理由で反対している。公共放送の在り方について国民的なコンセンサスが無い為、スクランブル化の議論も進まない。受信料制度と共に、NHKの存在意義も問われている。

■NHK“解約”という選択…合法的な“不払い”はできるのか?
「それでも、自分はNHKの番組を見ていないから、受信料を払いたくない」――。そう思う人もいるだろう。しかし、いくら「番組を見ていない」と断ろうとしても、テレビを持ちながら受信料を支払わないことが現行の放送法に抵触するのは、前述の通りだ。「『テレビが無い』と言って断れ」。インターネット上にはこうしたアドバイスが飛び交うが、偽りの無い状態で受信料を払いたくなければ、NHKとの契約を“解約”するしかない。解約するには、テレビを見るのを止めて廃棄し、リサイクル業者から受け取る領収書と共に、所定の届出書をNHKに提出したり、他人にテレビを譲渡して、譲渡先の氏名と住所をNHKに報告したりする必要がある。但し、テレビを廃棄したり譲渡しても、別にテレビを視聴できるパソコンやカーナビがあれば、法律上、契約の義務は消えない。同様のワンセグ機能付き携帯電話については今年9月、さいたま地裁で「(NHKとの)契約義務は無い」との判決が出たが、NHK側は控訴して、現状ではグレーゾーンだ。NHKの放送が映らないテレビではどうか。実際、NHKの番組だけを視聴できなくする装置をテレビに付けた男性と、NHKが今夏、受信料支払いを巡って裁判で争い、「機器が取り外せる」との理由で男性側に支払い命令が下された。男性側は改めて、機器を取り外せないように溶接して争う構えを示しており、裁判の行方が注目されている。


キャプチャ  2016年11月19日号掲載

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