【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(26) 残高証明のトリックを駆使して調達した350億円の“与信”

支払期日にポンと飛ぶ(不渡り)から“ポン手”――そう呼ばれる手形がある。最初から、口座と手形帳の為だけに会社を設立。その後、手形をバラ売りする業者がいる。東京なら新橋や御徒町、大阪なら日本橋に多い。ポン手には支払期日が記入されていて、その日には同じ会社の手形が全て不渡りになる仕組みだ。「来月末が命日や。安うするで」。支払期日までの残り期日が短くなるとディスカウントされる。額面は好きなだけ入れられるが、高額になれば印紙代が高くなる。ポン手は、借金の為の融通手形・取り込み詐欺・支払延期の目的で利用されることが多い。親切なことに、期日までは事務所も存在し、事務員が電話応対までしてくれるのだ。ポン手屋の国際版が“BC屋”と呼ばれる業者で、こちらはバンクドラフト(送金小切手)やバンクギャランティー(銀行保証)を請け負ってくれる。BCとは“バランスサーティフィケート”の略で、和訳すると“残高証明”になる。BC屋は、手数料さえ払えば実際に銀行へ資金を入れて、幾らでも残高証明を出す。100億でも1000億でもだ。暴力団がビジネスにおいて本領を発揮するのが、こういった手段を厭わない点だろう。筆者がイエメンのアロケーションホルダーから原油販売のマンデート(委任状)を手に入れた時にも、BC屋の世話になった。石油の取引には巨額な資金が必要だ。いくら仲介するだけといっても、買付資金を証明できない者は信用されない。イエメンのアロケーションホルダーも、供給元となる『サウジアラムコ』(サウジアラビアの国営石油会社)の担当者も、筆者が用意した“BG(銀行保証)”を見て、取引に承認を与えたのだ。

この時に用意したBGは、額面が300ミリオンUSドル、当時のレートで約350億円ほどだった。この銀行保証が付いた証券を作るのに、約800万円しか要していない。勿論、シティバンクが発行した本物だが、中身はスカスカのポン手と同じだ。こうして、サウジアラビアの原油を売る準備ができた筆者は、日本での営業を開始した。バイヤーサイドに回って、中国からの買い注文を持った者は沢山いたが、相手にしなかった。何故なら、サウジアラビアから中国へダイレクトに原油を販売できなかったのと、支払いに不安があったからだ。だが、石油を扱う日本の商社と相当商議をして、全く話にならないことがわかった。プロである筈の商社マンに石油取引の知識が無いのだから話にならない。勿論、実務的な手続きや表面的な知識は持っていた。しかし、それも自分が受け持つパートについてだけだ。商社の石油取引では、輸入や販売担当が“下流部門”、開発や生産に携わることを“上流部門”と呼ぶ。ところが、上流・下流とも相手の部門について知識が無い。筆者が商談した大手商社の中で、『伊藤忠商事』の石油担当者ほど頭にきた奴はいない。彼と最初に会ったのは、今は無き『赤坂プリンスホテル』だった。知人の紹介だったので、筆者は低姿勢で臨んだ。ところが、相手は最初から人を馬鹿にしたような態度だった。不自然なカツラが、苛立たしさに拍車をかける。「素人に石油取引なんかができる訳ないだろう」。既に10社と商談していたが、これほど非礼な人間は初めてだった。暴力団員という素性を隠して丁寧に対応していたが、怒りは頂点に達しようとしていた。そして、男がマンデートをテーブルに投げた時、筆者はキレた。「やかましいわっ、アホンダラ」。立ち上がり、男のカツラを手で弾き飛ばしてやった。男は仰け反って目を見開いていた。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年12月13日号掲載
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