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【地方銀行のリアル】(38) 清水銀行(静岡県)――SBIと提携でもお先真っ暗



20200529 26
「所詮、画に描いた餅に終わるのでは」――。地銀関係者からは、こんな失笑と冷笑が漏れる。静岡市清水区に本店を置く『清水銀行』が今春打ち出した新中期経営計画『ZENSHIN』。これには“善心・全身・前進”の3つの意味が込められており、「清い心で、渾身の力を振り絞り、確実に一歩ずつ前へ進んでいく」という決意のほどが表されているそうだ。新計画で掲げた数値目標の最大の目玉が、最終年度である2023年3月期でのコア業務純益“30億円以上”の達成だ。事業承継やM&Aといった分野でのコンサルティング機能の高度化や、アライアンス戦略の深化等でトップライン(※業務粗利益)を伸ばす一方、店舗網見直し等ローコスト経営を徹底し、稼ぐ力を強化する。とはいえ、2019年3月期における清水銀行のコア業務純益は22.65億円に過ぎない。2020年3月期は、第3四半期までで19.95億円を積み上げたものの、通期実績は23億~24億円にとどまった模様だ。それを最低でも25%以上伸ばしていこうというのである。超低金利が続く中、しかも先の見えないコロナ禍に日本経済が悶絶する最中に、だ。「あり得ない」の声は、行内の一部からも漏れる。実際、清水銀行と同様に、この4月から新中期計画を始動させた地銀各行のシナリオからは、“強気”や“楽観”は全くと言っていいほど影を潜めた。2023年3月期に連結純利益200億円の目標を掲げた『京都銀行』は、2020年3月期実績見込み比で横這いだ。同50億円とした名古屋銀行も同じく、2020年3月期の水準を据え置く。向こう3年間の経常利益の合計を300億円とした『宮崎銀行』に至っては、前計画比で22%のマイナス目標だ。

『西日本フィナンシャルホールディングス』や『北洋銀行』は、ある程度の利益成長を織り込んだものの、伸び率は何れも2020年3月期実績見込み比で2%に過ぎない。それなのに一人、清水銀行だけが高成長を謳歌できる筈もなかろう。今から4年前、清水銀行は2017年3月期からスタートさせた中期計画で、2020年3月期にコア業務純益40億円以上(※2016年3月期比47%増)との目標を掲げた。それが大幅未達という無残な結末を迎えたのは前述の通り。今回も同じ轍を踏むことになる可能性は「極めて高い」と、地元金融筋は口を揃える。メガバンク関係者からは、「無理して利益成長を追わないほうがいい。“前進”ではなく“漸進”に徹するべきだ」との指摘も上がる。相対的に資本基盤が弱く、貸出を増やそうとすればするほど健全性で見劣りすることになるからだ。清水銀行の自己資本額は昨年12月末時点で844億円、自己資本比率は国内基準行の地銀平均9.59%(※第二地銀を除く54行の単体ベース)を下回る9.06%にとどまる。仮に、健全性の目安とされる8%をぎりぎり維持しつつ、貸出を伸ばそうとしても、自己資本額の12.5倍、つまり1兆550億円までしかリスクアセット(※昨年12月末の残高は9312億円)を積み上げられない計算だ。逆に、この水準を超えてリスクアセットを増やそうとすれば、自己資本比率は8%を割り込み、健全性は毀損することになる。こうしたジレンマを何とか打ち砕くべく踏み切ったのが、2018年6月の公募増資だ。180万株の新株を発行。『大和証券』を引受先とする第三者割当増資を含めて、最大62.79億円を調達し、その全額を中小企業向けの貸出増に振り向ける計画だった。ところが、希薄化を嫌気してか、公表直後から株価は大暴落。公募価格は、開示直前の終値2969円と比べて800円近くも安い2193円にとどまり、結局、当初見込みを3割超も下回る43.17億円しか調達できなかった。事実上の失敗だ。足元の株価は1800円前後。今年に入ってからの最高値は1月につけた2186円で、公募価格を中々超えられない。「飛び降り自殺」「討ち死に」――。地元地銀関係者の間では、今もこんな皮肉が飛び交う。そうした中、触手を伸ばしてきたのが、北尾吉孝社長の下で“第四のメガバンク構想”を掲げて地銀連合の形成を狙う『SBIホールディングス』だ。

「昨年夏頃から頻りと働き掛けがあった」(清水銀行幹部)とされ、今年2月中旬、資本業務提携交渉が纏まった。SBIは昨年9月以降、『島根銀行』・『福島銀行』・『筑邦銀行』の3行と相次いで資本業務提携を結んできた。島根銀行と福島銀行では第三者割当増資を引き受けて筆頭株主に、筑邦銀行には既存株主から株式を取得する形で約3%を出資する。ただ、清水銀行との提携スキームは、これまでとはやや異なる。SBIが清水銀に上限3%を目処に出資するところまでは筑邦銀行と同様だが、今回は発行株の1%未満とはいえ、清水銀行もSBI株を取得する。所謂持ち合いで、SBIと地銀を巡る関係性においては初の形態だ。それだけに、清水銀行の豊島勝一郎会長は「対等な立場で企業価値を高めていく」として、あくまで“対等”を強調するが、どうだろうか。“第四のメガバンク構想”を進めるに当たって、SBIはクラウドを使った低廉な勘定系システムや、マネロン対策の為の共通プラットフォームの提供等を餌に、地銀側を盛んに誘惑してきた。「一方通行だろうが、持ち合いだろうが、それに食いついてしまった以上、提携は当然、SBI主導で進む」。メガバンク幹部は言い切る。尤も、その肝心の“第四のメガバンク構想”なるものの先行きが、ここにきて急速に怪しくなってきた。大手行やファンド等からも出資を募り、当初は地銀支援の中核となる統括会社を、2月中に資本金100億円規模で立ち上げるとしていたが、白紙に。資本金を5億円に圧縮した上、中身を地方創生を後押しする会社(※傘下に地銀支援等の2社をぶら下げ)に入れ替えて3月末までに設立する計画も、昨今のコロナ禍で宙に浮いたままだ。豊島会長自身も、「(SBIの構想は)現段階では具体性に欠けている」と認める。清水銀行は、『富士川銀行』・『由比銀行』・『江尻銀行』・『蒲原銀行』・『庚子銀行』・『岩淵銀行』の6行合併で、1928年に誕生した『駿州銀行』が母体。これに1932年、旧清水銀行が合流し、1948年に現行名に商号変更した。静岡県の中・東部が地盤だったが、『静岡中央銀行』や『東京スター銀行』と共に、2002年に破綻した『中部銀行』の受け皿となり、県西部等に営業域を広げた。現在、県内に76の本支店や出張所(※他に愛知2、東京1)を展開する。ただ、県内貸出シェアは1割以下。王者の『静岡銀行』に頭を抑えられ、不祥事に蹴りをつけた『スルガ銀行』の今後の反転攻勢も気掛かりだ。下手をすると、SBIとの提携が実を結ぶ前に波間に沈みかねない。


キャプチャ  2020年5月号掲載
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