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【創価学会は今】(12) 元名誉会長が提言する気候変動対応や核廃絶は単なる言葉だけなのか?



20200529 27
昨年の暮れも押し詰まった12月4日、紛争地域のアフガニスタン東部で、日本人医師の中村哲さん(※右画像)が銃撃され、非業の死を遂げた。享年73。中村さんは1983年からパキスタンで難民医療活動を始め、2000年代には大干ばつに襲われた隣国のアフガニスタンにも足を向け、平和活動を行なってきた。「戦争などやっている場合か」と、難民の胸に聴診器を当てる一方で、農業分野は専門外にも拘わらず、白衣を脱いで1600基の井戸を掘り、更に灌漑用水路を建設し、約1万6500㏊の農地復興に汗を流した。日常、銃弾が飛び交う内紛国で、小柄な中村さんはジャンパーに身を包み、荒涼とした土地でブルドーザーを自ら動かし続けた。「平和は目的ではなく、結果でしかない」というメッセージを後世に残した中村さんを、同じ日本人として誇りに思う。中村さんのように、個人の損得を払拭して弱者に身を寄せてきた奇特な人は、世界でも少数派に違いない。他方、平和論を声高に唱える有識者や宗教家なら数多存在する。『創価学会』の池田大作元名誉会長もその一人だろうか。世界中の著名な学者や国家首脳に面会を求め、文化、教育、平和論を語り合い、多くの対談集も発行してきた。、更には、毎年1月26日に『創価学会インタナショナル(SGI)』の設立を記念する平和提言を、内外に向け発表している。SGI創立45年になる今年も、日刊機関紙『聖教新聞』に例年通り、記念提言を掲載した。そのボリュームも半端でない。紙面8ページを上下2回(※1月26・27日)に分けた大長編である。手にする学会員も、最後まで精読するには、たっぷり1時間はかかるという人文。もっときついのは、執筆した池田氏ご本人ではないか。

今年1月に92歳を迎えた高齢である。強制な体力と卓越した頭脳の持ち主と言えるが、惜しいことに、その紙面に掲載された顔写真は近影ではない。池田氏の姿や肉声が学会行事から消えた、少なくとも10年以上も前の古い写真なのだ。故人なら兎も角、現今の国際情勢を分析して平和を提言する執筆者の紹介に、どうして一昔前の古い顔写真を挿入するのだろうか? その為、一説によると、提言は代作という声が根強い。しかし、提言は「私が…」「私は…」の一人称で綴られており、つまり中身の評価や責任の全ては、仮に代作であれ、池田氏に帰属することになる。では、今年1月末、『人類共生の時代へ 建設の鼓動』のタイトルがついた記念提言は、どんな内容であったか。8ページに及ぶ提言は、要旨別にすると、大きく以下の三点に分けられる。①気候変動について、「気候変動の問題に立ち向かうグローバルな連帯の拡大を」②核廃絶について、「核兵器禁止条約を早期に発効し、被爆地で民衆フォーラムを開催」③紛争や災害地における子供たちの支接強化について、「教育のための国際連帯税を創設し、人道危機下の子どもたちを支援」。何れも口当たりのよい高尚な提言で、この他、「法華経が認く国土変革のドラマ」、或いは「創価教育学体系に脈打つ牧口会長と戸田会長の精神」等も記述されている。でも、ここでは身内の教団解を割愛し、先ず気候変動の提言から見よう。気候変動の対応は目下、世界中が頭を抱える緊急の課題で、池田氏も「全地球規模で挑戦しよう」と訴えた。まさにその通りで、スウェーデンの女子高校生であるグレタ・トゥーンベリさんの行動に共感を示しながら、気候変物に伴うブラジルやオーストラリアの自然災害にも言及している。この災害について、「国連の会合を日本で行なうことを提唱したい」と呼びかけている。国連の会合開催が現在、大規模な災害と闘っているブラジルやオーストラリアの国ではなく、何故日本を会場にするかについては、深く言及していない。二点目の提案は、核廃絶の問題である。池田氏は、自身が師と仰ぐ戸田城聖二代会長の原水爆禁止運動をアピールし、「世界の民衆の生存権利を脅かす核兵器の使用は、いかなる理由があろうと断じて許してはならない」と訴えた(※1957年9月8日、横浜・三ツ沢の陸上競技場にて)。戸田二代会長の教えを継承した池田氏は、世界平和の立脚点を核廃絶に置いている。例えば、2016年10月22日付の『中國新聞』や2017年9月8日付の『神奈川新聞』にも、『核時代、広島で終止符を』や『核なき世界へ、市民の声』といった随筆を寄稿し、核廃絶への祈願をこれでもかと訴えているのだ。

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今回の提言にも、「第一の提案は、核兵器禁止条約に関するものです。広島と長崎への原爆投下から75年にあたる本年中に、核兵器禁止条約を何としても発効に導き、“核時代と決別する出発年”としていくことを強く呼び掛けたい。2017年7月の採択以来、これまで80ヵ国が署名し、35ヵ国が批准を終えました。条約発効に必要となる“50ヵ国の批准”を早期に実現するために、參加国の拡大の勢いを増していくことが求められます」と提唱した。2017年のSGI提言でも、日本に「唯一の戦争被爆国である日本がその歴史的使命と責任を深く自覚し、核保有国や他の核保存国を含めた多くの国々に、国連の交渉会議への参加を粘り強く働きかけることです」と熱っぽく方針を示している。核兵器禁止条約とは、開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯茂、移譲、受領、使用、威嚇、配置、配備を禁止し、加えて援助、奨励、助誘も厳禁にするという国際法である。要するに、完全な核廃絶だ。同条約を2016年、国連総会第一委員会で制定する為に、2017年から交渉開始することを求める決議案が、123ヵ国の賛成多数で採択された。反対した国は、核保有国のアメリカ、ロシア、イギリス、中国等軍事大国である。唯一の戦争被爆国である日本はどうであったか。アメリカに寄り添う形で、賛成をしなかった。日本では1000人を超える首長が条約に賛成し、核廃絶を訴える900万人の署名が集まった。私事ながら筆者も条約賛成に署名し、身の丈に合わせて、核禁止に関わるボランティア活動にも参加している。核廃絶を提言する池田氏も、この核兵器禁止条約を「早期に実現を」と提唱してきた。さぞかし、反対の姿勢を見せた日本政府に激怒し、落胆したことだろう。

ただ、池田氏が提唱している核廃絶は、果たして本心だろうかと疑問が拭い切れない。核兵器禁止条約に反対の姿勢を見せた日本政府は自公政権である。自民党と連立を組み、凡そ20年間、日本政府を支えてきた政党は、池田氏が1964年に創立した公明党である。師弟の絆が深い創価学会と公明党は、池田氏の指導が絶対であり、背くことは先ずできない。両者の歴史を遡っても歴然としている。池田氏が二代会長を継承して60年間近く、核廃絶を訴えてきたのに、核禁止条約に反対とは、公明党は池田氏に背を向けたことにはならないだろうか。宗教と政治は別である。池田氏は、公明党の政策には口を出さないなら、せめて彼を永遠の師と仰ぐ創価学会員に「核を容認する政党には一票も入れない」という気骨を見せなかったのか。「国連の交渉会議の参加を粘り強く働きかけろ」という悲痛な思いを持つ党創立者の池田氏なら、「公明党は自公政権を解消せよ」との提唱も十分に可能だった筈である。しかし、その後も選挙毎に創価学会組織は公明党候補を支持・支援し、一票を投じてきている。池田氏が口を酸っぱくして提唱して止まない急務の核廃絶問題について、身内の学会・公明党は強い関心を抱いていないのだろうか。最後に、池田氏はこう提言する。「創価学会も草創期に“貧乏人と病人の集まり”と揶揄されてきた歴史があり、社会から見捨てられてきた名もなき人々が互いに励まし合い、不幸の池から共に立ち上がってきたという出自を、何よりの誉としてきたからです。どれだけ冷笑されても…」。確かに、学会は草創期、“貧乏人と病人の集まり”と言われてきたことがあった。今日、貧乏と病気から解離した会員は沢山いるだろうが、門外漢に理解できかねるのは財務納金である。毎年12月、学会は会員に財務納金を伝え、莫大な現金を集めてきた。原田稔会長以下、最高幹部は「広宣流布達成の為、財務を行なった会員は、受ける功徳が計り知れない」と指導している。災害防止や核廃絶を提唱する宗教団体に現金を寄付(=供養)して、何故計り知れない功徳が現れるのだろうか? 提言で池田氏は『国連児童基金(UNICEF)』にも触れた。ユニセフが主導 した『ECW(※教育を後回しにはできない)基金』を称賛し、子供たちに安心と希望を取り戻し、平和と安定を齎す源泉になったという。池田氏が絶するユニセフ活動の紹介で、思い出したことがある。元学会員で香川大学の高倉良一教授のブログによれば、学会員2世の女性と結婚して、1994年以降、妻と相談し、毎年、学会に財務100万円を寄付(※ご供養)してきた。しかし、2003年頃から池田氏の行動に疑間を抱き、「どうせ学会に寄付するならユニセフに」と実行したことが夫婦の離婚を招き、裁判になった。世界の悲惨な子供たちを救うなら、確かに教団を通すこともない。ユニセフに直接寄付を、という高倉教授の考えにも一理あるようだ。但し、功徳は消えてしまうけれど…。


段勲(だん・いさお) フリージャーナリスト。1947年、宮城県生まれ。東洋大学文学部卒。『週刊ポスト』記者を経てフリーに。宗教・社会問題・人物・健康等について幅広く執筆。著書に『千昌夫の教訓』(小学館文庫)・『創価学会インタナショナルの実像 池田会長が顕彰を求める理由』『反人間革命 創価学会へ入信した男の一生』(共にリム出版新社)・『定ときみ江 “差別の病”を生きる』(九天社)等。


キャプチャ  2020年4月号掲載
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テーマ : 創価学会・公明党
ジャンル : 政治・経済

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