“癌探知犬”を生んだ有名ドッグトレーナーの知られざる過去――マスコミが美談として取り上げた訓練士の背後で蠢くカネとヤクザ

20180202 04
「街灯もまばらな田舎町に、ひと目を避けるようにして寄り添う1組の男女がいた。そのかたわらでは2匹のラブラドールレトリバーが心配そうに視線を飼い主に向けていた。『一緒には連れて行けない』。犬たちはそんな飼い主の気持ちを察していたのかもしれない。2人は目の前に停めたグロリアに乗り込む。車内には着替えや金目の家財などがぎっしりと詰め込まれている。2人には莫大な借金があった。債権者にはヤクザ者もいる。日ごとに利息は増え続け、もはや返済は不可能だ。2人が出した答えは、夜逃げ。生きるか死ぬかの大博打であった。彼らは2匹の愛犬を知人に預けると、そのままあてもない逃避行へと旅立った。この2匹の犬の末裔が、のちに“奇跡の犬”と呼ばれることを、その時、誰が想像しただろうか」――。新聞にこのような見出しが躍ったのは、それから15年以上経ってからのことだった。「がん探知犬 健常者と患者の息ほぼ100%かぎ分ける ノーベル賞夢じゃない」(※『スポーツ報知』2005年4月25日付)、「がん診断に嗅覚を 患者の呼気に特有のにおい」(※『東京新聞』2005年7月12日付)。記事によれば、特定非営利活動法人が“癌探知犬”を育成し、その候補第1号となったマリーン(※3歳・オス)が、その卓越した嗅覚によって癌患者の呼気をほぼ100%の確率で探知できるようになったという。“癌の匂い”の正体が解明できれば、新たな検査法の研究や早期発見にも役立てられるという訳である。この世紀の研究の立役者として紹介されているのが、訓練士の佐藤悠二氏である。当時は新聞媒体だけでなく、各テレビ局のニュース番組で採り上げられ、それ以降、頻繁にメディアに登場するようになった。

「テレビを見ていて『あっ!』と声を上げましたよ。名前は変えていても、あの顔は忘れません」。こう語るのは、佐藤氏(※右下画像)の過去を知る芸能関係者のA氏である。彼によれば、癌探知犬の生みの親として知られている有名ドッグトレーナーは、嘗て芸能界に身を置いていたという。「本名はMで、20代の頃からバンドマンとしてテレビ局に出入りし、そのうち、番組にミュージシャンを派遣する仕事に携わります。そして芸能事務所“トータルミュージックプロモーション”を立ち上げ、あの“ヒロシ&キーボー”も所属していました」。『ヒロシ&キーボー』といえば、1982年のデビュー曲『3年目の浮気』が70万枚を超えるヒットを記録した、当時の超人気デュオだ。「イベント等の仕事がばんばん入って、かなり稼いでいましたよ。所属タレントはヒロシ&キーボーだけではありません。“ピンキーとキラーズ”のボーカルだった今陽子も籍を置いていました。人当たりがいいM社長は兎に角、営業が上手く、今陽子のワンステージが250万円で売れたこともあったようです」(同)。この250万円という額は、照明代やバックバンドのギャラを含めたパッケージ料金だが、書き入れ時の12月には10本以上入ることもあって、売上は伸び続けていったという。「長年付き合いのある音楽会社の社長から、布施明の営業を任されていたこともあります。布施といえば、1980年に女優のオリヴィア・ハッセーと結婚して、日本の大手事務所に後ろ足で砂をかけるように渡米してしまった。その為、離婚して日本に帰国した直後は芸能界から干されていたんです。それでもヒット曲を持っていた強みもあって、500万円・1000万円クラスの仕事をばんばん取ってきたようです。といっても布施に関しては、M社長の手数料は1本40万円と取り分が決められていました」(同)。バブル景気も手伝って、業界は完全な売り手市場。宝販売イベント、毛皮販売会、高級呉服のお見立て会等、仕事はいくらでもあった。「仕事が回り始めて、年商が1億を超えた頃には、社員を4~5人雇っていました。M社長自身、世田谷に豪邸を建てて、車もベンツ2台とキャデラックを所有。奥さんと高校生くらいの子供がいたと記憶していますが、生活が派手になると人気女優のYと男女の仲になり、後に離婚したと聞いています」(同)。だが、バブルの波に足元を掬われることになる。「M社長には心残りがあったんです。実は、“3年目の浮気”は、レコード会社との契約の関係で、入ってくる印税はあまり多くなかった。その悔いを晴らすべく、2曲目・3曲目を売り出そうと、制作やプロモーションに大金をかけたものの、“5年目の破局”と“7年目の洒落”はいずれも大コケ。その他の仕事は順調だった筈なのに、何故か資金繰りに困るようになったんです。そのうち、危ない筋からお金を借りるようになったのが、その後の転落のきっかけになりました」(同)。トータルミュージックプロモーションの当時の窮状を、別の芸能関係者が振り返る。「ヤクザらしき男たちが、しょっちゅう事務所に取り立てに来ていました。これが月に1割とか、とんでもない高利。利息すら払えなくなると、色んなヤバい筋に金を借りるようになって、タレントへのギャラも滞るようになりました。M社長も事務所に姿を見せなくなると、タレントの営業先に取り立て人が押しかけるようになりました」。

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みかじめ訴訟で壊滅的大打撃!? 警察と検察が目論む『弘道会』竹内照明会長の起訴・立件

20180131 04
本誌先月12月号の末尾に、『3代目弘道会』の竹内照明会長がみかじめ料を不当に受けとっていたとして、愛知県暴力団排除条例違反で逮捕されていたことを書いた。逮捕されたのは、竹内会長、若頭の中野寿城組長、本部長の間宮誠治組長、幹部の室橋宏司組長、若中の小川明広会長の他、山口組直系若中の『名神会』の田堀寛会長等10名で、その逮捕の様相はまるで“弘道会壊滅作戦”を思わせるくらいに大袈裟な逮捕模様だった。先月号までの注目の1つは、この件での3回目の逮捕の行方だった。11月10日、結果的には『2代目谷誠会』の小川明広会長だけが3回目の条例違反容疑で逮捕され、3名が起訴。竹内会長を含む6名が不起訴処分となり、即日保釈されている。この逮捕の実態は、みかじめ料と暴排条例のこれからの法的関係を知る上で、重要で参考になる事件となった。『任侠山口組』の織田絆誠代表を狙った事件があった前日の9月11日、愛知県警は突如として竹内会長ら数人を暴排条例で逮捕した。竹内逮捕のニュースは、速報で全国に広がったほどのニュースバリューを持ち、13日には事件の関係先として弘道会本部、更に翌14日には神戸の山口組総本部に家宅捜索、また更に翌15日には同じ容疑で名神会の田堀会長を逮捕と、事態は立て続けに拡大した。抑々は、名古屋錦のゲイバーからみかじめ料を取っていたのが名神会の組員だと言われていたのだが、どうしたことか、このバーから、みかじめ料の授受をしたこともない竹内会長ら幹部らが同じ容疑で逮捕されるという、問題含みの逮捕となった。抑々、逮捕の法的根拠とは一体何だったのかが焦点である。

逮捕の法的カラクリは、「錦三地区では名神会がみかじめ料を徴収し、その一部が弘道会に上納する仕組みが取られている」からだという。この逮捕理由を見て、その強引さには改めて驚かされたが、9月11日に竹内会長らを逮捕した際に、愛知県警は「これは国策だから…」という言葉を残している。たとえみかじめ料の授受関係がなくても、上納関係があれば逮捕でき、しかも逮捕拘留期間の恣意的延長が可能になるという現実をまざまざと見せつけた訳だ。この一連の逮捕を取材している日刊紙社会部の記者は、「サツは最初から起訴を狙っていた。カネを直接受け取っていなくても、上納関係で起訴できれば満点だし、仮に起訴できなくても、竹内をここまで逮捕・拘留できたことは大きいと察庁はみている」と言う。つまり、「別に起訴できなくても構わない。ヤクザはパクることに意味がある」ということなのだろうか? 今回逮捕された組長の下部組織の組員に聞いてみると、「もうヤクザにはメシも食わせないということなのか…」と途方に暮れた様子だった。人権派の弁護士から言わせれば、「起訴もできない同じ容疑で3回も逮捕することは絶対に許されない」となるが、今回はその不当性を認め、保釈にはなった可能性もあるが、しかし、長い慣習に基づいていたみかじめ・用心棒代というヤクザのシノギの基本とも言える収益を得るということは、最早ヤクザ個人の問題ではなく、所属する組の存続に直結する問題にまで拡大することになった。その影響は大き過ぎる。次は、任侠山口組の織田代表に関係する情報である。9月12日、『神戸山口組』の元組員と言っていいのかどうかは釈然としないが、神戸山口組の元組員で、井上組長の運転手もしていたという黒木こと菱川龍己組員に、任侠配下の幹部が殺されるという抗争事件が起きた。この襲撃事件は、前述の黒木が未だ逃亡中ということで未解決のままだ。しかも今以て、織田側の“返し”が無いままで、どう決着がつくのかは今も不明だが、事件発生から既に2ヵ月半、不気味なくらいに何事も起きていない。そんな中、今度はマスコミが重要なニュースを発信してきた。11日朝、『産経新聞』電子版は『消費者金融社長、4年前から行方不明に 京都府警が逮捕監禁容疑で暴力団事務所など捜索』と報じた。記事は、「京都市内で消費者金融会社を経営していた70代男性が平成25年3月末から行方不明になり、京都府警が10日、逮捕監禁容疑で大阪市内に拠点を置く暴力団の事務所などを家宅捜索したことがわかった。

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もうマフィア化するしかないのか…『任侠山口組』が標榜する“脱反社”の迷走

“反社会的勢力”のレッテルから脱却し、新時代のヤクザ像を提示した『任侠山口組』織田絆誠。だが当局は、そんな美辞麗句などお構いなしに、織田の自宅を急襲した。陣営の立ち上げメンバーも織田の元を離れゆく今、彼の目指す先に光はあるのだろうか――。 (取材・文/フリージャーナリスト 柳沢十三)

20180131 01
兵庫県神戸市内で、任侠山口組の組員が白昼堂々と射殺される衝撃の事件が発生してから3ヵ月が経つ。実行犯とみられ、指名手配された『神戸山口組』の『4代目山健組』系である菱川龍己組員は、行方を晦ましたままだ。当局は威信に賭けて容疑者を追っているが、神戸側は勿論のこと、被害を受けた任侠側や無関係とされる『6代目山口組』にまで締め付けを強めている。2017年11月10日、神戸市内の織田代表の自宅が京都府警に家宅捜索されたのも、その文脈上にあるだろう。「織田代表の自宅にガサ!」の一報を聞き付けたマスコミ記者らは、現場に急行した。容疑は逮捕監禁で、京都市内で不動産賃貸業・金融業等を営む70代の男性が失踪した事件に関わった疑いが浮上したという。全国紙社会部記者が語る。「2013年3月に失踪したこの男性は、大阪市内にあった組事務所の抵当権を巡って、ヤクザ組織とトラブルになっていました。京都府警は、男性が車で連れ去られたとの線で捜査を続けており、10月末に任侠側直参の2代目織田興業・紀嶋一志会長を逮捕しました。男性が行方不明になる20日ほど前、大阪府泉佐野市内から車両を盗んだ容疑でした。この車両を使って男性を拉致した可能性があると、京都府警は踏んでいるようです」。事件が起きた当時、紀嶋会長は山健組に在籍しており、織田代表は同組で幹部を務めていた。また、織田興業は若き日の織田代表が立ち上げた組織であり、これを引き継いでいる立場の紀嶋会長と織田代表の絆は当然強い。京都府警は、これらの点を突き、逮捕監禁容疑の関係先として、織田代表宅へ家宅捜索をかけたとみられる。

尤も、早朝から捜査員約40人を動員した京都府警だが、織田代表を逮捕できないことは承知の上だったらしい。元捜査関係者の見立てはこうだ。「逮捕監禁容疑の公訴時劾は5年。だから、あと半年ほどで解決できなければ、事件は迷宮入りになる恐れがある。何もしないで事件が終わるのは忍びないからと、しっかりした確証も無いまま見切り発車したとも考えられる」。司法のこうした無理矢理な動きは、神戸側に対しても同様だ。神戸側が本部として共用してきた寺岡修若頭が率いる『俠友会』本部は、10月いっぱいで使用禁止になっている。「任侠側組員が射殺された事件の影響です。本部周辺の住民らを代理するという形で、兵庫県の暴追センターが使用差し止めの仮処分を10月初旬に申請しました。住民らが平穏に暮らす権利を妨害しているというのが理由です。これまで、2次や3次等の傘下団体本部に対して処分が下されることがありましたが、今回は全国で初めて1次団体が対象となったので注目されていました」(関西版夕刊紙事件担当記者)。初めての判断だったが、神戸地裁はあっさりと申請を受理し、10月末での使用禁止を認める決定を下した。それに先立って神戸側は退去したとみられる。神戸側では、正木年男総本部長が統率する『正木組』本部と傘下組織の事務所にも、同20日に福井地裁から使用禁止の処分が出されていた。「『福井と淡路島で神戸側の事務所が相次いで使用禁止されている』とのニュースが流れれば、警察が頑張っているという印象を一般社会に与えられる。織田代表のボディーガードを射殺した犯人を検挙できていない事実から、目を逸らさせる狙いがあったのでしょう」(業界に詳しいフリーライター)。神戸側は発足して以来、毎月8日に定例会を開催してきた。しかし、10月中に本部が閉鎖されてしまった為、11月定例会の開催予定の前日にあたる同7日、執行部らは三宮近くにある新事務所へ密かに集合し、対策を練ったとされる。この新事務所は4月から本格的な運用が開始されており、各直系組織が持ち回りで組員らを待機させている。警察は、閉鎖された本部機能の移転先がここだと見定め、早速攻撃を開始した。「建物は5年の信託契約で、現在は寺岡若頭が所有権を持っているようだが、その期限が2019年5月までとなっている。警察は寺岡若頭と信託契約した人物に対し、契約を延長しないよう圧力を掛ける為、兵庫県の暴排条例に基づいた勧告を出したようだ。結果はどうなるかわからないが、神戸側は『最低でもあと1年半は使える』と前向きな考えでいるらしい」(関西で活動する他組織幹部)。

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【昭和&平成放送禁止大全】(20) アニメファンに長く語り継がれる“ヤシガニ事件”と“キャベツ事件”

20180130 05
アニメファンが作品のクオリティーを語る際、しばしば話題に上がるのが“ヤシガニ事件”と“キャベツ事件”だ。これは、テレビアニメシリーズ中、作画技術レベルが著しく低いシーンを含むエピソードが放送されてしまい、その後、初回放送分が事実上のお蔵入りとなった作画崩壊の事例である。1990年代はバブル経済崩壊後の経済低迷期、所謂“失われた10年”の時期だ。ところが、世の不景気とは裏腹に、テレビアニメ界は1週間に60~70本もの作品が放映されるという異常な状態にあった。この活況は、自分の小遣いや稼ぎを自由に使えるようになったティーンエイジャー以上の世代のファンに支えられたことに起因する。放映されるアニメ作品の視聴率は低いが、マニア層にターゲットを絞ったスポンサー企業の関連グッズが、収益を十分に上げるくらい売れていた訳である。ところが、作品は増えてもアニメ制作者の数には限りがある。そうなると、やはり最終的には制作の遅れや作画の破綻が発生してしまう。それが現実となったのが、前述の“ヤシガニ事件”である。これは、1998年に放映されたSFアニメ『ロストユニバース』(テレビ東京系)で発生した事件だ。第1話は通常通りの作品としてオンエアされたが、第2話から早くもクオリティーが崩れだし、第4話で遂に作画が類を見ないレベルにまで破綻した。この作品は人気原作のアニメ化だけに、劇中の宇宙船の描写に、当時のテレビ作品としては前例のないフル3DCGを採用する等、様々な新規要素を盛り込んでいた意欲作だった。

当然、監督のチェック等の手間も倍加する訳で、第4話に至っては、放映の1ヵ月前になってもキャラクター、メカ設定、美術設定が確定できなかったという。その状態で、今度は海外等の外部に発注された作画が、総作画監督不在のノーチェック状態で“完成”してしまったのだ(※総作画監督は、1~3話の作監として実作業に当たらざるを得なかった)。第2・3話はでき得る限りの修正を試みたが、第4話に関しては手を加えられず、最終的にそのまま撮影→放映ということになってしまったのである。第5話以降はスタッフが奔走し、体制の立て直しが図られ、4話もソフト化時にリテイク版に差し替えられることになった。“キャベツ事件”の由来となった『夜明け前より瑠璃色な』(BS-iほか)は、2006年放映の恋愛アドベンチャーゲームを原作としたアニメだ。第3話の劇中でヒロインがキャベツの千切りをするシーンがあるのだが、キャベツは単なる緑色のボールで、真っ二つにすると、切り口には単純な年輪のような輪っかが描かれているだけという始末。こちらも、あまりに酷い作画で、ファンの間では瞬く間に知れ渡ったエピソードである。ところが最近になって、関係者の『ツイッター』で事件の真相が明らかになった。当時、海外の下請け制作会社とのやり取りはインターネットを使うようになっていた。件の3話では、アニメーターが多忙故に細かい指定ができず、原画上にダミーの“丸”とサンプルのキャベツの写真を付けて海外に発注したところ、原画と原画の間を描く“中割り”の動画アニメーターに届く途中で写真が欠落し、ダミーのままアニメが完成してしまったというのだ。これもまた、制作の時間の無さが引き起こしてしまった問題なのである。通常、アニメ制作会社の品質管理のチェック機能はきちんと働いているし、また海外にも優秀な制作会社は多数存在する。ところが、ギリギリのスケジュールと予算で作られている為、ほんのちょっとの狂いが生じると全く酷いありさまになってしまうのだ。勿論、こうしたトライ&エラーを反面教師に、現在のアニメ業界の隆盛が築かれているのは、言うまでもない事実である。 (大衆文化研究家 幕田けいた)


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「俺たちがマジでやっている仕事の話、全部バラします」――現役半グレ匿名座談会

暴力団等の組織に属さずに詐欺等のシノギで収入を得る、所謂“半グレ”が起こす事件が世間を賑わせて久しい。アングラマネーの現場は今、どうなっているのか? 今回、20代後半のN氏、30代前半のK氏、30代後半のM氏の3人に集まってもらった座談会は、「今は何がブラックかホワイトかわかんない時代じゃない?」というM氏の一言から始まった――。 (聞き手/フリーライター 鈴木ユーリ)

20180130 03
M「アングラマネーって言われても、昔みたいにあからさまな振り込め詐欺とかAVスカウトとか、法律変わってできなくなったから、何がブラックかわかんないとこがある」
K「詐欺とか(刑務所)行っちゃうとロングだから、人集まらないですよね。最近、ブラックで流行ったシノギだったら金塊くらいじゃないですか?」
M「流行ったけど、実刑はそんなでもないし、もう下火。Nは不動産だっけ? ブツ上げで最近、羽振りいいんだろ?」
N「いやいや、自分は使われているほうですから。でも、ブツ上げは同世代でもやっているヤツ、結構多くて、皆ポルシェとかいい車乗っていますね」
M「具体的に何やんの?」
N「振り込め詐欺と一緒で、名簿から片っ端から電話で営業かけるんですよ。年寄りが多いから、『ご所有の不動産を買いたいと言っているお客様がいるのですが、一度お会いできませんか?』って、バリアフリーの新築マンションに住み替えを勧める。で、宅建持っているヤツが契約しに行って、デベロッパーに売り払う」
M「騙す訳ではないんだな」
N「架空取引だと詐欺になってパクられちゃうんで、そこは宅建持ったヤツが契約させるんです」
K「自分も2~3年前、殆ど同じ手口で原野商法をやっていましたね」
N「自分もちょっとやっていたけど、あれ難しくないですか?」
K「同じだよ。『東京オリンピックで値が上がります』って、資料でっち上げて営業するだけで契約しちゃえば詐欺が成立しないんだから。というか、全部振り込め詐欺と同じスキームでできるんだよね。“かけ子”が営業になっただけで、名簿見て片っ端から電話しまくって老人を騙す」
M「結局そうなんだよな。振り込め系でも、オリンピック系で関連企業への投資詐欺やっているヤツもいるし、あとオリンピック関連は人夫出しもカネになるね。今はどこも人手不足だから、東南アジアにルート作って研修生や留学生名義で多少グレーでもどんどん人を入れる。ゼネコンからは1人につき日当3万取れるけど、外人は1万で使えるから」
K「自分の会社は、ネット系強いヤツ、最近どんどん入れてますね。中にはSEO対策のシステム持っているヤツとかもいて、売り上げかなり調子いいですよ。あとは、知り合いの芸能人とかモデルの子とか、書かれたくないことインターネットに書かれているの削除してあげるの、1件につき何十万とかで請け負っている」
M「芸能人相手の商売は美味しい。俺はやっていないけど、強請も結構やっているヤツいるね。特にデリ関係の不良」
N「強請ってどうやるんですか?」
M「芸能人が使う高級デリヘルあるじゃん? 客に芸能人とかプロスポーツ選手とか来たら、女にスマホカメラでいいからベッド脇で盗撮させるんだよ。あと、芸能人とギャラ飲みしているモデルの女とかにツーショット撮らせて、『彼女、未成年だけど、マスコミに流していいんですか?』って、後で事務所を脅迫する」
N「怖っ(笑)。でも今の時代、ブラックだけじゃ厳しくないですか? 自分の周りでも、ブラックだけやっているヤツなんか殆どいないっていうか」
M「皆、正規のシノギは持っているよな? 表向きの看板って意味じゃなくて、色々稼げる時代だから」
N「自分は正規だと洋酒の輸入やっていますね。特に、日本未輸入の銘柄のテキーラが熱い。あと、正規とは言えないかもしれないけど、個人的にやっている転売業は結構いい小銭稼ぎになっている。人夫出しと一緒で、iPhoneとかシュプリームの限定品とか並ばせて、インターネットで転売する」
K「自分は、観光客を当て込んだエアビー(※Airbnb)をやっています。不動産イジっていると都心のいい空き物件回ってくるから。稼働率80%を越えるとスーパーホストっていうのになって、安定して収入入ってくるんですよ」
M「安定収入だったら太陽光パネルいいよ。太陽光って、原発の後に一瞬流行って、もう終わったとか言われていたけど、法律変わって2030年まで優遇される。億単位で投資しておけば、放ったらかしで年間数千万入ってくるから」
N「ヤバッ。やっぱり、カネって上に行けば行くほどグレーになっていくから、どれがブラックでどれがホワイトがなんか決められないですよね」
M「間違いない。ていうか、カネ持っているヤツなんて大抵ブラックだよ(笑)」


キャプチャ  2018年1月号掲載

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【ニッポン未解決事件ファイル】(42) 五霞町女子高生殺害事件(2003年)――美人ハーフ女子高生、祭りの後の奇妙な死

2003年7月9日、茨城県五霞町で美しい女子高生が変わり果てた姿で発見された。佐藤麻衣さん(※当時15)は、埼玉県草加市で行なわれた祭りの後、何者かに連れ去られ、利根川沿いの用水路に遺棄されていたのだ――。 (取材・文/ノンフィクションライター 八木澤高明)

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2003年7月6日、埼玉県草加市にある瀬崎浅間神社の夏祭りは、多くの人々で賑わいを見せていた。そんな夏祭りの夜、夜店の手伝いをしていた女子高生の佐藤麻衣さんが、21時過ぎに手伝いを終えて最寄り駅へと向かう途中、忽然と姿を消した。その3日後、彼女は変わり果てた姿となり、茨城県五霞町を流れる用水路で遺体となって発見された。遺体は靴下を履いていたが、靴は無く、他の場所で殺害され、この場所に遺棄されたとみられている。死因は首を絞められた窒息死であった。麻衣さんは、ヨルダン人の父と日本人の母の間に生まれた、目鼻立ちのくっきりとしたハーフの美人で、友人からも好かれていたという。事件から13年が経とうとしているが、麻衣さんを連れ去り、殺害した者の行方はわからないままだ。事件を管轄する茨城県猿島郡にある境警察署には、麻衣さん殺害事件の情報提供を求めるビラが貼ってあり、300万円の謝礼金も懸けられているが、未だに有力な情報は無い。麻衣さんの死体遺棄現場は利根川沿いの用水路であった。利根川を渡り、現場付近へ近付くと、すれ違う車の数が減ってくる。麻衣さんが遺棄された用水路脇の細い町道には殆ど車が通らず、付近の民家からも離れている為、人気が消える。深夜であれば益々人気は無くなり、犯人は誰にも気付かれることなく死体を捨てることが可能だろう。この場所を選んで死体を遺棄した犯人は、間違いなくこの付近に土地勘がある人物である。

犯人は、国道4号線沿いの草加市瀬崎浅間神社付近で彼女を連れ去り、この場所で遺棄していることを考えると、この近辺の出身者である可能性が高いのではないか? 浅間神社の真横には美容院があり、そこで働く美容師はこう話す。「事件のことは知っていますよ。彼女は祭りの屋台を手伝っていて、途中、休憩かなんかに出た。いなくなっちゃったって聞いていますけどね」。この付近で事件に繋がるようなことは起きていないか聞いた。「この辺りは、うちの美容院ができる前は暗くて、よくひったくりがあったりしたんですよ」。確かに、神社の周りは薄暗く、この美容院の明かりが一番目立つ。ただ、佐藤さんが連れ去られたのは賑やかな夏祭りの日のことだ。夏祭りの日、屋台を手伝っていたという麻衣さん。犯人は、彼女が屋台で働いている時に目をつけたのだろうか? 改めて神社の周りを歩いてみると、佐藤さん殺害事件の情報提供を求めるビラが、常夜灯に照らされて闇夜に浮かび上がっていた。麻衣さんの事件の翌年、2004年にも同じような事件が起きている。6月20日午前6時50分、女子高生・平田恵理名さんの絞殺体が発見された事件である。平田さんの死体は、佐藤さんの殺害現場から15㎞ほど離れた場所にある利根川沿いの用水路脇で発見された。着衣の乱れは無く、同じく靴下を履いたままで、携帯電話のストラップで首を絞められ、殺害された。彼女は事件前日の夜から外出し、ファミレスに立ち寄った後、午前5時頃まで1軒のコンビニにいて、そこで立ち読み等を注意されたことから別のコンビニに移動、その姿を目撃されている。最後に立ち寄ったコンビニには、鍵が掛かった自転車が残されていたことから、この場所で誰かと待ち合わせをしていたのではないかとみられている。そして、このコンビニから、午前5時45分に「財布をすられた」と警察に110番通報しているのが、記録として残っている。最後の110番通報から1時間ほどの間に、彼女は何者かによって連れ去られ、殺害されたことになる。佐藤麻衣さん、平田恵理名さんの両事件とも着衣の乱れが無く、靴下を履いており、共に絞殺という共通点も多く、両事件は同じ犯人によって引き起こされた可能性が高い。


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悪の“情弱ビジネス”最新手口――詐欺が横行する現実を知らない情報弱者は喰いものにされる!

詐欺が横行する実情を知らない“情報弱者”を相手に、ぼろ儲けする“情弱ビジネス”が蔓延している。毎日のように新しい手口が生み出され、僅か数年で億単位の利益を生み出す悪のシステム。その実態に迫る。 (取材・文/編集プロダクション『NEWSIDER Tokyo』 片岡亮)

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大手広告代理店に勤めるT氏は、学生時代にサークルの仲間から、倒産した出会い系サイトの顧客リストを買い取り、片っ端から電話をかけ、「利用料金が未納です」と言って現金を振り込ませていた。「それで支払う人が1~2割いたから、ぼろ儲けだった。2年ほどで億単位の利益を出した」。出会い系サイトをやってもいないのに、お金だけ回収したのだ。勿論、T氏が行った行為は立派な犯罪だが、こうした悪質な例は決して珍しいものではない。その最たるものが、大学の経済研究サークルである。「金儲けプランを編み出す」と言いながら、やっていることは詐欺の相談だったりする。こうした連中が世の中にはごろごろいるのだ。こうした輩の口車に易々と乗ってしまうのは、視野が狭く、詐欺が横行する実情を知らない人々である。インターネットで検索すればわかるような話でも騙される訳だから、“情報弱者”という言葉が生まれ、無知な人を騙す傾向に拍車がかかった。お金が楽に儲かる話があれば、その話を他人に小売りする訳がないという単純な理屈にも気付かない人々は、騙されても対応する知恵がない。従って、詐欺であっても警察にも相談できず、犯罪にならないまま。それで、詐欺ではなく“情弱ビジネス”なんて呼ばれ方もしている。一方、「自分はそんなことには騙されない賢い人間だ」と思う人の中からは、新たに人を騙す側に回ろうとする者も出てくる。冒頭のT氏もそうだ。しかし、抑々「人を騙そう」と思う時点で真っ当なビジネスをする才覚を放棄し、自身が楽をしたい欲に取り憑かれている。近頃は将来への不安を煽る政治傾向が強く、若者の間でも「楽をして稼ぎたい」という考えが広まっているのだ。そんな彼らが手を染める情弱ビジネスとはどのようなものか? 今回はその最新の手口を紹介していくが、本題へと入る前に、情弱ビジネスが広まった経緯から説明する。

20180129 04
1980年代に社会問題となった地金を使った事件が相次ぎ、その後にマルチ商法が日本中を席巻。バブル後の日本の街中には落ちぶれた元経営者が溢れたが、大不況を嘲笑うかのように高級車に乗って高級ブランド物を見せびらかせていたのが、新たな詐欺師たちである。「正当なビジネスではもう稼げない」という空気が、このダークな手法にのめり込ませていったが、大金を手にした者は一様に真っ当な事業での成功者を装っていて、それも宣伝手法になっていた。いずれにせよ、詐欺師は人の欲に付け込むのが王道である。金儲けや結婚を餌にしたり、性欲を利用したりすることが基本だが、同じ手口がいつまでも通用しない為、その手法は日々進化する。ただ、その中身は、よく見ればパッケージを変えただけというものも多い。例えば最近、情報商材を利用した手口が横行しているが、これも根本的には全く新しいものではない。抑々、インターネットが普及し始めた1998年頃から存在していた。「3ヵ月で月収100万円以上」「インターネットで1000万円を儲ける」――。こうした表題で、製作費のかからない資材を売る連中が続出したのが情報商材の始まり。インターネット以前に冊子で売られていたものが、インターネットでテキストがより簡単に売買できるようになっただけのこと。セックスや手品のネタばらし、パチンコや競馬の必勝法、人気歌手のコンサートチケット入手方法等もあったが、中でも詐欺の色が濃いのが金儲け情報である。大金が入った通帳や現金の画像等を証拠として載せてPRするが、商品自体は、商売をする上でのコツ等を大量の文字数でアドバイスした程度のもので、大した価値は無い。書店で売られているビジネス書のほうがずっとしっかりしている。それだけに、早々に価格崩壊が起きる。3ヵ月で月収100万円以上という情報は、事実なら20万円で言っても「安い」と思うものだが、何しろ中身は実際にそれなうまい話ではないから、購入者がそのテキストファイルを転売する。直ぐに2000~3000円に価格が下落。そんな安っぽいものに“稼げる”説得力は無くなり、新たに“全自動化”といって、送金からメール送信までを自動にするシステムを売る者も出ていた。

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【日本の聖域】(05) 山口組――報道不可だったトップ批判と派閥闘争、分裂騒動で“山口組タブー”は崩壊した

20180124 09
“菱タブー”の菱とは、日本最大の暴力団である『山口組』の代紋を指す。つまり、マスコミ等が山口組を取り扱うのはタブーという意味だ。ところが、暴力団の代名詞となっている山口組に関する報道は、非常に需要が多いのも事実である。山口組以外の暴力団が殺人事件を起こしたとしても、囲み記事ですら興味を引かないが、山口組の場合には墓参りでも数字が取れる。その為、実話系週刊誌はまるで首相動静のようにトップらの移動を追いかけ、一般誌もまた興味本位の噂話を取り上げることで、荒唐無稽な記事を量産していく。現実的には、暴力団社会の中で最もタブー無く報道されるのが山口組なのだ。だから、菱タブーという言葉はちょっとピントがずれている。語呂のよさからマスコミが連呼しているだけで、実際は暴力団事情全般と考えていいだろう。では、暴力団に関する報道のタブーとは何だろうか? 暴力団にとって不都合な事実がそれにあたる。暴力事件での量刑が重くなった為、一昔前のように出頭せず、迷宮入りを狙うのが一般的となった。だが、オフレコ情報を漏らして報道し、当事者に不可逆的な実害があったとしたら、暴力団はそれなりの落とし前を要求してくるだろう。他にも、盃という疑似血縁関係を結び、親分は絶対という建前を堅持している為、トップ批判は絶対にあってはならないとされている。一枚岩の結束を喧伝している為、内部の派閥闘争はあり得ない建前だから、権力闘争について触れた場合にクレームが来るのは必至だ。親分や組織の看板に対するヤクザの鋭敏さは病的で、正当な批判を一切受け付けない。報道の自由というマスコミの大義を持ち出して撥ね付けるにせよ、暴力的恫喝を飯の種にしている人種を相手にするのは骨が折れ、心労が多い。

下剋上による骨肉の争いが発展した分裂抗争は、本来、暴力団タブーのエッセンスが凝縮されている為、最も書き難い事例である。しかし、旗揚げから100年の記念すべき年に分裂し、6代目山口組に加えて『神戸山口組』が誕生してから、マスコミの暴力団報道は山口組の分裂一色となった。今年4月末には更に離脱組の神戸側が再分裂し、『任俠団体山口組』(※現在は『任侠山口組』に改称)が登場した為、沈静化していた山口組報道は再び過熱している。3つの山口組は其々、相手の弱みを報道させようと躍起になっている。崇拝するトップの顔に泥を塗られたのだから喧嘩しかない筈で、舌戦はヤクザの美学に反する筈だが、マスコミを使うのはタダということだろう。1984年に山口組の竹中正久4代目組長の誕生に納得できない直系組長らが離脱した時以来、約30年ぶりに最後発となった任俠団体山口組が記者会見を開いたのは、自分たちの正統性、言い換えれば神戸山口組批判の全てをマスコミに報道させ、広く周知させようとしたからに違いない。会見場で読み上げた声明文は、嘗ての親分を明確に批判し、非を責めていた。当然、一方的な声明なので全ての裏を取らなければならず、最低限、批判された側の言い分をあたるべきだが、発信元がはっきりしている当事者の言葉なら、「彼らはそう言っている」とクレーム回避の盾になる。週刊誌の中には、声明文の全てを掲載した媒体が少なくなかった。「ヤクザが口喧嘩してどうするつもりや? 日陰者のヤクザが記者会見なんて、世間から笑われるだけや」(神戸山口組幹部)。任俠団体山口組も、その手の批判は織り込み済みだろう。どれだけ批判されようと、自分たちの大義を周知させたかったのだ。山口組が分裂したことで、菱タブーはどんどん薄れている。但し、狡猾な暴力団は、発言の責任をマスコミになすり付けたいと思っている。彼らは任俠団体山口組のように、正面から堂々と相手の批判をせず、あくまで「オフレコの事例をマスコミが勝手に書いた」という筋書きにしたいのだ。その為、記者に相手の批判を話しても、「自分が言ったことは伏せろ」とクギを刺す。相手の関与した未解決事件の詳細を…それも噂にすぎない話を書かせようとしてくる。「ヤクザやっている以上、胸張って言えない暗部は全員持っている。親分と呼ばれていても間違いはあるし、後ろめたいことだってある。シノギをしていたら任俠道なんて言っていられないし、堅気を食い物にすることだってあるだろう。格好いいことを言えば結局、言葉が自分に刺さる。マスコミを使った泥仕合になれば、お互いがピンチになる」(他団体幹部)。マスコミはたとえ親しき仲になっても、「センセーショナルな記事になるなら真実の報道が正義」と言い張って書こうとする。舌戦がエスカレートすれば脅しも通用しなくなる。嘗ての山口組は、山一抗争の泥仕合でマスコミの本質を見せつけられ、全ての組員に接触の厳禁を徹底した。何であれ、何かを得る為にはそれと同等の対価が必要になる。最後に舌戦のツケを支払わされるのは、マスコミを利用してきた山口組に他ならない。 (フリージャーナリスト 鈴木智彦)


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貧困のせいで治療も受けられず…癌患者やシングルマザーが売春する沖縄“最底辺”風俗のリアル

20180124 01
沖縄県那覇市辻は、性風俗店やラブホテルが密集する地域だ。辻町にあるソープランドで売春している女性を取材する為、彼女の勤務先であるソープランドの前で待っていると、スタッフに声をかけられた。「辻で女の子が立っていると変なおじさんに絡まれるから危ないですよ。店の中で待っていて下さい」。どうやら、外に立っていると売春していると勘違いされるらしい。「辻の女の子は、内地から出稼ぎに来ている子と地元の子がいるけど、内地の子は『ホストに遣うお金が欲しいから』って理由が殆ど。地元の子は借金が多いかな。親とか男から虐待されて借金を返しています。沖縄の子は悲惨なのが当たり前ですよ」。スタッフが待合室に案内しながら話してくれた。フロントには、下着姿で笑顔を向ける女性の写真が並んでいる。「私、乳癌なんです。診断を受けてから半年経っているけど、ちゃんとした治療は受けていません」。少し遅れて待合室に入ってきた山城友香(※仮名・38)さんは、丁寧な口調で語り出す。学歴は中卒で、18歳になってからは県内の風俗店を転々としていた。現在は沖縄県北部の某市でアパート暮らしをしながら、月に数回、那覇市内のソープランドで働いている。「普段は、出会い系サイトで知り合った男性からお金を貰ってセックスしています。私の地元は、高速道路を使っても那覇から車で1時間以上かかるんです。毎日那覇に出るのは大変だから、あまり出勤できません」。沖縄には電車が無い。モノレールが走っているのは那覇市内だけだ。主な交通手段はバスか車だが、田舎に行けば行くほどバスの本数は少ない。また、遅れて来ることが多い為、使い勝手がいいとは言えない。その為、どんなに困窮していても、「車を手放したくない」という理由で、車の所有を許されない生活保護の申請を拒否する人が少なくない。

友香さんも生活保護申請を拒否している1人だ。「友人から生活保護を勧められたことがあります。でも、母が入院しているからお見舞いに行かないといけないのに、車が無いと病院に行けなくなるし、那覇に出れなくなったらどうやって生活したらいいのかわからない。今だって、家財道具を売りながら生活しているんです」。友香さんの場合、もう1つ貧困を選択してしまう理由がある。「私が住んでいるとこって本当に田舎で、直ぐ噂が広まるんです。だからって誰かが助けてくれる訳じゃないし、貧乏ってわかったらバカにされるだけ。それなのに生活保護なんて受けたら、今より惨めになるじゃないですか。何言われるかわからない恐さより、保護を受けずに癌が酷くなるほうがマシです」。沖縄の人は「情に厚く、穏やかな性格をしていて、他人に優しい」という本土からのイメージとは裏腹に、自分より立場が弱い人を見つけた瞬間、意気揚々と攻撃を始める。勿論、家族に助けてもらえることもあるが、それでも徹底的にどん底に落ちてからだ。ある日、那覇市内のカフェで電話をしている女性を見つけた。電話の内容から推測するにシングルマザーだ。如何にも沖縄という感じの色黒で、体格がよい上にぽっちゃりしていて、茶色の髪の毛が中途半端に伸びている不潔な感じ。不幸そうなオーラを出していた女性に声をかけてみた。最初は警戒していた宜保ユキ(※仮名・33)さんだが、1時間ほど話していると饒舌になった。「実は最近、離婚して沖縄に戻ってきたんです。元旦那も沖縄の人で、一緒に県外に出稼ぎに行って、そこで子供ができたから結婚しました。だけど、旦那が殴るようになったんです。子供が自閉症なんだけど、それも全部お前のせいだって。2人目を妊娠している時も、痣が無い日が無いくらい暴力を受けていました。で、我慢できなくなって子供2人を連れて、お財布だけ持って逃げたんです」。沖縄県のDV被害は、人口10万人あたりの保護命令件数が全国平均の2倍。つまり、彼氏や旦那から暴力を受けている女性が多いということだ。「旦那から逃げて沖縄に戻ってきたのはよかったけど、持っていたお金は飛行機代で無くなったから泊まる場所が無いし、子供にご飯を買うお金も無かったんです。コンビニに置いてある風俗の求人雑誌を見て、直ぐお店に電話しました。お店の人からホテル代を借りて、その日の夜から子供を夜間保育園に預けて出勤しました。3ヵ月くらい経ってからやっとアパートを借りて、実家に連絡できる状態になったんです。今は実家を頼れるようになったから、昼間の仕事を増やして、あまり風俗には出勤しなくなりました」。ここまで話すと、心なしかユキさんの表情が明るくなったように思えた。きっと、話し相手に飢えていたのだろう。後日、乳癌の友香さんから紹介してもらった“癌友だち”の大城佐恵子(※仮名・32)さんと会うことになった。「遅れてすみません、あの…ビール飲みたくないですか? 私がお金を出すんで、お寿司食べながらお酒飲みませんか?」。待ち合わせから3時間遅れて来たにも拘わらず、特に悪びれた様子はなく、第一声が飲みのお誘いだった。しかも呂律は回っていないし、小刻みに震えている。明らかに様子がおかしかった。

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【昭和&平成放送禁止大全】(19) 殺人事件発生で放送中止のとばっちりを受けた『ひぐらしのなく頃に』

20180123 06
2000年代前半に大人気となった『ひぐらしのなく頃に』。この作品の殺人描写が、実際の事件と関連付けられて報道され、アニメ版の放送が一時中止に追い込まれたことがある。ひぐらしは元々、2002年から発表されたパソコン用の同人ゲームだった。口コミで人気が広がり、漫画、アニメ、ドラマ化、実写映画、ノベライズ、パチンコとメデイアミックスが広がった。漫画版の累計部数は2006年までに800万部を突破している。舞台は昭和50年代の架空の山村・雛見沢村。毎年行なわれる神事『綿流し』の日に起きる連続怪死事件の真相を追うという内容だ。東京から引っ越してきた前原圭一という少年は、新たな友人と楽しい学校生活を送っていたが、過去に村で起きた陰惨な未解決事件の噂を耳にしたことから、日常は綻び始める――。可愛らしい少女たちが出てくるが、展開されるのは横溝正史の『八つ墓村』のような伝奇ミステリーだ。ひぐらしは猟奇的な殺人描写が頻出する。その為、「少年少女の殺人事件に影響を与えたのでは?」とするマスコミ報道が相次いだ。発端は2007年9月18日、京都府京田辺市で、16歳の少女が警察官の父親の首を切りつけて殺害した事件だった。犯行に使われた凶器が斧だったことから、ひぐらしと関連付けて報道されるようになった。ひぐらしを加害少女が知っていた証拠は何も無かったが、まるでひぐらしを真似て犯行に及んだかのように新聞やテレビで報道された。犯行翌日のスポーツ紙の記事はこうだった。「警官の父の首 おので切る 16歳ニ女逮捕――二女は中学の卒業文集で、将来の夢としてマンガ家などを挙げていた。山村の連続怪死事件を描いたゲームソフトで、コミック化もされた“ひぐらしのなく頃に”に登場する少女が、おのを使用する場面があり、ネット上では事件との関連を指摘する声が上がっている」(※『サンケイスポーツ』2007年9月19日付)。確かに、ヒロインの1人である竜宮レナが斧で大人を殺すシーンは原作にあるのだが、あまりにも恣意的な報道だった。事件当時、ひぐらしシリーズの後編にあたる『ひぐらしのなく頃に解』が全国の地方局で放送中だったが、事件の影響を受けて一部の局が放送を中止した。

『東海テレビ』は9月20日の第12話の放映を休止して、そのまま打ち切った。『テレビ埼玉』は10月1日の第13話で放送を打ち切った。東海テレビは当時、「衝撃的な事件の直後で、民放連の放送基準に基づき、視聴者に不快感を与える可能性を考えて判断した」と中止理由を説明した。アニメの製作委員会の幹事会社である『フロンティアワークス』の団野喜人は、次のように悔しさを滲ませる。「放送中止したテレビ局に対して、私たちは何度も放送再開をお願いしたんです。『この作品は決して殺人を肯定している訳ではなく、寧ろ殺人を否定している。それなのに、一部分だけをマスコミに取り上げられて、間違った見方をされている。放送を止めたらテーマがきちんと伝わらず、間違った見方を認めることになってしまうのでは?』と。公共の電波を預かっている彼らの立場もわかるのですが、作品全体のメッセージを汲んで頂きたかった。それでも、一部の局には残念ながら聞き入れてもらえませんでした」。2008年には、青森県や埼玉県でも未成年者の家族殺害事件が起きている。その際、やはり加害者の少年少女がひぐらしの漫画を愛読していたとして、犯行と結び付けられて報じられた。何故、ひぐらしが殺人を引き起こす“魔の作品”とされたのか? 当時の報道をした新聞記者に尋ねると、こんな言葉が返ってきた。「社内で、『事件とゲームの関連性を拡大解釈して記事にできないか?』という要請があったんです。実際にひぐらしのゲームをやったり、アニメや漫画を観たことはないですね。秋葉原に代表されるオタク文化ってエイリアンなんですよ。特定の若い世代にはわかっても、それから上の世代には全く意思疎通の不可能な異種の存在です。そういった意味で、何かの事件が起きると、“狩り場”としてマスコミがネタ元に使っているという側面は否めないですね」。ひぐらしは謂わばわかり易いスケープゴートとして、マスコミに食い物にされていた。こうした風潮に対して原作者の竜騎士07氏は、ウェブメディア『オーマイニュース』の2007年のインタビューで次のように反論していた。「“ひぐらし”と事件は関係ないし、ましてや“ひぐらし”が殺人を産み出したとは思えません。“ひぐらし”は殺人を否定している物語です。何か問題が起きた時、暴力に訴えたり、誰も相談せずに独りよがりに解決しようと暴走したら、必ず悪いことが起きるように描いています。悩みや問題が生じた時、それを社会的ルールに則って解決するにはどうすればいいか、の模範解答を描いた作品なんです」。創作物が安易に事件と結び付けられて報じられるのは、今に始まった話ではない。ひぐらしの場合には、原作者を初めとしたクリエイター側がきちんと反論したことで、封印作品になることを免れた良い例だろう。 (取材・文/『ハフィントンポスト』日本版ニュースエディター 安藤健二)


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