『6代目山口組』から怒りの通達! 織田絆誠“永久追放”の衝撃

『神戸山口組』と『任侠山口組』の対立を泰然と眺めていた『6代目山口組』陣営が、遂に動いた。神戸の最高幹部らに加え、任侠の織田絆誠代表を永久追放するとの内部通達を発したのだ。これまで山口組の“大統一”を主張してきた織田にとって、求心力の危機が生まれつつある――。 (取材・文/フリージャーナリスト 柳沢十三)





20180530 01
2018年3月5日、『6代目山口組』では、出席可能な直系組長らが全国から集結して、毎月恒例の定例会が開催された。通常通り、午後1時頃にスタートした会合は15分程で終了。直系組長らを乗せた高級車が続々とガレージのシャッターを潜って、総本部を後にした。この様子を、総本部前に駆け付けた地元警察の捜査員らやマスコミ関係者らが見届けていた。しかしその中には、会合があまりにも短時間で終わってしまったことに拍子抜けした者も少なからずいた。実話誌系週刊誌のヤクザ記事担当記者も、その1人だった。「何といっても3月度の定例会での目玉は、2代目兼一会の植野雄仁会長の処遇。6代目側の橋本弘文統括委員長が統率する極心連合会に舎弟として加入することが2月22日に明らかになっており、今回の定例会では、山口組直参への昇格が早速発表されるという噂が流れていたんです。ですから、『会合がいつもより長引くだろう』と予想されていました」。植野会長は2017年7月、『神戸山口組』の中核組織である『4代目山健組』のナンバー3である統括委員長に就任した人物。そんな要人が2月11日に山健組から絶縁処分を受けている。僅か半年程での放逐劇は、ヤクザ業界に大きな衝撃を与えた。前出の記者が話を続ける。「植野会長がトップを務める兼一会は、ヤクザ激戦地である大阪のミナミに強力な地盤を築いている一方、関東地方にも太いシノギのパイプを持っています。戦闘力・経済力・組織力のいずれもが傑出しており、6代目側の直系組織と比べてもひけを取らない。いつ極心連合会から内部昇格を果たしても不思議ではないレベルなんです。ただ、植野会長が絶縁処分を受けてから未だ日が浅い為、今回のタイミングでの直参昇格は、山健組始め、神戸側全体を刺激することに繋がると判断して、見送ったのかもしれません」。

だが、この日の6代目陣営では、植野会長の処遇以上のサプライズが炸裂した。定例会終了後に各直系組織に伝えられた内部通達には、多くの者が耳を疑った。それは、既に6代目側から去った有力直系組長らに対しての“永久追放宣言”だったからだ。列挙された神戸側の井上邦雄組長を始めとする親分衆の実名は、多くの業界関係者に波紋を広げることとなった。先ずは6代目側の傘下組織元幹部に話を聞いた。「神戸側の井上組長を筆頭に、入江禎副組長(※『2代目宅見組』組長)、池田孝志最高顧問(※『池田組』組長)、寺岡修若頭(※『俠友会』会長)、正木年男総本部長(※『正木組』組長)の5人を永久追放するとの通達が出された。やはり6代目側は、神戸側に対して“許すまじ”の印象を頑なに抱いていることがわかる。まぁ、この5人は分裂の張本人だから当然だろう」。1月には神戸側の寺岡若頭が、会合で「6代目側に戻ることはあり得ない」と決別の意志を再確認しており、それに対抗して6代目側が強硬な姿勢を示したとの見方もできそうだ。「追放対象に挙げられた神戸側の親分衆の名前を聞いた時、6代目側の怒りの深さと同時に、『何故今頃になって追放宣言をしたのか?』と疑問を感じた。神戸側の5人には、2015年8月の分裂が発生した直後、直ぐに6代目側から絶縁処分が下され、全国の各団体に回されていたからだ」(同)。山口組では、“絶縁”よりも一段軽く、復帰の望みが残されている“破門”処分者ですら、許された前例が無い。にも拘わらず、改めて処分を出した背景には、何か意味合いがある筈だ。これについて、6代目側の傘下組織元組員が説明してくれた。「定例会での追放処分には続きがあって、実は神戸側の5人の他に、任侠山口組の織田絆誠代表の名前も含まれていたんだよ。そうなると意味合いが随分変わってくる。恐らく6代目側は、織田代表に対して追放処分を出したかったんだろう。しかし、織田代表の名前だけを挙げればあまりにも目立つし、6代目側が織田代表を強く意識していることが誰の目にも明らかになってしまう。だから、既に絶縁されている神戸側の5人をオブラート代わりに使ったのではないか」。ここで、「何故、今回の追放処分の真のターゲットが織田代表1人だったのか?」という新たな疑問が湧いてくる。長らく山口組を追ってきた夕刊紙のヤクザ記事担当ベテラン記者が、次のように教えてくれた。「司組長は、最初の分裂が起きた後に、『罪の無い若い者に対しては非を咎めない』との心情を、6代目側の直系組長らに手紙で伝えていた。井上組長ら首謀的役割を果たした者らは許さないが、従わざるを得なかった者らにはいつでも戻れるようにするということだ」。

続きを読む

テーマ : 暴力団
ジャンル : ニュース

「掟を守れば白石隆浩は殺人を犯すことはなかった」…ベテランスカウトマンが明かす歌舞伎町の闇

20180529 07
歌舞伎町の繁華街で“さくら通り無料案内所店長”なる名刺を差し出してきた30代の男・Hは、何と神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件の大量殺人鬼・白石隆浩の元上司だという。「言っておくけど、さくら通り無料案内所なんて存在しないから。似た名前の店はあるけど、こっちは適当。だって、俺がやっているのは完全に裏仕事だから。裏仕事にはシングル、ダブル、トリプルがある。シングルは客をぼったくり店に案内するか、女のスカウトなんだけど、ダブルは両方。スカウトは女をぼったくり店で働かせたり、AVや風俗に送り込んだり、ホスト遊びに沈めることもある。トリプルは更に危ない汚れ仕事で、襲撃、恐喝、麻薬とかやる。俺はダブル専門で15年くらいやっているね。白石も4~5年前に入ってきた時は、ダブルで調子よくやって月200万ぐらい稼げていたのに、カネを中抜きしたり掟を守らないから仲間から外された。それで格闘技興行のマネロンとか、振り込め詐欺やっている池袋の半グレの連中とくっついて、地方に売春婦を送る仕事やって逮捕された訳。ちゃんとやっていればずっと大金を稼げたのに、バカだよ。殺しまでしちまってさ。歌舞伎町は締めつけ厳しいといっても、一線さえちゃんと守れば年収2000万円ぐらいキープできる。スカウトは、テンション高いバカ女、メンヘラ、大人しい女とか、相手によって色々送り先を決めるけど、服装がきっちりしてるのは大体ダメ。おしゃれしてもどこかだらしないところあればいける。ホスト(※売り)掛けある子もそう。俺がカネを貸して言うこときかせることもあるけど、商品にする女とは絶対やらない。それやると嫉妬するのが出て敵増やすんだよ。あと、気をつけるのは女の背後に権力者とか不良とか付いてないかどうか。さりげなく『実家、金持ちっぽいね』とか聞いて、親が政治家とか警察官とかは止めとく。ヤクザや半グレの女も大体雰囲気でわかるけど、警察は今、女絡みのトラブルだけは煩いから、揉め事は避けるのが一番重要。最初は『キャバクラで働かない?』って普通のスカウトの振りするけど、真面な店に紹介しても稼げないから狙いは裏一本。『もっと稼げるのあるよ』って言う。ぶっちゃけ、人前で裸になってセックスできるかどうかだけど、人生投げやりになっているとか、カネの為なら小便でも飲める壊れた女が一番いい。最近、事業で成功した中国人とかがそういうのに高いカネを出すんだけど、中国人は口が堅くて本国から仲間を連れてくるから太客なんだよ。名刺? こんなもん本名じゃねぇし、どうでもいいから雑誌でも何でも載せりゃいい。そんなのでパクられるなら、俺はとっくに牢屋にいるよ。20年後も俺が稼ぐシステムはがっちりできている」。今後も極悪スカウトマンによる被害は後を絶ちそうにない。 (取材・文/編集プロダクション『NEWSIDER Tokyo』 片岡亮)


キャプチャ  2018年5月号掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

狂った桜、ある警察官の裏仕事――ヤクザのカネで闇金ビジネス、マスコミが報じなかった奇妙な理由

日常茶飯事過ぎて最早大きな話題にすらならない警察官の不祥事。だが、ある現役警察官の汚職事件は、日本警察の中枢である警視庁を揺るがす事態にまで発展していた。マスコミにも情報が漏れ、真相が明らかになると思われたが――。組織維持の為に身内の事件を隠蔽する警察。気鋭のジャーナリストが、その全貌をここに告発する。 (取材・文/フリージャーナリスト 安藤海南男)





20180529 04
「おい、あの話が週刊誌に出るらしいぞ!」――。筆者の元にかかってきた1本の電話。スマートフォンの画面には、直前まで杯を酌み交わしていた男の名前が表示されていた。通話ボタンをタップし、流れてきたダミ声。受話器の向こうから聞こえるその声からは、緊張の色が滲んでいた。「ひょっとして、あの巡査部長の件ですか?」。酒席での会話を反芻しながら筆者がそう応じると、捲し立てるように言葉を吐き出した。「そうだよ! 警視庁の広報に週刊誌から当たりがあったらしいんだ。どこまで捲れる(※表沙汰になる)のか…」。視線の先にある卓上のデジタル時計は、暦が3月に変わることを告げていた。『警察官が暴力団マネー元手に“ヤミ金経営”の重大問題』。そんな見出しが付けられた『週刊ポスト』の記事がインターネット上に配信されたのは、それから3日後の3月3日のことだった。「東京東部の警察署に勤務する巡査部長が暴力団組員から接待を受けた上、金銭の提供を受けた。さらにその金を元手に高金利で金貸しをしている」。記事はそう疑惑を報じていた。警視庁を直撃したこの醜聞が関係者の口の端に上り始めたのは、実は昨秋頃のことだ。警察とヤクザら裏社会の住人は、“取り締まる側”と“取り締まられる側”という対立関係にありながらも、互いの内部情報をやり取りし合う間柄でもある。其々の身内の不祥事というのは格好の話題の種。“法の番人”たる警察官の醜聞が拡散していくのに時間はかからなかった。

年末までには、警察当局のみならず、警視庁担当の記者らマスコミ周辺にも漏れ伝わり、ヤクザが共有する情報ネットワークの網にも引っかかるようになっていた。筆者の元に情報の断片が続々と届き始めたのも、この頃だった。現役の在京組織幹部は、“付き合いのある警察官の話”として、こう言った。「調べられているデコ(※警察官)がいるらしいな。本部の組対(※暴力団等の組織犯罪を捜査する警視庁組織犯罪対策部の略称)の人間って聞いたけど」。別のマル暴(※暴力団担当の警察官)OBは、こう耳打ちした。「既に現場から外されて逮捕目前らしい」。この一件を伝え聞く現役・OB含めた複数の警視庁関係者やマスコミ関係者への取材を重ねるうちに、“汚職デカ”の影は徐々に形をなしていくようになっていった。しかし、あくまでおぼろげだった。その輪郭をくっきりと浮かび上がらせることになったのは、ある男の証言だった。「調べられているのは、警視庁に勤務するXという刑事。年齢は40代で、妻も子供もいる」。核心的な情報を齎したのは、古くから“情報屋”を生業としてきた加藤(※仮名)。冒頭の電話の主だ。政財官界、更には芸能・スポーツ界に繋がる人脈を持ち、組織や個人の恥部を探り出すことで禄を食んできた。裏情報の提供役である“ブラック”の1人として知られる加藤と記者たちの共犯関係は、数十年に亘って続いてきた。警察内部にも複数の情報源を持つ加藤は、事の顛末をこう解説する。「Xは、付き合いのあった指定暴力団住吉会系の組員から繰り返し飲食の接待を受けていた。しかも、組員から受け取ったカネで金貸しもやっていたという話だ。既に監察の取り調べを複数回受けているようだ」。監察とは、警視庁警務部人事1課監察係のことを指す。警察内部の総務・広報・会計を担当する警務部の中で、人事を司るのが人事1課と人事2課。庁内きってのエリート集団とされ、課長には警察庁の中でも特に優秀なキャリアが就くとされている。監察係はその人事課で、不祥事を起こした警察官の捜査に当たる実働部隊である。俗に“警察の警察”と呼ばれ、彼らの内偵を受けるということは、警察官としてのキャリアの“死”を意味すると言われている。国や都道府県への登録無く貸金業を営む“闇金融”は貸金業法違反にあたり、これだけでも国家権力の担い手であるXの背信行為は明白だ。しかも、その違法行為の資金が、警察組織が組織的犯罪集団として反目する暴力団から渡っていたとすれば、警視庁の威信が大きく揺らぐ。筆者がXの行状を掴んだ前後に、複数のマスコミも同様の情報を得たとみられ、Xを捜査する人事課への当たりも複数あったのだという。そうしたマスコミの動きに対して、警視庁は素早く“牽制球”を投げた。複数の関係者によると、人事課はXの不祥事の大まかな内容については認めたものの、「捜査が済んでおらず、処分も決まっていない。報道は控えてほしい」と要請した。状況が変わることがなく1ヵ月が過ぎ、2ヵ月が過ぎる。警視庁による“火消し”は奏功したかに見えた。週刊ポストの報道が出たのは、そんな最中のことだった。

続きを読む

テーマ : 暴力団
ジャンル : ニュース

【The CONFIDENTIAL】(24) 財務省、借りたままの6000億円

「財務省は6000億円を返してほしい」――。交通事故で重い障害を負った家族を持つ被害者団体が声を上げている。被害者支援の為に積み立てられた資金を、財務省が借りたままにしているのだ。再生医療が進み、被害者に光明が差すが、費用は増大する。いつ基金が底を突くかわからない。





20180522 06
「10億円でも20億円でも返してほしい。でないと安心できない。召し上げられてしまうのではないかと不安だ」。『全国遷延性意識障害者家族の会』の桑山雄次代表(61)は、こう話す。桑山さんの息子・敦至さん(30)が交通事故に遭ったのは1995年6月、7歳の時だ。大阪府交野市の家の近くで道路を横断しようとした小学2年生の敦至さんを、車が撥ねた。頭から地面にぶつかり、頭蓋骨を骨折、救命病院に運ばれた。何度も危ない局面を乗り越え、一命をとりとめたが、遷延性意識障害という重い障害が残った。その凡そ1年前。桑山さん親子が将来直面する重要な取り決めが政府内であった。細川護熙内閣の藤井裕久蔵相と伊藤茂運輸相の間で交わされた覚書だ。細川内閣は赤字国債を発行しないことを公約にあげる等、国の財政健全化を掲げていた。1年に満たない短命政権に終わる原因となった“国民福祉税”構想を記憶している人も多いだろう。そんな中で旧大蔵省が着目したのが、旧運輸省の“自動車安全特別会計”だ。同特別会計は、自動車保有者が強制的に加入させられる自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料の運用益からなる。1994~1995年度合わせてその額、約1兆1200億円。これを大蔵省が管轄する一般会計に繰り入れ、つまり借り入れた。その後、2003年度までに6860億円が返済されたが、残りが返済されないまま15年が経過。6169億円が借りたままになっている。桑山さんが、24年前のこの事実を知ったのは2002年頃。自賠責保険の運用ルールが変わり、交通事故被害者の救済に充てられるようになったことが発端だ。

それまで自賠責保険の保険料は保険会社や国が運用していたが、2002年に制度が変わり、約2兆円の運用益の内、約8700億円が自動車安全特別会計として被害者対策に充てられることになった。だが、この大半は一般会計に貸し出され、実際に使える基金は約2600億円(※当時)のみ。桑山さんは、「無茶苦茶やな。事故の被害者のお金に手を突っ込んで返さないということか」と当初は感じたという。同居する母親の介護もあり、桑山さんは50歳まで25年間勤めた高校教員を退職。妻と介護生活を送る。退職金や賠償金で食い繋ぐ生活の中で、基金から3ヵ月毎に支給される介護料は30万円。訪問リハビリやおむつ代、敦至さんをお風呂に入れる為のリフトのレンタル代等、毎月10万円は介護費用で消える。「持ち家だから何とかやってこれた」。特別会計からは、全国に計8ヵ所ある、交通事故で重度障害を負った人をケアする療護センターの運営費や委託費等を拠出している。バスやトラック運転手の適性判断等、交通事故を防ぐ費用にも充てられている。国交省によると、一連の費用に年間で約130億円がかかる。20億~30億円は運用益で賄うが、100億円は特別会計の積立金からの持ち出しだ。積立金は予想外の低金利も重なって、2017年度末で1786億円まで減る見込み。あと十数年で底をつく計算だ。「80代の親が介護料を頼りに子をケアしている家庭もある。先行きに不安を持つ人は多い」(桑山さん)。桑山さんは家族の会代表として、ここ数年は毎年10~11月に財務省主計局に特別会計への返済を要請してきた。その度に、「2018年度に返すという契約ですから、それまで待って下さい」と言われてきた。今年は先月7日に主計局を訪ねたが、「重要なのはわかっていますが…」と躱された。今月18日、麻生太郎財務大臣は「この問題は私の任期中に解決しなければ」と話し、石井啓一国土交通大臣との会談に臨んだ。結果、財務省は2018年度政府予算案で15年ぶりの返済を決めた。先ず、借りている約6169億円の1年間の利払い費にあたる13億円を返済する。今後は毎年返すという。これとは別に、2018年度予算では特別会計で毎年計上する関連予算を11億円上積みし、重い後遺障害のある被害者を受け入れる委託病院を増やす等、事業を充実させる。これまで7年毎だった返済期限は4年毎に縮めるという内容だ。ある財務省幹部は、「財政状況は厳しく、今は全額返還が難しい。せめて今後も事業が永続することを担保するという姿勢を示したかった」と、苦しい本音を吐露する。国交省は、今後も返済の継続と増額を働きかけていく意向だという。「一般会計に取り込まれたままになる可能性もあった」(同省関係者)だけに、前進と捉えている。しかし、自動車安全特別会計の運用益は今、年20億~30億円だが、数年内には数千万円までに減る。毎年の持ち出しも依然として続き、目減りしていくことは間違いない。同省の小林豊参事官は、「特別会計が足りなくなってきた時に、必ずお金が返ってくるのか確認することが大事だ。被害者から不安の声が上がっていることも、重く受け止める必要がある」と話す。

続きを読む

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【神社&仏閣が危ない!】(03) 不可解な不動産取引も発覚! 神社界のカネと組織の全貌

20180521 07
『神社本庁』と聞くと国の官公庁と思われるかもしれないが、実は民間の一宗教法人に過ぎない。故に、本庁に所属しない単立神社も全国に数多く存在する。但し、本庁組織は宗教法人の中でも破格の規模を誇る。所属する被包括神社は7万8833社、信者数は日本人の大半に相当する約7460万人とされる。企業に例えれば、本庁は本社で、都道府県の神社庁は支社、地域の支店に当たるのが支部だ。本庁の実質的な事務決定機関として世俗的機能を担うのが、評議員会選任の理事で構成される役員会だ。その代表役員である総長は、『石清水八幡宮』宮司の田中恆清氏。理事の多くは、神社界の大企業に相当する別表神社等有力神社の宮司だ。因みに、平の理事の年間報酬は20万円程だが、総長は1500万円近くに跳ね上がる。

収益構造はどうか? 先ず、歳入として最も大きいのが本宗交付金だ。これは、本宗の『伊勢神宮』が発行するお札『神宮大麻』の売り上げの一部であり、歳入総額の6割超を占める。全国の神社は、伊勢神宮が配る神宮大麻を氏子らに販売し、売り上げは神社庁を経て伊勢神宮に上納される。その半分程度は伊勢神宮の懐に入り、残りが本宗交付金として本庁に納められる仕組みだ。但し、この収入は神宮神徳宣揚費交付金という形で、再び神社庁を通じて各神社に還付される。神宮大麻の販売数に応じて各神社が支払う特別納付金(※約7億円)が本庁に入るが、神宮大麻の売り上げそのものは本庁に残らない。この“還流システム”は、神宮大麻の売り上げが神社の手数料収入として課税対象となるのを防ぐべく編み出された。従って、本庁の純粋な収益の柱は負担金と特別寄贈金となる。負担金は被包括神社が納めなければならない“会費”、特別寄贈金は本庁に対する“寄付金”と考えてよい。特別寄贈金の年額は、金満神社の2トップである『熱田神宮』で約1500万円、『明治神宮』で約1000万円という。この他、各神社は本庁の政治部隊『神道政治連盟』にも毎年、特別寄贈金の半額程度を目安に“協賛金”を上納している。だが現在、本庁への特別寄贈金や協賛金の拠出を渋る神社が増えている。本庁組織を揺るがしかねない“上納金ボイコット”の背景に、一体何があるのか? 次回以降明らかにする。


キャプチャ  2018年3月24日号掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【ここがヘンだよ日本の司法】(07) 訴状も書けない若手弁護士たちの実情

弁護士の増加は様々な問題を生み出している。現在、訴状すら真面に書けない若手弁護士が急増しているという。 (取材・文/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

20180521 03
「司法試験をパスして、修習修了前には“二回試験”もきちんとクリアしている筈なんです。だから、若手と雖も弁護士が書式ひとつ書けないなんてことはあり得ない話なんです」――。『東京第二弁護士会』に所属するべテラン弁護士(50代)は、受任した離婚訴訟で、相手方代理人弁護士が送ってきた書面をみて驚いた。「書き方の基礎どころか、日本語力すら怪しいような感情的な文章の羅列なんです。何度読み返してもさっぱり要領を得ない。仕方なく電話で尋ねると、大声でキレて喚く始末。これだと正常な弁護士同士の交渉ができません」。確かに、交渉事を業とする弁護士の世界では、稀に戦術のひとつとしてキレたり、喚いたりすることもあるという。だが、そんなテクニックを駆使する弁護士ほど書式はきちんと書く。「民事訴訟なら反対尋問時、示談交渉なら交渉時、声を荒らげたり、他人から見て些か行儀悪いなと思われる態度を取るのは、あくまでもパフォーマンスだからです。今も昔も、そんな先生は滅多にいませんけどね。1年間の業務で1件、多い年で2件あれば多いという印象でした」。溜め息交じりにベテラン弁護士が言う。

今から20年程前までなら、たとえ書式がきちんと書けない弁護士でも、交渉で対面した際には意思疎通はできたものだ。しかし、ここ10年、意思疎通できない弁護士が増えている。「ファックスで送信した書類を、アポ無しで当職のところまで態々持ってきて、『納得できないので法的措置に入ります』と告げに来た先生もいました」。前出のベテラン弁護士が頭を抱えながら話す。「たとえ即独(※弁護士登録して即独立したという意味)で、誰からも実務を教わっていないにせよ、司法修習ではそれなりに書式の書き方は教わっている筈です。こんな弁護士が増えたのでは、市民の権利はとても守れない」。こうした新司法試験制度実施以降、伝えられる若手弁護士の質の低下を、このベテラン弁護士は次のように語った。「自分で調べる、最悪、裁判所の書記官に聞く、横の繋がりがある弁護士会の伝手を利用して、他の弁護士から教わるくらいの知恵はあってよさそうなもの。それができない先生が増えていること自体、司法制度の危機かもしれない」。そんな訴状ひとつ書けない弁護士の被害にあったのがAさん(45歳・女性)だ。離婚調停を依頼したものの、一向に書面が進まない。漸く出来上がったものの、パソコンスキルが無いのか、印鑑を押す位置がとても不格好だった。「こちらの意図も正しく伝わらないし、調停も進まないので、結局、別の弁護士に依頼しました。10万円と安価だったのでお願いしたのですが、結局、無駄金になってしまいました」。弁護士業界の信用にも関わるこの手の問題に対処すべく、今、ベテラン弁護士の間では、「実務経験の無い弁護士の為のOJTの機会を設ける」等の対応が考えられているという。果たして、それで解決する問題なのだろうか? 今後の動向が注目される。


キャプチャ  キャプチャ

テーマ : 刑事事件・裁判関連ニュース
ジャンル : ニュース

絶縁された『山健組』ナンバー3を『弘道会』が拾えなかった理由

神戸と任侠陣営から離脱した者たちを次々に吸収することで、『弘道会』は目下急速に勢力を拡大している。そんな中、『山健組』で若頭に次ぐ序列を誇る最高幹部が絶縁処分に遭った。山健組の凋落を象徴する内紛は、“3つの山口組”の争いにどう影響するのか――。 (取材・文/フリージャーナリスト 柳沢十三)





20180516 03
2月7日、衝撃的な一報がヤクザ業界を走り抜けた。それは、「大阪にある神戸山口組の傘下組織に、任侠山口組の関係者らが殴り込みをかけた」との内容だった。その為、業界は勿論、情報をキャッチしたマスコミも混乱状態に陥った。殴り込みの現場へと急いで駆け付けた全国紙関西支局社会部記者は語る。「周知の通り、昨年9月に任侠側の織田代表が襲撃された事件では、代表のボディーガード役だった組員が射殺されています。我々は直ぐに任侠側からの報復が始まると踏んでいましたが、これまで不気味な沈黙が続いていました。そんな中で、遂に任侠側が報復に動いたと判断して、ミナミの繁華街から近い現場にマスコミ各社が集結したんです」。現場は、神戸側の中核組織『4代目山健組』直系である『2代目兼一会』の本部事務所前だった。同日未明、100m程離れた任侠側直系組織の事務所から、組員らが兼一会本部に押し掛け、出てきた兼一会組員らとの間で乱闘となったという。この争いを目にした通行人による通報で地元警察が駆け付け、怪我人も出たことで、傷害事件として処理された。だが、警察サイドへの取材等から浮かび上がってきたのは、意外な事実だった。「この乱闘が起きる前に、神戸側直系の太田興業の幹部が、兼一会事務所の隣に建つ植野雄仁会長の自宅に、酒に酔った状態でアポ無し訪問していたようです。真夜中の酔客とあって、対応した組員は『親分は体調が悪く、伏せているので、お引き取り願いたい』と丁重に断わりました。ところが、それでも幹部が植野会長との面会を求めた為、互いに熱くなって手が出てしまった模様です。また、この幹部とは個人的に仲が良く、当日も一緒に飲んでいた任侠側の土倉太郎相談役は、騒動を止めようとして事件に巻き込まれています」(大手テレビ局社会部記者)。

この騒ぎを耳にした近くの任侠側直系組織の組員らが、土倉相談役を助けようと加勢したことで、一時的に“任侠側が神戸側に殴り込み”の構図に見えたようだ。しかし、その実態は神戸側での内紛だった。大阪市内で活動する他組織幹部が、トラブルの発端について説明してくれた。「暫く前に、兼一会が面倒を見ていたミナミのある店が閉じたんだよ。その後、同じ物件で新しい店が始まったんだが、何故か太田興業が面倒を見ることになっていた。これに対して兼一会側が『おかしいだろう』と太田興業側に詰め寄ったのが、争いの始まりだ」。同門なら譲り合いそうなものだが、「そんなお行儀よくしていたら、ここミナミという土地では食っていけない」と同幹部は言う。「6代目山口組もいれば任侠側もいるし、半グレが幅を利かせていた時代もあった。そういう激戦地で血塗れになりながらも生き抜いてきたプライドが、兼一会にはある。彼らが絶対に退くことはないよ」。大阪のミナミは昔から国内有数の歓楽街として知られてきたが、ここ数年は『関西国際空港』を利用する格安航空会社が急増。それに比例してアジア圏からの観光客が爆発的に増えている。近畿運輸局のデータによれば、2012~2016年までの5年間で大阪を訪れた外国人の数は約5倍に拡大し、1000万人に迫る勢いだ。「アジア系外国人は、如何にも大阪という雰囲気が漂い、派手でコテコテの難波や心斎橋があるミナミを特に好む。おしゃれなキタにはあまり惹かれないらしい。リピーターもミナミのほうが断然多くて、団体の買い物客でいつも混雑している」(大阪の宿泊業界関係者)。その為、彼らが落とす莫大なカネを巡って、ヤクザ組織の競り合いがミナミでは過熱しているのだ。兼一会での騒ぎは怪我人が出て警察沙汰になったが、「いずれは穏便に解決するだろう」との観測が当初は大勢を占めていた。しかし、同13日に再び驚きのニュースがヤクザ業界を震撼させた。この日開催された山健組の定例会において、山健組のナンバー3として統括委員長を務める植野会長の絶縁が明らかになったのである。事件発生からこの処分に至るまでに、どういった経緯があったのだろうか? 「兼一会本部での事件の翌8日に、兼一会の上部団体である山健組の最高幹部と、太田興業の最高幹部が顔を揃えて話し合いが行なわれた。その席上、証言や証拠から考慮して、太田興業の幹部側に非のあることが判明したそうだ」(神戸側の傘下組織元幹部)。通常の業界トラブルなら、ここで太田興業や幹部に対し、何らかの処分が出され、事件は水に流される筈だった。しかし、そう簡単には話が進まなかったという。「山健組と太田興業の関係者らの話を総合すると、山健組から出席した中田浩司若頭から太田興業には具体的な処分が求められず、太田興業からも自発的な処分の申し出が無かったようだ。中田若頭は山健組のナンバー2とはいえ、格上の神戸側直系である太田興業に処分を出せる立場にはないので、上の対応を待つしかなかったということだ」(関西地方に拠点を置く他組織幹部)。

続きを読む

テーマ : 暴力団
ジャンル : ニュース

【神社&仏閣が危ない!】(02) 「怨霊となって祟り続ける」…骨肉の争いで済まない闇

20180514 08
「私は死後に於いてもこの世(※富岡八幡宮)に残り、怨霊となり、私の要求に異議を唱えた責任役員とその子孫を永遠に崇り続けます」――。富岡長子宮司を殺害したとされる、長子氏の弟で『富岡八幡宮』の元宮司・富岡茂永容疑者が、犯行前に各所に送った手紙は、本誌編集部にも届いた。昨年12月7日夜、茂永容疑者は妻と共謀し、富岡八幡宮に車で帰宅した長子さんを日本刀等で切り付けて殺害。車を運転していた神社職員に重傷を負わせた後、妻も刺殺し、自殺したとされる。警視庁は茂永容疑者と妻を殺人等の容疑で、被疑者死亡のまま書類送検したというのがあらましだ。事件を巡って、「若し神社本庁が長子氏を宮司にしていれば、神社本庁からの離脱は起きず、事件は避けられたかもしれない」という声は、神社関係者の間で意外に多い。「6年も宮司不在という異常事態が、返り咲きを望む茂永容疑者の一縷の望みだった筈。それが、長子氏が離脱を決め、神社本庁が人事介入できなくなったことで、茂永容疑者は絶望したのかもしれない」。姉弟をよく知る東京都内の宮司は、そう推測する。長子氏や茂永容疑者の生前の行動や評判は、当時の取材で窺い知ることができたが、これには踏み込まない。「莫大な財産や跡目を巡る骨肉の争いで、神職の資質はどちらも五十歩百歩」というのが、関係者のほぼ共通見解だ。だが、神社本庁と富岡の構図は、これから述べる、加速する“反神社本庁”の動きと根を同じくする点が多いことも、また事実だ。


キャプチャ  2018年3月24日号掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

受刑者逃走で大捜索、日本の警察は暇だった?…犯罪数減少が炙り出した警察の“不都合な真実”

20180511 01
日本が喜びのゴールデンウィークを迎えていた先月30日午後、広島県警は、警察官が平尾龍磨容疑者を追いかけて取り押さえる勝利の映像を公開した。27歳の窃盗犯で、服役中に脱走した平尾容疑者は、大規模な捜索が行なわれていた広島県尾道市の向島から約70㎞離れた広島市で逮捕され、時に過剰とも思えた22日間の追跡劇に幕が下りた。身柄の確保まで、潜伏先とみられた向島の対岸にある町では、祭りの警備に警察官数十人が増員されていた。先月から向島と周辺一帯で捜索を続けていた延べ1万1000人に加えての派遣だ。平尾容疑者は海を泳いで向島から本州に渡っていた。暴力沙汰とは関わりのない平尾容疑者の行方の捜索には、広島・愛媛の両県警から毎日約500人が動員され、ドローン(※小型無人機)や警察犬も投入された。不安の余り、親は子に外遊びを禁じ、ほぼ100人の刑務官が学校の警備に配置された。ある全国ネットワークのテレビ番組は、“恐怖”という言葉で関心を煽った。法務政務官が視察の為に現地入りし、不安を生む状況(と交通の混乱)が続いていることを謝罪した。一般的に犯罪の少ない日本であればこその異常な事態だったと片付けられそうだが、これほど日本の姿が1つのドラマ無きドラマに凝縮されるのは珍しい。

平尾容疑者は、日本で数少ない“塀の無い刑務所”の『松山刑務所』大井造船作業場(愛媛県今治市)で模範囚だった。その逃走は、(1930年代にアメリカで銀行強盗等を繰り返した)ボニーとクライドのような話ではなく、先月半ばから向島やその周辺で小さな窃盗被害(※靴下1足・現金・食料・携帯電話等)が相次ぎ、警察は「平尾容疑者の指紋が検出された」と発表していた。車の鍵が盗まれた際には、「車をお借りします。一切傷付けません」との書き置きが残されていたという。だが、ヘリコプターまで繰り出した日本のテレビ局の報道を見ていると、大列車強盗犯のロニー・ビッグスやハリー・フーディーニ(※“脱出王”として知られた奇術師)、飢えたオオカミ男を掛け合わせたようなものかと思えるほどだった。日本では65歳以上が人口の4分の1を占め、刑務所でも60歳以上の受刑者がほぼ5分の1に達している。そこから逃亡した平尾容疑者の潜伏先も、老いを深める環境だった。この点を理解することが重要だ。人口2万人程の向島、更に周辺の地域の現状は、日本の人口面における衰退の象徴だ。27歳の平尾容疑者は、広島県の平均年齢よりも21歳若い。向島に高齢者が多いこと、それも独居が多いことで逃走劇の恐怖感が増したが、警察は「人口減少が逃走の助けになった」とみている。向島は山林が深くなっている上に、空き家が1000戸以上もある。日本の空き家数は800万戸を超え、法律が空き家を逃亡者の格好の潜伏先にしている。所有者の許可が無いと警察は空き家に立ち入れないのだ。大半の場合、所有者がわからない。平尾容疑者が盗んだ靴下を穿いて所有者の亡くなった空き家に潜んでいた光景を想像すれば確かに恐ろしく、その逮捕に多くの人が深く安堵したのは間違いない。それでも、捜索は必要以上の規模だったのか? 実際のところ、窃盗犯の逃走劇はまさに好都合だった。日本の年間統計は高齢者の犯罪増加を示しているかもしれないが、全体の犯罪は減っている。その一方で、警察の予算は殆ど変わっていない。つまり、逃亡した非暴力犯の見込み違いの追跡に3週間で延べ1万1000人以上が動員されたのも、警察にそれより重大な仕事が無いことを示しているかもしれないのだ。僅かにでも国民の怒りを呼ぶことになれば、この逆説を正当化するのは難しい。だが、マスコミのヘリコプターが上空を飛び、向島から外に出る全ての道路が封鎖され、港町の祭りに未曽有の警備態勢が敷かれる中、国民が怒りを示すことは凡そ考え難かった。 (Leo Lewis)


⦿フィナンシャルタイムズ 2018年5月1日付掲載⦿

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

佐賀県神埼市陸自ヘリ墜落事故、被害者を激怒させたマスコミの傍若無人ぶり

陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターが民家に墜落した。戦後の自衛隊飛行機事故でも最悪の事態だ。その墜落現場をニュースで知って、正直、震えた。何故なら、地図(※右下画像、『Google Map』参照)を広げて見ると、そこには何とお寺が2ヵ寺あるではないか。浄土真宗本願寺派大立寺と曹洞宗定林寺である。大丈夫なのか? 早速取材した。





20180508 01
「パンッ!」という炸裂音の直後、「ドーン!」と地響きが轟く。「机の下に隠れて!」。大立寺幼稚園・子どもの家保育園の副園長である平尾道代さんは、咄嗟の判断で園児たちに声を張り上げた。驚き・悲鳴を上げる子供たちを、保育士らと必死で宥める。見ると、窓の外にはもうもうと黒煙が立ち上っているではないか。先月5日午後4時43分頃、佐賀県神埼市千代田町の民家に、同県神埼郡吉野ヶ里町にある陸上自衛隊目達原駐屯地から飛び立った2人乗りのAH64D戦闘ヘリコプター(※通称“アパッチロングボウ”、全長約18m・全幅約15m・全高約5m・重量約10.4トン・最大時速約270㎞)が墜落し、炎上したのだ。目達原駐屯地は佐賀県唯一の陸上自衛隊駐屯地で、航空科学部隊等が置かれている。周辺では普段から自衛隊のヘリコプターが飛行していたが、道代さんはいつもと違う飛行音に異変を感じた。そして、窓の外に目を向けた瞬間、炸裂音と共にヘリコプターの部品が落下し、機体が急降下する様子が目に入ったのだ。「ヘリコプター、落ちたら怖いよね」と冗談半分で話していたことが現実になってしまったのである。同園は、隣接する浄土真宗本願寺派大立寺が運営し、道代さんは園長の平尾法道住職(50)の妻で坊守だ。平尾住職も事故当時、園の事務所にいた。突然の衝撃音と、妻の道代さんの激しい声を聞きつけ、「とんでもないことが起きた!」と園児の元に駆けつけた。墜落現場は目達原駐屯地から南西に凡そ6.5㎞で、大立寺及び幼稚園からは南に徒歩約2分、僅か150mという間近だった。墜落現場の南西300mには小学校もある。ヘリコプターは、麦畑に囲まれる100戸程の集落の真ん中に墜落したのだ。同集落の多くが大立寺の門徒で、不運にもヘリコプターが落ちた民家もまた、同寺の門徒宅だった。この事故で、住宅や小屋等3棟が焼け、7棟が損傷した。

ヘリコプターの乗員2人の内、同日夕刻には副操縦士の高山啓希1等陸曹(26)が焼け跡から心肺停止状態で見つかり、死亡が確認された。翌6日午前には、機体の下から別の遺体が一部が見つかり、機長の斉藤謙一2等陸佐(43)と確認された。墜落で燃えた民家には、小学5年生の女の子(11)が1人で留守番をしていた。間一髪逃げ出し、外傷は右足打撲等の軽傷で済んだものの、心の傷は深いに違いない。陸自によると、同機は午後4時36分に目達原駐屯地を離陸。南に飛行しながら、同38分に管制官と交信。西側に進路を変えた後の同43分、突如として墜落。その様子が、周辺で停車していた車のドライブレコーダーに映っていた。僅か7分間の飛行だったが、複数の部品を周辺の田畑に落下させていたこともわかっている。墜落現場の南東約600mの水路からも回転翼の一部が発見された。これらの部品が頭上に降ってきたらと思うと、ゾッとするではないか。お寺の直ぐ近く、しかも運営する幼稚園のすれすれに墜落したのだから、幼稚園もお寺も門徒らも、それこそ身の竦む思いをしたことだ。しかし何故、ヘリコプターは墜落してしまったのか? 機長の斉藤2等陸佐は、AH64Dヘリコプターの教官を務める熟練パイロットで、高山1等陸曹も若くして同機を約150時間操縦する優秀なパイロットだったという。目下調査中だが、整備作業や部品の不具合が墜落に繋がった可能性もあるとして、陸自は佐賀県警と連携し、業務上過失致死と航空危険行為処罰法違反の疑いで捜査に乗り出している。では事故後、お寺はどのような対応に迫られたのか? ヘリコプターが墜落して、火柱が上がるのを見た道代さんは、直ちに園の職員に119番するように指示した。午後5時前。園は丁度送り迎えのピークを迎える時間帯で、0歳から5歳児約60人が迎えを待っていたのだ。「普段ですと、子供たちが園庭で元気に外遊びしている時間でしたが、この日は寒く、園児は保育室に入っていました。迎えにきた1組だけが外に出ていました。慌てて外に園児を出そうとする保育士もいましたが、何が落ちてくるかもわからない。『施設に入って伏せておくように』と対処しました」(平尾住職)。道代さんは、保護者がパニックを起こしたり、二次的な被害が起きないようにと、園児たちは全員無事であること、送迎は急がなくても大丈夫だということを、保護者にメールでも伝えたそうだ。緊急時の迅速な対応に、胸を撫で下ろした保護者も多かっただろう。園にもお寺にも直接的被害は無かった。同じく墜落現場近くにある曹洞宗定林寺は無住寺で、神埼郡吉野ヶ里町の妙雲寺・山﨑立哉住職(57)が法務を代行している。「自衛隊が確認に来ましたが、おかげさまでお寺にも檀家宅にも被害はありませんでした」(山﨑住職)。お寺に被害が無かったのは幸いだが、大立寺では事故後も対応に追われた。

続きを読む

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

产品搜索
广告
搜索
RSS链接
链接