【南鳥島に注目せよ!】(24) 急がれるエネルギー自給率の向上

20170927 05
メディアでもよく取り上げられている“自給率”というテーマ。大体の場合は、日本における自給率の低さを懸念したり、警鐘を鳴らすような内容である。食料自給率等は、まさにその典型だろう。日本人に供給されているカロリーの内、国産食品によるものが占める割合を表したのが、“カロリーべース食料自給率”と呼ばれるもの。1965年には73%だったものが、食生活の変化もあって、現在では40%以下にまで落ち込んでしまった。とはいえ、この数字、エネルギー自給率の低さに比べれば可愛いもの。1次エネルギーにおける日本の自給率は、東日本大震災の影響で原発がストップした2012年には、何と6.0%にまで低下している。その内訳は、水力15%、天然ガス0.7%、原子力0.6%、原油0.1%、太陽光や水力等の再生可能エネルギー3.1%だ。『経済協力開発機構(OECD)』に加盟する国の内、1次エネルギー自給率が日本よりも低かったのは、人口が60万人以下であるルクセンブルクのみ。これはもう、断トツの最下位と言って差し支えないだろう。国土が狭く、陸上の資源に乏しいのは事実だが、陸地面積が日本よりも狭いイギリスが60.7%、遥かに狭い韓国でも18.0%なのだから、そこに理由を求めるのは苦しい。

何らかの理由でエネルギー資源の輸入に問題が生じた場合、このままではひとたまりもない。この脆弱性を如何に修正するかは、今後に向けての大きな課題と言える。とはいえ、ここまでただ手を拱いていた訳ではない。エネルギーの供給を石油だけに頼る状況からは、上手く脱却できたと言えそうだ。原油は、輸入先がどうしても中東に偏ってしまう。サウジアラビアやUAEで大規模な紛争でも起きれば、エネルギーの安定供給は大ピンチ。“シェール革命”に成功する前のアメリカでも、中東原油への依存はかなり問題視されていた。しかし、天然ガスや石炭の比率を上げることで、リスクはかなり軽減された。天然ガスはオーストラリア、カタール、マレーシア等が主な輸入先で、石炭はオーストラリアとインドネシアからの輸入が主体と、上手く分散できている。あとは、原子力に頼れなくなったエネルギー自給率を如何に向上させるかだ。お手本とすべきは、やはりアメリカのシェール革命だろう。地下深くにあるシェール層の掘削を可能とする技術革新が、アメリカを一気に産油国へと変えた。ならば、近海に豊富な海洋資源を持つ日本にも、それに近いことができる筈だ。日本の人口は減少を始めたが、世界の人口は未だ増加を続けており、エネルギーの消費量も右肩上がり。新興国の急成長もあり、エネルギー資源の価格が更に高騰するケースは十分に考えられる。エネルギーの安定供給に支障が出たら一大事だ。そういった観点からも、エネルギー自給率の向上に繋がる海洋資源の開発は急務。是非、日本にも“革命”が起きてほしいものだ。


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【薬のホント・健康食品のウソ】(08) 全商品効果無し!? トクホの実力を徹底検証!

特定保健用食品(トクホ)の健康効果を消費者に伝えるグラフは、過剰演出なものばかり。効果が物凄く大きいと錯覚してしまう。扨て、トクホは本当に効くのか? 健康食品の効果を徹底検証した。

20170926 07
健康診断の度に血圧・血糖・コレステロールの数値が気になる生活習慣病予備軍の東京都内50代サラリーマン。出社すると、オフィスの自動販売機でトクホの茶系飲料を購入するのが習慣だ。「割高だけど、これで健康になってお腹が引っ込むなら…」と、昼食代をケチった分を購入費に充てている。トクホとは特定保健用食品のこと。国の審査に合格した食品は、トクホとして機能性を表示できる。冒頭の中年サラリーマンは、ケルセチン配糖体茶系飲料『伊右衛門特茶』等を愛飲している。でも、気になる数値は改善しないし、腹は凹まないし、体重も減らない。これ、本当に効いているのだろうか――。伊右衛門特茶は、「脂肪分解酵素を活性化させるケルセチン配糖体の働きにより、体脂肪を減らすのを助ける」と謳っている。メーカーによる商品紹介ウェブサイトには、効果を実証する試験の結果として、腹部全脂肪面積の変化量の推移を示す折れ線グラフが掲載され、「8週目から腹部全脂肪面積の低減が認められました」と書かれてある。ケルセチン配糖体を配合しないプラセボ対照飲料との変化量の差も大きく見える。何だか凄そうだ。しかし、である。健康食品の在り方に懐疑的な群馬大学の高橋久仁子名誉教授は、「体重は僅かだが増えていた」という意外な事実を根拠論文から読み取った。腹部全脂肪面積が減ったのなら当然、消費者は「体重も減った」と期待してしまう。この事実はサイト上からは見つけられなかった。冒頭のサラリーマンは、ウーロン茶重合ポリフェノール(OTPP)飲料である『黒烏龍茶』も偶に飲む。こちらは効くのだろうか? 黒烏龍茶は発売当初、「食後の血中中性脂肪の上昇を抑える」とだけ謳っていたが、その後に「体に脂肪がつきにくい」という文言が加わって、目下の売りになっている。

メーカーの商品紹介サイトには「脂肪の排出量を増やしてくれる」とあり、OTPPを多く含んだ飲料を飲んだ実験群は、対照群と比べて脂肪の排出量が約2倍に増えたことが強調されている。このグラフからは読み取れないが、被験者は脂質量が非常に多い食事を取っている。同じ効果についてのデータなのに、グラフの作り方で印象が随分変わるものだ。では、トクホ茶の筆頭格である高濃度茶カテキン飲料『ヘルシア緑茶』はどうか? 「茶カテキンを豊富に含んでいるので、体脂肪が気になる方に適している」と謳っているものだ。メーカーの商品紹介サイトには「おなかの脂肪が低減!」とあり、腹部全脂肪面積の変化量を示すグラフが掲載されている。茶系飲料と共にトクホ飲料のメジャーポジションに立つのが、トクホで最もよく使われている難消化性デキストリン(難デキ)を使ったトクホコーラだ。ブドウ糖の結合数が少ない「分子量が小さい澱粉」(高橋氏)がデキストリンであり、難消化性部分を分離して精製したものが難デキである。「脂肪の吸収を抑える」という難デキの効果は、根拠論文によると、難デキを摂取した実験群と摂取しなかった対照群の糞便中の脂質量の比較で実証している。しかし、この数値が「実用的に意味ある差なのか疑問」と高橋氏は疑問を呈する。「これっぽっちの“効果”で、乱れた食事がチャラになる筈がない」。トクホ飲料の効果データを検証すると、総じて効果を大きく見せるグラフがあって、マーケティング的演出たっぷり。但し、メーカーは嘘は吐いていない。トクホは、医薬品ではなく食品である。従って、「効果は小さくて当然」と高橋氏。問題は、「許可する側もそのことは重々承知しているが、その効果の小ささが消費者に十分に伝えられていないこと」(同)にある。2015年、“ミニトクホ”とも呼ばれる機能性表示食品という新たなカテゴリーが誕生した。機能性表示食品の『恵ガセリ菌SP株ヨーグルト』は、「内臓脂肪を減らす」という機能をアピールし、メーカーの商品紹介サイトでは、内臓脂肪面積の減少を示すグラフを載せている。ただ、体脂肪率を見ると、実験群・対照群共に増加している。論文では、「体脂肪率は、腹部脂肪や内臓脂肪とはあまり関連せず、摂取カルシウム量が多いと体脂肪率が低下するという報告がある。本試験では、試験食品以外の乳製品の摂取を制限した。摂取カルシウム量が低かったので体脂肪率が増加したのではないか」と分析している。何にせよ、消費者は「内臓脂肪が減るなら、当然、体脂肪率も減る」と思うだろう。購入を検討する際の判断材料として、メーカーは体脂肪率が増加した点も周知に努めたほうが親切だ。消費者が国の制度下にある健康食品に信頼を寄せ、メーカーが作成したグラフから過剰に期待し、結局期待外れに終わっても、どうやらこれは自己責任らしい。だが、消費者が効果を詳細に検証する為に、根拠論文を入手して読み解くのは簡単ではない。本誌編集部は今回、各メーカーへ商品の情報や試験データの提供を依頼したが、用意するメーカー側も、データを読む編集部側もぐったり。これを消費者個人に押し付けるというならば、トクホも機能性表示食品も難儀な代物である。

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【有機EL&半導体バブル】(11) 『ルネサス』が“身の丈”のAIチップを開発中

20170925 16
車載マイコン世界大手の『ルネサスエレクトロニクス』が、今年4月上旬、東京都内で開発者向けの年次会議を開催し、AI(人工知能)戦略を明らかにした。ITの大きなトレンドは、IoT(モノのインターネット)・AI・クラウド・クルマ(自動運転車)・5G(次世代無線通信)だ。日本の半導体・部品メーカーの多くはIoTへ向かっているが、AIを推進している企業は殆どいない。半導体メーカーでAI戦略を明らかにしたのはルネサスが初めて。5Gについては触れなかったが、それ以外には全て関与しており、世界の勝ち組と同様、トレンドをしっかりと捉えたビジネスを推進している。会議で見せたAIのチップ戦略は、身の丈に合った戦略だ。AIは、“学習”と“推論”の2つの機能を持つコンピューターシステムだ。例えば、多くの車種や人間の写真を記憶させて、「このパターンならば車、あのパターンならば人間」と“学習”する。“学習”に基づき、実際に認識した画像を「車なのか、人なのか、それ以外の物体か」を判断するのが“推論”だ。『インテル』や『エヌビディア』は、演算の得意な半導体チップで“学習”と“推論”双方を展開する戦略だ。処理能力は高いが、消費電力も大きく、チップのコストも高い。一方、ルネサスのチップは、比較的演算が少ない“推論”に特化している。

同社のチップは、“学習”に必要な演算よりも制御が得意だからだ。演算をフルに活用しなければならない“学習”はクラウドコンピューティングに任せて、自らが得意な分野にのみ注力する。これによって、“推論”に特化したチップを安価で提供できる。自分の得意な分野に集中することは、身の丈に合った戦略と言える。この戦略は、世界の勝ち組であるインテル・『サムスン電子』・『テキサスインスツルメンツ(TI)』・『TSMC』等が取ってきている戦略だ。彼らは、実現が不透明な事業に“社運”を賭けたりしない。嘗て、『シャープ』が堺工業団地で社運を賭け、総額1兆円の液晶設資を行った。当時、インテルや『IBM』に取材したところ、「当社では1兆円もの投資を1社で行うことはあり得ない」との答えが返ってきた。シャープがその後、没落したことは記憶に新しい。『日立製作所』・『三菱電機』・『NEC』のシステムLSI部門を母体とするルネサスは、不採算部門の継続等から経営不振が続いた。しかし、リストラを経て、2013年1~3月期に初めて営業黒字を計上した後、17四半期連続の営業黒字を計上した(※左上図)。一時期、経営者人選のトラブルが続いたが、昨年6月に呉文精氏が社長兼CEOに就任。成長戦略へと切り替えた。呉社長は就任直後、アメリカの『インターシル』を約3200億円で買収した。インターシルは、他の半導体ICへの電源を供給するするパワーマネジメントICを得意としている。ルネサスは、パワーマネジメントICを自身の得意なマイコン等とセットでユーザーに提供でき、活用法も提案する。ユーザーはルネサスの提案するチップセットを使って、独自の使い道を開発できる訳だ。ユーザーはルネサスから離れなくなる。この戦略は、インテル・TI・『アナログデバイセズ』・『ザイリンクス』・エヌビディア等、世界の勝ち組と類似している。自分たちの不足分を買収して補い、自社の強みを益々強くできる。5月、嘗てルネサスに救済の手を差し伸べた『産業革新機構』が、保有殊式を2割放出した。再建が完了したことが背景にあるという。今後は、世界の勝ち組と同様な身の丈に合った戦略を取る限り、着実に成長路線に乗るだろう。しかし、成長戦略の手綱を緩めれば、元の木阿弥になってしまう恐れはある。 (国際技術ジャーナリスト 津田健二)


キャプチャ  2017年6月13日号掲載

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【南鳥島に注目せよ!】(23) 最優先されるのは環境保全への配慮

20170920 02
資源開発と切っても切れない関係にあるのが環境問題である。陸上や海中の“自然にあるもの”を利用するのだから、環境への影響がゼロの開発というのは基本的にあり得ない。想像だにしなかった影響が後になって出てくるケースもある。某大臣の有名なコメントではないが、「直ちに影響が無い」ことに何の意味も無いのだ。近年は中国における環境汚染がよく話題となるが、日本も昔は似たようなものだった。例えば、日本における公害の原点とも言えるのが足尾銅山鉱毒事件。銅の精錬に伴う空気汚染や水質汚染で、周辺環境に深刻なダメージを与えている。また、現代のレアアース鉱山でも環境問題が発生している。先進国では環境規制が厳しくなっているが、それでも違法な操業や不法投棄がゼロにはならないだろう。陸上でもこれだけ影響が出るのだから、そこに“水”が介在する海洋での資源開発には、更なる配慮が求められる。ひとつ間違えば、汚濁や生態系の破壊等が簡単に起きてしまうからである。2010年にはメキシコ湾で海底油田掘削中の不手際が引き金となり、大量の原油が流出する事故が起きている。流出した原油の量は、事故発生から約3ヵ月間で凡そ78万キロリットル。

しかも、タンカー事故等で海上に流出したのではなく、海底へと突き刺した掘削パイプが深海で折れて、そこから大量の原油が噴出したのである。環境にどれほどの影響が出るか、想像もつかないレベルの大惨事と言える。これは開発後に起きた“事故”だが、海洋資源の開発が抱える環境リスクの大きさを端的に表している。陸上での開発以上に、何かが起こってからでは間に合わない。そういう理由もあり、日本が推進している海洋資源の開発プロジェクトでは、環境にどのような影響が出るかを徹底的にチェックしている。何か問題が積み残されている状態で、次のステージには進めないのである。例えばメタンハイドレート。その開発にあたっては、海底面からのメタンガス漏洩や、分解によって生じる地盤沈下・地すべり等、地層変形が生じる可能性が指摘されている。陸上で大量の地下水を汲み上げると地盤沈下が発生する。それとよく似たイメージで、海底面の下にあるメタンハイドレートが分解されることで、様々な地層変形が起こる可能性があるのだ。あとは、メタンが二酸化炭素を遥かに凌ぐ温室効果ガスであるのにも、十分な配慮が求められる。メキシコ湾での事故のようなことが起きると、海中から大量のメタンが放出され、環境に重大な影響が出るケースも考えられる。石油ならば頑張れば回収できるが、海中や空中にあるメタンを回収するなど、到底不可能である。環境保全に配慮したシステムの確立無しに、海洋資源の開発プロジェクトは進まない。そこがクリアできて、初めて前へと進み出すのだ。


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【薬のホント・健康食品のウソ】(07) 食の俗説を巧みに利用…宣伝文句のカラクリを見抜く

同じような商品がずらりと並ぶスーパーマーケットの陳列棚。商品の表にある目立つ表示ばかりに気を取られていると、本当に大切な情報を見逃してしまうかもしれない。

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「1本でレタス○個分の食物繊維」――。健康ドリンクや野菜ジュースのパッケージでよく見られるキャッチコピーだが、このように“豊富な食物繊維”をアピールすることで、健康効果を想起させる食品は数多い。実際、食物繊維は日本人に不足がちな栄養素の1つで(※『平成27年国民健康・栄養調査の概要』)、一般に食物繊維が豊富なイメージがあるレタスは、積極的に摂取すべきと考える人もいるだろう。ここで、レタスに含まれる食物繊維の量を見てみると、可食部100%当たりに含まれる食物繊維総量は1.1g(※『日本食品標準成分表2015』)。他の野菜を見ると、ゴボウ5.7g、カボチャ2.8g、ホウレンソウ2.8g、ニンジン2.7g、ピーマン2.3g、キャベツ1.8g、セロリ1.5kg、大根1.4g、キュウリ1.1g。何とレタスは、この中では下から数えたほうが早いのだ。レタスと同様、食物繊維が豊富なイメージがあるセロリもいまいちで、食に纏わる俗説が如何に根拠の無いものであるかを痛感する。「レタスは、その殆どが水分でできている」と話すのは、共立女子大学大学院家政学研究科の川上浩教授。“レタス=食物繊維が豊富”のようなイメージを利用した宣伝文句のカラクリは、他の食品でも見られるという(※右図)。例えば、サラダ油の“コレステロールゼロ”。「油には全てコレステロールが含まれている」と思いがちだが、「動物の細胞にしか存在しない」と川上教授。サラダ油は植物由来、つまりコレステロールゼロで当たり前なのだ。モヤシの“無漂白”も、コレステロールゼロと同様、“当たり前のことを態々表示する”類いの宣伝文句だ。川上教授によれば、確かに約40年前までは日が経つと色が悪くなる為、モヤシの漂白は当たり前に行われていた。その為、高齢者の間には「モヤシは漂白されている」というイメージが残っているようだが、現在は生鮮野菜等に対する着色料・漂白剤等の使用は食品衛生法で禁止されており、店頭で販売されているモヤシは全て“無漂白”。『モヤシ生産者協会』のホームページにも「“無漂白”は必要性がなく自粛すべき表示」との記載があり、今後は消滅していくだろう。アルコール飲料の表示にも、宣伝文句のカラクリは仕掛けられている。“プリン体ゼロ”・“糖質ゼロ”・“糖類ゼロ”。

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この表示を、お酒を嗜む際の免罪符にしている人も多いのではないだろうか? 先ず“プリン体ゼロ”。プリン体は尿酸値を上げ、痛風の原因となることで知られているが、「ビールや発泡酒の500ミリリットル缶に含まれるプリン体は、実は茶碗1杯分のご飯と同程度」と川上教授。「抑々、プリン体は生物の細胞の核酸(DNA等)に由来し、細胞数が多い食物ほどプリン体の含有量が多い。ウイスキー等の蒸留酒に比べ、ビールは麦芽等に由来するプリン体が相対的に多いだけ」とも解説。つまり、“プリン体ゼロ”という表示が無くても、プリン体の含有量は他の食品に比べ、特に多い訳ではないのだ。しかし、プリン体が少ないからといって、痛風にならないという訳ではなさそうだ。「お酒はアルコール自体が尿酸値を上げる原因となる」と川上教授。飲み過ぎにはくれぐれも注意である。同じアルコール飲料では、“糖質ゼロ”と“糖類ゼロ”の違いも知っておきたい。どちらもカロリーゼロというイメージがあるが、食品成分上、糖類は“単糖+二糖”であるのに対し、糖質は“糖類+糖アルコール+オリゴ糖”。糖アルコールとオリゴ糖にはカロリーがある為、実は“糖類ゼロ”は“カロリーゼロ”ではないのだ。「糖アルコールとオリゴ糖で甘味を付けられるので、全体的に糖類ゼロのほうが美味しい。糖質ゼロと1文字しか違わないことで、“美味しいのにカロリーゼロ”というイメージを与えることに成功している」(川上教授)ということなので、味は兎も角、カロリーゼロに拘りたいなら、今直ぐ糖質ゼロに変更するべきだろう。右上図のような食品宣伝文句は、食品表示法上“任意表示”に当たる。読んで字の如く、“書いても書かなくてもよい”表示だが、メーカーは消費者に一番訴えたいことをこの任意表示に込め、目立つ箇所に配置しているのが現状だ。その為、ついこの任意表示に引きずられて商品を選びがちだが、本当に重要な情報は、品名・原材料名を始め、アレルギー表示・保存方法・消費期限等安全性に関わる“義務表示”だ。義務表示は多くの場合、目立たない裏面や側面に配置されている為、商品を手に取ったら先ず裏面を確認してほしい(※左図)。大手食品会社社員が「小売店はメーカー間の戦場」と明かす通り、食品の宣伝文句には企業のマーケティング戦略が凝縮され、営利を追求する以上、それは当たり前のことだ。我々消費者側が食品表示の正しい知識を身に付け、目的に合った商品を選びたい。


キャプチャ  2017年6月17日号掲載

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【南鳥島に注目せよ!】(22) 緊張感が更に高まってきた東シナ海

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海に眠る宝である鉱物資源や燃料資源。日本の近海には、その両方が、しかも大量に存在する。しかし、これらが貴重であるのは、日本の周辺国も同じこと。資源やエネルギーは、どの国も喉から手が出るほど欲しいものだ。特に目立っているのが、急速な経済成長を遂げた中国の動き。日本の周辺海域においても、エネルギー資源の開発等を活発に行っている。しかし、海洋資源の自由な開発が許されているのは、領海や排他的経済水域(EEZ)の内側のみ。そして、2国間のEEZが重なるケースにおいては、有望な海洋資源がトラブルの“火種”となり易い。そこに領土問題まで絡んでくれば、大きなトラブルに発展するのは当然の話。尖閣諸島がある東シナ海は、日中間で火種が燻るどころか、そこからいつ火が出てもおかしくない状況になりつつある。中国と台湾も領有権を主張している尖閣諸島。この事態が生まれた背景にも、実は海洋資源が絡んでいる。中国や台湾が領有権を主張し始めたのは、国連の海洋調査で「東シナ海に豊富な燃料資源がある」と判明した1971年以降なのだ。

国連海洋法条約の批准が決定し、日本で効力が生じたのが1996年7月。条約に基づいてEEZが設定されるも、尖閣諸島の領有権がどの国にあるかで、その範囲は大きく変わってしまう。尖閣諸島やその周辺海域では、自ずとトラブルが増えていった。そして2010年には、尖閣諸島で中国漁船衝突事件が発生。レアアースショックの勃発にも繋がる大騒動へと発展する。中国が東シナ海での開発に力を入れ始めて以降、尖閣諸島周辺での領海侵犯や、東シナ海での不審船の発見等が、最早常態化している。日本がEEZの境界と主張する日中中間線の付近では、ガス田の開発とみられる探査船・掘削船・掘削施設等が、海上保安庁によって頻繁に発見されている状況。日中両政府は2008年、東シナ海のガス田共同開発について合意しているのだが、日本政府が抗議しているにも拘わらず、それを無視する形で開発が継続されている。2016年11月には、東シナ海の日中中間線付近でガス田を開発する掘削施設1基を新たに確認。これで何と17基目と、中国による開発が一方的に進められている。日本の弱腰外交を見越しての強硬姿勢だが、このまま無為無策というのはあまりに不甲斐ない。こういった施設が軍事に転用される危険性もあるのを考えると、中国政府に対する合意内容の確認等、何らかの対応が問われている。また、日本最南端の沖ノ鳥島においても同様の火種が存在する。2004年に中国は「沖ノ鳥島は島ではなく岩である」と主張。また、2016年には台湾との衝突があり、これに関連して中国が改めて「岩にEEZは無い」と主張する等、再び緊張が高まっている。領有権やEEZについての問題は、国益が大きく左右されるだけに、根が深い。


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【薬のホント・健康食品のウソ】(06) 「ヨーグルトを食べるだけでは腸は健康になりません」――辨野義己氏(生物学者)インタビュー

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――乳酸菌やビフィズス菌等の“善玉菌”が入った食品市場が活況です。その効果として、従来の“腸内環境の改善”だけでなく、“免疫機能の強化”や“ダイエット効果”を謳うものまで登場していますが、この状況をどう見ていますか?
「陽の健康にこれだけ注目が集まることは、長年、腸内細菌の研究をしてきた立場としては大変嬉しく思いますし、皆さんがイメージする“善玉菌=腸内環境の改善”については、特定保健用食品(特保)も多く販売されている通り、その因果関係が明らかになっています。しかし、科学的根拠に乏しい健康効果を堂々と謳っている商品も目に付きますね。免疫機能の強化やアレルギー症状の緩和、肥満への効果等が期待されているのは確かですが、未だ研究段階です」

――“腸内環境の改善”とは、具体的に何を指すのでしょうか?
「①便秘や下病が改善したり、便の量が増える等、便の性質改善効果が見られること、②腸内のビフィズス菌が統計学的に有意に増加すること、③腸内の有害物質が減少すること、④当該食品内の善玉菌が生きたまま腸まで達すること――の4つです。私は、特保の制度がスタートする際、この4つをヨーグルトに使われる菌株の許可基準に盛り込むよう要求しました。当時、幾つかのメーカーから『厳し過ぎる』と泣き付かれましたよ(笑)」

――善玉菌が入った食べ物なら、何でもよいのでしょうか?
「よく“発酵食品が腸に良い”と言いますが、科学的根拠が揃っているのは、発酵乳製品、つまりヨーグルトや乳酸菌飲料、辛うじて納豆くらいです。料理研究家を中心に、『動物性の乳製品より、麹やキムチ等植物由来の乳酸菌のほうが日本人の体に良い』と主張する方もいますが、麹やキムチによる腸内環境の改善効果を調べた試験は殆ど存在しません。従って、現段階では発酵乳製品以外の発酵食品に腸内環境改善効果があるとは言えません。また、発酵乳製品は、厚生労働省の成分規格で『生きた乳酸菌・ビフィズス菌・酵母等の数が賞味期限内に、このくらい含まれていなければならない』と定められていますが、その他の発酵食品には、このような規格はありません。善玉菌による健康効果を求めるなら、ヨーグルトや乳酸菌飲料をお薦めします」

――実は私、長年便秘に悩んでいるのですが、ヨーグルトを食べても中々改善しません。
「多くの方が勘違いしているのですが、ヨーグルトさえ食べていれば腸が建康になるという訳ではありませんよ。私は常々、良い便を出す為の条件として、“運動5:野菜4:ヨーグルト1”を提唱しています。ヨーグルトに含まれる善玉菌は、便が作られ易い環境に腸を整えてくれる、謂わば脇役的存在であり、先ずは便の材料となる食物繊維を摂取するのが大前提です。つまり、野菜・豆・茸・海藻ですね。そして運動によって、排便時に重要な役割を果たすインナーマッスルを鍛えることも重要です」

――今、腸内細菌と長寿の関連を研究されているそうですね。
「私自身が日本各地を回って長寿の方の便を採取し、腸内細菌を調べたところ、彼らには“酪酸産生菌”という善玉菌が多い傾向があることがわかりました。この菌が作り出す酪酸は、免疫力増強や癌の抑制効果等、様々な健康効果を有しており、この菌が健康、延いては長寿の鍵を握っているのではないかと期待しています」


キャプチャ  2017年6月17日号掲載

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【有機EL&半導体バブル】(10) 画像作成も電源も…『Apple』が独自開発を加速

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ITサービス企業の中で一足先に半導体を自社開発していた『Apple』が、その流れを加速させる。今年4月に「AppleがGPU(グラフィックスプロセッサーユニット)を自社開発する」という報道があり、更に数日後、今度は「パワーマネジメントIC(集積回路)も自社開発する」という報道が流れた。GPUはアニメや絵を描く為の専用のIC、パワーマネジメントICは様々なICに電源を供給し、消費電力の制御を司る。Appleはこれまで、GPUのIPコア(intellectual property core)については、イギリスの『イマジネーションテクノロジーズ』の独自技術を有料で使えるライセンス供与を受けてきた。IPコアとは、IC上の重要回路部分の設計情報だ。因みに、製造は台湾の『TSMC』等のファウンドリー(※半導体の受託製造)が手がける。技術供与開始時に支払うライセンス料は1回限りであるが、製品の売り上げや販売量に基づくロイヤルティーは毎年支払ってきた。Appleが支払ってきたライセンス料とロイヤルティーの総額は、今年4月末までの1年間で6500万ポンド(約3億6000万円)に上るとみられる。また、パワーマネジメントICはドイツの『ダイアローグセミコンダクター』から購入してきた。イマジネーション、ダイアローグ両社の技術が搭載されたApple製品は、未だ2年間は市場に残る見通しだ。この点で、両社には2年間の猶予があると言える。何故、Appleは半導体を自社開発するのか? それは、半導体こそスマートフォン『iPhone』やタブレット端末『iPad』等のシステムを、他社よりも差別化できる部品だからだ。

例えば、ウェブブラウザを開いたり検索したりする際は一瞬で作動してほしいし、遅ければイライラが募る。だから、動作処理を行う演算装置(アプリケーションプロセッサー)の性能をもっと上げたい。そこで、プロセッサーの心臓部分であるCPU(※演算を担う半導体)の構造を、Apple自らが工夫するのが得策となる。アプリケーションプロセッサーには、GPU・CPU(=ハードウェア)・プログラム(=ソフトウェア)が組み込まれている。CPUの中では、例えば「足し算と掛け算を収束するまで計算しなさい」というプログラム命令がきたら、収束するまで何度でも計算する。これが動作の遅れに繋がる。対策として、プロセッサー内のソフトウェアを工夫する。しかし、これでは効果に限界がある為、ハードウェア(半導体回路)を工夫して、計算の繰り返しを減らすのが得策となる。スマホでは消費電力の増加も許されない。最適化された半導体を使えば、消費電力を上げずに性能を上げ、『Android』等の競合スマホに対して差別化できる。海外メディアによると、Appleは最大80人の技術者が、既にパワーマネジメントICの開発に取り組んでいるという。また、イマジネーションから技術者数人を採用した。Appleは本当に独自にGPUを設計できるのか? Appleは、半導体設計技術のIP(※設計情報)を持つアメリカの『イントリンシティ』を2010年に買収している。この会社は嘗て、世界一のIP供給源であるイギリスの『ARM』と提携していた。2007年にはイントリンシティの独自技術が寄与して、両社連合がiPadのプロセッサーの性能を大幅に上げた実績がある。Appleは、そのイントリンシティを買収して、ARMの技術を取り込んだ。あの時以来、Appleは独自のアプリケーションプロセッサー『Aシリーズ』をA10にまで進化させた。イマジネーションのGPU技術は、アメリカの『エヌビディア』やARMと比べて消費電力が2桁程度小さく、モバイルに特化している。Appleがイマジネーションの知的財産に抵触せず、低消費電力のGPUを開発することは困難と見る向きも多い。一方、Aシリーズの進化のように、GPUの独自開発も可能かもしれない。 (国際技術ジャーナリスト 津田健二)


キャプチャ  2017年6月13日号掲載

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【南鳥島に注目せよ!】(21) 海底熱水鉱床の開発は次なるステージへ

20170906 08
様々な苦難を乗り越えて商業化への道を突き進んでいる海底熱水鉱床の開発。前人未踏の領域を切り開くプロジェクトが、よくもここまで進んだものだと、日本人の底力に思わず感じ入ってしまう。そのスタート地点となったのが、2007年に施行された海洋基本法と、2008年に閣議決定された海洋基本計画だ。これを受けて、経済産業省は2009年に『海洋エネルギー・鉱物資源開発計画』を策定。海底熱水鉱床を明確にターゲットとした上で、その開発に向けた10ヵ年計画が定められている。敢えて触れなかったが、前回掲載している表は、その10ヵ年計画を纏めたもの。2012年度末で第1期が終了し、現在は第2期の半ばまで来ている。第1期のテーマに掲げられたのが、資源量の評価と海洋環境の調査、海洋環境に与える影響の予測、採鉱&揚鉱システムの検討、選鉱&製錬技術の確立に向けた試験等。より実践的なステージである第2期に向けての、謂わば下準備に相当する内容だ。その成果を、ここで簡単に纏めておこう。資源量については、沖縄近海と伊豆・小笠原海域で、深海底飲物資源探査專用船『第2白嶺丸』を使用した集中的なボーリング調査が行われた。

その内容を図解したものを右上に掲載しているので、是非ご覧頂きたい。その結果、これらの海域に眠る海底熱水鉱床の資源量は5000万トンと評価された。但し、その後の海底探査や深部ボーリング調査で新たな事実が判明しているのは、第17回で解説した通り。最近になって発見されたサイトもある為、実際の資源量は5000万トンを遥かに上回ると推測される。次に、海底熱水鉱床の開発が海洋環境に与える影響について。ここで入念に調査されたのが、開発による環境変化が大きなダメージとなり得る固有種が存在するかどうかだ。このような生物が存在している場合、開発による絶滅が危惧される為、おいそれと手は出せなくなる。現在のところ、固有種や特異な生態系は確認されていないが、だからといって気は抜けない。第2期に行われる実証実験や、保全策の有効性確認等を経て、漸く正確な環境影響評価が行えるようになる。採鉱については、2種類の試験機を開発し、沖縄海域での採掘&走行試験に成功。揚鉱についても、水中ポンプを用いて鉱石を海上までパイプ輸送する方法の基礎的な調査研究が行われている。こちらは、右上に掲載したイメージ図を見て頂くのがわかり易い。ここで得たデータや知見は、2017年夏に実施される予定の実証実験で、大いに生かされることだろう。選鉱&製錬技術に関しては、採取された鉱石試料を基に、既存のどのようなプロセスが最適であるかが検証された。有用な鉱物を分離する選鉱過程に課題を残すが、パイロットプラントの基本設計完了等、こちらも進渉は良好。第2期で得られる“成果”が今から待ち遠しい。


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テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

【有機EL&半導体バブル】(09) メモリー価格は高止まり、ウエハーも価格引き上げ

20170904 12
旺盛な半導体需要を背景に、メモリーの価格が高止まりしている。市場調査会社『DRAMエクスチェンジ』によると、DRAM(※現在の主流規格であるDDR3.4ギガビット品)の価格は、昨年4~6月期の1.3ドルを底に、足元では2.4ドルまで上昇した。NANDフラッシュメモリー(※64ギガビット・MLC品=1つのセルに複数の情報を記憶する方式)については、昨年1~3月期のの2.1ドルを底に、足元では2.6ドルまで値上がりしている。価格上昇に伴い、メモリー半導体メーカーの業績も急拡大している。メモリーで世界首位の『サムスン電子』の半導体部門は、今年1~3月期に40%を超える営業利益率を達成。このままメモリーの高値が続けば、半導体売上高で世界首位の『インテル』を4~6月期にも抜き、初めて世界首位に立つ可能性があると予測されている。IoT(モノのインターネット化)時代の本格的な到来、それに伴うデータ通信量の増加によって、メモリー市場は今後も好調が続く見通しだ。アメリカの市場調査会社『ICインサイツ』は、2016~2021年のメモリー市場の年平均成長率を7.3%と予測し、2016年の773億ドル(約8.5兆円)から、2020年には1000億ドル(約11.1兆円)を突破すると予想している。こうした旺盛なメモリー需要を追い風に、半導体を製造する中心的な材料であるシリコンウエハーの需要も旺盛だ。直径300㎜ウエハーの世界需要は、半導体市況が回復した昨年4月以降、月平均520万~530万枚で推移しており、既にウエハーメーカーは、半導体メーカーからの発注に“全てには対応できないアロケーション(配給)状態”にある。だが、「需要は2020年に月600万枚を超えるレベルに達する」と予測されており、半導体メーカーは増産を強く求めている。

これに対し、世界2強の『信越化学工業』や『SUMCO』等、シリコンウエハーの主要メーカーは、多額の設備投資を伴う増産の前に、半導体メーカーに対して値戻し(※価格の引き上げ)を求めてきた。シリコンウエハー業界では、過去に需要動向を無視した韓国や台湾等のメーカーの増産投資によって価格下落が進行し、その水準が維持されてきており、増産に向けた投資余力が生まれ難い状況になっている為だ。SUMCOは、「月産10万枚分の増産を想定する場合、既存建屋に製造装置を導入する方式では300億~350億円がかかり、40~50%の値戻しが必要」との見解を示している。「建屋から新設する方式だと400億~450億円がかかり、60%の値戻しが必要」としている。こうした状況を受けて、一部の半導体メーカーは昨年末から値戻しに応じ始めた。ファウンドリー(※半導体の受託製造)最大手の台湾『TSMC』は、昨年10~12月期の決算説明会でウエハー価格の改定に応じたことを認め、「2017年の粗利益率を0.2ポイント押し下げる要因になる」と述べている。ウエハー各社は、今後も引き続き値戻しの交渉を続けていく考えだ。信越化学工業は、昨年度に一部で値戻しできたことを認めた上で、今後も顧客や品種による価格のばらつきを収斂させ、先端半導体向けのウエハーにプレミアムが反映される状況に是正することを目標として、交渉を続ける。SUMCOは、直径300㎜ウエハーに続き、需要が旺盛な直径200㎜ウエハーでも値戻し交渉を本格化させていく考えだ。並行して、ウエハー各社は、技術進歩による歩留まりの向上等で旺盛な需要に対応していく構えだが、予測通り旺盛な需要が続けば、増産投資は不可欠だ。SUMCOは、「順調に値戻しが進めば、2018年にはウエハーの価格水準が新規投資に踏み込めるレベルに達する」との見解を示している。この場合の新規投資とは、既存建屋に製造装置を導入する方式を指す。この見解を考えると、2019年にも増産投資が実施されそうだが、それまで半導体メーカーはウエハーの確保に神経を尖らせなければならない。 (『電子デバイス産業新聞』編集長 津村明宏)


キャプチャ  2017年6月13日号掲載

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