【岐路に立つウェブ広告】(11) “いい加減さ”を廃する――有馬誠氏(『楽天データマーケティング』社長)

『楽天』は7月、『電通』との合弁で、デジタル広告会社『楽天データマーケティング』を設立した。営業を始めて間もないが、楽天の三木谷浩史会長兼社長は「Googleやヤフー等に次ぐ規模まで早急に持ち上げたい」と意気込む。黎明期からインターネット広告業界を見つめてきた同社の有馬誠社長を直撃した。 (聞き手・構成/本誌 長瀧菜摘)

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インターネット広告を巡る諸問題の根源は10年くらい前にある。インターネット広告が新聞や雑誌等従来メディアと決定的に違ったのは、ほぼ無限に広告枠が増え、一気に値崩れを起こしたこと。大して目立たない枠も5円くらいで売れていたのが、あっという間に0.1円まで落ちてしまった。その一方で出稿の需要は飛躍的に増えた為、双方がより効率的に成果を出せる手法として、オークション形式のアドテクが発展した訳だ。メディアからすれば、SSP(※サプライサイドプラットフォーム)に自社の広告在庫を繋いでおくだけで、あとは値段さえ合えば勝手に注文が入るようになった。並行してアフィリエイト広告が盛り上がり、弱小メディアでも広収入を得られる道が開けた。市場を急拡大させたという点で、アドテクの果たした役割は大きい。だが、当然の結果として、その大量のメディアの質を誰も審査しきれない問題が現れ、現在まで尾を引いている。ホワイトリストやブラックリストを作ってメディアを精査する取り組みも進んでいるが、限界がある。悪質業者を排除しても、ドメインを変えて展開されればいたちごっこ。ホワイトリストは安全性が高い反面、メディアを絞る為、アクセス数を稼げない。

これとは別の手法で、アメリカでは IASのような企業の仕組みを導入してアドフラウドをカットする等、大手広告主の8割が何らかの自衛策を講じている。だが、これには費用がかかる為、「何故、広告業界側でなく、カネを払っている我々が対策しなければならないのか?」という不満が爆発した。では、日本はどうかというと、自衛策を講じている広告主は、大手も含めて殆どいない。インターネット広告の健全性を保つ責任が業界側にあるのは確かだが、広告主からのプレッシャーが少ないことは、課題解消を先送りする原因になりかねない。広告業界には、昔からこんな名言がある。「これまで使ってきた広告費の内、半分は無駄だった。問題は、その半分がどの部分だったのかわからないこと」というもので、広告の限界を上手く言い表している。当社がやりたいのは、広告の視聴・来店・購入等、あらゆるデータを全部繋ぎ、そうした広告の“いい加減さ”を無くすこと。データで効果が明白になれば、広告主は無駄な広告を打たなくなり、延いては消費者が関心の無い広告を目にしなくて済む筈だ。広告を煩わしいと思う消費者がいる一方で、広告を見てものを買う消費者もいる。自分が必要としている商品の広告をタイムリーに見られれば、それは貴重な情報だ。『Apple』がITPで排除に動いているリターゲティング広告も、全てが悪だとは思わない。購買データやAIによる解析で精度は上げられる。勿論、データはユーザーのもので、我々はそれを借りて商売をする立場。そうである以上、データを安全に管理するのは言うまでもなく、「最終的には貴方に関連性の薄い広告が出ないようになりますよ」という具体的なメリットを追求する姿勢を忘れてはいけない。


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

対策は? 責任は? 政治広告は?…フェイスブックが答えるべき4つの疑問

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『Facebook』は、若しかしたらテレビさえも見劣りさせる史上最強の政治ツールかもしれない。但し、この意見は条件付きだ。10億人のユーザーを抱えるSNSプラットフォームの時代は、未だ日が浅いからだ。Facebookがどれほど効果的に人々の考え方や投票行動を形づくっているのかは、未だわかっていない。2014年に5000万人のアメリカ人の個人情報がFacebookから収集され、イギリスの政策コンサルティング会社『ケンブリッジアナリティカ』に利用された疑惑は、メディアの大騒動を引き起こした(※ケンブリッジアナリティカは、Facebookのデータを自社のモデルに利用したことを否定している)。この問題を受け、収益性が極めて高いFacebookのビジネスモデルと、ユーザーに対する同社の責任、そして民主主義のプロセスにおいて同社が担う役割に関する幾多の疑問が緊急性を帯びてくる。以下に、Facebookが速やかに答えるべき、特に差し迫った疑問を4つ挙げる。先ず、情報漏洩が発覚した時、Facebookは何故、これほど対策を怠ったのか? 報道によると、ケンブリッジアナリティカは少額の謝礼の見返りにアンケート調査に回答し、アプリをダウンロードすることに同意した27万人のユーザーのプロフィールから収集したデータを利用した(※回答者の友人のネットワークを介して、この数字が5000万人のプロフィールに膨らんだ)。ユーザーには、「情報は学術的な目的の為だけに使われる」と誤って伝えられていた。Facebookは2015年までに、ユーザーの個人情報が利用されていることを知っていた。見る限り、同社の対応策は、ケンブリッジアナリティカにデータを破棄するよう要請することだった。漏洩の規模を考えると、即座に法務当局が呼び込まれなかったのは驚くべきことだ。それ以上に奇妙なことに、ケンブリッジアナリティカは先週まで、Facebookのネットワークから完全に追放されなかった。

次に、情報漏洩の責任は誰にあるのか? Facebookの幹部らは、漏洩がハッキングではないこと、そしてパスワードのような機密情報は盗まれなかったことを強調した。更に、「ケンブリッジアナリティカによるデータの利用は、Facebookの規則に違反している」とも述べた。こうした発言が若し責任転嫁を狙っていたのだとすれば、完全に失敗している。情報が流れていく先をFacebookがはっきり確認することなく、これだけの量のデータを同社プラットフォームから取り出せたことは、責任を問われる過失のように見える。ただ単に「SNS上の第三者のアプリに関する規則を厳格化した」と言っただけでは、対策の端緒にさえならない。ここには重大な過失があった。それは一体、誰の責任だったのか? そして、Facebookは何故、抑々政治広告を受け入れたりするのか? ケンブリッジアナリティカが、取得したデータを基にして投票行動を変えるターゲティング広告を打つことにどれほど成功したのかはわからない。だが、Facebookが持っているユーザー情報の量を考えると、大規模な有権者の操作の可能性があるのは明らかだ。結局のところ、正確なターゲティングと消費者に影響を及ぼすことがFacebookの“商品”だ。プラットフォームの政治的な悪用を限定する1つの方法は、Facebookがあらゆる種類の政治コンテンツの有料掲載を拒否し、SNS上であからさまに政治的な組織の存在を(可能な限り)制限することだ。Facebookのミッションは“世界の繋がりを密にする”ことだ。政治広告の禁止は、その目標に向かって進む一歩になるだろう。市民社会を大事に思っている人は全員、ただフェイスブックを止めるべきなのではないか? インターネットに関する古い格言は、益々適切になっていくように思える。「サービスにお金がかからないのであれば、ユーザー自身が商品だ」という格言だ。友人や知人と連絡を取り合い、情報を得ておく為に、社会が“無料”プラットフォームを利用する代償が明白になりつつある。SNSは強力なコミュニケーションツールだが、一方ではイデオロギーのエコーチェンバー(※共鳴室)も生み出し、デマを拡散し、不当な操作を可能にする――。それも、誰も責任を問われることなく、全てが行なわれるのだ。全ての人がFacebookから去れば、個々人は不便になるかもしれないが、集団としては良くなると考える根拠はある。マーク・ザッカーバーグCEO、貴男はこれにどうお答えになるだろうか?


⦿フィナンシャルタイムズ 2018年3月20日付掲載⦿

テーマ : 国際問題
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【岐路に立つウェブ広告】(10) “嫌われ者”の自覚を――葉村真樹氏(『LINE』執行役員)

従来のインターネット広告と違う特徴を持つ“メッセンジャー型広告”が急伸する『LINE』。昨年6月からは、アプリ内のタイムライン等に表示する運用型広告枠の販売も始めた。業界で最も勢いのある同社は、インターネット広告の課題をどう考えるのか? (聞き手・構成/本誌 長瀧菜摘)

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LINEには巨大なユーザーベースという強みがある。メッセンジャー型広告は、無料スタンプ等の“ノベルティー”をフックにして、広告主が多くのユーザーと直接繋がり、友だちと同じようにメッセージを送信できるのが売りだ。多くのユーザーが毎日使うアプリなので、運用型広告では高いクリック率を出せている。当社の広告事業はまだまだ伸びしろが大きい。広告を出す面を増やしたり、新しい広告商品を出したりする際には、毎回ユーザーテストを重ねて慎重に検討する。広告として扱っていい商材やクリエイティブの質にも厳しい基準を設けている。ユーザーに支持されない広告は、収益を生まないどころか、自分自身を傷付ける。我々も広告主企業も、その意識が必要だ。インターネット広告の歴史は、オフライン広告の手法をそのままオンラインに持ってきたところから始まっている。だが、インターネット広告が一般化するにつれ、実はその手法が上手くいっていないとわかってきた。つまり、昔からずっとあった広告の課題がインターネットによって可視化され、「やっぱり広告は消費者に嫌われていたのだ」と確認されたということ。

「広告は本当に見られているのか?」「広告によってブランドを毀損していないか?」といった問題は、インターネットだけのものではない。モノやサービスを作る側にいると、自分の商品への思い入れが強くなるのは当然だ。ただ、人間関係と同じで、「付き合いたい」と思う相手に「付き合ってくれ」と一方的に言い続けるのは、相手からすると迷惑行為に他ならない。いらない広告を見せられ続けている以上、ユーザーの立場からすれば、『Apple』のITPや『Google』のアドブロックも正しい方向性と言わざるを得ない。“広告は嫌われ者”という真実を炙り出せたのはインターネットの良さ。どんどん修正を加え、サービスを高められる健全性も、インターネットの良さではないか。LINEでは、企業の公式アカウントを窓口にして宅配便の再配達を依頼できたり、航空券の発券を行なえたりと、単なる商品宣伝やキャンペーン告知だけでない、具体的に役立つサービスを広告の一環で提供している。運用型広告も、クリエイティブの工夫やユーザー毎のパーソナライズ強化を通じ、嫌われない為の努力をしている。広告主にとっても、今が重要なラーニングの時だ。LINEとしては、各企業アカウントに対するブロック(※メッセージを受け取らない設定)の割合や、広告表示後に配信するアンケートの結果等、広告の見られ方に関するデータを多面的に集め、提供している。我々自身が広告主にとって欠かせない処方箋となっていきたい。日本でも、インターネット広告に関するガイドラインの導入や対策が進んでおり、主要なプラットフォームでは問題が解消していく筈だ。だが、インターネットでは誰でもサイトを構え、広告ビジネスを行なえる。また、『YouTube』のようなユーザー投稿型のサービスでは、監視の目をすり抜けて不適切なコンテンツをアップロードし、広告収入を稼ごうとする人が絶えない。業界全体の健全性を保つには、これを解決する技術も刷新し続ける必要がある。


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

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【岐路に立つウェブ広告】(09) データの“意味付け”がカギ――井上真吾氏(『ヤフー』)

創業以来、20年以上に亘り日本のインターネット広告市場を牽引してきた『ヤフー』。インターネット通販等の新事業にも力を入れるが、広告は今なお最重要の収益柱だ。競合する広告メディアが増える中、自社の立ち位置や業界の課題をどう捉えるのか? 移り変わりの激しいディスプレイ広告事業を統括する井上真吾氏に聞いた。 (聞き手・構成/本誌 長瀧菜摘)

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ヤフーは1996年の創業時から、基本的にヤフーニュース等のメディアを中心に据え、そこに人々を集めることによる広告事業を生業としてきた。1つの転換期は2012年。それまでは広告商品開発に限らず自前主義だったが、競合も増える中、それでは世の中のスピードについていけないと判断し、リターゲティング広告の『クリテオ』を始め、複数社と提携。他社と組んでサービス開発をする体制に舵を切った。もう1つ大きかったのは2015年、スマートフォンで閲覧する際のヤフーのトップページを、カテゴリー別の静的な表示からタイムライン形式の表示に変えたこと。「これではユーザーが離れてしまう」「この表示方法では広告収入が上がらない」と、メディア・広告の両セクションの言い分が何度もぶつかったが、最終的には無事タイムライン化でき、その後の広告事業の大きな成長に繋がった。メディア部門はユーザー数を最重要指標とするが、広告部門は売り上げが最重要。両者の間の摩擦係数は今もゼロではない。

だが、業界全体でインターネット広告の手法や商流が多様化・複雑化する中、ビューアビリティーやブランドセーフティー等の問題を起こさない為には、ユーザーに正しい情報、有意義な広告を届けるという意思を、社内全体で共有する必要がある。消費者の側に「(リターゲティング広告で)追跡しないで」という要望が広がっているのも事実。我々が取れるアプローチは、広告でもコンテンツでも、ちゃんとユーザーのニーズに合うもの、課題解決に繋がるものを提供することのみだ。ヤフーには、メディア運営を行なうメディアカンパニーに800人、広告を所管するマーケティングソリューションズカンパニーに1200人の社員がいる。2016年には、この2000人が同じメディアグループのメンバーとして、経営会議や現場のサービス設計を一体で行なえるように体制変更も行なった。消費者のウェブ滞在時間は年々伸びている。ヤフーは登録ID数が増え、メディアの価値も上がっている。インターネット広告の拡大は未だ続くと思うが、同時に新たに課せられる使命もあると感じる。ここ数年、広告主が広告効果に対する考え方を深めてきている。手売りの純広告が事業の中心だった頃、広告枠の価値はメディア自身が決められた。だが今は、誰がどの広告を何秒見たのか等、あらゆるデータを取れる。広告主は、いいユーザーに見られる広告枠を、いい価格で買う為、そういったデータを自分たちで注視するようになった。加えて、今は「データが沢山ありますよ」というだけでは、メディアとしての魅力が薄い。データは単なる数字・事実でしかない。クリック率1%という数字は、高いのか低いのか? それだけを切り取ってもわからないので、過去からの推移を追ったり、他と比べたり、購入データと照らし合わせたりして、意味付けをしてリポートする必要がある。ヤフーには、それをできる自信がある。また、こういった技術の発展でアドフラウドやビューアビリティーの問題も、相当程度解決していくと思う。


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

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【岐路に立つウェブ広告】(08) 広告主へ説明責任果たす――三谷壮平氏(『電通デジタル』ソリューション企画部)

『電通』は2016年、インターネット広告事業子会社の『電通デジタル』を設立した。インターネット広告の拡大に合わせた取り組みだ。一方でグループ全体では、過大請求等インターネット広告の不適切取引があったことが、『トヨタ自動車』の指摘で明らかになっている。国内広告業界を代表する企業は、チャンスとリスクにどう対処するのか? (聞き手・構成/本誌 長瀧菜摘)

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アドフラウドやブランド毀損等、インターネット広告の課題について当社が広告主から相談を受けるケースは、外資系企業の日本法人が「本国からの指示で…」といって寄せられるものが殆ど。国内企業も意識を高めてはいるが、取り組みは進んでいない。況してや、アメリカのブランド企業のように、インターネット広告の抜本的見直しに動く例は未だ聞いたことがない。その一方で、我々に対する「もっと説明責任を果たしてほしい」という広告主からの要請は感じている。直接的な販促効果を求めるダイレクトマーケティングの広告主は、数字として成果が見える。だが、ナショナルクライアントと呼ばれる大手企業は、インターネット広告ではブランド面での投資効果が思ったより見え難いと感じている。そこがちょっと期待外れだと。インターネット広告の重要業績評価指標(KPI)を立て難くなっているのだ。トヨタ自動車から指摘を受けた不適切取引の件については、期待値以前の問題だったと認識している。我が社のオペレーションの部分のミスというべきもので、お恥ずかしい話だった。広告を巡る技術は日々進歩しており、今後は外部のデータを繋ぎ込みながら、より多面的に効果を検証できるようになる筈。そこにきちんと取り組むのが我々の使命であり、代理店としての付加価値のつけどころだ。例えば、広告効果を検証するアドベリフィケーションのツールを、広告主に対して選択肢として用意している。広告出稿のオペレーションミス、虚偽報告、アドフラウドは論外。徹底的に排除する必要がある。一方で、ブランド毀損に関しては、許容するレベルが広告主毎に区々だ。きちんとしたニュースサイトでも、凄惨な事件や災害等の記事には広告を載せたくない企業もある。どこまでを許容範囲とするのか、各広告主との間で整理が必要。広告主の企業にとっては、インターネット広告自体をやらないという選択肢だってある。其々の利点、欠点、選択基準を、もっとわかり易く定義していきたい。


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

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【岐路に立つウェブ広告】(07) 緊急独自調査! インターネット広告を巡る企業の本音



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ウェブ広告が普及する中、広告代理店はクリック数ばかりに目を奪われ、広告主のブランドイメージを高めるという本来の機能が低下していると感じる。今後は広告代理店任せではいけない。広告主自身がブランド管理への強い拘りを持って、マーケティング活動に取り組む必要があると考えている。
業種:消費者向けサービス  年商レンジ:~1000億円


会社としてブランドセーフティー対策は講じている。具体的には、自社のブランドイメージにそぐわない配信が行なわれないよう、定期的に掲載結果を確認し、不適切なサイトへの配信除外設定を追加している。地道な作業だが、必要な取り組みとして続けている。
業種:消費者向けサービス  年商レンジ:3000億~5000億円


バナー広告や動画広告でアドフラウドの被害に遭った。メディア側の調査によって、その事実が明らかに。被害額に相当する広告料金はメディアから返金された。
業種:電機  年商レンジ:5000億~1兆円


ブランドへの悪影響を避ける為、メディアを厳選したプライベートマーケットプレイス(PMP)での配信を試みている。また、実際に公開されているサイトを確認したり、特定のサイトには配信されないように設定したりと、広告配信をコントロールできるアドベリフィケーションツールの導入も検討している。
業種:消費者向けサービス  年商レンジ:3000億~5000億円


ブランドセーフティーの問題には未だ遭遇していないものの、企業として対策を講じていくことは必要だと感じている。インターネット上の話題や情報を見つける仕組みとリポートラインを設定し、状況によって関係部門が適切に対応できるようにしている。
業種:電機  年商レンジ:5000億~1兆円


ブランドが毀損されるような問題に実際に遭遇した訳ではないが、万一に備えた対策は講じている。一例として、よりプレミアムな場所に出るよう、PMPに出稿するようになった。
業種:電機  年商レンジ:5000億~1兆円

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【岐路に立つウェブ広告】(06) 消費者心理を代弁? 『Apple』が“付き纏い広告”に鉄槌

20180219 07
「ここぞというプレゼンテーションだったのに大恥をかいた」――。そう言って憤懣やる方ない様子なのは、ある女性起業家だ。顧客企業の男性社員び、自社サイトを見せてビジネスプランを説明しようとしたところ、セクシーなブラジャーの広告が幾つも画面に表示されたという。彼女のビジネスは下着とは無関係。原因はプレゼンの前週に、新しい下着を買おうとインターネットの通販サイトを物色したことだ。プレゼンで表示されたのは、その行動に基づいた広告だった。「確かにブラジャーを探したのは私。だが、あの場面でよりによって下着の広告が出るなんて…」。インターネット上での検索やクリック履歴に基づく広告を“リターゲティング(リタゲ)広告”と呼ぶ。運用型広告の一種で、アドテク分野の主たる手法だ。消費者の関心にある程度沿った広告が表示でき、購入に至る確率が高いとされる。だが、ユーザーの中には、インターネット検索という個人的な行動が第三者に把握されることに、不快感を覚える人がいる。下着以外にも性的志向や健康問題に関連する広告はデリケートな領域だ。また、既に購入した商品がしつこく表示されることがある為、煩わしく思う消費者もいる。こういった消費者の心理を配慮して、IT界のガリバー企業がリタゲ広告に鉄鎚を下した。

『Apple』は今年6月、自社ブラウザ『サファリ』にインテリジェントトラッキングプリベンション(※ITP)と名付けた新機能を導入すると発表。実際に9月から導入されている。リタゲ広告は、ブラウザ内に蓄積されるクッキーというデータを利用し、ユーザーの行動をトラッキング(※追跡)している(※右上図)。クッキーにはどのサイトを閲覧したか、どの端末やIPアドレスからアクセスしたかといった情報が含まれる。ITPはクッキーデータの利用を制限することで、過去の一定時間までしか行動追跡ができないようにした(※同)。「行動が追跡され、了承していない目的の為に個人情報が収集されると、ユーザーからの信頼が損なわれる」。Appleのエンジニアであるジョン・ウィランダー氏は、開発者向けのサイトでITP導入の背景を説明している。この施策が広告業界に打撃を与えている。アドテク専業の『クリテオ』(※『ナスダック』上場)は、パソコンでのリタゲ広告で世界大手。日本の企業やメディアにも取引先を多数抱える。クリテオの時価総額は発表直前に34億ドル(※約3875億円)あったが、6月のITP発表、9月の導入で段階的に同社の株価は下落し、半年後の12月上旬には6割にまで落ち込んだ。広告業界関係者は当初、「ITPが主にパソコンでのインターネット利用を対象とする」と考えていた。「サファリはパソコンブラウザとしては世界シェア3%程度。スマートフォンには影響が少ない」と、事態を楽観する向きがあった。ところが9月、『iPhone』と『iPad』のサファリにもITPが導入されている事実が確認された。ここで多くの関係者が慌てふためいた。「インターネット広告は、デジタルのコンテンツやサービスの資金源だ。この広告のエコシステムを混乱させることについて、Appleに再検討を強く求める」。『インタラクティブアドバタイジングビューロー(※IAB)』等アメリカの広告業界6団体は9月、Appleに公開書簡を送り、強く抗議した。日本のアドテク業界の上場企業ではITP対策が進む。「トラッキング方法を変更する」(『ファンコミュニケーションズ』)、「クッキーに依存しないトラッキングを導入する」(『バリューコマース』)、「ITPの影響を受けず、リタゲ広告の配信・効果計測ができるよう対応した」(『フルスピード』)。業界企業は9~10月、決算説明会やプレスリリースで次々と対策を表明。日本はスマートフォン市場におけるiPhone比率が約7割と、他国より高い。広告もAppleの動向に大きく左右される恐れがある。各社は、「アメリカのように業界ぐるみで異議を申し立てるより、『対策済みです』と表明するほうが株主や取引先の不安払拭に役立ち、Appleの感情も逆撫でしないで済む」と考えている。だが、こうした企業にとって本当に恐ろしいのは、ITPがどこまでインターネット広告に打撃を与えるのか不透明な点だ。最大の理由は、“クッキーの利用をどの程度制限するのか”についての判断基準が今ひとつわからないことだ。クッキーデータには、ユーザーの閲覧しているサイトが利用する“ファーストパーティー”と、それ以外のサイトが利用する“サードパーティー”があり、リタゲ広告では後者が活用されている。

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【岐路に立つウェブ広告】(05) 日本企業が軽視するブランド毀損リスク

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企業は一般的に、広告に2種類の効果を期待している。1つは、消費者に自社の商品・サービスを知らしめ、購入してもらうきっかけを作ること。もう1つが、自社のイメージをビジュアルやコピーで伝え、消費者の共感やブランドロイヤルティーを喚起することだ。例えば、テレビ放送でいえば『日立 世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ系・スポンサー企業は『日立製作所』)や『世界の車窓から』(テレビ朝日系・スポンサー企業は『富士通』)のような、長年に亘り特定の企業が広告を提供している番組がある。これは誰もが楽しく見られる良質な番組で、幅広い層にブランドを認知してもらう機会として相応しいと考えているからである。ところが今、インターネット空間で起こっているのは、企業がコストをかけて出稿した広告が、逆に企業イメージを損なう危険性を招いているという事態だ。公序良俗に反していたり、極端に思想が偏っていたりするインターネットメディアに、自社の広告が想定外に配信されてしまうことで起こる。所謂“ブランドセーフティー”の問題で、欧米の大手ブランド企業の間では、ここ2年ほどで急速に危機管理意識が高まっている。今回、本誌はブランド価値を損なう恐れのある問題サイトを4つ選び、日本の大手企業の広告配信があるか確認した。4サイトはいずれも、広告価値毀損測定の世界最大手『インテグラルアドサイエンス(IAS)』により、サイト全体、又はサイト内の一部コンテンツによるブランド毀損リスクが、同社の定める中程度以上と分類されている。4サイトとも、リターゲティング広告が配信される広告枠を設置しており、閲覧者の過去のウェブ利用履歴を反映した広告が自動的に表示される。

20180212 08
企業が指定して配信する広告枠ではないが、配信禁止サイトのブラックリストを作成したり、一定のリスク要素(※アダルト、暴力的、政治的偏向等)に抵触するサイトを排除したりすることは可能だ。今回は結果が特定的人間の検索履歴に左右されないよう、記者8人で確認作業を行なった。先ずは『ブライトバートニュースネットワーク(Breitbart News Network)』。アメリカのドナルド・トランプ大統領の元側近で、今年8月まで首席戦略官兼上級顧問だったスティーブン・バノン氏がトップを務め、極右と言うべき偏向した視点に立ったニュースを主に掲載している。右派有権者層には読者が一定程度おり、今回の4サイトの中では最もメディアの体を成しているが、アメリカの大手企業は配信を忌避するメディアだ。このサイトには、『トヨタ自動車』・『日本航空(JAL)』・『村田製作所』・『キヤノン』・『LIXILグループ』の広告が表示された。トヨタは、日本の大手広告主の中で特にブランドマネジメントに厳しいことで知られる。「出稿全般について、ブランド毀損になり得る不適切サイトへの掲載には対策を講じているが、指摘されたサイトについては認識していなかった。対応を検討する」(同社広報部メディアリレーション室)。JALは、「Googleの広告配信システム(※GDN)を介して自動配信されており、通常はGoogleのアルゴリズムで配信先から排除される。Googleに報告し、改善を依頼した」(同社広報部)と明らかにした。また、求人広告が表示された村田製作所は、「このようなサイトへの広告掲載は避けるべき。インターネット広告に関しては出稿部門に任せており、ブランドマネジメント対策は特に講じられていなかった。リスクに関して周知徹底を図る」(同社広報室)と答えた。

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【岐路に立つウェブ広告】(04) その広告、割に合っていますか?

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先ずは右の画像を見てほしい。ある掲示板サイトをキャプチャしたものだ。最初に目に留まるのはその長さ。これが1ページ分で、ページ内には企業イメージの向上を意図した『KDDI』の2種類の広告が大量に表示されている(※画像内のオレンジ枠で囲んだ部分)。その数、何と17。広告の表示回数を示す専門用語でこれを表現すると、17インプレッションになる。インプレッションとして数えるのは、インターネット利用者のブラウザに広告データが届いた段階というのが現在の主流。ページの下部に掲載され、インターネット閲覧者が画面を下までスクロールしない限り視認できないような広告でも、ブラウザがページのデータを読み込んでいれば、1インプレッションとしてカウントされる。インプレッション数は、広告料金を決める際にも用いられる重要な数値だ。しかし、このサイトでは容易に数を増やせるようになっている。そこに問題はないのだろうか?

広告主から見ると、このサイトは“クラッター”と“同載広告”という2つの問題を抱えていると指摘できる。クラッターは乱雑や散乱を意味する単語。1つのページに大量の広告枠がある場合、閲覧者の意識に残り難い為、広告としての価値が下がるとされる。後者の同載広告は、1つのページに同じ広告が複数出ることを指す。インプレッション数で広告料金が決まる場合、広告を見ている人は1人しかいないので、費用は割高になる。しかも、「広告がしつこい」という印象を与え、逆効果になりかねない。当のKDDIに見解を尋ねると、「費用面の問題だけでなく、ブランドイメージの毀損に繋がりかねない。閲覧した人からすると、『KDDIは何故こんなに多く出しているのか?』と疑問を持たれる掲載となっているので、何らかの対処をしたい」(広報部)とコメント。やはり本意ではない形での掲載だったようだ。こうしたインターネット広告の表示については、掲載広告の総面積の50%以上が一定時間露出されている状態にすべき等、広告業界で議論が進行中だ。クラッターも含めて、ただ表示させるだけのインターネット広告は消える運命にある。 (取材・文/本誌 緒方欽一)


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

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『NTTドコモ』も参入、QRコード決済が戦場に

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「当社の大規模な顧客基盤を武器に、新たな決済サービスを迅速に立ち上げる」――。こう意気込むのは、『NTTドコモ』の前田義晃執行役員だ。同社は、スマートフォンを使う新たな決済サービス『d払い』を今年4月に始める。2019年3月までに『ローソン』や『高島屋』等計10社、1万9000店で利用可能にし、早期に10万店へ広げる計画だ。ドコモが始めるのは、QRコードと呼ばれる2次元バーコードを使うモバイル決済。利用者は店頭でスマホアプリに個人を特定するQRコードを表示し、それを店員がPOS(※販売時点情報管理)レジのバーコード読み取り機やタブレットで読み込んで決済する。QRコードは、他人に盗まれ無断で使われないよう、買い物の度に生成する。ドコモが店舗向けのスマホ決済サービスを立ち上げるのは初めてではない。2004年、非接触型ICチップを使う『おサイフケータイ』を競合他社に先駆けて商用化した。携帯電話事業の成熟に備え、新たな柱の1つとして育てるのが狙いだった。

『KDDI』や『ソフトバンク』も追随したが、利用が広がっているとは言えない。利用者がIC対応端末を購入し、店側も読み取り端末を設置する必要があるのがネックだった。こうした壁を打ち破ったのがQRコード決済だ。スマホアプリで画面にQRコードを表示すればいいので、端末の対応機種を問わず利用でき、店側も新たな読み取り装置がいらない。だが、携帯大手は非接触ICを使うタイプを推進したこともあり、QRコードでは出遅れた。中国の『アリババ集団』の『支付宝(アリペイ)』や『騰訊控股(テンセント)』の『微信支付(ウィーチャットペイ)』は、本国で巨大なQRコード市場を作り上げ、日本でも対応店舗を増やしている。国内勢では、『楽天』が『楽天ペイ』、『LINE』が『LINE Pay』でQRコードを使った決済を広げている。急拡大するQRコード決済で、ドコモは巻き返せるのか? 頼みにするのが、携帯料金と合算して支払えるサービスの利用者だ。ドコモ回線の契約者が、インターネット通販等の料金を月額の携帯料金と合わせて支払える。月間1500万人が使うこのサービスにd払いを紐付けて利便性をアピールするが、利用者獲得の決め手になるかどうかは不透明だ。日本は、「来店客の8割が依然として現金払いを選ぶ」(ローソンの野辺一也執行役員)という“現金大国”。キャッシュレス決済の比率は2015年時点で18%と、中国の55%や韓国の54%、アメリカの41%に比べて低水準だが、それだけに伸びしろが大きい。ドコモに続き、KDDIやソフトバンクも追随してQRコードを採用する可能性もある。モバイル決済という潜在市場を巡る戦いが激化しそうだ。 (取材・文/本誌 高槻芳)


キャプチャ  2018年1月29日号掲載

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George Clooney

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