【この素晴らしき世界】(07) ツッコみ続ける男、ほんこんさん①

「どういうことやねん!」と聞こえたら、そこにはいつもほんこんさんがいる。本名、蔵野孝洋。吉本ブサイクランキング初代殿堂入りの肩書きでおなじみのほんこんさん。学生時代のニックネームは“壷”。でも、実はブサイクをイジられるのは最初抵抗があったそうです。事務所が撮るタレントの宣材写真でも、伊達眼鏡をかけてブサイクな顔を隠そうとしてました。勿論、伊達眼鏡だけで隠れるほど柔な顔じゃなく、ブサイクはあっさりバレていました。そんなほんこんさんの中ではルールがあり、ブサイクをイジっていいのは『ダウンタウン』さんや今田耕司さんな等限られた人だけ。嫌いな先輩や後輩がイジるとあからさまに嫌な顔をしていました。理由は、「俺の顔イジってスべられたら腹が立つ」「俺の顔をイジって簡単に笑いを取ってもお前の手柄やないねん。俺の顔のおかげやねん」という考え方でした。ほんこんさんが『130R』というコンビを組んでいるのを知らない人も多いと思います。相方は、今や個性的な演技でドラマや映画に引っ張りだこ、更には映画『火花』で監督もした板尾創路さんです。ここ何年も目立ったコンビ活動はほぼしていません。ほんこんさんの現在の活動は、新宿の『ルミネtheよしもと』という劇場で『吉本新喜劇』の座長として出演したり、関西を中心にテレビ出演したりしています。私とはもう30年ぐらいの付き合いです。芸歴でいうと、ほんこんさんが1年先輩で、今田耕司さんと同期です。

当時は根暗だった2人。吉本のタレント養成所『NSC』で、共に授業を教室の片隅で静かに聞いていて、ほんこんさんのほうから「茶ぁ行こか?」と誘い、仲良くなるのに時間はかからなかったそうです。その2人にもう1人の男が加わります。パンチパーマにギョロッとした目ですきっ歯。以前の仕事はトラック運転手。島田紳助さんに憧れて弟子入りをお願いしましたが断られ、紳助さんにNSCを紹介されて入学してきた男。それが板尾創路さんです。この3人の関係もややこしくて、抑々、最初は今田さんとほんこんさんがコンビを組んでいて、コンビ名は『ダブルホルモンズ』。今田さんが“上ロース”、ほんこんさんが“骨付きカルビ”という芸名でした。少しコンビ活動をしていたんですが、喧嘩が絶えませんでした。今田さんの度重なる遅刻が原因です。ほんこんさんがよくキレていました。待ち合わせ時間を3時間過ぎても来ない今田さん。携帯電話も無い時代です。「何かあったのか? 事件に巻き込まれたのか?」。心配性のほんこんさん。今田さんは3時間遅刻したので、「流石に帰ったやろ」と思ったが、念の為に待ち合わせ場所を遠くから見ると、律儀に待っているほんこんさん。「いてるやん! 3時間待ってたん? 嫌やわ! 今更顔出されへんわ!」。気まずいので、こっそり帰る今田さん。後日、その話を皆の前ですると、「どういうことやねん! せめて声掛けろよ!」とツッコみ、皆が笑うと上機嫌になるほんこんさん。そんなこともあって、最後は今田さんの家でネタの稽古をすることになりました。それでも今田さんは、前日のアルバイトの疲れで布団から出てこなくて、「あと10分寝かせて」「もう10分」…。ほんこんさんは布団の横でただ座って待っていたそうです。小さな声で「どういうことやねん! 何で起きてこーへんねん!」。そう言って稽古もせず、今田さんの家を出て行くほんこんさん。そして、解散。


東野幸治(ひがしの・こうじ) お笑い芸人・司会者。1967年、兵庫県生まれ。兵庫県立宝塚高校卒業後、『吉本興業』に入社。現在、『ワイドナショー』(フジテレビ系)・『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)・『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)・『梅沢富美男と東野幸治のまんぷく農家メシ!』(NHK BSプレミアム)等にレギュラー出演中。著書に『泥の家族』(シンコーミュージック)・『この間。』(ワニブックス)。


キャプチャ  2018年2月15日号掲載

テーマ : お笑い芸人
ジャンル : お笑い

【ヘンな食べ物】(74) 水牛の脊髄ちゅるりん炒めに脊髄反射!

世界遺産の中で、世界遺産級に珍しくて美味な水牛料理に舌鼓を打っていた私。だが、この後は驚愕の食材が連発した。入店当初から、台におかれた皿に、真っ黄色の細い管が蜷局を巻くように載せられているのが気になっていた。太さ約1㎝、長さ約1m弱。見るからに“異形”。小腸かと思うが、その割にはウネウネしておらず、ゴムホースのように滑らかだし、大体中身が詰まっていて管ではなかった。「一体何だこれ?」。首を捻っていると、案内役の友人・ミランさんが流暢な日本語で言う。「これ、何て言うかな、背中を通ってるズイみたいなもの…」。えっ、脊髄!! 思わずピンと背筋を伸ばしてしまった。まさに脊髄反射だ。しかし、他の動物でも脊髄を食べるなんて聞いたことがない。少なくとも私は知らない。ネワール族の言葉では“ティソ”。これは既に茹でてターメリックで色付けしてあるという。恐らく、そのままの色だと気持ち悪いので色を付けたのだろうが、不気味さは些かも減じていない。指で抓むと案の定、ぶよぶよしている。美人女将のギタ姐さんは、これを包丁で一口大に切り、玉葱、大蒜、黒胡麻のような見かけのネパール人の好むスパイス“ジュラ”(※キダチトウガラシ)と一緒に手際よく油炒め。漸く料理らしくなり、一安心。食してみれば、もっちりとしたマシュマロのような歯応えで、ちゅるりんちゅるりんという喉ごしが独特。味はあまり感じない。それこそマシュマロや蒟蒻のように、味よりも食感を楽しむ料理か。正体不明で他の動物の肉でもお目にかかったことがないという点では、次の“ツォヒ”も凄い。

平たい鍋にびっちり詰まっているものを指差し、ミランさん曰く、「血です」。「は?!」である。だって、白い煮凝りなのだから。見てくれは牛乳プリンっぽい。「ミルクでしょ?」「いえ、ミルクじゃない。血です」「血じゃないでしょう?」と暫し押し問答。すると、ミランさんは自分の首筋を人差し指で辿りながら、「ここを通っている白い血」と言う。それはもしやリンパ? よく知らないが、老廃物が流れるところと聞いた憶えがある。目の前にあるものは元は液体というから、器官ではなくリンパ液か。後でインターネットで調べると、無色透明な液体で白血球を運んでいるという。そればかりか、「不要になった老廃物や蛋白成分・ウイルス等病原体を回収しながら、集合リンパ管を通して心臓へ送る下水道の様な役目をする液体のこと」とも説明されていた。いいのか、“下水”を料理して食べて。日本の保健所もびっくりだろう。私の驚き顔にギタ姐さんは「フフフ」と笑い、鍋からプリンを切り分けるように一口大に切ると、塩、唐辛子、スパイスだけでサッと炒めた。口に入れると、ぷるぷるして豆腐か寒天かプディング。ほんのりミルクっぽい。思えば、乳も血の一種だというから、“類似商品”なのかもしれない。塩味のミルクプディングと言っても、知らなかったら信じてしまうだろう。誰か女性を騙して食べさせたくなる。扨て、リンパ炒めの後は、外見が最高に異様な“ソンニャクワン”。何しろ、大きな平たい皿に真っ赤な物質が充満している。見ただけでは固いのか柔らかいのかもわからない。案内役のミランさん曰く、「水牛の頭を全部煮たもの」。「全部って何?」と訊くと、「全部と言ったら全部ですよ」と彼は笑った。本当に水牛の頭をただ洗っただけで、そのまま鍋に入れて煮るんだという。


高野秀行(たかの・ひでゆき) ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。早稲田大学第1文学部仏文科卒。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)・『アジア未知動物紀行』(講談社文庫)・『世界のシワに夢を見ろ!』(小学館文庫)等著書多数。


キャプチャ  2018年2月15日号掲載

テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

【寝言は寝て言え!】(39) 笑えない二重国籍問題

雪の影響で関東の交通機関が麻痺する中、僕は灼熱のオーストラリアにいました(※申し訳ない)。今後、日本とオーストラリアがより重要な関係になることは必然で、安倍首相は“自由で開かれたインド太平洋戦略”を掲げています。日本、アメリカ、インド、オーストラリアを中心に、膨張を続ける中国の勢力を抑え込むことが出来るかが問われているのです。滞在したのはシドニー。圧巻の大きさを誇る『オペラハウス』にハーバーブリッジ、美しい光景でした。そこら辺にある公園に行くと、ランニングや腕立て伏せ等筋トレに励むオーストラリア人の姿を多数見かけます。「健康的に生きているなぁ」と、日本人の僕からすると羨ましく思えました。オーストラリアでは昨年、議員の二重国籍が大きな問題になっています。日本でも2016年、当時の民進党代表だった蓮舫氏の二重国籍が大きな話題になりました。日本は二重国籍を認めておらず、蓮舫氏の説明も二転三転したこともあり、国民からの不信を招き、その後、党代表を辞めています。当時、蓮舫氏に対する二重国籍問題への追及を「差別だ!」と批判する人たちがいました。しかし、それは的外れな話で、差別的な意味合いではなく、蓮舫氏の不備に対して不信感が募った結果でしかありません。結局、蓮舫氏は議員辞職をしませんでしたが、オーストラリアでは辞職にまで発展しています。憲法で連邦議員の二重国籍を禁じている為です。

高等裁判所は昨年10月27日、バーナビー・ジョイス副首相(※当時)ら議員5人に、“外国勢力の臣民又は国民”だとして、議員として不適格であり、選挙での当選を無効とする判決を言い渡しました。ジョイス氏はニュージーランド国籍も有しており、「経緯を知らなかった」と弁明しています。しかし、憲法が禁じている為、一旦辞めた訳です。ジョイス氏は8月の段階でニュージーランド国籍を放棄していますから、12月に行なわれた補欠選挙に出馬することができました。そして見事、当選を果たしています。二重国籍状態で当選したなら、一度辞め、国籍の問題を片付けた上で再度選挙に挑戦する。辞めなかった蓮舫氏とは違います。そして、現地に住む日本人に聞いたところ、「差別だ!」等という批判も聞こえてこなかったと言います。オーストラリアは約26%の住人が海外生まれという国で、二重国籍も珍しい話ではありません。本当に知らずに国籍が付与されていたという事例もあるのです。しかし、国家の仕事をする以上、国家に忠誠を誓い、「外国勢力なのでは?」と不信を招くようなことがあってはなりません。差別でもなんでもなく、当然の話でしょう。相次いで二重国籍問題で議員が辞職する事態になった為、マルコム・ターンブル首相は昨年11月に「全議員の国籍調査をする」と発表しました。他国の国籍を持っているか、国籍を放棄した過去があるかを調べ、「両親の国籍についても調査する」と言います。これは「日本でもやれよ」と思うのですが、何故か反対する“市民”とやらが出て来るでしょう。そして一番反対するのは、一部の議員かもしれませんね(笑)。いや、笑えない。


KAZUYA YouTuber。1988年、北海道生まれ。2012年、『YouTube』に『KAZUYA Channel』を開設。著書に『日本一わかりやすい保守の本』(青林堂)・『バカの国 国民がバカだと国家もバカになる』(アイバス出版)等。近著に『日本人が知っておくべき“日本国憲法”の話』(ベストセラーズ)。


キャプチャ  2018年2月15日号掲載

テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

【霞が関2018冬】(06) 子育て支援の企業拠出金、日商怒らせた官僚たち

政府は今月6日、保育所に入れない待機児童の解消等を目指す『子ども・子育て支援法改正案』を閣議決定した。この法案の特色の1つは、待機児童解消の財源を企業の拠出金に求めたことだが、その法案作りの過程で思わぬトラブルがあった。大企業グループが早々に了承したにも拘わらず、中小企業の意見を代表する『日本商工会議所』がぎりぎりまで応じなかったのだ。「体力の無い中小企業には厳しい内容だったから」と思いがちだが、それだけではない。「経団連だけじゃなく、日商にもしっかり根回しをしたほうがいいですよ」――。企業に拠出金を求める方向性が政府内で固まりつつあった昨秋、ある厚生労働省の官僚は内閣府の担当者にこう囁いた。「保育所の整備は、人手不足に悩む企業の為でもある」。こんな理屈で企業負担を求める訳だが、政府内には不安もあった。給与総額に応じて負担額を決める拠出金は、大企業よりも経営体力が乏しい中小企業が6割を負担してきた為だ。経団連と日商の対応は分かれた。安倍晋三首相は昨年10月末の『人生100年時代構想会議』で、企業に3000億円の拠出を要請した。これに対し、主に大企業で構成する『日本経団連』の榊原定征会長は、早々に前向きな発言をした。ところが、中小企業を取り纏める立場にある日商の三村明夫会頭は、数日後の記者会見で「聞いていない」と明確に反発。2018年度予算を策定する年末ぎりぎりまで反発は続いた。

保育所の整備は、子育てでキャリアを途切らせない為の大切な施策だ。有望な人材が退職すると穴埋めが聞かない事情は、大企業より中小企業のほうが深刻で、『日本銀行』の調査では、大企業よりも中小企業のほうが人手不足感が強い。こんな事情を考えれば、日商ももう少し前向きな対応ができた筈で、実際に最後は受け入れることで降りた。それでも最後まで反発したのは、「中小企業だから負担の力が無い」という表向きの理由があったからだけではない。霞が関の官僚たちの進め方が拙かった。子育て支援は厚生労働省の所管だが、政策全体は首相官邸を中心に纏めている。待機児童の解消や幼児教育・保育の無償化等が一連の政策パッケージとして、衆院選を前にした安倍晋三政権の目玉政策となっていた。取り纏め担当として内閣府が動くと、厚労省は蚊帳の外になりがちだ。ところが、日商によると「内閣府から事前の根回しは一切無かった」。根回しをして了解を得ておくよりは、政府の方針として伝えるという方策を選んだようだ。抑々、霞が関の総合調整的な役割が多い内閣府は、業界団体との付き合いは他省庁ほど多くない。こんな状況での“ポテンヒット”が日商に不信感を残した。その後、政府は合意形成が間に合わないことを恐れ、11月中旬に担当大臣である茂木敏充経済財政再生担当大臣が三村氏の元へ足を運んだ。ただ、その会談でも三村氏は首を縦に振らなかった。中小企業向けの保育所の整備を支援することを手土産に、年末ぎりぎりに開いた松山政司少子化担当大臣と三村氏の会談で、漸く合意に至った。待機児童ゼロに向け、責任を持っているのは誰か――。霞が関での主導権争いや“お見合い”を続けている限りは、前に進まないことだけは間違いない。 (矢崎日子)


⦿日本経済新聞電子版 2018年2月13日付掲載⦿

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【Deep Insight】(80) 信頼もシェアできるか

ライドシェア(※相乗り)大手の『ウーバーテクノロジーズ』が、ロンドンの規制当局と対立している。同社の安全対策が不十分だとして、ロンドン市交通局が「営業免許を更新しない」と表明し、ここで350万人の利用者を抱えるウーバーは不服を申し立てた。ロンドンといえば、“ブラックキャブ”が愛称のタクシーが有名だ。運転手になる試験(※ナレッジ)は難関。2万5000の通りや名所を暗記しなければならず、合格には3~4年の勉強が要るという。19世紀から続く歴史ある制度だ。対するウーバーの運転手は、隙間時間を使った“ギグ”と呼ばれる働き方が主流。一々道を覚えなくても、スマートフォンの全地球測位システム(※GPS)に従って目的地に辿り着く。「規制が緩い」「乗客を弄んでいる」。ブラックキャブの運転手からウーバー批判が聞こえてくるが、「信頼するならプロの技だ」という乗客がいる一方、「手軽に安く移動したい」との声も無視できない。当局の判断に反発するウーバー支持者の署名は85万に達した。安全が大事なのは当然だ。ただ、技術や事業モデルが違えば安全の守り方も変わるのではないか? ウーバーの場合、運転手の顔や名前、過去の乗客による評価が予めわかる。乗車中も、どこを走っているか友人や家族に知らせる機能がある。車内を“危険な密室”にしない工夫だ。「技術があるからこそ向上する安心・安全がある」と同社幹部は訴える。新しいサービスを古い規制やルールの枠に押し込めようとすれば、折角のイノベーションも花開かず、恩恵を享受できない。日本も他人事ではない。政府はシェアリングエコノミーの普及を成長戦略に掲げるが、代表格のライドシェアは安全面の懸念を理由に動きが鈍い。タクシー業界は「ライドシェアと称する白タク行為を断固阻止する」。都市部でウーバーのようなサービスが無いのは、アジアの主要国で日本だけだ。“ウーバーvsタクシー”というコップの中の争いではない。投げかけられているのは、もっと高い次元のテーマだ。赤の他人を相手に、安心して経済活動ができる世の中を作れるか――。不特定多数が互いに繋がるコストは、インターネットで劇的に下がった。嘗てないきめ細かさで人々の需要と供給をマッチングできれば、時間や空間、更にマンパワーの有効活用が進み、社会の非効率が減る。仕事が生み出され、働き方の刷新にも役立つ。シェア経済では、多くのサービスが個人によって担われ、CtoC(※個人間)の取引になる。デジタル時代を支える信頼のメカニズムを築く必要がある。

先ず、プラットフォーム企業の責任は重い。民泊の『エアビーアンドビー』は、宿泊場所を貸すホストと借りるゲストのやり取りに不自然な動きがないか、機械学習の技術でサイトを見張る。利用者に詳細なプロフィールの登録も求める。日本法人公共政策本部長の山本美香氏は、「安心・安全の為、利用のハードルを上げている」と話す。5年前、エアビーのブライアン・チェスキーCEOに取材すると、「世界はオープンになり、シェアする気持ちが強まっている」と語っていた。筆者は半信半疑だった。まさか、見ず知らずの人を家に泊めるなんて――。しかし、現実は彼の言うほうへ動いた。累計ゲストは2億人。利用者間で人種差別が問題になる等、改善の余地はあるが、然るべきしくみを設けたことで、“まさか”が当たり前になった。個人が果たすべき役割も大きい。シェア経済では、サービスを提供する側と受ける側が評価し合うのが一般的だ。この相互レビューに真面目に望みたい。いい加減な評価ではサービスの質が保たれず、結局、皆が損をする。個人が担い手である以上、サービスにはばらつきが生じる。誰のどのサービスを使うか、選択眼を養うことも欠かせない。「満足できないサービスだった」と理不尽に騒ぐクレーマーではいけない。シェア経済を回す信頼は関係者が協力して作り、その信頼もまたシェアする。そんなコミュニティー意識が重要だ。インターネットを手にした人類は試されている。そう言ったら大袈裟だろうか? インターネットを通じ、個人の発言や振る舞いを把握し易くなっている現実もある。スペイン発のベンチャー企業『トレイティー』は、SNSや物品売買サイトの利用情報を基に、個人の評判を可視化する。“信用できる人”ならシェアサービスを使いやすい。まるで監視と感じる人がいるかもしれない。だが、評判が一種の“通貨”となり、活動の範囲が広がるデジタルの効用は見逃せない。『矢野経済研究所』の予測では、乗り物や場所等をシェアするサービスの国内市場は、2021年度に1000億円を超す。『ジクウ』(愛知県名古屋市)は、同じ方向に行く人を募り、タクシーに同乗するサービスを手がける。「バスや電車の感覚に近付けたい」と中川裕己CEO。信頼のシェアは起業も促す。最後に、再びウーバーについて。同社は今年、セクハラや技術盗用等の問題が相次いだ。辞任した創業者に代わり、ダラ・コスロシャヒ新CEOが就任したが、先月には個人情報の流出とその隠蔽が発覚した。これではサービスの安心・安全を叫んだところで説得力を欠く。シェア経済が離陸する大事な局面で、トップ企業が自らの信頼を損ない続けたのは残念だ。 (本社コメンテーター 村山恵一)


⦿日本経済新聞 2017年12月8日付掲載⦿

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【US Affairs】(12) ジェフ・ベゾス氏の買収で変貌した『ワシントンポスト』の重責

「2017年は偏向した不公正な報道や、露骨なフェイクニュースの1年だった」――。ドナルド・トランプ大統領は、就任から1年が経つ先月中旬、共和党公式サイト上に自身が選定したフェイクニュースの“受賞リスト”を公表し、11のニュースを挙げた。これに対して現地メディアからは、「言論への弾圧だ」として批判が巻き起こっている。受賞リストに入った『ワシントンポスト』は、競合紙である『ニューヨークタイムズ』や『ABC』の受賞内容についても反論記事を掲載。加えて1月21日付で、「この1年間でトランプ大統領が2140個もの虚偽の主張や誤解を招く主張を述べた」と報じた。その頻度は1日平均5.9回に達する。筆者は、どのような事実もフェイクニュースとして扱うトランプ大統領やその支持者たちに、伝統的なメディアがどう対峙しているのかを追う為、昨年、複数回に亘りワシントンポストを取材した。アメリカの首都・ワシントン。ホワイトハウスに近い地下鉄のファラガットノース駅を出て、Kストリートを歩くと、重厚感のある建物に辿り着く。この建物がワシントンポスト本社だ。筆者が最初に同社を訪れたのは昨年2月。同紙のロシア疑惑を巡る報道がきっかけで、政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたマイケル・フリン氏が辞任した日だ。一連のロシア疑惑で政権幹部の実名が出た最初のケースだった。トランプ大統領は、この件でも自身の『ツイッター』上で“口撃”を繰り返し、同紙の記事を指して「アメリカ国民の敵であるフェイクニュースとは、匿名の情報源に頼った報道のことだ」とも非難した。政権と対峙するメディアにあって、ワシントンポストはその代表的な存在だ。同紙は46年前にリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだ“ウォーターゲート事件”の報道で知られている。若い2人の記者が『ウォーターゲートビル』に侵入したコソ泥の事件を追う中で、大統領の犯罪を暴く。そのスリリングな展開は映画『大統領の陰謀』(ワーナーブラザース)になった。

しかし、その栄光は長くは続かなかった。衰退する新聞業界の流れに抗えず、国内外の支局を次々に閉鎖し、記者を解雇。筆者がワシントンに滞在していた2010年には、ワシントン近郊のローカル紙の1つという位置付けになっていた。状況が一変したのは、2013年に『Amazon.com』のジェフ・ベゾスCEOが買収した時からだ。ITを駆使したウェブメディアの展開に注力し、読者を拡大。有力記者を次々に採用し、ニューヨークタイムズと並ぶ有力紙の座を取り戻した。今、ワシントンポスト本社では、中央の吹き抜けスペースに設置されたディスプレイから、インターネット配信記事のアクセス情報等の様々な数値が常時、把握できる。驚くのは、あちこちに設置されたテレビスタジオのセットだ。フロアに小さなテレビカメラと照明のセットが設けられており、記者は原稿を書いたら直ぐにカメラの前に座って、各テレビ局や同紙のウェブテレビに出演し、記事を解説する。ビデオ取材スタッフを数十人規模で雇う等、伝統的な新聞メディアからマルチメディアへの転換を果たしている。昨年、同社の編集幹部があるシンポジウムに呼ばれた時のことだった。司会者に“Are you at war with the President?(貴方の新聞は大統領と戦争をしているのか?)”と問われたという。編集幹部は「戦争ではない」と断った上で、“No. We are at work.(いや、我々は仕事をしているだけだ。)”と答えた。“at war”と“at work”。韻を踏むのが好きなアメリカ人らしい切り返しだ。記者歴40年超で、同紙上級記者であるロバート・バーンズ氏(64)は、トランプ大統領支持者から「貴方の記事はフェイクニュースだ」と投書されたことがある。同氏は、「丁寧に反論を書いても受け入れられない厳しさを痛感している」と話す。「フェイクニュースだと批判されても、時間が経てばわかる。事実は色褪せない」(バーンズ氏)。ニュースを伝達する手法は急速なデジタル化を成し遂げたが、ベゾス氏による買収後も、反証できない事実に依拠した報道に徹するという原則に変わりはない。ベゾス氏によって復活を遂げたワシントンポスト。フェイクニュースと対峙しながら、新聞という業態を超えた新たなメディアとして、権力監視を担おうとしている。


立岩陽一郎(たていわ・よういちろう) NPO法人『ニュースのタネ』編集長・アメリカン大学客員研究員。1967年、神奈川県生まれ。放送大学大学院修士課程修了。一橋大学卒業後、『NHK』に入局。沖縄放送局・テヘラン特派員・社会部・大阪放送局・国際放送局デスク等を経て、調査報道を手掛ける認定NPO法人『iAsia』と、インターネット上で政治団体の収支報告書を公開する公益財団法人『政治資金センター』を設立。


キャプチャ  2018年2月10日号掲載

テーマ : アメリカお家事情
ジャンル : 政治・経済

【人が集まる街・逃げる街】(13) 北海道ニセコ町…外国人の観光客に加え定住者も増加

北海道の『新千歳空港』から鉄道かバスに約2時間半揺られるとニセコ町に辿り着く。ニセコはアイヌ語で“切り立った崖”を意味する。以前は狩太町という名称だったが、1964年に現在の名称に変更された。隣接する倶知安町と並び、道内屈指のスキーリゾートとして栄えてきたニセコ。町内には複数のスキー場があり、パウダースノーの魅力は国内の多くのスキー場でも群を抜く。また、羊蹄山を代表とする景観や、域内で栽培される野菜、更に湯量の豊富な温泉等の資源に恵まれ、多くの観光客を虜にしてきた。こうした観光資源に目をつけたのが外国人客だ。2004年度に僅か1万3833人泊だった外国人客の延べ宿泊者数は、2016年度には約15倍の20万4494人泊にまで激増。その内訳は中国、香港、台湾といったアジア人だけでなく、オーストラリア人やアメリカ人にも広がっており、町内の道路標識やレストランのメニューには英語表示が浸透してきた。外国人客がこれだけ増えた理由は、パウダースノーの魅力だけではない。従来、ニセコといえばスキーリゾートという印象が強かったが、その印象をがらりと変えたのが夏のスポーツである。例えばニセコでは、春から夏にかけて尻別川でのラフティングが盛んだ。ラフトと呼ばれるゴムボートを使って激流を下るスポーツ。こうした夏のスポーツは、日本人がその魅力を世界に発信した訳ではない。この地を訪れた外国人が口コミで広げたのだ。

実際、ラフティングはアメリカが発祥の地と言われるが、ニセコではオーストラリア人が始め、インターネット上の口コミで広げた結果、ニセコの夏を代表するスポーツとして定着していった。カヌーやトレッキングも同様である。“夏も楽しいニセコ”は、そのイメージの多くを、同地を訪れた外国人たちが作り上げた経緯があるのだ。外国人客の増加は、街に外国人定住者の増加という副産物を齎した。ニセコ町に住む外国人は、2005年には僅かに10人だったが、昨年末時点で429人にまで増加。全体人口に占める割合も8%を超えた。外国人定住者は続々とニセコの土地を入手している。特に羊蹄山を望む地区は人気で、オーストラリア人の他、最近では香港人や中国人等のアジア人が次々と瀟洒な別荘を建設している。2016年には同地区で売り出された新築リゾートマンションの販売価格が、坪当たり500万円超に高騰して話題となった。この価格帯は東京都港区の新築マンションの価格帯と同水準。ただ、買い手のプロフィールは港区のように日本人中心でなく、香港人やシンガポール人が主役である。ニセコ町は、こうした外国人の移住者と良好な関係を築いている。例えば、外国人を積極的に役所の職員に採用。外国人にニセコ町の魅力を発信してもらうことで、更に外国人客を呼び込もうとしている。こういった行政の地道な取り組みが、多くの外国人に支持される最大の理由かもしれない。こうしたニセコでの外国人の定住について、「外国人による日本の不動産の買い占めだ」として眉を顰める向きもある。しかし、それは偏った見方だ。地域の不動産価格上昇と街の経済の活性化に外国人が貢献する。そんな時代が到来していると言えるだろう。


牧野和弘(まきの・ともひろ) 不動産事業プロデューサー。1959年、アメリカ合衆国生まれ。東京大学経済学部卒。『第一勧業銀行』(※現在の『みずほ銀行』)や『ボストンコンサルティンググループ』を経て、1989年に『三井不動産』に入社。『三井不動産ホテルマネジメント』に出向した後、2006年に『日本コマーシャル投資法人』執行役員に就任し、J-REET(不動産投資信託)市場に上場。2009年に『株式会社オフィス・牧野』、及び『オラガHSC株式会社』を設立し、代表取締役に就任。2015年に『オラガ総研株式会社』を設立し、代表取締役に就任。著書に『なぜビジネスホテルは、一泊四千円でやっていけるのか』(祥伝社新書)・『2020年マンション大崩壊』(文春新書)等。


キャプチャ  2018年2月10日号掲載

テーマ : 住宅・不動産
ジャンル : ライフ

【オトナの形を語ろう】(58) 旅先での危険から如何に自分の身を守るか?

旅というものがいつも危険と隣り合わせていることを書いたが、旅先の危険・危機は、これに対する構え・対処法がすんなりいかないところに、受け身でしか行動できない弱さ・もどかしさがある。特に若い時の旅というのは、海外ならば言語をマスターしていないことと、日本人は戦後(※第2次世界大戦・太平洋戦争のこと)の教育で格闘する為の術を身に付けていないから、攻撃どころか己の身の防御さえできない。恐らく、先進国の中で、何かの拍子に殴り合いになったら、日本の若者ほど脆弱な若者はいない。日本の若者の脆弱さを、「日本は軍隊を持たず、徴兵制度、それに伴う体力強化、格闘の訓練の機会が無いから」と言う人がいるが、私はそれは違っていると思う。どんな環境で育とうが、若い時に独りで生き抜く体力と精神力を鍛えておくことは必須なことである。若し、生まれついて身体に疾患があったり、ハンディキャップを持っているなら、それなりの自己防御を身に付けておくべきだろう。これから話すことは、別に私の身に危険が及んだ訳ではないが(※少しは危険だったかもしれないが)、それでも私の若い時の旅としては思い出深いものだった。高校の同級生だったO君は、私の生家のある瀬戸内海沿いの小さな街の中でも、代々名士と呼ばれる素封家の長男だった。

高校時代は、私は野球ばかりをしていたので、ワンダーフォーゲル部に所属していたというO君と話をする機会はなかったのだが、私が身体を壊して大学の野球部を辞め、実家からも勘当されて、ぶらぶらしている時、新宿の街で顔見知りの同級生と歩いていたO君を紹介され、彼の住んでいるアパートに、その夜行った。その頃、学生は大半が小さな部屋に住んでいたのだが、彼の部屋は2間あって、「裕福な家の子は大したものだ」と感心し、その夜から私はO君の部屋に泊めてもらった。そのまま3ヵ月余り住んで、最後はO君の実家から送金してきたお金を彼が留守の時に受け取り、そのまま競馬場へ行ったことで、流石の坊チャンも怒り出し、私は横浜へ流れた(※悪い学生だった)。O君にはずっと借りがあると思っていた。1年半後、彼から連絡があり、「これからロンドンへ留学するので、その間は部屋に住んでイイ」と言ってきた。「本当にイイ奴だナ…」。半年してロンドンから手紙が来た。手紙の内容はよく理解できなかったが、兎も角、助けてほしいからロンドンに来てくれと、旅費も入っていた。「ロンドンか…キャバレーとは違うロンドンか…」。私は10日後、ロンドンに旅立った。ヒースロー空港まで迎えに来てくれたO君は、困っている風には見えなかった。電車の中でも陽気だった。「問題事が解決したのだ」と思った。その夜、『ピカデリーサーカス』近くの中華料理屋で美味い夕食を摂り、パブを数軒回って、彼のアパートに戻った。私は旅の疲れもあり、直ぐに休んだ。深夜、せわしない音がするので目覚めた。どうやらアパートのドアを誰かが叩いている。

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テーマ : 生き方
ジャンル : ライフ

【劇場漫才師の流儀】(24) ゆりやんレトリィバァ

昨年末、女芸人ナンバーワンを決める『THE W』(日本テレビ系)で『ゆりやんレトリィバァ』が優勝しましたが、彼女、今年は更に活躍しそうですね。彼女は先ず頭が良い。関西大学文学部から大阪NSC8期首席卒業ですもんね(笑)。絵も上手いし、ピアノも弾けてリズム感もある。それでぽっちゃり体形でしょう? お笑いの要素が全部詰まっていますよね(笑)。その上、根性もある。以前、『ナインティナイン』の番組(※TBSテレビ系『世界のどっかにホウチ民』・一部系列局除く)で、ニューヨークに放置されて1人で芸人修業をする企画に出ているのを見た時、「めっちゃ頑張っているなぁ~」って思いました。若し僕があれをやれ言われたら絶対断ります(笑)。芸人として売れるには、持って生まれた才能は勿論ですが、その後、どれだけネタの引き出しを増殖させるかが大事です。1つのネタでバーンと売れたとして、当たったネタを引っ張り過ぎると、“一発屋”で終わってしまう危険性が増す。そこへいくと、ゆりやんは多才でしょう。新鮮なネタが次から次へと出てくる。女芸人の中では、ちょっと『友近』に似ているところがありますね。友近もキャラクターを1つに固定していないのがいい。ゆりやんも英語の発音が上手で、外国人ネタも豊富やしね。去年はドラえもんの格好をして、日常の些細なことを愚痴るネタをやっていましたよね。

「しょっちゅうネットで叩かれる」とかってブツブツ言いながら、ポケットから何かを出す振りをして「気にしない!」って決め台詞を吐く。「おもろい!」と思いました。僕は漫才でアニメのネタをやっているのは好きじゃないんです。そのアニメを見たことがない人もいる訳ですからね。でも、ゆりやんのドラえもんは何故か受け入れられました。このあたりは漫才とピン芸の違いなのかもしれませんけど。数年前、初めて彼女を見た時は、未だお客さんに受け入れられていない感じでした。ただ、露出がどんどん増えるようになって、さんちゃん(※明石家さんま)とか力のある司会者が、ゆりやんのギャグを拾ってくれるようになった。勿論、イジってもらえるのも実力のうちです。そうやって拾わせるのも実力のうちです。もう今では、お客さんもゆりやんのギャグを待っているもんね。「あれやってくれへんかな?」「これやってくれへんかな?」って。彼女でびっくりするのが、舞台とは打って変わって普段はめっちゃ御淑やかなんです。可愛らしい感じでギャップに驚きます。年末、劇場で僕らの楽屋に来てくれた時も、「お疲れ様でした。来年も宜しくお願いします」って、凄くおっとり挨拶してくれました。あれを見ると、「どれがホンマのゆりやんなんやろ? これもキャラクターの内の1つとちゃうかな?」と思ってしまいます(笑)。芸歴40年を超える僕がそう思うくらいですから、やはり只者ではないんでしょうね。


オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(共にワニブックス)。


キャプチャ  2018年2月19日号掲載

テーマ : お笑い芸人
ジャンル : お笑い

【Test drive impression】(54) 『スズキ クロスビーHYBRID MZ 4WD』――ガチ売れ確実のスズキの新型は“5ナンバー版ハスラー”なのか?

私、小沢コージがクルマを見た瞬間、「こりゃ売れる!」と確信したのが、そう、『スズキ』の新型コンパクトSUV『クロスビー』。最大のキモは“おっさんキュート”にある。クロスビーは昨年12月25日にデビューした。そのスタイルは、軽自動車で大ヒットを飛ばした『ハスラー』まんま。ハスラーとは、2013年2月に発表された軽自動車SUVで、予想以上に売れた。既に累計販売台数は36万台を突破しており、2014年には『RJCカーオブザイヤー』を受賞する等、最早スズキの顔へと成長している。ハスラーの大ヒットの理由は、そのキュートなデザインと実用性の高さにある。実は、プラットフォームが当時の『ワゴンR』だったので、室内は広く、燃費はまさかの32.0㎞/ℓ! デビュー直後にハスラーのデザイナーを取材したら、「可愛い軽を造る気はなくて、自分たちでも乗りたくなる軽SUVを造ってみただけ」と話していた。取材時、このデザイナーは50代のおっさんだった。それを踏まえてスタイルを見ていたらピンときた。ハスラーは可愛過ぎないのだ。フェンダーやライト類の造形には、昔のクロカン4WD的なワイルドっぽさが残っていて、おっさんでも無理なく愛せるキュートさに仕上がっているのだ。

それはクロスビーも同じ。見事にハスラーの魅力が移植されている。肝心のデザインだが、フロントマスクはハスラー譲り。バンパーは如何にも4WDっぽい。欲を言うなら、このままのバンパー形状で素材を樹脂から鉄板にしたいところ。全体フォルムもハスラーの延長。サイドパネルはよりマッチョに盛り上がってはいるが、大径のフェンダーアーチといい、後部にいくほど絞り込まれたサイドウインドウといい、意外にシャープだ。インテリアも同様。ハスラーはキュート系とはいえ、曲線はほぼ使われておらず、メーターやエアコン吹き出し口を除いて全面的にスクエア。それはクロスビーも同じだが、普通車らしく、パーツの質感やデザインはハスラーに比べて格段にレベルアップしている! シフトレバー回りは全面的にメタリック調のパネル、ナビモニターはハスラー同様の独立デザインのまま見易くなり、メーターパネル右側には各種情報の表示が可能な3.5インチマルチインフォメーションディスプレイを装備。更に重要なのが、リッターカーならではの走り味と実用性の高さだ。コンセプト的にクロスビーは完全にハスラーの延長線上に位置しているが、車名を“ビッグハスラー”にしなかったのには理由がある。ワゴンRの拡大版である『ワゴンRワイド』の失敗があり、たとえ一から造り直しても、名前とデザインが似ていると、単なる“軽のワイド版”と誤解されかねないからだという。よって、クロスビーも一から造り直されている。

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テーマ : 新車・ニューモデル
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