『共同通信社』の社長交代が決定…社会部出身の新社長に期待と不安の声

20180608 06
『共同通信社』の社長交代が決まり、社内からは歓迎する声が上がっている。2013年に社長に就任後、5年務めた福山正喜氏は相談役に退く。福山氏は政治畑一筋で、政治部長経験者ではあるものの、小沢一郎氏の担当が長く、現在の政治情勢の中では“傍流”だった。巻き返しの為か、福山氏はこの間、「安倍晋三政権への接近を図ろうとしてきた」(同社関係者)。特に、『読売新聞グループ本社』代表取締役主筆の渡邉恒雄氏には「すり寄りと言っていいほど」(同)の接近をし、渡邉氏が安倍首相を呼ぶ会合に福山氏は“常連”のように顔を見せていた。この為、社内では「政権への批判がし難くなる空気」(同)が出始めていたという。後任の水谷亨専務理事は社会部出身。社内からは「“安倍支持”という無言の圧力から解放される」との声。但し、反動が大きくなり過ぎることを危惧する声も出ている。


キャプチャ  2018年5月号掲載

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

モリカケ問題で経済産業省人事が混沌…嶋田隆次官の3年目突入の可能性も

20180608 05
経済産業省の次期事務次官レースが混沌としてきた。嶋田隆次官(※右画像)の2年目続投は確実なものの、後継最右翼だった柳瀬唯夫経産審議官が加計問題に絡む“首相案件”発言で騒動の渦中にいる。また、将来の次官候補だった髙橋泰三官房長も、安倍昭恵氏付きのノンキャリア職員を海外赴任させた疑惑が持たれている。省内では、「柳瀬氏は6月に退官し、髙橋氏は特許庁長官辺りに飛ばされる」との見方も。他をみても、経済産業政策局の糟谷敏秀局長は嶋田氏と反りが合わない。『東京電力ホールディングス』の西山圭太取締役が帰任するものの、「理論派で、政局流動時の次官には弱い」(同省関係者)という。唯一の有力候補は、過去にスキャンダルに見舞われた中小企業庁の安藤久佳長官くらいで、早くも嶋田氏の3年目突入も噂され始めた。


キャプチャ  2018年5月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

官邸の“横槍”はあるのか…外務省アジア大洋州局長人事は波乱含み

20180608 04
外務省の今夏の幹部人事で焦点となるのは、アジア大洋州局長だ。1月の幹部人事で事務次官と政務の外務審議官は交代済み。残る目玉人事がアジア大洋州局長なのだが、官邸の横槍が入りかねない。実は、1月の外務省の幹部人事で、ある異変があった。北米局長に納まったのは鈴木量博氏だったが、外務省が局長候補として首相官邸に推したのは、経済局の山野内勘二局長(※左画像)と『国家安全保障局(NSC)』の山田重夫内閣審議官だった。本来、駐米公使になって1年半しか経っていない鈴木氏はリストに無かった。それを強引に引っ張り上げたのは杉田和博官房副長官という説が、実しやかに流れているのだ。官邸主導を誇示する為に、各府省が推薦した人事を敢えて採用しない安倍政権の「悪弊」(経済官庁幹部)の犠牲になったのが、山野内氏と山田氏だった。今夏の人事で、外務省は2人のどちらかを省の威信にかけてアジア大洋州局長に据えたいが、それが官邸を刺激して「人事への再介入を招く」との疑心暗鬼が広がっている。


キャプチャ  2018年5月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【曖昧な日本のリベラル】(01) 日本のリベラルに実体なんて無い――井上達夫(東京大学教授)×苅部直(東京大学教授)





20180606 11
井上「“保守vsリベラル”が日本の党派政治の対立軸として今語られていますが、恰も昔からそういうものがあったかのように言われていることが、私としては腹立たしいですね。日本の戦後政治の基軸は“保守vs革新”であって、リベラルはどちらからも突き放されてきました。保守からは『普遍主義や個人主義にかぶれて伝統を無視する根無し草だ』と批判され、革新からは『資本主義の擁護論だ』と言われ、叩かれてきた。それが冷戦構造の崩壊後、社会主義と重なる革新の看板が外されて、メディアも自民党保守勢力に対抗する勢力をどう呼んでいいか迷い、リベラルと呼び始めた。当初、この新呼称に躊躇した旧革新系勢力も、軈てリベラルの看板を掲げるようになった」
苅部「元々、日本の近代史を通じて、リベラル若しくは自由主義という言葉は、ネガティヴな意味でしか使われない傾向があります。典型的なのは、1920年代に登場した“オールドリベラリスト”という表現。マルクス主義者が批判をこめて、先行世代の知識人をそう呼んだんですね。更に勿論、国粋派・伝統派の論者が否定的な意味で“自由主義”と呼ぶ例も、明治時代からあったでしょう」
井上「象徴的事例として、岩波書店の“思想”――今はリベラルの牙城と見做されている雑誌がリベラリズムの特集を初めて組んだのが、2004年です。私が企画を引き受けました。つまり、日本におけるリベラルはその程度のもので、はっきり言って実体なんて無いんです」

苅部「戦後の政治の世界で“リベラル”という自称が使われるようになったのは、書籍と雑誌論説の題名から見る限りでは、1993年の政権交代で細川護熙連立政権が登場した前後のようですね。先ず、自民党内の宏池会系の政治家がそう名乗り始め、当時の社会党の右派で野党再編を試みていた、後の民主党に繋がる人脈の人たちも自称するようになった。それが今、政界と論壇で言われる“リベラル”概念の源流でしょう。ただ、今のリベラルは“アべ政治”に対抗するムードとしての“護憲”の言い換えですよね。自由の価値を本気で掲げて、原理的に一貫した政策体系を打ち出すような姿勢は見られない」
井上「リベラルという思想は、日本だけではなく、欧米においても混乱しているところがありますからね。党派政治の文脈でリベラルや保守を語る場合、その立場は時々の政治闘争の磁場で変わってきます。わかり易くする為に、国内政治体制の問題と、経済政策の問題と、軍事外交の3つに分けて考えるのがいいでしょう。先ず政治の面では、其々の国の伝統や文化を守る為には、個人の自由や権利がある程度は制約されてもやむなしというのが保守で、それに対して、伝統や文化を常に批判して、異端の個人、被差別少数者の市民的・政治的人権を重視するのがリベラルです。この“保守vsリベラル”という構図は比較的明確で安定している。経済政策と軍事外交面に関して、思想も政策も二転三転しています。先ず経済面に触れておくと、例えばアメリカの民主党はリベラルと言われているわけだけれど、1929年の大恐慌に対してニューディール政策で対処し、それ以降も社会経済的弱者を救済する為に、また大恐慌の再発を抑止するマクロな経済管理をする為に、国家が市場に積極的に介入していく政策を取った訳ですよね。では、保守はどうか? 伝統的な保守にとって、能力主義的競争原理の自由市場というのは敵なんです。何故なら、身分制的秩序やエスタブリッシュメントの既得権を擁護しようとした嘗ての保守は、能力主義的競争で社会階層間の流動性が高くなることを嫌う。貿易についても自国を守る保護貿易ですよね。ところが、リベラリズムの勢力が市場社会に対して国家の積極的介入を言うようになると、今度は保守が小さな政府、マーケットメカニズムを重視するという方向に変わってきて、それが1980年代のイギリスのサッチャリズムとアメリカのレーガニズムで鮮烈に出てきた。こうして逆転して、それが今また保守が『経済的グローバル化で白人労働者階層が没落した』と言って、保護主義に戻りつつある訳です」
苅部「日本に関しては、小泉純一郎政権が“新自由主義”と呼ばれました。郵政改革等の発想に、同時代のアメリカ保守派の“小さな政府”志向と共通するものがあるのは確かでしょう。しかし、小泉首相にしても、経済政策のブレーンだった竹中平蔵さんにしても、自由主義とは名乗りませんよね。言っていることは単に行政機構のスリム化であって、自由の価値を追求した訳ではない。それを、“リベラル”を自称する野党や知識人が“新自由主義”と名付けて攻撃する。否定すべきものとして“自由主義”と呼んでいる訳で、そうした批判者自身が、自由という価値を本当は信じていないことがよくわかります。2016~2017年にかけて出版された書籍で、“リベラル”を題名に含んだ本の大半は、それを批判する論調のものです。ポジティヴにこの言葉を掲げているのは、香山リカさん、中島岳志さんの著書等少数。大勢としては未だに批判対象の呼び名なんですね。“革新”という呼称が既に色褪せたからリベラルと言い直して自称するような具合では、この言葉もいずれ使い捨てられるのではないかと思います」

続きを読む

テーマ : 右翼・左翼
ジャンル : 政治・経済

【鉄道大戦争2018】(09) 「日本海側を貫く新幹線が必要だ」――石破茂氏(自民党衆議院議員)インタビュー

政界きっての論客は鉄道通でもある。元地方創生担当大臣で衆議院議員の石破茂氏。メディアでは“鉄オタ”ぶりを披露することは多いが、この国の鉄道事業について正面から語ることは少なかった。本誌に語った鉄道論は実に示唆に富んでいる。 (聞き手/本誌 大坂直樹・小佐野景寿・堀川美行)

20180604 07
――今回は本格的な鉄道論を語ってもらいたいのです。
「そんな…。趣味の領域から出ないよ。高度な話を期待されても全然ダメだからね、ハハハハ。まぁ、どうぞ」

――今後、人口減少の影響で存続が危ぶまれる路線が増えるかもしれません。
「同じ公共インフラでいえば、自動車の場合はインフラは税金で整備をしていく。事業者は車やバスを走らせてればよいと。道路まで含めて『きちんと採算を取れ』等という発想は無いよね。儲からないから高速道路廃止という話は聞いたことがない。それなのに何故、鉄道の場合は“儲からないと止める”になっちゃうのかな? 同じ公共交通インフラで均衡を失してはいませんか? そういう根源的な問題が先ず存在する。上下分離でインフラの部分は全部税金でみて、その上の部分、運行する部分だけを民間事業者でみればよいのではないか? こういう発想はこの国には無かった。赤字でもよいのかという議論だけれど、その鉄道単体で赤字か黒字かという話よりも、それを使った場合、そこの沿線の地域が全体で黒なのか赤なのかという見方が大事でしょう。そういう指標があんまり無いよね。北海道に行くと、『鉄道どうするの?』『宗谷本線を廃止するなんてとんでもない』っていう話がある訳。国鉄からJR北海道に移行した時に基金を運用して赤字を補填しなさいということだったんだけど、今は金利水準がゼロになった。『JR北海道、頑張りなさい』っていうのは、それはちょっと酷じゃないのではとは思う。当然、事業者も地元も利用客を増やす知恵みたいなものを総動員しないといけないよ。いすみ鉄道の鳥塚亮社長は、『“乗って残そう何とか線”なんぞ以ての外だ』と。そんなことを言って残った鉄道なんかひとつも無いから。『乗りたくなる鉄道、乗って来たくなる地域を作るのが地元の仕事だ』と話している。私もそう思う。JR九州の“ななつ星”は、それ自体は多分赤字でしょ。でも、その宣伝効果たるや凄い。唐池(恒二)さんの執念を感じる。世界一の列車、サービス、九州一美味しい米、肉、魚…。ゆっくり走って、大村湾の夕日を見るとかね。“今だけ、ここだけ、貴方だけ”っていうサービスを目一杯詰め込んでいるじゃない。こういうネタは日本国中にあるんだよ」

――新幹線建設については各地で期待があるようです。
「私たちは山陰新幹線の立場。山陰の日本海側って、新幹線も繋がっていないし、高速道路も繋がっていない。昨年の衆議院選挙の応援演説は、先ず新潟1区、次の日が秋田1区っていう日程だったんだけれど、どうみても1回東京に戻るほうが早いんだ。間に山形を挟むだけなのに…。私の鳥取1区から竹下(亘)さんの島根2区に行くのは、隣の県なのに、どう考えても1回羽田空港に出たほうが早い。上越新幹線と北陸新幹線は上手く繋がっていないし、在来線も減っている。やっぱり青森から下関まで繋ぐ新幹線って必要なんだよね。山形新幹線や秋田新幹線を作るのに大変な努力があったことも知っているが、やっぱり在来線軌道を走る新幹線には限界があるよ。1時間に何本も走る線ではないと思う。単線の新幹線っていうのは考えられるのかな? それだと建設費はいくら下がるのか? 燃料電池による新幹線だとどうなのか? フルスペックの新幹線は財政的に無理でも、上手くコストが下がる一方策があればいい。鉄道の特性である定時性、環境に対する負荷の少なさ、大量輸送能力というのは、日本人が遍く享受すべきものだ。一生懸命に努力して頑張ろうと思っても、交通インフラがあまりに脆弱だと力を最大限引き出せない。中央一極集中にはそれなりの意味があった。中央において、極限まで生産性を上げて、公共事業と企業誘致で地方に雇用と所得を齎すという形で、国家は運営されていた。『地方はそんな頑張らなくてもいいよ』っていう。でも、昭和40年代や50年代と同じように公共事業をやる財政余力は無い。地方の工場が同じものを大量生産するというビジネスモデルはもうあり得ない。『地方のポテンシャルを最大限に引き出す為には、交通インフラが必要で、それってどんな形がいいんだろうな?』といつも考えている」

――都市と地方だけでなく、地方同士を繋ぐ高速交通があってもいいのでしょうか?
「いいでしょうね。何でもかんでも東京や大阪に向かわなければならないというものではない。昔は米子発名古屋行きという、とんでもない路線を走るディーゼル急行があった。インバウンドの人たちも有名な観光地は見飽きちゃうでしょ? 本当の日本の素晴らしさや原風景は地方にこそあるんだよ。昔は地方出張した時に夜行列車で帰るのが楽しみだった。特に、秋田から寝台特急“あけぼの”に乗って上野へ帰って来るっていうのが大好きだったけど、今は夜行バスに取って代わられた。オールオアナッシングではなくて、輸送手段其々の特性を上手く生かすことができたらいいよね」


キャプチャ  2018年2月14日増刊号掲載

テーマ : 鉄道関連のニュース
ジャンル : ニュース

地銀再編阻む公取委の背後に財務省の“天下り利権”

20180601 08
公正取引委員会が2回に亘って“待った”をかけた『ふくおかフィナンシャルグループ』(福岡市)と『十八銀行』(長崎市)との合併に、財務省の影がちらつく。「ふくおかFG傘下の貸出シェアが7割を超え、独占の弊害が起きる」というのが公取委の言い分。だが、合併できない背景は、ふくおかFGのライバルで、財務省の“占領地”とされる『西日本シティ銀行』(福岡市)の横槍を指摘する関係者が少なくない。嘗て、ペイオフ第1号かと言われた『豊和銀行』(大分市)に圧力をかけ、西日本シティ銀行に救済の打診をさせたのは財務省等で、当時の西日本シティ銀行の頭取は大蔵省(※現在の財務省)OBの新藤恒男氏。『キヤノン』始め大手が工場を構える大分県へ、西日本シティ銀行が豊和銀行を通じて進出することに危機感を抱いたふくおかFG傘下の『福岡銀行』は、直ぐに『熊本ファミリー銀行』を呑み込んだ。西日本シティ銀行は、現在の谷川浩道氏まで財務官僚OBが頭取で、ふくおかFGの膨張は看過できない。事実、谷川氏が、やはり財務省出身の公取委・杉本和行委員長の下へ足繁く通う姿も目撃されている。公取委の存在意義が問われる。


キャプチャ  2018年4月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【政治の現場・揺らぐ一強】(07) 安倍包囲網、カギは中間派

20180601 02
葉桜を眺めながら、自民党衆議院議員の1人は思った。「これは党総裁選を意識した地方の“党員票”対策の一環なんだな」――。先月21日、新宿御苑で開かれた首相・安倍晋三主催の『桜を見る会』。毎年、多くの芸能人やスポーツ選手らが招かれ、華やかなムードに包まれる。既に桜が散っていた今年は、地方議員の姿が目立った。北関東の党県連関係者は、「県連幹事長ら幹部に加えて、今年は一般の県議まで首相から招待状が届いた」と驚いたように語る。党員と直に接する都道府県議らの政権評価は、総裁選の党員票に影響を与える。前日には、東京都内のホテルで、約800人の地方議員を集めた党主催の研修会が開かれた。安倍は財務省等を巡る一連の不祥事を陳謝。党の顧問弁護士も登壇し、『森友学園』の国有地売却問題を巡り、「安倍昭恵さんが関係したとの報道があるが、事実と違う」と火消しした。9月の総裁選は安倍が圧勝して連続3選へ――。1月の通常国会召集まで“当然視”されていたシナリオは、内閣支持率の低迷で雲行きが怪しくなってきた。「地元で耳にするのは首相への批判ばかりだ」。安倍の出身派閥・細田派の幹部には、若手議員から不満の声が寄せられている。党員の間で不祥事への動揺が広がり、長期政権の歪みも囁かれる。

安倍陣営が恐れるのは、党員が安倍にNOを突きつける“地方の反乱”だ。尤も安倍本人は、固い党内基盤を背景に強気の姿勢を崩していない。党内最大の細田派、第2派閥の麻生派、二階幹事長の二階派という“親安倍3派”の結束は揺るがない。実質的な党内第2勢力の無派閥議員にも、内閣の“番頭”菅義偉官房長官に近い議員が多数いる。「竹下派・岸田派ら中間派も、首相の優勢がはっきりすれば支持してくれる」。安倍周辺の分析だ。「♪安倍と麻生のヨー 夢の揺りかごさ」。先月17日夜、赤坂の日本料理店に細田・麻生両派の事務総長ら幹部が集まった。持ち込んだギターを鳴らし、鳥羽一郎の『兄弟船』の替え歌で総裁選の連携を誓い合った。麻生派会長の麻生太郎は、財務省不祥事の責任を問われ、野党から辞任要求を突きつけられている。だが安倍は、「内閣の崩壊に繋がりかねない」と麻生を擁護する。不祥事が両派を更に結び付ける構図だ。安倍の対抗馬となることが確実な元幹事長の石破茂だが、党内の支持は広がっていない。石破は25日夜、北青山の日本料理店に、岸田派会長の岸田文雄、石原派会長の石原伸晃、谷垣グループ幹部の中谷元を呼んだ。会食のシメで席が沸いた。石破は、店が準備できないカツ丼を食べることに拘ったのだ。出席者の1人は語る。「総裁選で“勝つ”という願掛けだったのかもしれない」。石破派が目指すのは、“安倍・二階・麻生”の頭文字からとった“ANA包囲網”だ。親安倍の派閥を除く派閥連合を意味する。注目を集めるのは、総務会長の竹下亘が会長に就任した竹下派の動向だ。石破や岸田の政策を評価する発言もしている竹下は、こう漏らす。「政局は1~2週間でがらりと変わる。今から誰を支持するかなんて決められない」。安倍包囲網は机上に留まるのか、動き出すのか――。 《敬称略》 =おわり

               ◇

仲川高志・田島大志・池田慶太・森藤千恵・松下正和・高田育昌・福田麻衣が担当しました。


キャプチャ  2018年5月4日付掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【政治の現場・揺らぐ一強】(06) 綻ぶ野党、政権手助け

20180601 01
体力を消耗しつつある安倍内閣が、それでも支持率30%台後半で踏み止まっているのは、野党の力不足も一因だ。先月28日、新緑美しい代々木公園で『連合』のメーデー中央大会が開かれた。会長の神津里季生は約4万人(※主催者発表)の組合員を前に、厳しい表情で野党への苦言をした。「与党は勿論悪いが、何年間もバラバラ、ガタガタの野党にも大きな責任がある」。連合は、加盟者約700万人を擁する労働組合最大の全国中央組織だ。民主党による2009年の政権交代を後押しし、2016年に維新の党等と合併して民進党に生まれ変わった後も支援してきた。しかし、この日、立憲民主党代表の枝野幸男、希望の党代表の玉木雄一郎、民進党代表の大塚耕平はいずれも来賓に招かれず、毎年恒例の挨拶も無かった。東日本大震災が起きた2011年を除き、1989年の連合結成以降初めてだという。「『支持政党が立民・希望・民進に3分裂し、“安倍一強”を許している現状を連合が容認した』と受け止められるのは避けたい」。異例の対応には、神津の複雑な胸中も滲んだ。メーデー大会2日前の26日、希望・民進両党は新党『国民民主党』の結成で正式合意した。来夏の参院選から逆算し、「1年前には選挙に向けて動き出したい」とする連合幹部の意向を汲んだ為とされる。

ただ、野党6党が学校法人『森友学園』への国有地売却問題等を揃って追及する中、希望・民進の両党執行部が足元固めを優先したことに、冷ややかな目を向ける向きは少なくなかった。新党への不参加を決めた民進党の安住淳(※元財務大臣)は27日、国会内で記者会見し、大塚を名指しで酷評した。「野党が政府のチェック機能を果たすべき時に、新党作りに現を抜かしている感覚が理解できない」。衆議院で野党第1党の立民も、新党とは距離を置く。大塚は「国民民主党と立憲民主党で“民主”連合になればいい」と秋波を送るが、枝野は「今の状況で選挙になったら、皆が『立民から出たい』と言ってくる筈だ」と周囲に漏らし、独自路線を志向する。「3月末の2018年度予算成立と引き換えに麻生財務大臣の首を取る。一気に安倍内閣の総辞職に向けて攻勢をかける」。6野党は当初、そんな戦略を描いた。当てが外れ、手を拱いている。先月20日以来、国会で審議拒否を続けるが、野党内では「国会に出て追及すべきだ」と不満も燻る。希望の細野豪志・長島昭久は27日、衆議院本会議で働き方改革関連法案等の審議に臨み、公然と造反した。長島は、審議を拒否し続ける6野党は「政権批判一色の戦闘的野党」だと自身の『ツイッター』に書き込んだ。欠席戦術の一方で、スキャンダル追及の野党合同ヒアリングは、2月から通算83回を数える。元民主党参議院議員で、鳩山内閣で官房副長官を務めた慶應義塾大学教授の松井孝治は、「政権与党を経験しながら、報道公開で官僚を吊るし上げる姿勢は如何なものか」とした上で、こう嘆く。「政権担当能力のある野党の存在が必要なのに、展望が無く、安倍政権の延命を助けている」。“安倍包囲網”は寧ろ、綻びのほうが目立つ。 《敬称略》


キャプチャ  2018年5月2日付掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【政治の現場・揺らぐ一強】(05) “不信”改憲論議に暗雲

20180531 08
首相の安倍晋三が“本題”に触れたのは、講演が終わりに差しかかった頃だった。「憲法に自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とうじゃありませんか」――。先月20日夕、港区芝公園のホテル。自民党総裁として、約800人の党所属都道府県議に向け、こう呼びかけた。党が地方議員向け研修会を企画した最大の眼目は、「憲法改正機運の全国展開」(幹部)だった。3月下旬に纏めた“自衛隊の根拠規定の明記”等4項目の憲法改正案について、組織力を駆使して全国各地に支持を広げる狙いがあった。だが、党執行部が安倍の到着前、憲法に関する講義を行ない、質問を募ると、手を挙げたのは3人だけだった。講演はメディアを入れずに約40分間行なわれたが、安倍はその大半を外交や経済の実績紹介に費やし、憲法改正のメッセージは僅か数分で切り上げた。聴講者の1人はその姿を見て、「会場の空気を察したのだろう」と推し量った。会場の空気を重くしていたのは、不祥事続きで支持率を落とす安倍内閣への不満と不安だ。ある県議は会場を出た後、「来年に統一地方選を控え、皆、腹の中では怒っている。最早改憲どころではない」と本音を語った。

尤も、安倍は改憲を諦めている訳ではない。自民党の憲法改正案作りが佳境を迎えていた3月20日夜。安倍は元衆議院議員の中山太郎ら党の歴代憲法族議員を首相公邸に招き、夕食を共にした。93歳の中山は憲法族の重鎮だ。第1次安倍内閣時代の2007年には、憲法改正の手続きを定める国民投票法の成立に尽力した。「もう少しだ。総理の責任で国会発議に向かってほしい」。中山がこう励ますと、安倍は静かに頷いて、中山と手を結んだ。安倍は2020年の新憲法施行を目指し、①2018年に国会で憲法改正案を議論②遅くとも2019年夏の参院選前に国会発議③2019年秋までに国民投票――という段取りを思い描いてきた。9月の党総裁選で圧勝して憲法改正の推進力とするシナリオに黄信号が灯る中、安倍周辺は「先ずは足元を落ち着かせることが先決だ。それまでは抑制的にならざるを得ない」と語る。実際、自民党の憲法改正案は宙に浮いている。速やかに衆参両院の憲法審査会で議論を始める予定だったが、野党が政府批判を強める中、審査会開催の目処が立っていない為だ。衆議院の審査会で与党筆頭幹事を務める自民党の中谷元は先月19日、与野党の幹事の会合で「5月3日が憲法記念日であり、国民の憲法への関心も高まる。各党の意見を述べて討論できる場が必要ではないか?」と開催を求めたが、野党は拒否した。中谷は25日にも野党筆頭幹事の山花郁夫(※立憲民主党)に電話で働きかけたが、山花は「国会情勢がこういう状況なので」と取り付く島もなかった。安倍が悲願とする憲法改正への歩みは、自らが束ねる政府の不祥事という逆風により、足踏みを余儀なくされている。自民党憲法族議員の1人は、現状をこう分析する。「改憲論議は安倍さんの主導だからこそ活発化したが、安倍さんの主導だからこそ動かなくなった」。 《敬称略》


キャプチャ  2018年5月1日付掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【政治の現場・揺らぐ一強】(04) 拉致問題、諸刃の剣

20180531 07
韓国大統領の文在寅と『朝鮮労働党』委員長の金正恩が『板門店宣言』に署名した後の一昨日夜。首相の安倍晋三は首相官邸で記者団の前に現れた。「日本が蚊帳の外に置かれる懸念はないか?」と問われると、即座に否定した。「全くありません。トランプ大統領と完全に(対北朝鮮の)基本方針について一致している」。南北・米朝間の対話の動きは、2018年に入って急速に活発化した。3月にはトランプが、韓国政府高官から正恩が早期に会談したい意向であることを伝えられ、「よし、会おう」と即決した。米朝首脳会談は、安倍にとって青天の霹震だったようだ。周囲には「考えていたより早かった」と漏らした。安倍はトランプとの個人的な信頼関係に縋った。今月17・18日の2日間、トランプの別荘があるフロリダ州パームビーチを訪問し、首脳会談3回、夕食会2回、それにゴルフと、計約11時間もの時間をトランプと過ごした。トランプは安倍の要請を受けて、6月初旬までに想定される米朝首脳会談で日本人拉致問題を取り上げることを約束した。「安倍-トランプの蜜月関係が生きた」。政府内にそんな安堵感が広がった。

訪米中、週刊誌でセクハラ疑惑を報じられた財務省事務次官の福田淳一が辞任の意向を表明した。政府関係者は、「満点と言えた訪米の成果の報道が、国内問題で霞んだ」と悔しがった。相次ぐ政府の不祥事等で内閣支持率の下落傾向が続く。政権の推進力だった経済政策『アベノミクス』の効果に陰りが見え、来年10月には消費税率10%への増税が控える。経済に代わる政権浮揚策は、当面、安倍が得意だと自任する外交しか見当たらない。外交には、こんな成功例もある。小泉内閣当時の2002年9月に行なわれた日朝首脳会談の後、本紙の全国世論調査(※定例)で内閣支持率は一気に約20ポイント上昇し、66.1%となった。小泉内閣以来となる日朝首脳会談の実現を模索する安倍は、日朝国交正常化後の経済協力を謳った『日朝平壌宣言』に言及することが増えた。「核やミサイルだけでなく、拉致問題を動かさない限り、北朝鮮への経済協力はしないぞ、ということだ」。安倍は周囲に狙いを語る。トランプとの信頼関係と、経済協力をてこに、拉致問題を進展させようとしている。安倍が拉致問題に初めて触れたのは1988年。自民党幹事長だった父・晋太郎の秘書時代だ。安倍は拉致問題を政治家としての“原点”と位置付け、正面から難題に取り組む姿勢が、国民から強い支持を集めた。それから30年。高齢化が進んだ拉致被害者家族は、未だに解決の道筋が見えず、苛立ちを募らせている。今月22日、拉致被害者家族らが東京都内で開いた集会で、途中退席する安倍に対し、会場からは拍手や声援に混じって、「もう帰るのか」との野次も飛んだ。拉致問題の解決は安倍にとって宿命であり、その成否は政権を左右しかねない諸刃の剣でもある。安倍外交の真価を問われる場面が近付いている。 《敬称略》


キャプチャ  2018年4月29日付掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

产品搜索
广告
搜索
RSS链接
链接