【政策点検・安倍内閣】(04) 働き方改革、正念場

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安倍内閣が掲げる働き方改革は、今月下旬に召集される臨時国会で最大のテーマだ。政府は今月8日、労働政策審議会(※厚生労働大臣の諮問機関)の分科会に、働き方改革関連法案の要綱を示した。法案には、①時間外労働の上限規制②『同一労働同一賃金』の実現③脱時間給(高度プロフェッショナル)制度創設等を盛り込んだ。法案が成立すれば、日本型雇用慣行は大きく変わる。安倍首相は、民進党最大の支持団体である『連合』と水面下で折衝し、7月に脱時間給制度導入で事実上、折り合った。連合と、脱原発を急ぐ蓮舫前代表の関係が冷え込んだ隙を突いた。だが、傘下労組から猛反発を受けると、連合は一転、白紙に戻した。「いい加減な組織だ」と政権幹部は呻いたが、後の祭りだった。民進党の前原代表ら執行部と連合の神津里季生会長は今月7日、東京都内の連合本部で向き合った。「働く者の立場で政治を行う」と語る前原氏に、神津氏は「一丁目一番地の雇用・労働の問題で連携を密にしたい」と応じた。脱時間給制度反対が2人の念頭にあった民進党は、脱時間給制度を含む働き方改革関連法案を“残業代ゼロ法案”と批判する。政府は、7月時点の連合の要望を全て法案に反映させ、正面突破を図ろうとしている。

働き方を考える上で、もう1つの大きな課題は、労働現場の担い手をどう確保するかだ。15~64歳の生産年齢人口は、1995年の8700万人から20年間で1000万人減った。これまで以上に高齢者や女性の積極活用が欠かせない。この分野では、民間の取り組みが先行している。国が昨年、従業員31人以上の企業約15万社に行った調査では、定年を廃止した企業は2.7%、定年を65歳以上とする企業は16%に上る。『大和証券』神戸支店(兵庫県神戸市)で、社内最高齢の営業マンとして働く鶴野哲司さん(68)は、株価や為替の動向が映し出されたモニター脇で顧客と談笑していた。鶴野さんは、社が4年前に始めた“上席アドバイザー制度”の利用者だ。60歳の定年後に再雇用され、週5日フルタイムで働く。高齢者相手でも話題に事欠かず、「年を取って相手の立場を考えられるようになった」。鶴野さんらの活躍を見て、会社側は70歳までの営業職の年齢上限を近く撤廃する。政府も重い腰を上げようとしている。首相は今月11日、新たな看板政策“人づくり革命”の具体策を話し合う『人生100年時代構想会議』で、「高齢者は経験を生かして社会にも貢献して頂ける」と強調した。会議では、長寿社会に合った働き方を議論する。ただ、高齢者就労は本来、働き方改革で取り上げるテーマだった。加藤勝信働き方改革担当大臣と茂木敏充人づくり革命担当大臣は、共に自民党額賀派に属する61歳。次代を担う人材としてライバルと目される。働き方改革や人づくり革命では、各省庁が予算配分を当て込み、2018年度概算要求にバラバラに関連事業費を計上している。自民党の岸田文雄政調会長は12日、「働き方改革等を議論する“人生100年時代戦略本部”を党内に設ける」と発表した。“ポスト安倍”を睨み、自らの政策を打ち出すチャンスを窺う。ライバルたちを競わせながら、多彩な働き方の実現に向けて力を結集できるか? 首相の働きが問われている。


⦿読売新聞 2017年9月14日付掲載⦿

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“ゴッドマザー”洋子が操る安倍首相私邸の密事――「晋三の近くにいてあげないと」、岸家至上主義者の思惑

その力に陰りが見え始めたとはいえ、最高権力者の玉座に鎮座する安倍晋三首相。その安倍首相に圧倒的な影響力を持つと言われる“ゴッドマザー”の洋子氏。渋谷にある3階建ての高級マンションが安倍首相の“私邸”であることは、全くと言っていいほど知られていない。今まで語られることのなかったその“奥の院”に、読者の皆さんをご案内しよう――。

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東京都渋谷区富ヶ谷。代々木公園に程近いこの高級住宅街の一角に、安倍が住む3階建て高級マンション『富ヶ谷ハイム』がある。2つの棟に分かれているその1つは賃貸マンションとなっており、現在は3世帯の外国人が住む。各階1世帯という贅沢な作りだ。別棟の1階にあるエレベーターの数字“2”を押す。エレベーターが止まるのは、201号室の玄関前だ。その部屋に住むのが安倍晋三・昭恵夫妻である。そして、その上の階の301号室の主は、晋三の母・安倍洋子だ。富ヶ谷ハイムの所有者は洋子。晋三は、その一部を所有しているに過ぎない。近隣でも目を引く豪奢なマンションが建設されたのは1999年。自民党幹事長や外務大臣等を歴任し、竹下登・宮澤喜一と共に“ニューリーダー”とも呼ばれた安倍晋太郎が住んでいた平屋を建て替えたものだった。晋太郎が1991年に亡くなってから8年後のことだ。洋子の希望による建て替えだったという。当時、晋三は45歳という若手の2回生議員に過ぎなかった。最上階の3階に洋子が住み、晋三夫婦は2階。『三菱商事』に勤める長男の寛信夫婦が1階に住んだ(※数年後に転居)。順序からすると、長男夫婦が2階に住むのが普通のように思われるが…。「何故、晋三夫婦が2階なのか?」と近しい人間に聞かれた洋子は、然も当然のように、こう答えたという。「政治は待ってはくれないのよ。時間も大切なのよ。直ぐに晋三が来られるように、近くにいてあげないと」。要は、「晋三の政治指南役は自分である」との宣言である。果たして、息子の晋三は、度々、母の教えを請う為に、301号室に足繁く通ったのだろうか?

母の部屋にある仏壇に安置されている祖父・岸信介、実父・安倍晋太郎の位牌に手を合わせて出かけるのは日課にはなっているが、その祈りにクギを刺すような一言を漏らすこともあるようだ。東京都知事の小池百合子と“都議会のドン”内田茂とがバトルを繰り広げている最中、洋子はこんな言葉を晋三に投げかけている。「内田なんかに乗っかっちゃダメですよ」。晋三の“政治指南役”洋子の住む301号室。エレベーターを降り、301号室の扉を開けると、玄関があり、その先には優に20畳はあろうかというリビングが広がっている。10人は座れそうな大きなテーブルが据えられ、このリビングに連なる和室に件の仏壇が置かれている。今も、旧安倍派の幹部等の関係者らがひっきりなしに訪ねて来ては、この仏壇の前で頭を垂れる。洋子は無類の麻雀好きで、自らの寝室以外に麻雀専用の部屋も、この3階には用意されている。更にもう1つ、部屋が設えられている。そこに住むのは、今年72歳になる岡島慶子という女性である。岡島の存在がメディアに報じられるのは、恐らく本誌が初めてのことだろう。後に詳述するが、岸家・安倍家に仕えて50年を超える岡島は、今まで語られることのなかった岸・安倍両ファミリーの隠れた一員であり、洋子の代理人とも名代とも言える重きを置かれている存在なのである。昭和20(1945)年、山口県小野田市に双子の姉妹の姉として岡島は生まれる。父は地元の警察署に勤める警察官だった。彼女に転機が訪れるのは20歳の時だった。岸信介の後援会幹部の口利きで、岸家に行儀見習いに出される。岸信介の私邸(※東京都渋谷区南平台)が岡島の奉公先だった。以来、岡島は岸の私邸に住み込んでは、その身の回りの世話を続けた。昭和44(1969)年、岸は静岡県御殿場に私邸を建設する。岡島も家政婦の中で唯1人、御殿場に移り、住み込みでの世話を続けることとなる。岡島が25歳の時だった。岸は、この地で17年間を過ごす。いつしか、政界では“御殿場”という呼称は岸を意味するようになった。東京から遠く離れた地だったが、自民党最高実力者である岸の下へは、ひっきりなしに政財界幹部が訪れた。そして、御殿場で暮らす岸への取り次ぎの窓口であった岡島の存在感も、誰いうともなく高まっていった。「岡島に気に入られなければ岸先生にも会えない」。こんな噂が政界に広がっていった。勿論、岡島の全く与り知らぬ話ではあったのだが。晋三と昭恵が結婚(※1987年6月)した同じ年の8月に、岸は天寿を全うする。最後の数ヵ月、岸は東京都内の病院での入院生活を強いられた。この時、こんなことが起きた。岸が入院すると、岸の妻・良子(※岸信介の従妹にあたる)の親族が岸の一切の面倒を見ようとし、岡島を病院に近付けようとはしなかった。良子の親族らは岡島を疎んじた訳だ。それを見かねた岸の長女・洋子が、その親族を叱りつけた。「岡島は20歳の時から父の面倒を見てくれてきた恩人なんですよ。一生を捧げて父を助けてくれた人なんです。その岡島を病室に入れないとは何事ですか! 父の最期は岡島に看させるのが人情ってもんじゃないんですか!」。洋子の剣幕に、その親族らは黙るしかなかった。岡島は岸の病室に泊まり込み、その最後を安倍家の面々と共に看取った。洋子にとって、実父に一生を捧げてくれた岡島は、身内でこそあれ、他人ではなかった。

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【政策点検・安倍内閣】(03) 教育無償化、議論足踏み

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安倍内閣の新たな看板政策“人づくり革命”を実現する為、政府の有識者会議『人生100年時代構想会議』が、一昨日、首相官邸で初会合を開いた。会議の当面の最大テーマは、幼児教育の無償化だ。1.1兆円を超える財源をどう確保するか、国内外の有識者が知恵を出し合う。一方で、首相が年初来訴えてきた、高等教育を含む教育無償化の議論は、足踏みが続く。首都圏の私立高校3年生の女子生徒(18)は先月、不安を抱えたまま慶應義塾大学に願書を提出した。中学3年生の時に聞いた母親の呟きが、耳の奥にこびり付いている。居間で受験勉強をしていた深夜、隣に座った母が電卓を叩き始めた。少ない月収から塾代3万円等を引くと、自由に使えるお金は数千円しか残らない。「何の為に働いているかわからない」と溜め息を吐く母に、心の中で「ごめんなさい」と呟いた。高校入学後も、母の収入は少ないままだ。大学進学には奨学金が頼みの綱だが、今も自治体から月約3万円の無利子奨学金を受ける。女子生徒は、「卒業後に返せるかわからない」と漏らす。

首相は同日の会議で、「経済的に恵まれない若者が勉学に専念できる環境整備が必要だ」とした上で、「財源が無ければ政策は実現できない」と認めた。高等教育無償化に目途が付かない為、政府は当面、負担軽減を進める考えだ。来年度から、返済不要の“給付型奨学金”を拡充する。これまでの貸与型に加えて、給付型を本格化し、1学年約2万人に月額2万~4万円を支給する。授業料の“出世払い”制度も浮上している。国が授業料を肩代わりし、学生が就職後、一部を分割納付するというものだ。高等教育無償化の論点は、「約3.7兆円もの財源を国が負担すべきかどうか?」に尽きる。これまでの自民党内の議論でも、「高卒者の税金を充てるのは不公平」「教育だけ国債で賄うのはおかしい」と反発が相次いだ。当事者である女子生徒も、「ただ単に国の予算が注ぎ込まれれば、進学に罪悪感を持ってしまう」と訴える。抑々、幼児から高等教育までの無償化は、『日本維新の会』が憲法改正で盛り込むことを訴えているテーマだ。首相が無償化を持ち出したのは、悲願である憲法改正で維新の協力を得て、改憲の国会発議に必要な衆参各院の3分の2の勢力を確保する狙いがある。内閣支持率低下を受け、首相は「スケジュールありきではない」として、憲法改正論議のペースを緩めている。高等教育無償化の機運は遠退いたかのように見える。しかし、事態は思わぬところから動き出す気配がある。民進党の前原誠司代表は今月8日、各党への挨拶回りで、国会内にある維新の控室を訪れた。笑いが弾け、和気藹々としたやり取りが続く内、前原代表は問わず語りに切り出した。「教育無償化っていうのは元々、維新と我々が言い始めたことだから」。それを聞いた維新の下地幹郎議員は、「一緒にやりましょう!」と飛び付いた。維新との距離を縮めようとする前原代表の動きに、首相はどう出るか? 各党の思惑が渦巻く中、教育無償化は常に政争の具に使われる恐れをはらんでいる。


⦿読売新聞 2017年9月13日付掲載⦿

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【政策点検・安倍内閣】(02) TPP11、日本が仕切る

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安倍内閣は、アメリカのドナルド・トランプ政権の『環太平洋経済連携協定(TPP)』離脱表明後も、アメリカを除く11ヵ国を繋ぎ止め、『TPP11』の早期実現にこぎつけようと全力を挙げている。当面の目標と位置付けるのが、11月の『アジア太平洋経済協力会議(APEC)』首脳会議での大筋合意だ。「大筋合意しか選択肢にない!」――日本政府の交渉団の1人はそう言うと、矢庭に手元の紙を破り捨てた。先月29日、シドニーでTPP11の首席交渉官会合が行われていた。会合の合間、議長国のオーストラリアが別室で「内々に…」と日本側に渡してきた紙には、11月時点での“大筋合意”から“引き続き交渉”まで数段階の想定が記してあった。紙を破ってみせたのは、交渉が捗らず、弱気になったオーストラリアを奮い立たせるパフォーマンスだった。最終日の翌30日、オーストラリアは次回会合を9月に日本で開くことを各国に提案した。日本の根回しによるものだった。現地の交渉団から電話で相談された茂木敏充経済再生担当大臣が、「それで行くしかない」とゴーサインを出した。僅か1ヵ月後に会合を開くのは“新記録”だが、7月に箱根で会合を開いたばかりの日本が再びホスト国を務めるのも極めて異例だ。「TPP11は、日本が事実上、仕切る」との宣言でもあった。世界トップのGDPを誇るアメリカ抜きのTPP11が、日本に齎す経済効果は隠定的だ。それでも、日本政府は「アメリカのTPP復帰を目指す為の舞台装置」(交渉筋)として重視している。

日本にとって、アジア太平洋地域の経済圏で“アメリカ不在”が続く内に、中国の存在感が増すことは最悪のシナリオだ。中国は、巨大経済圏構想『一帯一路』を掲げて、この地域の成長を取り込むだけでなく、日中韓や東南アジア各国等が参加する『東アジア地域包括的経済連携(RCEP)』を主導する。TPP11を進める日本は、「通商分野で内向き志向を強めるアメリカとどう向き合うか?」という難題も突き付けられている。政府は先月1日から、アメリカ産等の冷凍牛肉に約14年ぶりとなる緊急輸入制限措置(セーフガード)を発動し、関税率を38.5%から50%に引き上げた。輸入量急増を受けた自動的な措置だ。日本向け牛肉の主要輸出国であるオーストラリアは、日本と経済連携協定(EPA)を結び、セーフガードが適用されない為、アメリカ産牛肉が値上がりすれば不利になる。訪米した河野太郎外務大臣は先月17日(※日本時間18日)、アメリカ通商代表部(USTR)のライトハイザー代表からその点に懸念を示されると、「アメリカがTPPから脱退しなければよかったんだ」と言い返してみせた。TPPが実現していれば、アメリカ産は発効時に27.5%、16年目以降には9%に下がる筈だった。アメリカの畜産業界には、「このままでは日本市場から締め出されるのでは?」との焦りが広がっている。安倍首相は、これまでトランプ大統領との間で、TPP11の話題を持ち出すことは控えてきた。通商問題でトランプ大統領と直接交渉することを避け、「実務者同士で冷静に議論すべきだ」との判断があるからだ。10月には、麻生太郎副総理兼財務大臣とマイク・ペンス副大統領の日米経済対話が控えている。アメリカ側が厳しい要求を突き付けてくる恐れもあるが、日本側は「TPP復帰こそがアメリカにとって最善の道であることを訴える」という方針で臨む。


⦿読売新聞 2017年9月9日付掲載⦿

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【政策点検・安倍内閣】(01) 黒字化より財政出動

安倍晋三首相(62)が政権に返り咲いてから4年8ヵ月。順調だった内閣支持率が落ち込み、“1強”体制は大きく揺らいでいる。来年9月に自民党総裁の任期切れ。12月に衆議院議員の任期満了が迫る中、首相はどのように態勢立て直しを図るのか? 政権浮揚のカギを握るのは、“経済”始め政策面での巻き返しだ。首相の戦略を探る。

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首相が掲げる経済政策『アベノミクス』は、最大目標である“デフレ脱却”が行き詰まっている。賃金や個人消費の伸びは弱いまま。物価上昇率2%の達成時期は、『日本銀行』が“2019年度頃”に先送りし、来年12月の衆議院任期満了までの脱却は難しくなった。アベノミクスの次の一手が見通せない中で、増税を否定して財政出動を訴える『シムズ理論』が今年に入って紹介された。金融緩和が行き詰まり、財政出動に舵を切る上で理論的な支柱となり得る内容だ。ただ、政府・自民党は、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化する目標を掲げている。シムズ理論通りに財政出動しようとすると、PBという壁が立ちはだかる。PBは、社会保障や公共事業等に充てるお金が、その年の税収等でどれだけ増えているかを示す。先月29日夜、有楽町の老舗フランス料理店。自民党の西田昌司議員は、食事が始まると直ぐ、安倍首相に熱弁を振るった。「PBに拘っていると国を潰す。今は財政出動が必要だ」。首相は「PBを目標にするのは意味が無いし、2020年度の目標は現実的ではない」とあっさり頷くと、「財政再建も必要だが、財政出動をしないといけない」と言葉を継いだ。公約破りの発言も意に介さず、首相は上機嫌にワインを傾けた。話は弾み、出席者4人でワイン2本が空になった。

シムズ理論をなぞるかのように、首相は財政政策の軸足を緊縮路線から拡大路線へと移している。1月の施政方針演説でPBに言及しなかった担いを、「PBの概念を捨てる為だ」と周辺に漏らした。首相の心変わりを象徴するのが、政府が6月に決めた『経済財政運営と改革基本方針(骨太の方針)』だ。PB黒字化と並ぶ財政健全化の指標に、債務残高の対国内総生産(GDP)比率引き下げが明記された。債務が増えても、GDPがそれを上回るペースで伸びれば、数値は改善する。GDP比は、政府が“財政健全化の為の財政出動”を訴える方便に使える。財政健全化を重視する財務省は、再来年10月に予定される消費税率10%への引き上げに望みを繋ぐ。自民党内の“ポスト安倍”は、予定通り増税すべきだとの立場だ。岸田政調会長は5日のインタビューで、「10%への引き上げは確実に行うべきだ」と語った。元地方創生担当大臣の石破茂議員は同日、名古屋市で講演し、「嫌なことを先送りしていると国は滅びる」と見えを切った。最大野党である民進党の前原代表も、「消費税率が上がるのは法律で決まっている」と増税を求める。消費増税に向け、首相は内堀も外堀も埋められた格好だ。しかし、増税で景気が腰折れすれば、足踏みが続くアベノミクスの先行きは覚束無い。財務省内には、「三度延期するのでは?」との疑念が燻り続ける。たとえ消費増税が実現しても、財政健全化に繋がる保証は無い。首相は西田議員らとの会食で、「消費税を5%から8%に上げたが、増えた税収の8割を国債償還(借金返済)に使われた」とこぼしたという。自民党内には、「教育無償化財源に増税分を回すべきだ」との議論が喧しい。前原代表も、増税分を財政再建に回さず、教育や福祉に充てるよう訴える。消費増税で見込まれる税収は年5.6兆円。新たな“宝の山”を当て込み、政治の世界では財政規律そっちのけの胸算用が始まっている。


⦿読売新聞 2017年9月8日付掲載⦿

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【憲法のトリセツ】(14) 見えてきた安倍首相の改憲カレンダー

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安倍晋三首相が、「日本国憲法(※現憲法)に自衛隊の存在や教育の無償化を明記する改正を行い、2020年に施行したい」との考えを表明しました。仮に、その年の正月から実施となると、周知期間が1年は必要でしょうし、2018年の内には国民投票が終わってなければ間に合いません。安倍首相は悲願の改憲に向け、どんな手順を考えているのでしょうか? 一昨日、『憲政記念館』であった『新しい憲法を制定する推進大会』に、安倍首相が現職の首相として初めて出席しました。この会合は、改憲派の国会議員が毎年開いているもので、嘗ては『自主憲法期成大会』と称していました。そこに顔を出すというのは、「安倍首相が愈々改憲へと踏み出す決意を固めた」というサインです。ロシア、イギリス訪問の後に予定されていた北欧行きを急遽取り止めての出席ですから、安倍首相の並々ならぬやる気が窺えました。安倍首相は初当選以来、一貫して改憲を訴えてきました。改憲に意欲と言われても、「何を今更」と思われるかもしれません。でも、2012年に首相に返り咲いてからは権力基盤を固めることを重視し、改憲よりも経済再生に力を注いできました。その封印を愈々解く――。安倍首相は大会挨拶で、「機は熟してきた。今、求められているのは具体的な提案だ」と言い切りました。

このタイミングで改憲に本格的に取り組む決意を固めたのは、どうしてでしょうか? 1つは、政権復帰から4年が過ぎ、「反対が多いがやらなければならない」と考えていた政策課題(※特定秘密保護法や安全保障法等の制定)は、目下、審議中の組織犯罪処罰法改正でほぼ終了し、支持基盤の保守層の間で、改憲待望論というか、「いつまで待たされるのか?」という声が広がりつつあることが挙げられます。2つ目は、「この時期を逃すと改憲は難しくなる」という判断があるようです。2012年と2014年の衆院選、2013年と2016年の参院選に4連勝して得た衆参の3分の2。次に来るのは、2018年12月に任期満了を迎える衆院選です。野党第1党の民進党の支持率は低迷が続いているので、自民党が政権を失うほど負けることはないでしょう。しかし、安倍首相への飽き、長期政権に伴う緩み、加えて2012年問題と呼ばれる若手議員の質の低さ等を考慮すると、「次の衆院選で自民党は20~40議席失うのではないか?」というのが永田町の相場観です。改憲勢力を合わせた3分の2を割り込みます。そう考えると、今の議席がある2018年12月までに国民投票の発議を終えることがマストになることがおわかり頂けると思います。次に、国民投票のカレンダーを考えましょう。国民投票法では、発議から投票まで60~180日間置くことになっています。日本で選挙以外のワンイシュー(単一争点)で投票が行われるのは史上初ですから、与野党の憲法担当者は“最初は180日間”で合意しています。つまり、発議から投票まで半年もあるのです。発議は国会開会中にするので、2018年12月の衆議院の任期満了までに機会は4回です。今の通常国会、秋の臨時国会、来年の通常国会と臨時国会です。流石に今の国会でいきなり発議は考えられないので、実際には3回です。しかも、会期の冒頭でいきなり行うこともないでしょうから、発議があり得る時期は、今年11~12月頃、来年6~7月頃、来年11月~12月頃の3回です。其々、半年後を考えると、投票日は来年5~6月頃、来年12月~再来年1月頃、再来年5~6月頃になります。投票日が通常国会の会期の終わり近い5~6月頃となると、只でさえ激しい護憲派と改憲派の対立が、国会審議の場でぶつかることになります。そう考えると、実は色々な条件を一番満たすのは、来年6月頃に発議し、12月頃に投票を迎えるスケジュールになります。それまでに衆議院解散をしていなければ、12月にある衆議院の任期満了選との同日投票ということです。「国民投票と衆院選を重ねてよいのか?」。そう考える向きもあろうかと思います。憲法96条は、「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」と定めています。つまり、「普通の国政選挙とダブルでよい」ということです。この日程は、安倍首相には大変都合がよい。2018年9月には自民党の総裁選があります。そこで3選を目指すのですが、発議が実現していれば、「国民に信を問う首相を答えが出る前に交代させるのか?」と主張して、無投票3選に持ち込み易くなります。

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裏切り・失言・大麻等問題山積み! 確実にやらかす『都民ファーストの会』の議員たち

先の東京都議会議員選挙で大勝利した小池百合子知事率いる『都民ファーストの会』。しかし、当選した議員の面々を見ると不安を感じざるを得ない。今回、当選した都議会議員たちの政治家としての資質を問う。 (取材・文/政治ジャーナリスト 村嶋雄人)

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選挙初挑戦で、しかも50人の候補を擁立して、49人が当選――。2017年7月2日に投開票された東京都議選で、日本中に激震が走った。こんな奇跡的な結果を残したのは、小池知事が率いた『都民ファーストの会』だ。「従来からの小池人気に加えて、自民党の加計学園獣医学部新設問題での安倍首相批判や、豊田真由子議員の『このハゲ~!』暴言事件、稲田朋美防衛大臣の『自衛隊として応援したい』発言等も重なって、自民党自身が自減。結局、小池知事の都ファが圧勝したのです。49人に加えて、選挙後に無所属議員を追加公認して、今、都ファは55人。東京都議会は定数が127ですが、小池知事と協力関係にある公明党の議席も足すと、都議会では優に過半数を超えます。今後、小池知事がやろうとすることは全て都議会で承認され、思うがままの都政運営ができる見通しとなりました」(都ファ幹部)。ところが、万々歳の筈の都ファにも大きな不安の種がある。それは、候補者の大半が新人で、「果たして戦力になり得るのか?」という問題だ。「新人というより、ズブの業人と言っていい。経歴は華やかですが、『議員としてのイロハすら知らない人が多い』と評判です。どんな問題が起きて、どんな議会運営になるのか、想像もつきません」(都庁幹部)。

マスコミ各社は、今回の都ファの大量当選した新人について、嘗て国政選挙で大量当選した後に政治家としての資質が問われた“小泉チルドレン”・“小沢ガールズ”・“安倍チルドレン”等になぞって、“小池チルドレン”と不安視する論調を展開している。選挙後には早速、こんなことが起きている。都ファが、当選者への取材制限を続けているのだ。都ファは、選挙後の7月5日以降、数回に亘って議員研修会を開催。この会は、初当選者が多いことから、本格的な議員生活を始めるにあたって様々な知識や心構えを確認するものである。ところが、その研修会を終えて会場から出てきた新人にマスコミが質問をぶつけると、一様にこんな答えが返ってきた。「すみません。お答えしたいんですけど、今は取材対応を控えるよう言われているので勘弁して下さい」。つまり、都ファ幹部からの御達しで、マスコミ取材で勝手に発言しないように規制されているのだ。都ファの当選者で議員経験者の1人は、「新人さんたちは議員経験が無く、取材に不慣れな人も多い為、失言等を避けるのが狙いですね」と本音を漏らした。抑々、都ファは都議選前から、候補者への取材には原則として事務局の許可を必要としてきたのだが、それが都議選後も続いているのである。流石に当選を経て議員バッジを付けたにも拘わらず、今も未だ発言が不安ともなれば、本当に議員としての資質が十分なのか心配になってしまう。都ファの野田数代表(都知事特別秘書)はマスコミの取材に対して、「どの企業も取材は広報経由でするのが普通。うちはこれまでの都議会と違い、民間並みの対応を取る。都政を学んでもらい、9月の議会開催の頃には個別の取材対応もできるようにしたい」と話してはいるが、俄か政党にありがちなもたもた感は否めない。そうした不安満載の小池チルドレンの顔ぶれを見てみよう。例えば、南多摩選挙区で初当選を果たした斉藤礼伊奈議員。彼女はレゲエシンガー“lecca”としての顔もある。ところが、驚きはそのブログに掲載した写真。何と、パンツを被った写真をアップロードしていたのだ。更に、彼女は大麻についても発言。「何で日本政府がアメリカに前倣えであんなにガンジャ(※大麻)に目くじら立てているのか分からない」と投稿したのである。当選後、本人は「特に都議会議員として大麻解禁を主張する意思は無い」としながらも、「海外よりも日本のほうが大麻への理解が遅れているなと感じているだけです」とマスコミの取材で答えている。また、板橋区で当選した平慶翔議員は元俳優で、女優・平愛梨の弟。義兄はサッカー選手の長友佑都だ。中学2年生の時に状況し、俳優として活動。2004年10月から放送された『3年B組金八先生』(TBSテレビ系)の第7シリーズにも出演。大学進学を機に芸能界を引退した。大学卒業後、平議員は板橋区選出で自民党東京都連の会長だった下村博文議員の秘書となり、政治の世界に入った。つまり、今回、政治の師である下村議員と袂を分かち、自民党と敵対する都ファから出るという下剋上を起こしたのだ。

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「問題だらけの経済政策、“皆で皆を支え合う”という欺瞞」――松尾匡氏(立命館大学経済学部教授)インタビュー

安倍晋三首相が「衆議院を解散する」と表明した。消費税の増税で得られる税収の使い道を変え、教育無償化等に充てるという。民進党が打ち出したばかりの施策に似通っていて、有権者には与野党の違いがわかり難い。「アベノミクスも、民進党の“All for All”も中途半端だ」と説く学者に、経済政策の在り方について聞いた。 (聞き手/編集委員 尾沢智史・高久潤)

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――安倍首相が解散する意向を表明し、「消費税を予定通り増税する」と言いました。民進党も、消費税を上げる考えでは同じ方向を向いています。
「自民も民進も間違っています。今、消費税を上げるべきでない。寧ろ、景気拡大が不十分なら消費税の減税こそが必要です。代わりに法人税や財産所得を含めた所得税の累進率を上げればいい」
「消費税は、貧しい人ほど実質的に負担が重くなります。また、ある産業部門に重い税金をかけると、その部門の雇用は縮小します。税金のかけ方で、どの部門の雇用を増やし、どの部門を減らすかを調節できる訳です。すると、消費税増税は、生活に必要な財を作る部門全体を縮小させる。つまり、大衆の生活条件を抑制するのです。それが良いことなのか」

――消費税は、国にとっては税収が安定的なのではないですか?
「それは財務省の論理です。税収安定は、財務省にとっては合理的でしょうが、税の経済安定機能を重視する立場からみればおかしい。本来、税は、景気が良くなれば税収が増え、自動的な増税になって景気の行き過ぎを抑える。景気が悪くなれば税収が減り、自動的な減税になって景気を浮揚させる。しかし消費税は、景気が良くなると税負担が軽い半面、景気が悪くなると税負担が重くなって、景気の足を引っ張る。税の機能を損ない、景気にもマイナスです」

――アベノミクスは、首相が5年前に約束したような高い成長を実現できず、低成長です。
「安倍政権は事実上、緊縮財政になっているからです。最初1年くらいは公共事業を増やしていましたが、その後は頭打ちです。国内総生産(GDP)もほぼ横這いになってしまった。緩和マネーは銀行に貯め込まれるだけでした。このお金が有効に使われていれば、景気が拡大し、もっと早くゴールに辿り着いた筈です」

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『都民ファーストの会』圧勝はまぐれ? 都民を愚弄し続ける小池百合子の嘘と欺瞞に満ちた人生

先日の東京都議選で圧勝した小池百合子知事率いる『都民ファーストの会』。まるで小池人気による勝利と見せかけているが、本当にそうだろうか? “政党クラッシャー”だった過去と、周囲を翻弄する渡り鳥の本性を暴く! (フリーライター 星野陽平)

20170913 10
7月2日、東京都議会選挙が投開票された。蓋を開けてみると、事前の予想を大きく覆し、小池百合子率いる都ファが圧倒的勝利を収めた。公明党等を合わせた小池支持勢力で過半数を上回り、それまで第1党だった自民党は現有議席から半減するという歴史的惨敗を喫した。だが、小池が都民から圧倒的な支持を受けたのかというと、疑問符が付く。今回の都議選での小池の勝利は、自民党の敵失によるところが殆どなのだ。高支持率を背景に強気の政権運営を続けてきた自民党・安倍晋三政権だったが、ここに来て長期政権の緩みからか、『森友学園』問題や『加計学園』問題、安倍首相の応援団だったフリージャーナリスト・山口敬之のレイプ疑惑、自民党議員・豊田真由子の秘書に対する暴行・暴言問題、選挙戦で「自衛隊としてもお願いしたい」と述べた稲田朋美前防衛大臣の失言と、立て続けにスキャンダルが噴出していた。「自民党は調子に乗っている」と有権者から見做され、一気に求心力を失った。投開票前日に秋葉原で行われた安倍の街頭演説では、聴衆から「安倍辞めろ」コールが沸き起こるという、これまでにない異常事態まで発生した。小池が勝ったというよりは、安倍が勝手にコケたというのが今回の都議選の真相なのだ。では、小池に一体、どんな政治手腕があるというのだろうか? 小池の半生は、知れば知るほど嘘と欺瞞で塗れていることがわかるのだ。

小池と言えば、“政界渡り鳥”という不名誉な異名で知られる。元々、『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)の初代メインキャスターだった小池を国政に引っ張り出したのは、日本新党を立ち上げた細川護熙だった。1992年、小池は「政治を変えるには、大きな中古車を修理するのではなく、小さくても新車のほうがいい」という理由から、参院選で出来たばかりの日本新党から出馬し、当選した。その後、日本新党の解党により、新進党に入党し、小沢一郎の側近として活躍した。新進党解党後は小沢と共に自由党を立ち上げたが、小沢と仲違いして保守党結党に参加した。保守党も離党すると、自民党へ合流する為、一時的に結成した形式上の政治団体だった保守クラブを経て、自民党へ入党。小池が政界入りした時には、「自民党を倒さなければ政治改革が前に進まない」と考えていたが、結局は“寄らば大樹の陰”なのだ。自民党入党までの小池の国政遍歴は落ち着きが無く、裏切りと打算に明け暮れていたのだった。辿り着いた先の自民党も、小池にとって終の棲家とはならず、都知事選に出馬することになったが、その理由は永田町でやっていけなくなったからだった。小池は元首相の小泉純一郎に重用され、小泉政権時代に環境大臣を務め、2005年には郵政民営化法案に反対票を投じた小林興起の当選を阻止する為の刺客候補として話題となった。また、第1次安倍政権時代でも防衛大臣を務めている。だがその後、自民党での評判は芳しいものではなかった。先ず、小池が自民党で評判を落としたのが、2008年に森喜朗が自民党の総裁選で麻生太郎を推薦した時に、独断で立候補したことが挙げられる。これによって小池は森のメンツを潰し、以降、森と犬猿の仲になったとされる。更に小池は、安倍と石破茂の一騎打ちとなった2012年の自民党総裁選で石破支持に回ったが、勝利したのは安倍だった。この件で、小池は徹底的に安倍に疎まれるようになった。安倍政権が長期化するに従い、小池は永田町で埋没していったのだった。昨年7月に実施された舛添要一の辞任に伴う都知事選は、小池の政治生命にとって千載一遇のチャンスだったのだ。小池は形振り構わず、都知事選を戦った。小池は自民党員でありながら、自民党東京都連の了承を得ず、勝手に出馬を表明した。次第に自民党都連批判へと舵を切り、記者会見で「しがらみ無く戦えるので、吹っ切れた。都連はどこで誰が何を決めているのか不透明」等と語り、法律上、権限も無いにも拘わらず、都議会の冒頭解散までブチ上げた。当然、小池は自民党からの推薦無しで選挙戦を戦うこととなったが、都議選同様、自民党の敵失に助けられた。当時の都政は、“都議会のドン”と呼ばれる自民党東京都連幹事長の内田茂が予算や人事を牛耳り、利権を漁っているとされ、世間から批判の声が上がっていた。小池はこれを奇貨として、“悪の自民党と戦う正義のヒロイン”を演じ、内田批判を徹底的に展開。内田の苛めで自殺したとされる樺山卓司元都議の妻まで演説に引っ張り出し、「内田さんの酷い態度が、夫を死に追いやった」と声を枯らして訴えさせる等、選挙とは関係のない見るに堪えない悪どい戦術に出た。

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【徹底解剖!東京都庁】(14) 実力主義と難関試験…都庁の出世と人事、その全てを解剖する!

30代前半に差し掛かる都庁マン最大の昇任試験“管理職選考A”。合格率7%の難関試験をパスした者だけが、部長・局長への切符を掴み取る。外からは窺い知れない都庁の完成された“出世システム”を解剖する。 (取材・文/本誌編集部)

20170911 01
都庁における幹部は、定められた選考試験を受け、それに合格することによって出世した職員たちである。国家公務員のように、入り口でキャリア・ノンキャリアで分類されることはなく、たとえ高卒であったとしても、原則、同じ土俵で管理職を目指すことができる。幹部と言われる課長以上(※職員全体の10%以下)に出世する為には、少なくとも2度の昇任試験に合格する必要があるが、その合格率はかなり低い。嘗て、競争率が高かった時代には“司法試験並み”と形容されたこともあったが、今はそれほどではないにせよ、合格する為には、最低でも1年ほどの綿密な準備・努力が必要になってくると言われている。ここでは、大卒で“Ⅰ類B行政”の試験区分で合格し、都庁に採用された場合の出世コースの関門について、順を追う形で説明していくことにする。

■出世コース
①1年目~3年目
最初の配属先がどこになるかは、採用時の成績と無関係であることは既に述べた。最初に出先事務所に配属された場合、そこでやる気を見せ、若者らしく真剣に仕事に取り組み、上司の役に立つ活躍を見せることができれば、3年~4年目に本庁、それも“官房3局”という中枢部署に異動することが多い。
②6年目(主任級職選考A)
5年間下積みをすると、“主任級職選考A”という昇進試験を受けることができる。これが制度上、最速で受けられる昇任試験だが、謂わば1日も早く上に昇進したい幹部候補生の為の試験である。都庁の昇任試験は全て本人の志願制で、黙っていれば試験は受けなくてもいいが、それだと永遠に出世はしない。この試験は、未だ横並び意識が強い若い世代が多いだけに、有資格者の6~7割が取り敢えずは受験する。主任級職選考Aは、マークシート式の教養問題A(※55題・2時間45分)と論文(※2時間30分・2題中1題を選択)があり、これに“専門知識評定”、そして日々の仕事ぶりが判定された“勤務評定”の点数が合算される。都庁の採用試験では、かなり幅広い分野からの教養問題が出されるが、この主任選考の教養試験では更に問題数も増え(※統計資料の見方・基礎的法令・地方自治制度・地方公務員制度・都政実務・都政事情等)、仕事の中身と直結する都政関連問題が出題される。5択問題だが、内容はかなり濃密だ。なお、この教養試験で一定の点数を取ると、たとえ主任試験に落ちたとしても、翌年以降再チャレンジする際、教養試験は免除される(※但し3年間のみ)。この試験の合格率は、1発合格なら20%、トータルで30%程度と言われる。如何に早く(※できれば20代の内に)この試験に合格し、主任になるかが1つの分かれ道となるのである。主任となれば仕事も更に忙しくなる為、年収は150万~200万円アップ。更に、合格後には人事異動が待っているが、ここで総務・予算・人事・政策等に関与する本庁勤務となれば万々歳となる。晩成型の人材というのは存在するが、大抵の場合、3年も働けばどこに配属されていようと、仕事のできるヤツかそうでないかは、かなり評価が定まってきている。主任試験を受けそうで、且つ受かりそうな人材は、かなりの確率で本庁に呼び戻されていると言っていい。この主任級職選考は再チャレンジできるが、ずっと合格できないまま入都後13年経過(※或いは40歳を過ぎると)すると、“選考A”ではなく“選考B”になり、試験内容も変わってくる。毎年受け続けているのに5連敗・6連敗するような職員は、違う意味でちょっと問題がある訳だが、将来、局長になるような人材は、大抵30歳くらいまでに主任になっている。

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