【改革なき税予算】(04) 近くて遠い官邸

20180118 07
「歳出改革の目安を3年連続で達成し、いい予算ができた」――。翌日に2018年度予算案の閣議決定を控えた昨日、財務省幹部は胸を撫で下ろした。目安とは、2015年に決めた予算抑制の目標。社会保障費を、自然増分を踏まえ年5000億円増に留め、その他経費も300億円増に抑えるという計画だ。だが、2018年度は薬の公定価格である薬価引き下げの効果が大きく、財務省が意欲的に歳出に切り込んだ印象は乏しい。「目安を超える歳出削減をやろうとすれば、抑々目安なんて要らないという議論が巻き起こる」。財務省幹部はこう嘆息する。財政出動による経済成長を重んじる安倍政権で、財務省の主張はかき消されがちだ。今を遡ること4ヵ月前、衆議院解散・総選挙の可能性が浮上すると、財務次官の福田淳一(58)や理財局長の太田充(57)らは役所と首相官邸を慌ただしく行き来した。

首相の安倍晋三(63)が求めたのは、消費税収の使い道の変更だった。借金減額に充てる筈の1.7兆円を「教育無償化等への歳出拡大に充てよ」との問いかけ。拒絶して官邸との関係が冷えれば、益々増税は遠のく。福田らは、官邸の懐に飛び込む道を選んだ。「本当はやりたくないが、首相が納得しなければ増税できない」。一連の経緯を知る関係者の1人は吐露する。年が明けると、安倍が衆院選前に棚上げした財政健全化目標の見直し議論が始まる。財務省は、「歳出抑制の目安を維持すれば、2022年度に基礎的財政収支(※プライマリーバランス=PB)を黒字化できる」と弾く。これに対して内閣府幹部は、2025年度のPB黒字化を念頭にしたシナリオを首相周辺に示した。目標時期が後ズレするほど増税の機運は薄れる。水面下で既に前哨戦は始まっている。2018年度税制改正では、所得増税を官邸が容認し、消費増税を当て込んだ2兆円プランが纏まる等、財務省が描く増税へのレールが着々と敷かれているようにも見える。だが、安倍は言質を与えない。「経済状況如何に拘わらず、上げるということではない」。3度目の増税延期に含みを残す。「1.7兆円を差し出しながら、首相から増税の確約を貰えていない」。財務省にとって、官邸は近くて遠い。 《敬称略》 =おわり

               ◇

飛田臨太郎・馬場燃・木原雄士・島田学・黒沼晋・川手伊織・重田俊介・小川和広・池田将が担当しました。


⦿日本経済新聞 2017年12月22日付掲載⦿

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【改革なき税予算】(03) 配慮したのは参院選

20180118 06
「1人あたり1000円にしましょう」――。与党が圧勝した衆院選の5日後、10月27日午前、観光庁長官の田村明比古(62・右画像)が首相官邸に官房長官の菅義偉(69)を訪ねた。2人で詰めたのは、2019年4月の導入を目指す“出国税”の具体案。訪日客に加え、日本人の旅行者や出張客も対象とする新税だ。1回の出国で徴収する税額には“500円案”もあったが、菅と田村は1000円で調整する方向性を確認した。観光予算は2018年度の約250億円から400億円の上乗せになる。菅は、政府目標の“2020年に訪日客4000万人呼び込み”の旗を振る1人。観光は肝煎りの政策だ。観光庁は専門家との調整も済ませ、27年ぶりの新税創設へ走り出す。そこで思わぬ待ったがかかる。政府・与党の協議で、導入時期を巡り、2019年7月に予定される参院選との近さが問題になったのだ。「参院選の僅か3ヵ月前に新税を導入すると、有権者の反発が出かねない」。官邸内からも懸念する声が上がった。

今月11日午前。与党の税制協議が決着する3日前、官邸で菅と田村は再び向き合う。名称を“国際観光旅客税”に衣替えし、導入時期を2019年1月7日に前倒しする。全容が固まった瞬間だ。批判を避ける為、出国者の多い正月スタートは避けたが、国民負担への配慮は薄い。「この上げ潮を更に上げるには、もう一踏ん張り予算で頑張る必要がある」。今月15日、東京都内で開いた自民党の農林関係の会議。農林水産大臣の斎藤健(58)が気勢を上げると、農林族や業界関係者の拍手が鳴り響いた。農林水産省幹部は、「2018年度予算案は例年と違う盛り上がり」と苦笑する。今冬は、いつも代わり映えしない林業予算に注目が集まった。直前の税制改正で“森林環境税”の2024年度創設が決定。林野庁が10年以上前から訴えてきた新税が実を結び、関係者の意気を高めた。森林環境税は、1人1000円を徴収し、年間620億円の増収を見込む。林業予算の約2割。早くも新たな財源をあてにした歳出拡大の空気が漂う。間伐等に1444億円、新規の林業機械導入等に300億円。要求された予算にどんな効果があるのか、未だ見通せない。消費税増税は1つの内閣が倒れるほどの衝撃を齎すが、2018年度税制改正では増税と変わらない新税があっさり通った。霞が関と永田町には選挙圧勝の余韻が漂う。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年12月21日付掲載⦿

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【改革なき税予算】(02) もっと吹かさないと

20180118 05
今月12日夜、首相官邸に隣する公邸。「今のうちにもっと吹かさないといけない」――。首相の安倍晋三(63)は力説した。“吹かす”と言っているのは、自身の経済政策であるアベノミクスのエンジン。とりわけ、財政支出を指していた。食事を共にしたのは、安倍に近い参議院議員・西田昌司(59・左画像)と内閣官房参与・藤井聡(49)、それに経済評論家・三橋貴明(48)の3人。西田らは、財政支出の拡大を志向する“リフレ派”で共通する。来年6月、安倍政権の今後の財政政策の基本方針となる財政健全化計画の改定を控える。西田らが健全化計画で具体化されるプライマリーバランス(※基礎的財政収支)の黒字化目標に関し、「デフレ脱却宣言までは基礎収支目標を凍結すべきだ」と水を向けると、安倍は「何をやろうとしても基礎収支目標が壁になっている」と語った。安倍のこうした姿勢は予算編成の節々に反映された。首相官邸内では財政規律の視点は霞んだ。

「党の意見をしっかり聞くように」。先月下旬、首相官邸に今年度補正予算案の相談に訪れた財務省幹部に、安倍は言った。財務省案は公共事業の規模を8000億円とする内容。高度成長期の“いざなぎ景気”を超え、戦後2番目の回復が続く経済状況に見合った水準としていた。だが、安倍が指示した“党の意見”は違った。自民議員の多くは、10月の衆院選で業界団体の支援を受け、予算が少額に留まれば業界団体へ顔向けできない――。こうした声を感じ取った幹事長の二階俊博(78)は今月7日、財務次官の福田淳一(58)に電話で「今、皆さんが言っているような数字では納得を得られない。自民党として困る」と増額を要求。1兆円の大台に乗せる方針が固まった。農業対策では、国会対策委員長の森山裕(72)が今月上旬、アメリカの『環太平洋経済連携協定(TPP)』離脱を受けて減額を求めた財務省に、「おかしな理屈だ」と一喝。TPP対策を盛った2015年度補正を約50億円上回る3170億円で決着した。先月22日の自民総務会。「『物価を2%上げる為に異次元の金融緩和をやったけどダメだったから、財政出動をやれ』というのは完全に狂っている」。元行政改革担当大臣の村上誠一郎(65)は、教育無償化等2兆円を積んだ経済政策についてこう批判したが、賛同する声は殆ど出なかった。村上は会議後、困惑した表情で周囲に語った。「何で歪な目で見られるんだ…」。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年12月20日付掲載⦿

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【改革なき税予算】(01) 診療報酬、総理の恩返し

2018年度予算編成の大きな焦点だった診療報酬の改定率が、昨日の閣僚折衝で正式に決まった。医師らの技術料等は予想以上に伸ばす一方、薬剤費抑制で予算削減目標を達成する歪さが浮き立つ。自民党の支援団体である『日本医師会』と政権の蜜月――。負担の皺寄せがくる企業や個人の視点は無視され、医療の効率化論議も押し流された。

20180118 04
「麻生大臣の下で(改定が)できて幸せです。ありがとうございました」――。昨日の閣僚折衝。財務省大臣室で、厚生労働大臣の加藤勝信(62)は丁寧に頭を下げた。「四捨五入すれば0.6%だ」。6日前の12日23時頃。財務大臣の麻生太郎(77)は、日本医師会会長の横倉義武(73・右画像)と加藤にプラス0.55%の数字を提示。2人がその場で受け入れ、決着したが、元々こんな高水準で決まる筈ではなかった。その日の午前、麻生が向き合っていたのは首相の安倍晋三(63)だ。横倉とは、安倍が若手で自民党の社会部会長(※現在の厚生労働部会長)をしていた頃からの付き合いで、密接な間柄。横倉は、第1次安倍政権が倒れた後も安倍と会い、関係を維持していた。横倉の顔を立てたい安倍に対し、麻生は前日固めていた“0.50%”から更に10億円程度上積みし、0.51%で妥協点を探った。「横倉さんがいいとい言うなら…」と話す安倍。この瞬間、0.51%で決着かに見えた。安倍・麻生会談が終わった日の午後、当の横倉は自民党本部で自民党幹事長の二階俊博(78)と会談した。二階は、横倉の目の前で徐に財務省主計局長の岡本薫明(56)に電話をかけた。「自民党は大変選挙でお世話になった。宜しく頼むぞ」。決まりかけた0.51%は数時間後、“発射台”に変わっていた。ここ数年、自民党で厚労行政の議論を取り仕切る政調会長代理の田村憲久(53)は、0.51%以上のプラス改定ができる余力があることを知っていた。医療・介護の分野で過去に決めた歳出改革の効果が、2018年度に本格的に効き始めるからだ。田村からの連絡に意を強めた横倉は、財務省に「0.7%が筋。最低0.6%」とハードルを上げ始めたのだ。

横倉にも事情がある。今年10月に『世界医師会』の会長に就任。来年の日医会長選で4選を狙う微妙なタイミングで、改定率は高いほど助かる。地方の医師会では、「納得いかない数字なら会長は退陣すべきだ」と圧力をかける幹部もいた。最終的に麻生は“四捨五入で0.6”という形で折れた。「上積みは、横倉さんが自民党が下野した時も裏切らなかったことへの総理の恩返し」。こう語る厚労省幹部もいる。安倍・麻生が完全に主導権を握り、決着当日、知らせが無かった自民党厚労族幹部もいた。プラス改定自体は8月末からの既定路線だ。「麻生さんと横倉さんの関係を考えたら、マイナス改定なんてできる訳がない」。早々と白旗を揚げていたのは財務省幹部。安倍・横倉が緊密なら、同じ福岡県出身の麻生と横倉も親しい仲だ。横倉は、麻生と関係が微妙な福岡地盤の古賀誠(77)と元々距離が近かったが、麻生に接近。第2次安倍政権下での2014年度と2016年度の過去2回の診療報酬改定でも、麻生と横倉は直接やり取りし、改定率を決めてきた。診療報酬改定で主要プレーヤーの筈の『中央社会保険医療協議会』は今月13日、報道で決着の事実を知り、仰天した。45兆円の診療報酬の配分を決めるこの協議体は、日医等の“診療側”と『健康保険組合』等保険料の“支払い側”が互いに意見表明し、段取りを踏みながら改定率を決める習わしだ。「我々が意見陳述する前に改定率が決まるなど、前代未聞だ」。同日にマイナス改定の意見表明をする筈だった委員の1人、『健康保険組合連合会(健保連)』の幸野庄司(58)は憤慨した。今回のプラス改定で、国費600億円だけでなく、企業や個人が支払う保険料と病院窓口で払う患者の自己負担は、計1600億円程度増える。診療所の院長ら開業医の報酬は十分に高額で、それを更に引き上げるべきなのか。経済力のある高齢者らの医療費負担を適正水準に上げてはどうか――。こうした議論は影を潜めた。財政悪化で国民皆が我慢すべき時代に、開業医らに配慮した改定が本当に必要だったのだろうか? 日本医師会は、20万票とも言われる医師の組織票に加え、多額の政治献金で自民党の政治家を支援している。「『横倉さん、こっちを向いて』という政治家たちの思惑の積み重ねが、0.55%という数字を作った。真っ当な政策の筋論など無い」。財務省若手官僚はこう嘆くが、一体で動く政権と日医の前では戦うことすら許されなかった。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年12月19日付掲載⦿

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【日本の聖域】(04) 創価学会――池田大作名誉会長の“健康問題”は追及不可能? 宗教マネーに呪縛され続けるマスメディア

2016年9月22日付『朝日新聞』朝刊の『創価学会』原田稔会長インタビューは、こんな質問で始まっていた。

――池田大作名誉会長は88歳。最近は表立った活動を控えています。体調はいかがですか。
「元気にしておりますよ。執筆活動などに専念しています」

――最近はいつ会いましたか。
「ええ、この夏の研修で」

――重要な判断も可能なのですか。
「もちろんです。ただ、数年前からは、基本的に運営は執行部に託し、見守っています」

朝日新聞がインタビューの冒頭で池田名誉会長の健康状態を質したのは、池田氏が2010年5月以来、公の席から姿を消し、健康状態の悪化が取り沙汰されて久しいからに他ならない。しかし、池田氏の健康状態は創価学会の最高機密。そして、2018年1月に卒寿を迎える池田氏の死に言及することは創価学会最大のタブーであることから、池田氏の健康状態に関する情報が外部流出することは殆ど無い。その為、報道も極端に少ない。例外として、『週刊文春』2011年10月27日号が、“担当していた元看護師”の話として、「池田氏は脳梗塞を発症し、言語障害や意思の疎通に困難をきたしている」と、池田氏の病状を具体的に報じた。しかし、創価学会の抗議を受けた文春側は、「事実の確認ができなかった」として同記事を取り消し、逆に『文藝春秋』2013年1月号に、「若い人たちとラジオ体操をするのが日課」と、池田氏の健在をアピールする池田香峯子夫人の手記を掲載した。これは、事実無根とする報道については提訴を常套とする創価学会が、週刊文春を提訴しなかったこと(※そこには法廷での池田氏の健康状態についての事実審理を嫌ったとの観測もある)、提訴を見送ったこととのバーターと見られている。いずれにせよ、池田氏の健康状態については、“脳梗塞”から“ラジオ体操が日課”まで幅があり、情報は錯綜している。それだけに朝日新聞も、池田氏の健康状態をいの一番に質したのだろう。

20180117 09
公称信者数827万世帯を誇示し、公明党比例区700万票を紡ぎ出すと共に、衆参両院選挙で多くの自民党候補を支援し、自公連立政権最大の支持基盤となっている創価学会に、「永遠の師匠」(会則)として半世紀以上に亘って君臨し続けている池田氏の健康状態を報道することは、最高裁判所が池田氏の女性スキャンダルが問題となった月刊ペン事件の判決(※1981年4月)で、池田氏を“公人”と認定した事実が示すように、公共の利害に関わるからだ。だが、創価学会や池田氏に対するマスメディアの報道姿勢は全くの及び腰であり、池田氏の健康状態を確認する機会に恵まれた朝日新聞の会長インタビューでも、「お元気」「執筆活動に専念」との2010年以来、創価学会が繰り返している謂わば“大本営発表”を唯々諾々と垂れ流すのみ。“お元気”なら何故会合に出ないのか、或いは天皇陛下のビデオメッセージのような映像や肉声を公表しない理由等疑問点を追及することも、従来の創価学会の政治的主張と異なる公明党や自民党の政治姿勢や施策に池田氏が全く言及しない理由を問い質すことも無しでは、“八百長インタビュー”と言われても仕方あるまい。日本のメディアが創価学会に弱腰なのは、創価学会の駆使する“アメとムチ”に呪縛されているからであることは、既によく知られている通りである。1970年に一大政治問題化した創価学会・公明党による言論出版妨害事件が象徴するように、創価学会は自らに批判的な言論については徹底的に排撃。抗議や不買運動、機関紙誌による攻撃や提訴等を繰り返してきた。

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【右派×左派で読み解く日本経済】(03) あなたはどっち? 10の論点から見える左右の思想信条

20180115 01

貴方はどっち? 上図を見てほしい。右派か左派かを巡って、日本国内で話題に上り易い10の論点を纏めてみた。右か左か。自分の考えに近い項目をチェックしていけば、貴方の思想的傾向がわかる筈だ。だが、チェックシートを細かく見ていくと、右派や左派の中でも意見の相違があり、必ずしも“右派=保守”、“左派=革新(リベラル)”という単純な構図には当て嵌まらないのが難しいところだ。例えば経済政策。現状では右派(=保守)は“小さな政府”を、左派(=リベラル)は“大きな政府”を志向するのが、世界の一般的な経済政策と言える。だが日本では、自民党が“保育・教育の無償化”や“国土強靭化を推進”といった福祉・公共事業重視の政策を掲げており、保守政党なのに経済政策では完全に左派寄りだ。この項目については、思想というより、年収等世帯状況によって大きく判断が分かれそうだ。教育の無償化等は左派的な政策となるが、子育て中の親なら思想的には右派であっても、是が非でも実現してほしい政策だろう。政治・外交はどうか? 改憲推進や首相の『靖国神社』参拝、日米安全保障体制の堅持等は、右派の伝統的な主張と言える。最も思想・信条の傾向がはっきり出る項目であり、論争を巻き起こし易い。右翼の中には、今の対米政策に疑問を呈する意見もある。民族派運動家の蜷川正大氏は、「1960年代の安保闘争では、眼前に迫った共産主義の脅威に対抗する為、我々右翼は日米安保を是認した。だが、ソビエト連邦が崩壊した今は、日米安保を互恵平等条約に見直すべきだ」と話す。また、一口に改憲と言っても、一部改正か自主憲法の制定か、「民族派右翼の中でも様々な意見がある」(同)のが現状だ。対中関係では、嘗て小泉純一郎首相(※当時)が靖国神社参拝を強行し、尖閣諸島問題等で対立を深めた“政冷経熱”の時代もあった。だが、安倍晋三首相は終戦の日の靖国参拝は見送り続け、私費で玉串料を奉納するに留めている。国際社会や財界の意向に配慮した形だ。いくら貴方が保守的な思想の持ち主でも、全ての項目で右派にチェックが入ることは先ずないだろう。右派・左派といっても、様々な考え方の集合体であることがおわかり頂けただろうか。


キャプチャ  2017年11月18日号掲載

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『森友学園』問題で蒸し返された大手新聞社の国有地払い下げという不都合な真実

20180112 08
「寝た子を起こすな!」と大手新聞社のトップらは歯軋りしたか、或いは「昔の話、 死人に口なし」と枕を高くして寝ていたのか――。2017年2月、大手新聞社への国有地払い下げの実態が、国会の場で明らかにされようとしていた。今から凡そ40年前。朝日・読売を始めとする大手新聞社等メディアへの国有地払い下げ問題を暴いた片岡正巳著『新聞は死んだ』(日新報道)が刊行されたが、問題化することなく時が過ぎた。ところが、国有地の払い下げを巡る『森友学園』問題を各社が競って報じると、国会では新聞社等への国有地払い下げの実態が取り上げられることになる。同24日の衆議院財務金融委員会でこの問題を取り上げたのは丸山穂高(※日本維新の会・右画像)。「森友学園問題と同じように、新聞社への国有地払い下げも格安で売却されたのではないか?」として、財務省に確認を求めると同時に、『朝日新聞社』社長と『読売新聞社』会長、及び社長の参考人招致を求めたのである。丸山は、15分間の質問時間の前半で森友学園問題を追及する一方、後半の質問で「国有地の売却というのは怪しい案件がたくさんあります。今、森友の件をやると同時に、国有地・公有地の売却だとか譲渡の全体の状態もしっかりと明らかにしていって、おかしいものがあればおかしいと言っていくのが並びとしては筋だと思うんです」(※議事録より)として、こう続けた。

「例えば、この件(※森友学園問題)を追及されているマスコミの皆さん、“新聞は死んだ”という本があるんですけれども【中略】、そこによると、朝日新聞は、築地の一等地に新社屋を【中略】つくるに当たって、昭和50年当時【中略】、1坪当たり200万円を下らないと言われている土地に対して、56万円の安さでそこの国有地を、その交換条件として浜田山の土地に官舎を建てるということでバーターしているみたいなんです【中略】。それで、そこの価格が操作されているんじゃないか。まだまだあります。読売新聞も同じように50年当時、この土地は1坪当たり【中略】600万円と言っているのが、読売新聞は83万円で国有地売却を得ているんですよ。それで、この本によると、こともあろうに読売新聞の社長は、田中角栄さん、福田さん、水田大臣、池田、佐藤両首相に直談判してこの交渉を強引に進めたと書かれているんですよ。【中略】マスコミも国有地をこういうふうにやっているんじゃないんですかね。そういう事実はありますか。確認していますよね」(※議事録から要点を抜粋)。尤も、この事実を新聞やテレビは呉越同舟宜しく完全にスルー。“知らしむべからず”を貫いた感がある。丸山の質問を簡潔にすると、冒頭の『新聞は死んだ』によれば、朝日は昭和50年当時、1坪200万円は下らないと言われていた築地の国有地を56万円で、読売は大手町の1坪600万円と言われた(※昭和50年当時)土地を83万円で売却を受けた。読売は、当時の首相等に直談判して交渉を進めたという。朝日のケースを補足すると、築地の一部の土地は、同社が国有地の払い下げを受 けた杉並区浜田山の土地との交換で払い下げられているという。極めて稀なケースらしいが、後述する『毎日新聞社』大阪本社への旧国鉄用地の払い下げでも活用された取引事例だ。それは兎も角、丸山の最後の発言は、「両新聞社への国有地払い下げにも、森友学園問題と似た“圧力”や“忖度”があったのではないか?」という尤もな疑問だ。この丸山の質問に対して、森友学園問題で「全ての資料を廃棄した」等と繰り返した財務省理財局長の佐川宣寿(※当時、現在は国税庁長官)は、こう答弁している。「お答え申し上げます。今委員ご質問の件につきましては大変古いお話でございまして、すでに保存文書の期限が過ぎてございまして事実確認できない状況でございます」。この答弁に、委員会室は「エーッ」「オーッ」という声に包まれた。森友学園問題の答弁と同じだったからだ。しかしこの直後、丸山が畳みかけるように求めたのが、前述した朝日・読売トップの参考人招致だった。その発言を紹介する。

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日本は本当に独立国なのか…トランプ大統領のアジア歴訪で見えた我が国の大問題

20180112 03
アメリカのドナルド・トランプ大統領は来日時、成田空港や羽田空港ではなく、横田基地へ到着。そこからヘリコプターでゴルフ場や東京都心へ移動した。首都圏にアメリカ軍基地があることを初めて知った人もいるようだ。今から約30年前、石原慎太郎氏が国会で「横田基地の返還をアメリカに要請しろ」と迫ったことがある。公安調査庁幹部の「アメリカに返還の意志がありそうだ」という情報が元だった。アメリカ政府高官の公式訪日は成田か羽田着で、動静はマスコミが報道する。しかし、日本政府との内密の交渉には横田が使われ、へリコプターで永田町へ着き、終わればまた横田から帰国し、マスコミには高官の狙いも行動も伝わらない。トランプ大統領滞日中、東京都の上空にはへリコプターが飛び交い、『帝国ホテル』周辺を中心に厳重な警戒体制が敷かれた。ホテル宿治客がカバンの中まで調べられたのは当然だが、近くを通るタクシーも100m毎に3回も停車させられ、トランクの中は勿論、後部座席の下まで調べられていた。横田基地の存在は、日本が真の独立国か改めて疑問を投げ掛けたのだ。


キャプチャ  2017年12月号掲載

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【憲法どうなる2018年】(下) 改憲・護憲、崩れる二元論

20180111 07
昨年12月19日、永田町の『国会議員会館』前に2000人超の市民が集まった。「9条改憲絶対反対!」。安倍政権に批判的な市民グループ『市民連合』関連の集会だ。立憲民主党の福山哲郎幹事長がマイクを握ると、歓声が上がった。「9条に自衛隊を位置付ける安倍政権の今の議論には反対だ。2018年も一緒に戦わせて頂く」。福山氏が声を張り上げると、聴衆からは「ガンバロー」との声が上がった。集会に参加した70代の男性は、「立憲民主党の躍進は市民と野党の共闘の成果だ」と顔を綻ばせる。福山氏に続いて演説に立った日本共産党の小池晃書記局長も、「立憲民主党が野党第1党になったのは、改憲を阻む大きな力になった」と強調した。市民連合等護憲団体は、3000万人の署名集めに着手する。保守系団体の『日本会議』も“自衛隊ありがとう”と記したビラを作成し、首相の改憲案を後押しする。護憲と改憲、双方の立場で世論を形成する動きが活発になりつつある。民進党内でリベラル系や護憲派とされる国会議員が多く参加した立憲民主党と、改憲に反対する市民連合の親和性は強い。しかし、足並みは必ずしも揃っていない。「私が書きます」――。12月上旬、立憲民主党の枝野幸男代表は、憲法調査会の山花郁夫会長が纏めた憲法改正の基本方針の原案に自ら手を入れた。「“日本国憲法を一切改定しない”という立場は取らない」。枝野氏が書き込んだのは、「護憲政党ではない」とのメッセージだった。

枝野氏には支持者から不満も燻る。ある支持者は『ツイッター』に、「改憲ありきの最近の活動には失望だ」と書いた。枝野氏が護憲色を薄めるのは、「護憲一辺倒では有権者の支持は広がらない」(枝野氏周辺)との思いがあるからだ。背景にあるのは、憲法論議と世論の移り変わりだ。憲法9条は、戦後政治の最大の争点と言える。1989年の冷戦終結までは、9条を巡る改憲派と護憲派の対立構図が鮮明だった。転機は1990年代。1991年の湾岸戦争で、自衛隊の海外派遣の議論が活発になった。1992年に『国連平和維持活動(PKO)』という国際貢献の形で自衛隊を海外派遣すると、改憲への容認論がやや広がった。9条以外の論点も注目されるようになった。1993年の新党ブームで自民党から飛び出した新党は、環境権等新しい人権や首相公選制等の改憲を主張した。「護憲と改憲の構図が変わった」。1960年安保闘争から護憲運動に携わってきた『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会』の高田健共同代表は振り返る。『日本経済新聞社』の2000年以降の世論調査を見ると、2000年代は「改正すべきだ」との回答が「現状のままでよい」を上回り続けた。世論に変化が表れるのは、2012年12月の第2次安倍政権発足の後だ。改憲支持が減って、2015年4月に現状維持が上回った。2017年4月時点では、改憲支持が45%、現状維持46%と拮抗する。『憲法と世論』(筑摩選書)の著書がある首都大学東京の境家史郎准教授は、改憲派が減った大きな要因を2つ指摘する。1つは、集団的自衛権を使えるようにした安保論議が改憲への慎重論を高めたこと。もう1つは、首相公選制の導入等統治機構を改革する為の改憲を求める声が弱まったことだ。「改憲論議の焦点は再び9条に戻った」と語る。国民投票が必要な憲法改正は、世論の風向きが結果を大きく左右する。境家氏は、「北朝鮮情勢が緊迫すれば、首相が提案する9条への自衛隊明記には追い風になる可能性がある」とみる。改憲論議は与野党の駆け引きだけでなく、2018年の国際情勢にも影響を受ける。


⦿日本経済新聞 2018年1月4日付掲載⦿

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【憲法どうなる2018年】(中) 3分の2巡り合従連衡

20180111 06
昨年12月28日夜、安倍晋三首相は東京都内のホテルの和食レストランで、日本維新の会前代表である前大阪市長の橋下徹氏と会食した。橋下氏は、維新の憲法改正を巡る方針に「強い影響力を持つ」(維新幹部)。菅義偉官房長官と、維新代表である大阪府の松井一郎知事を交えた約3時間の会合では、憲法論議の進め方も意見交換した。4氏の“年末会談”は3年連続。維新の地盤の大阪府市が目指す2025年国際博覧会(※万博)の誘致等も話し、関係の近さを印象付けた。首相は、改憲に前向きな維新や希望の党との連携を意識してきた。与党は、昨年10月の衆院選で改憲案の発議に必要な3分の2の勢力を保ったが、政権批判色が強い立憲民主党が野党第1党になった。投開票日翌日の10月23日、首相は維新と希望の存在を示すように、記者会見で決意を語った。「与野党で幅広い合意を形成することが必要だ。野党第1党であろうと、第2、第3、第4党であろうと努力していく。当然、全てにご理解頂ける訳ではない」。首相に近い自民党幹部は、「立憲民主党の協力を得るのは難しい。自公維希の4党の連携が軸になる」と話す。昨年11月中旬、首相側近は自民党幹部に、「維新と希望が統一会派を組むよう促してみてはどうか?」と話した。統一会派になれば、立憲民主党を上回り、衆議院の野党最大勢力になる。だが、独自色の低下を恐れた両党の感触は「時期尚早」だった。

参議院では、希望と維新の存在は一段と意味を持つ。自公の勢力は6割強で、3分の2以上には希望と維新が必要だからだ。改憲を目指す立場の国士舘大学・百地章特任教授は、「衆参両院で3分の2の改憲勢力は戦後70年で初。一緒にやったほうがいい。“2018年体制”で合従連衡すべきだ」と訴える。維新も連携を意識する。自民党が改憲の論点整理を示した昨年12月20日、松井氏は「教育無償化はほぼ自民党も同じ方向だ。我々の条文案の文言修正の範囲で自民案が出るなら、我々も柔軟に対応できる」と歩み寄った。教育を巡る改憲は、自民・維新両党とも前向きだ。自民党は、維新が改憲原案で示す“無償”明記には消極的だが、党内議論で維新案を参考にする等、接点を探る。維新の片山虎之助共同代表は、「自民党も利用しようとするが、こっちも利用する。戦略的互恵関係だ」と話す。希望にも呼応の動きがある。「憲法で自民・公明・希望・維新の枠組みを作れる。9条も案を纏めたい」。12月上旬、憲法調査会の細野豪志会長は周囲に語った。細野氏は長島昭久政調会長にも、「年明けに9条の議論をしたい。調査会で話をしてほしい」と呼びかけた。細野氏は、「2018年は重要な年」と強調する。9条でも「自衛隊の明記は1つの考え方」と、首相の考えにも理解を示す。だが希望には、安全保障関連法の反対や9条改憲への消極姿勢によって、民進党系勢力の連携を目指す声も根強い。昨年12月19日の希望の憲法調査会では、9条改正に消極的な大串博志氏が「これだけ急いで条文を纏めるのは違和感を抱く」と表明した。改憲論議は野党再編にも関わる。「こっちの言い分を通してもらう材料があるのか? バーターするものが無い」。希望の玉木雄一郎代表は周囲に漏らす。参議院の3分の2を左右する維新と希望だが、過半数があればよい通常の法案や予算案ではキャスティングボートを握っていない。自公維希の連携は憲法以外の協力も課題だ。22日召集の通常国会で野党は、学校法人『森友学園』問題や、スーパーコンピューター開発ベンチャーの助成金詐取事件を追及する。こうした政権批判に繋がる課題は、与野党対立になり易い。改憲は、自公維希が軸の勢力と、他の野党に分かれる構図だ。改憲論議を通じた合従連衡は、政界の“2018年体制”を占う。


⦿日本経済新聞 2018年1月3日付掲載⦿

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