【崩壊する教育現場】(08) 搾取される非正規教員…担任や部活動の顧問も

20171127 17
「同一労働なのに同一賃金ではない」「30代で賃金の上昇が頭打ちになる」「正規の先生の理解が無い」――。先月下旬、『日本教職員組合(日教組)』が開催した集会では、非正規雇用の教員から悲痛な声が次々に上がった。「学校がブラック」と言われるのは、長時間労働だけが理由ではない。毎年じわじわと増加しているのが非正規教員だ。公立小・中学校に勤める非正規教員は、2013年度で約11.5万人、教員全体の16.5%を占める(※左図)。6人に1人が非正規なのである。「非正規でも公務員だから待遇はいい」と思われがちだが、実態は悲惨だ。昨年9月に開かれた総務省の『地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会』では、次の事例が報告されている。K県K市の公立小学校に勤務する41歳の教員は、臨時採用されて7年目。全ての期間で学級担任だった。勤務時間や勤務日数は正規の教員と同じ。任期は4月1日から翌年3月29日までだった。驚くのは収入だ。2015年度の年間所得は約246万円。その教員は1人親で子供が2人いる。K市の就学援助制度の認定基準は、親子3人世帯で約262万円。正規教員と同じ業務をしているのに、就学援助を受けるほど低水準なのだ。

この事例には、非正規教員の抱える問題が凝縮されている。1つは、給与に上限が設定されていることだ。K市の同年齢の正規教員は、給料月額が標準で約36万円、年齢を重ねる毎に上昇する。一方、この教員は同じ仕事内容なのに約22万円と4割も低く、上昇しない。K市に限らず、非正規教員の給料については、多くの自治体が上限を設定している。非正規教員の実態を知る日教組中央執行委員の薄田綾子氏によると、「新卒から非正現教員を続けると、約10年で昇給が止まる」という。背景には、“臨時”である非正規が長く働くと想定していなかったことがあるようだ。なお、非正規教員には“臨時的任用教員(臨任)”と“非常勤講師”がある。前出のK市の教員は臨任に当たり、正規と同じ業務を行い、担任や部活動の顧問にもなる。基本的に授業のみを担当する非常勤講師は時給制で、夏休み等授業が無ければ給料は出ない。問題は他にもある。任期に“空白期間”があることだ。教員は一般的に、毎年6月と12月に期末勤勉手当(=ボーナス)が支給される。6月期は前年12月~5月の、12月期は6~11月の期間について、勤務実績に基づき支給額が決まる。前出のK市の非正規教員は、6月期の手当は3月30・31日と2日間の空白期間があることで、期末手当の基準となる在職期間は通常の80%、勤務手当の基準となる勤務勤間は95%と算定され、支給額が減らされていた。自治体によっては空白期間に勤務が途切れたと見做し、4~5月の2ヵ月分しか手当を払わないところもある。そして非正規である限り、いつまで教員を続けられるかわからない。学校側は正規教員の異動や採用が決まった後、教員定数に不足が出た場合に非正規で穴を埋める。非正規の採用が決まるのは3月末、新学期の直前だ。非正規の教員が増えているのは「地方自治体が人件費をかけたくないというのが最大の理由だ」と、非正規公務員の問題に詳しい『地方自治総合研究所』の上林陽治研究員は言う。きっかけとなったのが2004年だ。それまで、教職員の給料や諸手当の額は国立学校の教職員に準拠していたが、国立大学の法人化に伴い、地方自治体が決められるようになった。また人件費については、国が義務教育に必要な教職員定数を算定し、費用の2分の1を義務教育費国庫負担金として支出していた(※残る2分の1は自治体負担)。

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【崩壊する教育現場】(07) 副校長の志望者不足が深刻…東京都は選考枠拡大で対処

20171120 14
「管理職になりたくない」と考える人が増えているのは、民間企業だけではないようだ。東京都の小中学校の教育管理職(=副校長)選考の合格倍率は、ここ数年1.1倍前後。受験者数が合格予定者数に満たない年も多い(※右表)。管理職を目指さない理由として一番に挙げられるのが、「子供と接する時間が少なくなる」こと。その他にも「業務量や責任が重い」「学校管理には関心・興味が無い」「自分は向いていない」と考え、副校長の職を回避する教員は多い。実際、苛めや不登校等、学校を取り巻く問題が複雑になり、保護者の要望も変化する中で、副校長の業務内容は多様化している。教職員の人事管理や指導に加え、スクールカウンセラーや給食調理員等、教員以外の取り纏めも担う。地元自治体・町内会・教育委員会・警察と連携を図る際の要となるのも副校長だ。

退職した校長・副校長職経験者等を再任用することで、今のところ欠員は出ていない。だが、副校長確保への対応は待ったなしの状況だ。東京都では、主任教諭歴2年以上、44歳未満で受験できるA選考で、若手にも管理職にチャレンジする機会を与えているが、2017年度の選考から更に枠を広げた。B選考は、これまで主幹・指導教諭で39歳以上54歳未満を対象としていたが、主任教諭であっても経歴2年以上、46歳以上54歳未満であれば受験できるようになった。また、主幹・指導教諭歴が合わせて3年以上で、50歳以上58歳未満のベテランが対象のC選考は、推薦制に加え、一般受験での申し込みも可能になり、年齢も60歳まで拡大された。都内12校ではモデル事業として、調査等の事務作業や電話応対等で副校長をサポートする非常勤職員を設置。現場の士気を高める為、管理職手当も今年度から1ヵ月8400円上乗せし、8万700円とした。東京都教育庁人事部教職員任用担当の相川隆史課長は、「これまで、管理職のロールモデルを示すことができていなかったのではないかという反省がある」と話す。地区の教育委員会を通して、育児が一段落した女性教員等1人ひとりに当たって、受験の呼びかけも地道に行っている。今後は管理職のやり甲斐や仕事の魅力等も発信し、志願者の掘り起こしに力を入れる。 (取材・文/本誌 中原美絵子)


キャプチャ  2017年9月16日号掲載

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【崩壊する教育現場】(06) 子供が好きな自称“真面目”…意外と知らない先生の仕事

20171113 16
業務内容や職場環境の早急な改善が求められている学校だが、どのように運営されているのかは意外と知られていない。児童生徒や保護者から見れば同じ“先生”でも、やはり序列がある。トップにいるのは校長だが、その下はやや複雑だ。以前は“教頭”や“教論”だったが、2007年6月の学校教育法改正により、新たに“副校長”・“主幹教論”・“指導教論”を置き、組織的に学校運営を行えるような仕組みになった。これら3つの役職は、自治体毎に設置するか検討することができる為、副校長と教頭が両方いる自治体もあれば、東京都のように副校長だけのところもある。なお、学校教育法によると、副校長の位置付けは「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる」、教頭は「校長を助け、校務を整理し、必要に応じ児童生徒の教育をつかさどる」となっている。違いが非常にわかり難いが、副校長は校長の指示を受ければ自身の権限で校務を行える。教頭はあくまでも校長の補佐だ。主幹教論は校長・副校長・教頭の補佐を、指導教論は教論や職員の指導や育成を行う。東京都等では、指導教論の下に主任教論を置いている。其々の役職に就く為の年齢制限や経験年数等は、都道府県によって異なる。「校長によって学校のカラーが全く変わる」。多くの教員がそう話すように、学校運営で最も影響力を持っているのが校長だ。学力を向上させる、規律を徹底させる等の方針を打ち出して現場に浸透させる。但し、3年程度で異動になることが多く、「1年目は前校長のカラーを踏襲、2年目から独自色を打ち出すが、その成果をきちんと見届ける前に異動になる」(30代の教員)というケースが多いようだ。

学校の上にあるのが市区町村の教育委員会、更にその上に都道府県の教育委員会、頂点には文部科学省がある。都道府県の教育委員会は、教職員の任命や給与の負担を行い、市区町村の教育委員会は教員の服務管理や学校の設置・管理を行っている。基本的に教員は市区町村の職員だが、給与は都道府県から出ているというのがややこしいところだ。また、神奈川県横浜市や埼玉県さいたま市等の政令指定都市は、例外として都道府県ではなく、市が教員の任命権を持つ。学校は教育委員会の動きに怯えているとみられがちだが、「関係はかなりフラット」と複数の教員が言う。保護者から学校運営や教員に対するクレームの連絡があると、「保護者からこういう連絡があったから一応報告するが、『こちらで対処しておく』と言われることが多い」(30代の小学校教員)。「兎に角、真面目。手を抜かず仕事をするが、生産性の概念は一切無い」。これが取材で会った教員たちが自ら語る“教員像”だ。民間では残業時間や仕事量を考え、業務にメリハリを付ける。だが、教員は自分の労働時間等を顧みずに、「生徒の為に…」と授業準備等に力を入れ過ぎてしまうことが多い。授業のやり方に正解が無く、改善に終わりが無いことも理由だ。その上、仕事を増やすのは得意でも減らすのは苦手な人も多いようだ。例えば、科学コンクールに参加した年があるとする。取り纏めや指導が大変だったとしても、翌年も続ける。「若しかしたら、科学者を目指す子が出るかもしれない」と考えてしまうからだ。そうでなくても、先生たちの1日は忙しい。ある中学校教員の1日は、朝6時に起きるところから始まる。7時には学校に着き、朝の会議に出席。欠席連絡への対応、教室の見回り、授業準備等をする。8時40分から15時30分まで授業。途中、1コマから2コマ空くが、プリント作成やノートチェックをする時間に充てる。お昼も、給食指導をしていると休憩時間は無くなる。16~18時まで部活動を見た後は、授業準備や報告書の作成等が待っている。所謂定時の16時を過ぎてから、学年や教科等様々な会議が開かれる。業務はそれだけではない。負担の1つになっているのが、学校運営に関して分担して仕事をする校務分掌だ。担当業務は学校によっても違うが、最も大変だと言われているのが教務部と生徒指導部だ。教務部は、時間割や年間行事予定の作成等を行う。学校運営の多くに関与する為、大変だ。生徒指導部は、学校内や地域で生徒が起こしたトラブルに対応しなければならない。小学校の教員の場合、中学校と大きく違うのは部活動が無いことだ。一見、負担が軽く思えるが、小学校では全ての教科を1人で教えなければならず、幼い子供の動きに常に気を配っていなければならない為、日中に息吐く暇が無い。授業の準備も教科毎に1人でしなければならず、時間がかかる。小学校でも中学校でも、教員は気が付いたら1日が終わっているという日々を繰り返している。「民間だったら転職や退職を考える人がいてもおかしくない」。IT企業から転職してきた教員は、そう断言する。それでも、教員が仕事をセーブせずにに長時間働き続けるのは、この仕事が楽しく、子供が好きだからだ。「生徒の為」と言われると仕事を断れない。それが、教員の働き方改革を阻む要因にもなる。 (取材・文/本誌 富田頌子)


キャプチャ  2017年9月16日号掲載

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【崩壊する教育現場】(05) 「部活動に総量規制を導入せよ」――内田良氏(名古屋大学准教授)インタビュー

長時間労働の温床となっている部活動を、どう改善すればいいのか? 部活動論議の火付け役で、警鐘を鳴らし続ける名古屋大学の内田良准教授に聞いた。 (聞き手/本誌 富田頌子)

20171106 11
――部活動をどうしていくのがよいのでしょうか?
「僕が言っているのは、総量規制を設けること。週3日ぐらいのかなり緩い、大人の草野球のようなものにしましょうということだ。今は全国大会が頂点にあって、その最底辺を部活動が支えているという構造が問題だ。頂点を目指すのは民間のクラブチーム等に任せればいい。エリートは学校ではなく民間で育てる。実際、水泳も卓球も体操も、メダリストは民間のクラブチーム出身だ。部活動は本来、20代・30代・60代になっても続けられるような趣味としてのスポーツや文化活動に繋げていく、その土台を作るものだ。全国大会に行かなくても、近所で数ヵ月に1回試合をして、勝っても負けても『楽しかった』と言える設計が必要だと思う」

――それだと、トップアスリートになるには、お金が無ければ難しいということになりませんか?
「『必要最低限のものは提供するが、よりよいサービスを受けるにはお金を払いましょう』というのが、公共サービスの一般的な在り方だ。ただ、外部の民間クラブがもっと発展して競争が激しくなれば、ある程度、コストの面でも抑制が利くシステムが出来上がるかもしれない。部活動の最大の問題は、教員のタダ働きで成り立っていると同時に、外部化しようにも予算が無いからできない点。総量規制を主張するのは、『活動時間を少なくすることによって、外部に委託し易くなるのでは?』という考えもある。総量規制は明日からでも導入できる。予算は1円もかからない。あとは勝ちに対する拘りを捨てられるか? 仲間との絆は週3日でも作れる。そういった意識改革が必要だ。今の学校スポーツの悪いところは、勝つ為に週7日やるというスポ根の発想だ。しかも、勝つという割にはスポーツ科学の知識は無く、自分の受けてきた指導をそのまま繰り返す」

――総量規制を設ければ、教員の負担は本当に軽減されますか? 中学校の教員は、部活動の時間を除いても長時間働いています。
「これは全く想像がつかない。僕の知っている範囲だと、部活動が無くなることで確実にゆとりはできる。ただ、教員は仕事が1つ減ると、例えば授業準備により力を入れるとか、“子どもの為”という殺し文句の下で、今までやれなかったことをやり始める。『子供の為に尽くすのが教員だ』と言ったら、そこで議論が止まり、無限定の残業が続いてしまう。“教員は労働者である”という意識改革を、世間も教員自身もしていかないといけない」


キャプチャ  2017年9月16日号掲載

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【崩壊する教育現場】(04) 部活中が最多…未だに消えない体罰

20171030 13
学校で起こる問題の中で、中々無くならないのが体罰だ。2015年度は、小学校・中学校・高校・特別支援学校の合計で721件起こった(※右図)。教職員の年齢は50代以上が269件と最も多く、30代200件、40代166件、20代86件と続く。直近は減少傾向にある。2012年度と2013年度に急増しているのは、2012年度に大阪市立桜宮高校バスケットボール部の生徒が体罰を受けて自殺した事件をきっかけに、体罰の調査が進んだからだ。中学校の体罰の発生場面で最も多いのが部活動中だ。中学校での体罰326件の内、94件に上り、授業中の91件を上回る。「部活動が好きな先生は張り切り過ぎる。暴力は習慣化してしまうのが怖い」。教員や生徒のメンタルサポートを行う明治大学の諸富祥彦教授は、そう話す。体罰や懲戒処分について、学校や教員は敏感だ。「懲戒処分は新聞に載るので、コピーを配る学校もあり、先生たちは萎縮する」(諸富教授)。神奈川県の40代教員も、「手を出したら終わり。逆手に取る生徒もいるので気を使う」と話す。それでも体罰は起こっている。学校教育法では禁止されており、教員はより慎重に対応すべきだ。 (取材・文/本誌 富田頌子)


キャプチャ  2017年9月16日号掲載

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【崩壊する教育現場】(03) ブラック化する部活動…中学校の教員に重い負担

20171023 12
約6割が過労死ラインを超える残業を余儀なくされている中学校の教員。最大の原因は部活動だ。『日本体育協会』の調査によると、1週間に6日以上行われている部活動(※運動部)は7割に上り、週7日行われている部活動も1割ある(※左図)。一方、スポーツ庁の調査によると、教員が全員顧問に当たることを原則とする学校が9割近い(※右下図)。土日もあまり休めない教員が多いのだ。平日は授業終了後16時から18時頃まで部活動に時間を割く。その後に授業準備や採点等、教員本来の仕事に取りかかる。そうすると、帰宅は20~22時になる。休日も練習試合や大会がある時には、1日通して付き添うことになる。部活動というと運動部のイメージを持ちがちだが、文化部にも教員たちから「物凄くブラック」と言われるものがある。それは吹奏楽部だ。夏場でも室内で行う為、エアコン等の設備が整っていれば、熱中症等を気にせず何時間でも練習ができてしまう。教員は単に大人数を纏めればいい訳ではなく、楽器やパート毎に細かく指導しなければならない為、かかる負担は大きい。生徒にとっても、1人休んだら成り立ち難いので、プレッシャーになる。

部活動問題で深刻なのは、長時間労働の一因になったり、休みが取れなかったりすることだけではない。抑々、教員は給特法で残業代が出ない為、部活動の指導をしてもしなくても給料は同じだ。休日の活動には手当が出るが、その額は多くない。例えば東京都の場合、市区町村によって多少の違いはあるが、平日の手当は無く、休日は4時間以上で4000円だ。ただ、活動が6時間でも8時間でも増えない。5時間部活動を指導したら、東京都の最低賃金932円を割り込んでしまう計算だ。学校外に練習試合に出掛けた場合の交通費も無い。部活動が大変な理由として教員がよく言うのは、「未経験の競技は教えられなくて苦しい」というものだ。顧問をする部活動について希望は出せるが、大抵希望通りにはならず、空きのあるものに割り振られる。特に、20~30代の教員は運動部を割り当てられることが多い。日本体育協会の調査によると、運動部では半数以上の教員が未経験の競技の顧問をしている(※右下図)。専門知識が無い中での指導は、生徒にとっても競技の基礎が学べず、怪我に繋がる恐れもある。それでも顧問になったからには、「生徒の為にできることはしたい」と、ルールや競技の基礎が解説されているDVDを見て勉強したり、スポーツクラブや地域のチームに入って習ったりする教員がいる。これらの費用は自腹だ。部活動は本来、自主的・自発的活動だ。中学校の学習指導要領には“生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動”とあるのみで、明確な規定や詳細は無い。「大学の教職課程では、部活について必修の授業で学ぶ時間は無い」。部活動問題に詳しい学習院大学の長沼豊教授は、「部活動は教員の本来の業務ではない」と強調する。生徒や保護者からは、学校教育の一環として授業や学校行事と同等に見られているが、希望しない教員も半ば強制的に部活動の顧問にするのは大きな問題だ。とはいえ、中学校で部活動を辞めるというのは難しい。教員の中には、部活動が好き、或いは部活動をやりたくて教員になった人がいるからだ。ある男性教員は、ソフトテニス部の顧問として部活動に熱を上げていた。朝と授業後の学校での練習に加え、夜は別団体を立ち上げて地域の施設を借り、21時まで指導していた。「練習をしただけ上手くなって、試合に勝つのが楽しかった」。教員はそう話す。チームが強くなると、他の学校から練習試合等に呼ばれる機会が増え、土日も潰れるようになった。「自由な活動であるが故に肥大化してきた。より強く、より上手くと、過剰な練習が一般化していった」(長沼教授)。部活動の成果が評価に結び付くことも、問題を複雑にする。生徒や保護者にとっては、部活動で活躍すれば進路に有利になる場合がある為、力が入る。クラブチーム等に参加するより、圧倒的に費用が低いのも魅力だ。教員にとっても、実績を上げると人事考課にプラスに働き易い。

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【崩壊する教育現場】(02) 教員のジレンマ解消! 杉並区はプロが部活を指導する

20171016 11
部活改革を積極的に行っているのが東京都杉並区だ。同区は、顧問の補助をする地域ボランティアによる“外部指導員制度”を2001年に導入。2013年には、更に踏み込んだ“部活動活性化事業”を始めた。民間企業等からの専門コーチが生徒に技術指導を行う。これによって、競技経験が無く、指導できないのに顧問をする先生のジレンマを解消。生徒もプロから指導を受け、競技の基礎を身に付けられる。なお、部活指導をやりたい教員は従来通り行える。予算は、両制度・事業で年間約5000万円だ。杉並区教育委員会の小林淳氏は、活性化事業導入の目的について「先生の負担軽減と楽しい部活の復活を目指す」と言う。現在は野球やサッカー等10種目の運動部に対応。区内23校150ある部活動の内、19校42の部活動で導入されている。効果の検証はしていないが、教員へのアンケートでは「他の仕事や家庭に時間を充てられるようになった」という回答があった。導入する部活数を今後も増やす計画だ。 (取材・文/本誌 富田頌子)


キャプチャ  2017年9月16日号掲載

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【崩壊する教育現場】(01) 過労死ライン超えが続出! 教員の異常な勤務実態

20171002 13
中学校教諭の1.7人に1人、小学校教論の3人に1人が、過労死ライン(※月80時間の残業)を超える長時間労働を強いられている――。今年4月末に文部科学省が公表した2016年度の教員勤務実態調査(速報値)で、そんな衝撃的な事実が明らかになった。公立学校教員の勤務時間は週38時間45分と定められている。だが、過労死ラインに相当する週60時間以上勤務(※週20時間以上残業)した教論は、中学校で約6割、小学校で約3割に上る異常事態だ(※左図)。教論の1週間当たりの勤務時間は、10年前と比べて約4~5時間増えた。しかも、このデータには自宅に持ち帰った残業は含まれていない。「休日も全く休めない」「このまま働き続けると体が壊れてしまう」。多くの教員から悲痛な声が上がる。2011年6月、大阪府堺市の市立中学校に勤務していた26歳の男性教員が、自宅アパートで倒れて亡くなった。死因は虚血性心疾患だ。男性教員がその学校に赴任したのは2010年4月。1年目から担任を任されると、学級通信をほぼ毎週発行する等、熱心に取り組んだ。部活動では、経験の無いバレーボール部の顧問になった。平日や土日の指導に加え、同部員が記入する個人別のクラブノートに励ましや助言をびっしり記す等、人格形成にも力を注いだ。発症前6ヵ月間の時間外勤務は月60~70時間前後と、過労死認定基準に届いていない。だが、授業の準備・テストの作成・採点等、日常的に自宅に持ち帰って仕事をしていたことが考慮され、2014年11月、『地方公務員災害補償基金』は過労死と認定した。「業務量の多さや部活動が、過重労働・過労死の温床になっている」と、遺族の代理人で過労死問題に詳しい松丸正弁護士は警鐘を鳴らす。

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長時間労働によって教員が過労死するというのは、決して可能性の話ではない。現実に起こっていることなのだ。「朝から晩まで学校にいますよ。忙しい理由ですか? 毎日、色々とやらなければならないことが本当に多い」。東京都内の公立中学校に勤務する40代の女性教員は、そう話す。彼女の出勤は毎朝8時前。打ち合わせや担任のクラスでの学級活動を済ませて、授業に臨む。1時間目が始まるのは8時45分、6時間目が終わるのは15時20分だ。途中に昼休みはあるが、生徒の指導や授業の準備があって休めない。授業が終わった後は、夕方の学級活動や掃除を行う。生徒が下校するのは16時頃。そこから職員会議・学年会・学校運営に関する会議等があり、それが終わるのは17時頃になる。都の教員の勤務時間は8時15分~16時45分である為、本来ならここで帰宅できる筈だが、実際にはかなり難しい。生徒は放課後、部活動に勤しんでいるからだ。勤務する中学校では、教員全員が顧問を割り当てられており、活動中は目を配らなければならない。部活動が終わるのは18時30分。この時点で既に2時間弱残業をしているが、仕事は未だ終わらない。というより、教員が自分の業務にじっくり打ち込めるのは、実はこの時間からだ。小テストの採点・翌日の授業の準備・資料の作成等を片付けていく。ここで保護者からの相談の電話があったり、保護者の帰宅が遅い家庭への連絡事項があったりすると、学校を出る時間は更に後ろ倒しになる。結局、学校を出るのは早くても20時以降だ。つまり、1日12時間以上勤務しているのである。

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超人気少年漫画家の森田まさのり氏が仏教絵本を出版! その理由は“恩返し”?

20170822 01
人気漫画家が初の絵本、それも仏教絵本を手掛け、注目を集めている。4月、『本願寺出版社』から発行された森田まさのり作・絵『とびだせビャクドー!ジッセンジャー』(※B5判・全32頁・1300円)だ。森田氏(50)といえば、大ヒットした少年漫画の『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』等の作品が有名だが、どんな物語か? 主人公は小学生の男の子、ゆうち。恥ずかしがりやで、転校先で中々友だちができず、日頃、お婆ちゃんと唱えていたお念仏をいつの間にか唱えていた。すると突然、「ほとけのくにからやってきた、せいぎのヒーロー ジッセンジャー ビャクドー!」と、胸に数珠を下げたビャクドー(白道)が登場。ゆうちに友だちを作ってあげようとするビャクドーだが、上手くいかず、逆に悪い心から生まれたジャカツ(蛇蝎)とミドーク(三毒)が現れて――。実はこれ、龍谷大学大学院実践真宗学研究科の学生有志が行っている、仏教をテーマにしたヒーローショー『ジッセンジャープロジェクト』の絵本化だ。「阿弥陀様に見守られている世界を子供たちに伝えたい」という学生たちの活動を、森田氏がオリジナルの絵本にした。いや、何と森田氏も滋賀県の同派寺院の生まれ。「『お寺の跡は継がなかったけれど、仏教に縁のある絵本を作ったことで、少しでも恩返しできたかな』と言われていました。絵も全て森田先生自ら手がけられました。多くの子供たちに手に取ってほしい」(本願寺出版社担当者)。子供に夢を与える漫画家の新境地かも。


キャプチャ  2017年7月号掲載

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アメリカを蝕む巨額学生ローン、“100兆円超”財政と家計を壊す爆弾――不良債権化する連邦政府の資産、需要の先食いと将来の財政悪化

20170815 13
「多くの新入社員が学生ローンを抱えて大変そうだ」――。在米日系企業関係者は、心配顔で囁いた。相変わらず、アメリカの信用創造の質は低い。アメリカの家計債務残高は、今年の第1四半期末に12.73兆ドルを突破し、過去最高だったリーマンショック前の2008年第3四半期の12.68兆ドルを8年半ぶりに更新した。ただ、サブプライムローン問題が顕在化した8年半前と決定的に異なる点は、住宅ローンの家計債務に占める比率が厳しい規制で低下した一方で、学生ローンが構成比2番目となったことだ。今や、その債務総額は1.34兆ドルと、自動車やクレジットカードのそれを上回っている。我々が生きている“極端に金融依存化した現代”では、利息を支払う“経済成長の奴隷”を見つけることが必要だ。高等教育にそれを見出したアメリカでは、既に学生ローン利用者が4420万人に達している。しかも、膨張は止まりそうにない。アメリカの若者は苦しい。景気拡大により、失業率が5%を切り、完全雇用が近付いているが、25歳以下の失業率は9.9%、黒人で高卒の場合は26%だ。17歳から20歳までの高卒、且つ進学していない若者全体の不完全就業(※パート等能力以下の就業)率は、31%にもなる。“大卒”は今なお就職に有利であり、学生や親にとって投資価値があると言えよう。学費はどうか? 1978年から現在までの40年間で、アメリカでは292%のインフレが起こったが、同期間に自動車の価格が99%上昇したのに対して、大学の学費は1297%の上昇と、最早“学費のハイパーインフレ”状態となっている。アメリカの学歴社会と学費高騰が、現在の学生ローン問題の基本的な背景にある。

結果として、30歳以下の学生ローン利用者数は、2004年から2015年までに1.5倍、ローン残高は2.6倍に増えた。『ピューリサーチセンター』の調査では、40歳未満の若年世代の学生ローン利用者の純資産は8000ドル程度という結果が出ている。未利用者の7分の1しかない。解雇のような収入上のトラブルが起これば、忽ちホームレスにでもなりかねない状況なのだ。更に問題は、その上の世代。学生ローン利用者の内、30歳未満は1700万人で、総額3763億ドルである一方、30歳以上が2700万人もいて、しかも総額は1兆ドルを超えている。具体例を示そう。コロラド州に住む70歳と65歳の夫婦は今、2人合わせて学生ローン残高が18万ドルもあるという。無論、子供や孫のローンではない。軍に勤務していた夫は、50代の頃、IT技術を磨く為に大学へ入学。その際、7万ドルを借り、月々300~400ドルずつ、20年近く返済してきたが、現在は8万ドルと逆に残高は増えている。妻も同様で7万ドルを借り、残高は10万ドル近くになっている。利息も払えないこの夫婦は、「死ぬまで働き続けるしかない」という。これは特殊なケースではない。アメリカでは、学生ローンが残っている60歳以上が急増し、今や280万人(※2015年末時点)にもなり、全体の6.4%を占めている。60歳以上の債務総額は660億ドルと、60歳以上だけで『日本学生支援機構』の年間貸与総額1兆円の6倍に達している。2004年比で人数は4.5倍、債務総額に至っては11倍と、他の世代を大きく上回る膨張ぶりだ。次に、債務不履行者に占める年代別の割合をみてみよう。50歳未満が17%、50~64歳が29%、65歳以上が37%と、年齢に比例して債務不履行が多いことが分かる。つまり、60歳以上の学生ローン利用者の増加は、将来の債務不履行の増加に直結する。では何故、例に挙げた夫婦は、中年になってから学生ローンを借りられたのか? それは、貸し手が銀行ではなかったからだ。52.6%――。これは、連邦政府の金融資産2兆600億ドルの内、学生ローンが占める割合である。学生ローンの貸し手は、連邦政府(※州政府も多少はある)と民間の2種に大別できるが、政府は金融危機後に民間の貸し手への規制を厳しくする一方で、民間以上に政府自身が学生ローンを貸しまくった。その残高は、2007年末の1150億ドルから、今年第1四半期末には1兆850億ドルまで、実に9.4倍にも膨れ上がった。この出鱈目融資の結果、政府資産の半分が学生ローンという異常事態となっているのだ。民間がやるべきことを政府がやるとどうなるか? 中高年・女性・黒人等への貸し付けが増えていった。政府であるが故に、借りる機会を公平に提供しようとするからだ。だが、残念ながら就業率や給与水準でみると、現実の返済能力は平等ではない。つまり、連邦政府の資産の多くが、遠からず不良債権化するということだ。

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