【霞が関2017春】(12) 内閣府が映す官邸の“怒り”…次の矛先は文科省か?

「宇宙からアル中(※アルコール依存症)まで」――。政府が抱える諸々の業務が集まる内閣府について、府内で自虐的に語られる言葉だ。安倍晋三政権は、各省庁の取り組みに不満があるテーマは、“お膝元”の内閣府や内閣官房に担わせている。内閣府の業務は増えるばかり。宇宙からアル中まで見渡す官僚の守備範囲も広がる一方だ。しかし、目を凝らしてみると、そのフィールドに官邸の“怒り”が見えてくるから面白い。内閣府が前に出てくる施策は、官邸が各省の取り組みに不満を募らせているテーマに他ならない。最近、目立ってきたのが“教育”だ。「教育の問題については、今日がキックオフである」。首相官邸4階の大会議室。人材投資がテーマとなった先月の『経済財政諮問会議』の終盤、報道陣の入室が許される前に議論を締めたのは、内閣府特命の経済財政再生担当大臣・石原伸晃氏だ。ある経済官庁の官僚は、「教育とか人材投資をテーマに会議をする流れができた」と受け止めた。官邸が教育に着目するのは何故か? 背景には人手不足がある。「少子化で働き手が少なくなる中で、1人ひとりの技能や生産性を高める教育の役割は重要だ。今の大学教育は、この課題に十分応えていない」というのが官邸の見方だ。教育行政を担当するのは文部科学省。本来、安倍首相が文科大臣に優先して取り組むよう指示すればいい話だろう。だが文科省は、事務方トップの文部科学次官まで関与した大学への天下りが問題となった。今の文科省が大学改革を進めるとしても、それに冷ややかな視線が注がれることは間違いない。教育が専門の仕事である文科省からそれを取り上げるとすれば、それだけ官邸の怒りが強いということだろう。

少し前まで内閣府で増えていたのが、厚生労働省が預かる分野の業務だ。内閣府の官僚は、「アルコール依存症の話もそうだが、『厚労省には任せてはおけない』という意識が発端だった」と解説する。『日本医師会』や労働組合等の外圧に曝されて身動きが取れず、“融通の利かない役所”という印象を持たれてきた厚労省。政府の目の届く範囲で政策を進める為に、内閣府へと業務が召し上げられていった。内閣府の所掌する施策を見渡すと、子供・子育て支援や高齢社会対策等、厚労省の領域が多い。政府の肝煎りで内閣官房に設置する会議も、『1億総活躍国民会議』や『働き方改革実現会議』と続き、厚生労働省が槍玉に挙がることが多かった。だが最近は、「塩崎恭久大臣の下で大きく変わった」という評価が増えている。「厚労省が医療や保険の情報を集約するビッグデータの活用を話し合うことなど、一昔前は誰も想像していなかった」と、厚労官僚も変化を認める。官邸からのトップダウンで話が進む為、業界団体との折衝に明け暮れていた頃と比べると表情も明るい。先月には、アルコール依存対策も厚労省に移管された。首相官邸の目の前に鎮座する合同庁舎8号館。2014年に竣工した新しい建物には内閣府と内閣官房が入り、首相官邸の指示を受けて、政策の企画立案と総合調整にあたっている。政府の重要なテーマは、府省庁の縦割りでは解消できず、調整役の出番が多くなるのは自然な流れ。案内図を見れば、宛ら仕事のデパート。内閣府の特命担当大臣は9人もいる。ただ、仕事が集まるのは、“調整役”だからという理由だけには留まらない。会議は「働き方改革等の旬のテーマを首相直轄で進める」という意図は勿論あるが、長年、中々解決策を見い出せてこなかった課題に対して、一気に螺子を巻く効果もある。長年に亘って同じ分野を所管する各省庁は、色々な柵の中で身動きが取り難いこともある。官邸の“怒り”が難しい政策課題の解決に繋がるのならば、内閣府官僚には守備範囲を更に広げてもらいたい。 (平本信敬)


⦿日本経済新聞電子版 2017年5月23日付掲載⦿

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【南鳥島に注目せよ!】(08) 資源量が物語るレアアース泥の高い可能性

20170524 13
ここまで解説したように、レアアースは現在のところ、中国等の陸上だけで生産されている。しかし、レアアースは太平洋の底にも“泥”として堆積しており、しかもそれは陸上で採取されるものより高濃度である。ここで左図をご覧頂きたい。これは、太平洋の“海底面下2m”で採取された泥が、平均してどれだけのレアアースを含有していたかを図解したものだ。2011年7月4日に『ネイチャージオサイレンス』で発表された内容を簡略化した図である為、南鳥島周辺海域等、日本の排他的経済水域(EEZ)については触れられていない。その理由は、連載最終回の加藤教授インタビュー内で詳細に語られている。扨て、この図で大きめの黄色い円が集中しているのが、タヒチの東側海域である。総じてレアアースの濃度が高く、1500ppm以上のレアアース泥が採取されたポイントも少なくない。あとは、南アメリカ大陸のイースター島付近でも、高濃度のレアアース泥が採取されているのがわかる筈だ。また、ハワイ島の東側や西側等でもレアアース泥が発見されたが、タヒチ東側海域と比較すると、その濃度はやや低め。

更に深く掘ることで、より高濃度なものが見つかる可能性もあるが、この海域には“海底の水深が深い”というネックがある為、開発は容易ではない。海底から揚泥するにあたって、水深が浅いほうがベターなのは自明の理だ。このような背景から、世界中の注目を集めているタヒチの東側海域。しかもこの海域は、世界最高水準の海洋資源開発技術を有するフランスのEEZなのだ。つまり近い将来、日本だけでなくフランスもレアアース資源国となる可能性がある。レアアース泥の魅力を語る上で欠かせないのが、資源量の多さ。堆積している範囲が広いだけでなく、堆積層の“厚み”も凄いのだ。例えば、赤道よりも北の中央太平洋では、何と50mもの厚さでレアアース泥が堆積しているという。南太平洋海域と、ハワイ周辺の中央太平洋海域の2つを合わせたレアアース泥の資源量は、凡そ120億トンと推測されている。アメリカ合衆国西海岸のファンデフカ海嶺の西側も、レアアース泥が厚く堆積している海域。海底から15mほど掘り進むと、そこには30mほどの厚みでレアアース泥の堆積層が存在している。こういった“海底に眠るレアアース”の資源量を試算すると、陸上におけるそれの実に1000倍以上になるのだ。また、開発にあたっての資源探査が容易であるのも、レアアース泥が注目を集めている理由の1つ。調査海域の4点を探査するだけで、凡その資源量が把握できてしまうのだ。コスト高になり易い海洋資源の開発において、これは非常に大きなメリットである。レアアース泥が如何に大きな可能性を秘めているか、これらの内容だけで十分に感じられる筈だ。


キャプチャ  キャプチャ

テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

【ドクターXは知っている】(03) 鎮痛剤で注意すべきは副作用だけではない!

20170524 12
頭痛等の痛みを和らげてくれる鎮痛剤。ドラッグストアで購入できるものもあり、私たちは深く考えずに使いがちです。しかし、総合内科専門医の大竹真一郎先生は、鎮痛剤が抱える様々な問題を指摘します。「鎮痛剤のメリットは痛みを抑えるだけで、根本的な治療にはなりません。痛いとか苦しいというのは、体が発するアラームのサインですが、鎮痛剤はそのアラームを切ってしまう薬です。鎮痛剤によって、見逃してはいけないアラームを切ってしまう恐れもあります。鎮痛剤を使っても問題ないのは、ある程度症状の診断がついて、根本的に治すのが難しく、怖い病気でもないということが確認できた場合に限ります。例えば、急性腰痛症(ギックリ腰)等ですね」。鎮痛剤の中でも代表的なロキソニンは、ボルタレン等と共に非ステロイド性抗炎症薬に分類されるものです。痛みを強く抑える効果がある一方、副作用の心配もあり、市販薬は薬剤師しか販売できない第1類医薬品に指定されています。とはいえ、「ロキソニンを薬局で買えることには怖さを感じる」と大竹先生は言います。「ロキソニン等の非ステロイド性抗炎症薬は、痛み・炎症・発熱を起こすプロスタグランジンという物質の合成を阻害することで、鎮痛・消炎・解熱をしています。しかし、この物質は胃粘膜の保護や腎機能維持といった役目も果たしている為、副作用で胃潰瘍・胃炎・腎不全を起こす恐れがあるのです」。

ロキソニンの副作用対策として、整形外科等ではよく一緒にムコスタという胃薬が処方されますが、残念ながら効果は殆ど無いと言います。「ムコスタを朝昼晩と飲んでいる状態でロキソニンを服用した場合に、多少胃潰瘍が予防できる程度。一緒に飲むやり方は、治療ガイドラインでも勧めていません。他にも、非ステロイド性抗炎症薬は、抗生物質との組み合わせで痙攣を助長する場合があり、薬の飲み合わせに注意が必要です」(同)。また、鎮痛剤は解熱目的でも使われますが、インフルエンザでの使用は特に薬を選ぶ必要があります。「過去に、インフルエンザで非ステロイド性抗炎症薬を使用した子供が、ライ症候群やインフルエンザ脳症になってしまった症例があります。現在は、インフルエンザでは非ステロイド性抗炎症薬ではなく、比較的安全とされるアセトアミノフェンが配合されたものを使用するようになっています。ただ、これもあくまでデメリットが少ないというだけです。抑々、インフルエンザは熱を下げる必要がないですから」(同)。鎮痛剤に頼り過ぎることで起こるデメリットとして、痛みが余計に酷くなる場合もあるそうです。頭痛には緊張性頭痛や偏頭痛がありますが、これらを抑えようと薬に依存することで起こるのが“薬物乱用頭痛”です。「緊張性頭痛には非ステロイド性抗炎症薬、偏頭痛にはトリプタン製剤がよく使われますが、これらを日常的に服用していると、体が痛みに対して過敏に反応するようになる恐れがあります。痛みは体からのアラームで、鎮痛剤はそれを切るものです。飲み続けているうちに、体はもっと早くアラームを出すようになります。痛みのスイッチが入り易くなるんです」(同)。痛みを無くそうとすればするほど、痛みに敏感になってしまう…。そんな悪循環に陥らないよう、気を付ける必要がありますね。使い方によっては、メリットに対して割に合わない大きなデメリットを引き起こす恐れもある鎮痛剤。頼り過ぎることなく、慎重を期して使用しましょう。 (取材・文/編集プロダクション『アートサプライ』 宮田文郎)


キャプチャ  キャプチャ

テーマ : 医療・健康
ジャンル : ニュース

全てを知る“文通相手”が見た死の2日前の素顔…岡田有希子自殺、31年目の新証言

1986年4月8日、所属事務所『サンミュージック』の屋上から飛び降り、若干18歳でこの世を去った伝説のアイドル・岡田有希子。死の直前、彼女に一体何があったのか? デビュー前から彼女を知る人物が、その真相を告白した。 (取材・文/フリージャーナリスト 石川正雄)

20170524 11
岡田有希子。その名前は、40代以上の読者ならアイドルオタクでなくても知っているだろう。華々しくデビューを飾った後は、歌手として、役者としての活躍ぶりも印象的で、それだけに、“18歳のトップアイドルが自殺”という報道は、世間に大きな衝撃を齎した。全国で後追い自殺が相次ぎ、“ユッコシンドローム”と呼ばれる社会問題に発展。当時の国会でも対策が議論されたほどである。自殺の原因についても、ドラマ『禁じられたマリコ』(TBSテレビ系)で共演した峰岸徹との恋愛の縺れからという見方・妊娠説・他殺説等、様々な説が飛び交った。しかし、遺書と呼べるほどのものは残っておらず、具体的な相談を受けた者もいない。2000年には、当時のチーフマネージャーが同じビルのトイレで首吊り自殺、峰岸も2008年に亡くなっている為、依然、真相は闇の中だ。死後30年が過ぎた今となっては、流石にもう新しい情報は出てこないだろう――。そう思っていた矢先、芸能関係者・ファン・同級生とはちょっと違う形で、岡田と関わっていた男性の存在が浮かび上がった。名古屋市在住のM氏は岡田と同い年で、彼女とは何度か会っている他、手紙のやり取りもしていたという。「佳代さん(※岡田有希子の本名)と初めて会ったのは、デビューするかしないかという頃で、未だ名古屋の高校に通っていた時でした。私の母と彼女のお母さんが友人だった為、母から紹介されたんです。『同い年だから話が合うのでは』ということでしょう」。当時、M氏は他県の全寮制の高校に進学していたとのことで、会えたのも数回という。M氏は当時、どんな会話をしたのか? 印象に残っているのは、共通した“絵”という趣味についての話題。岡田がアイドルデビュー後も絵描きとなる夢を持ち続けていたことは、ファンにとって有名だが、彼も幼少時に色鉛筆で描いた絵を褒められて嬉しかったことを話して、共感を得たという。「彼女は学校の成績も優秀で、芸能界で活躍するアイドル。僕にとっては雲の上の存在にも拘わらず、そんな感覚は全く感じさせない、普通の高校生同士という対等な立場で接してくれました。クラスにいる友だちのような関係でしょうか」。

岡田は、アイドルとして本格デビューした後は、東京の『堀越学園』に転校。M氏が彼女と会えるのは、コンサートやキャンペーンで名古屋に帰る時だ。その時も気さくな感じで接してくれたという。M氏が岡田から貰った手紙を見せてくれた。「学kun 金山のコトよく知ってますNe もしかしたら、どっかですれちがっていたかもしれませんね♡ 何か不思議な気分…ネ、そう思いませんか?」(※最初の手紙より抜粋)。岡田直筆の3通の手紙を時系列に並べてみると、歌手デビュー直後の最初の手紙には親密さが感じられるが、その後の手紙は文章が短く、そっけなくなっている。多忙な芸能活動が続くにつれ、一友人への手紙をゆっくり書いていられないのだろう。アイドル全盛期だった当時、今のブラック企業以上に過酷だったというから、それは任方のないことだ。ただ、一緒に添えられていた彼女の母親からの手紙を読むと、少し見え方が変わってくる。「前略ご免下さい お約束致しましたのに 遅くなって 申し訳ございませんでした 何か 疲れてしまい ついつい遅れてしまいましたこと 何とお詫びしてよいかわかりません【中略】正直いって 芸能界でやっていけるかどうか 親として心配でございました 出来ることなら 高校で普通の生活をして欲しかったのですけど 自分の意志を貫いたこと 我が子ながら立派だと思います【中略】佳代にもう少ししっかりした手紙を書いてほしかったのですけど 頼みこんでの手紙がこれでございます 疲れているのだと思います 家では何もさせずに ぼんやりと過ごさせてやりとうございます【後略】」(※岡田の母親からの手紙より抜粋)。手紙は、岡田が自殺する1年ほど前のものだという。母親がM氏の応援に対し、娘に代わって感謝を述べる文章ではあるが、母娘共に“疲れている”という表現からは、単なる過密スケジュールによる肉体的な疲労だけでなく、精神的な疲れも窺える。岡田の母親は、娘が自殺する前から、何か彼女の悩みを共有していた、或いは相談は受けておらずとも察していて、一緒に悩んでいたのではないだろうか? 例えば、所属事務所であるサンミュージックと岡田の関係。「自殺の前から既にかなり険悪なものになっていた」とする説がある。岡田がサンミュージックのビルから飛び降りたのも、「事務所への反抗心が極まった為だ」という見方だ。ただ、母親は死後に出版された遺稿集『愛をください』(朝日出版社)に手記を寄せ、週刊誌のロングインタビューにも答えているが、岡田の自殺の原因についてははっきり語っていない。その母親も、岡田の死から数年後に他界している。1986年4月6日、死の2日前。名古屋でコンサートを終えた岡田とM氏は、直後に楽屋で会ったという。その時の写真も残っている。「数ヵ月ぶりに彼女に会った印象は、化粧の濃さが気になりました。僕が『おしろい濃いね』と茶化すと、『また冗談ばかり言って~!』とポンと叩いてきたのです。よく考えたら、ステージの時は化粧が濃くなるというし、佳代さんの接し方も少しも変わらなかった。『今度、豊橋に来るけど来れそう?』『行くね』という約束もしましたので、正直、2日後に自殺する人には見えませんでした。楽屋には、その後自殺した溝口さん(※当時のマネージャー)もいたし、色々噂のあった専務もいたし、社長もいたんじゃないかな。事務所と不仲だったという点は、その時の印象では感じられなかったのですが…」。

続きを読む

テーマ : 芸能ニュース
ジャンル : ニュース

【点検トランプ政権100日】(07) 通商、貫く“アメリカ第一”

20170524 03
「協定破りが収まらないなら、協定を破棄する。わかっているな?」――。大統領のドナルド・トランプは、直ぐ後ろに立つ商務長官のウィルバー・ロスに念を押した。ロスが相槌を打つと、トランプはペンを握り、新たな大統領令にサインした。先月29日、ペンシルベニア州ハリスバーグの道具メーカーの一室。就任100日を迎えたこの日、トランプは新大統領令に基づき、貿易・投資協定に関する調査を商務省等に命じた。「協定の締結後、相手国の違反行為で、アメリカは損をしているのではないか?」。そんな疑念があるからだ。調査の目的は、トランプが口癖のように言う“不公正な貿易”の実態を洗い出し、国内に雇用を取り戻すことにある。態々大統領令という形を取ったのは、“アメリカ第一”を求めて支持した白人労働者らへのアピールと言えた。トランプの矛先は、他国だけではない。アメリカの空調大手『キャリア』には、減税措置と引き換えにメキシコへの工場移転を止めさせた。「もうメキシコの工場は、ほぼ完成しているんですよ」。親会社の経営トップは、移転中止を渋ったという。「そんなの関係ないね」。トランプは、有無を言わせず押し切った。“労働者”の目線を優先するトランプ政権の姿勢は、“消費者軽視”という矛盾も孕む。典型が、検討中とされる“国境税”だ。輸入企業の税負担を重くする“国境税”が導入されれば、輸入品を扱う企業は増税分を販売価格に転嫁せざるを得ず、必然的に値上げとなる。

打撃を被るのは一般消費者の懐だ。「1台あたり2000ドル(約22万5000円)以上の値上げに繋がる」。3月上旬、全米の自動車ディーラーたち200人以上が、ワシントンで“国境税”の反対集会を開いた。「トランプの標的になるのを恐れる海外自動車メーカーに代わって、私たちディーラーが声を上げたんだ」。『アメリカ国際自動車販売協会(AIADA)』会長のポール・リッチーは、反対集会の狙いを明かした。先月下旬に発表された税制改革案に、“国境税”は盛り込まれなかった。尤も、政権側は諦めてはいないようだ。財務長官のスティーブン・ムニューシンは今月1日、ロサンゼルスでの講演でこう語り、将来的な導入を示唆した。「アメリカが関税を課していないのに、相手国がアメリカ製品に高関税を課すなら、自由貿易とは言えない」。トランプ政権は、通商分野で“アメリカ第一”を堅持している。ただ、『通商代表部(USTR)』代表の議会承認が遅れている他、ホワイトハウス内の主導権争いもあり、「具体論は先送り」(外交筋)の政策が少なくない。「あらゆる方法でルールを破っている」と批判し、為替操作国に指定することまで示唆していた中国との関係も、対立を一先ず回避して北朝鮮への圧力強化を優先する構えだ。「中国が北朝鮮の問題を解決するなら、アメリカとの貿易は遥かに良くなる」。トランプは習近平にこう持ちかけ、“通商カード”で揺さぶりをかけた。中国は強かに応じている。先月6日、フロリダ州パームビーチにあるトランプの別荘『マール・ア・ラーゴ』に、習の姿があった。トランプと初の首脳会談を行う為だ。夕食会には、トランプの長女であるイバンカも同席した。アメリカメディアによると、同じ日、中国当局はイバンカが手がけるファッションブランドについて、中国市場での独占販売権に繋がる商標登録申請を承認した。トランプを懐柔する為とみられる。政権発足100日を経て、変質の兆しもある“アメリカ第一”はどこへ向かうのか? 神経戦は続く。 《敬称略》 (アメリカ総局 山本貴徳) =おわり


⦿読売新聞 2017年5月7日付掲載⦿

テーマ : 国際ニュース
ジャンル : ニュース

【文在寅の韓国】(03) 財閥改革は“オオカミ少年”

20170524 02
「財閥改革の先頭に立ちます」――。今月10日の国民向け演説。青色のネクタイと濃紺のスーツに身を包んだ大統領の文在寅(64)は、減速する韓国経済を立て直す為、雇用改革と共に財閥改革を進める考えを高らかに訴えた。公正取引委員会委員長に内定した漢城大学教授の金商祚(54)は、「創業家による不透明な経営支配と財閥優先の経済構造の解消が必要だ」と、文の狙いを代弁する。韓国は、経済成長率が2年連続で2%台に低下。「グローバル競争で疲弊し、余力が無い企業に代わり、政府が経済改革を主導する」というのが文政権の構想だ。政経癒着も厳しく断罪する。文は選挙戦のテレビ討論で、贈収賄の罪で起訴された『サムスン電子』副会長の李在鎔(48)と、前大統領の朴槿恵(65)について、有罪判決が出ても「恩赦を考えたことはない」と明言した。

だが、就任から1週間。財閥改革の“先頭に立つ”動きは見られない。演説の2日後に『仁川国際空港公社』を訪問。「任期内に公共部門の非正規職ゼロ時代を開く」と宣言し、正規職化のロードマップ作成を指示したスピード感とは対照的だ。「半年ぐらいは様子見だ」。大手財閥の幹部は、冷ややかに文を見つめる。文自身も、盧武鉉(※故人)政権時代、サムスンの不正資金を巡る捜査で、同社に手心を加えた疑惑が取り沙汰された。大手財閥は、文の財閥改革に対する“本気度”を疑っている。“オオカミ少年”――。新大統領が誕生する度に財閥改革が叫ばれては何も変わらない韓国の状況は、こう例えられる。韓国経済の屋台骨である財閥の改革は、口で言うほど容易くはない。「『財閥の力を借りないと経済成長は不可能だ』と、新政権もわかっている筈だ」と、別の大手財閥幹部も高を括る。文に近い議員によると、新政権は具体的な財閥改革案として、仕事を身内に発注して非財閥企業を除外する不公正な商取引の禁止策導入等を検討している模様。だが、ある財閥幹部は、「グローバル競争を戦う我々に、実力の無い身内を使う余裕は抑々無い」と苦笑する。新政権誕生毎に浮かんでは消える財閥改革論。大手財閥と取引の多いある日系企業幹部は、首を捻る。「時間のかかる財閥改革より、企業統治等、経営のグローバル化を先に議論すべきなのに…」。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年5月19日付掲載⦿

テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

【ナゾノミクス】(05) GDP、“ほどほど成長”は悪い?

20170524 01
先月23日、高級商業施設『GINZA SIX』が開業して最初の週末を迎えた。『ジミーチュウ』や『マノロブラニク』等、有名ブランドの前はどこも行列だ。しかし、訪れた27歳の女性は、「買い物はしない。私にはいつもの百貨店にあるもので十分」と語った。「1番が節約、2番が貯蓄。海外旅行やテレビ、車を買うとは誰も言わない」――。『日本経済団体連合会』の榊原定征会長は、最近の若者について嘆く。ただ、“ほどほど”が悪い訳ではない。嘗て、日本が大きく成長した時代は、公害等の問題が起きた歴史もある。それでも政府は、毎年のように“成長戦略”を纏める。2016年の戦略では、「戦後最大となる名目国内総生産(GDP)600兆円の実現を目指す」と宣言した。2016年の名目GDPは537兆円。目標の2020年まで毎年3%ずつ成長する計算だ。政府が高い目標を掲げるのは、「低成長では満足いく暮らしができない人が出る」と考える為だ。例えば、1989年まで20%以下だった非正規雇用の割合は、2016年には37.5%に上昇。景気の先行きに不安を覚えた企業が、正社員の採用を控えた。

一般に、非正規は正社員より給料が少ない。給料が増えないと、財布の紐が固くなる。家計が消費に使った金額は、1994年に前年より減り、足元もマイナス傾向だ。消費の停滞は、企業の業績悪化にも繋がる。1960年代の高度経済成長期は、消費・生産者が増える“人口ボーナス”が成長の原動力だった。ところが、2008年に人口減少が始まり、今は少子高齢化が経済の足を引っ張る“人口オーナス(重荷)”。1人ひとりが現状維持では、国全体で縮んでしまう。企業にとって“魅力ある国”かどうかも大切だ。アジアでは年7%近く成長している中国だけでなく、東南アジアの各国も年5%程度成長している。これから新たな投資をする企業の視線は、成長が期待できる国に向く。投資が集まらなければ働く場が生まれず、“ほどほど”を保つことすら難しくなる。これからの日本は、どうすれば成長できるのか? 『SMBC日興証券』シニアエコノミストの宮前耕也氏は、「歴史を紐解くと、新産業が生まれた時代に経済は大きく上向いた。成熟した日本でも技術革新を進め、海外で売れるコンテンツを育てられれば、未だ成長できる」と話す。国内だけを見ると成長は難しく、「それほど成長しなくてもいい」と思えるかもしれない。一方で、企業や研究者の戦う舞台は海外に広がっている。背伸びこそ社会の活力。日本経済も成長を軸に見れば、ナゾを解く方法が見えてくる。 (石橋茉莉) =おわり


⦿日本経済新聞 2017年5月6日付掲載⦿

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

『KANA-BOON』や『ゲスの極み乙女。』なんて氷山の一角! バンドマンはいつの時代も理性ゼロのヤリチンだらけだ!

毎年、数多くのバンドが結成されているが、その多くは、純粋に音楽が好きだからではなく、女好きでヤリたいからという動機でバンドを組む。結果、売れてモテて、若い頃からヤリまくりなバンドマンたちの理性無き性獣っぷりをとくとご覧あれ!

20170524 09
宗教法人『幸福の科学』に出家した元女優の清水富美加(※出家後は“千眼美子”と名乗っている)。そのタイミングで発売した暴露本『全部、言っちゃうね。』(幸福の科学出版)で、あるロックバンドのメンバーと交際していたことを語っている。彼女とその男は、2014年にとあるテレビ番組で共演したことで出会って意気投合し、交際に発展。順調に続いていたが、男が既婚者であることが発覚し、泣く泣く別れることになったという。その本に男の実名は無かったが、発売直後に自ら名乗り出た。男の名は、ロックバンド『KANA-BOON』のベーシストである飯田祐馬(※左画像)。自ら名乗り出て男らしいかと思いきや、「清水さんに対する自分の気持ちを断ち切ることができず、妻との離婚を仄めかしつつ、2016年まで交際を続けてしまいました」と告白。クソである。クソブーンである。既婚の身ながら有名女優と不倫できる飯田という男。どれほどのイケメンなのかと写真を見たところ…マッシュルームカットのオモロ顔である。シルエットは完全に亀頭だ。イケメンでも何でもないのに有名なタレントと不倫していたと言えば、『ゲスの極み乙女。』の川谷絵音であろう。こちらも既婚者であることを隠して、ベッキーと交際。妻帯者であることを告白しても交際は続き、ベッキーを実家の両親に会わせていたことが“センテンススプリング”によって暴かれて、万事休す。ベッキーが2億5000万円とも言われる違約金を支払い、実質1年間休業に追い込まれる中、川谷は何食わぬ顔で活動を続けていた。2016年5月に離婚するも、同9月にはタレントのほのかりんと交際どころか同棲していたことが発覚。同時に、未成年者であったほのかりんに飲酒をさせていた事実も判り、バンドごと事務所を退社することとなった。

「漸く、あのゲス野郎にもペナルティーが…」と思いきや、大手芸能事務所の『田辺エージェンシー』と2017年4月から契約することになったとの報道が! まさに不条理の極み! 亀頭な飯田に、ひょろ長で色白モヤシな川谷。学校のクラスにいたら、存在確認すら困難なほど目立たない存在であろうヤツらが、何故にここまでモテまくるのであろうか? その理由はただ1つ。“バンドマン”だからである。そんなバンドマンの女性スキャンダルは、まだまだある。2017年1月13日発売の『FRIDAY』が報じたのは、人気ハーフタレントであるマギーと、伝説的な人気を誇るパンクバンド『Hi-STANDARD』の横山健との不倫疑惑。マギーがMCを務める音楽番組での共演がきっかけで交際がスタートしたとされているが、横山は11歳と7歳の子を持つ妻帯者であり、交際が本当であれば不倫関係となる。本人たちはコメントを一切出しておらず、否定も肯定もしていないが、若し交際していたとしたら、「横山が過去に『家族を愛しく思えない人間に国は守れない』としていた発言は一体何だったんだ?」という話にもなる。まぁ、2人の息子の名前を刺青するくらいなのだから子煩悩なのだろうが、妻は家族でも何でもないということになってしまう。因みに、マギーは『ORANGE RANGE』のYAMATOと2年以上交際していたという噂もあり、何れも本当なら、最早バンドマンの追っかけである“バンギャ”と言っても過言ではないだろう。他にバンドマンばかりを追っているイメージの強い女性有名人と言えば、女優の吉高由里子がいる。彼女は『flumpool』のベーシストである尼川元気や、『RADWIMPS』のボーカル&ギターである野田洋次郎と浮き名を流しているのだが、この尼川という男のほうは、『めざましテレビ』(フジテレビ系)等で活躍するキャスター兼タレントの高見侑里と真剣交際していることが発覚している。兎に角、美人とヤリまくりなのであろう。flumpoolといえば、ボーカル・山村隆太の話もしなくてはなるまい。こちらは正真正銘のイケメンで、2017年初めの月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)にも出演。西内まりや演じる主人公の恋愛相手という重要な役どころをしていた。このドラマが月9史上最低視聴率を叩き出したのはさておき、山村は高校時代から交際を続けてきた一般女性との“14年愛”を実らせ、2016年に結婚しているが、過去にフリーアナウンサー・皆藤愛子との熱愛報道もあった。話を戻して、RADWIMPSの野田洋次郎だが、吉高由里子の他にも、前田敦子や臼田あさ美との交際報道も過去にあり、最近では女優の長澤まさみとの親密交際も伝えられている。美女をとっかえひっかえしてきた上に、昨年は『前前前世』が大ヒット…。神様、不平等が酷いよ!

続きを読む

テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

【新聞ビジネス大崩壊】(09) 早期退職と閉塞感…記者が新聞社を去る理由

長らく花形職種であった新聞記者だが、近年、その状況も一変している。ベテランは肩叩きで、中堅は見切りをつけ、多くの記者が他業界に転職している。記者たちの“第2の人生”を追った。 (取材・文/フリージャーナリスト・元新聞記者 安藤海南男)

20170523 14
嘗て、行政・立法・司法に次ぐ“第4の権力”とも形容されたマスコミ。その筆頭格として君臨してきた新聞業界が、岐路に立たされている。業界内での人材の流動化に拍車がかかり、業態に見切りをつけて人生の再出発を図る記者が続出しているのだ。大メディアの“傘”から抜け出した彼らは何を思い、何を目指すのか? 其々の人生模様を追った。「この年齢では再就職もままならない。かといって、会社に残っても今後のキャリアは望むべくもない…。迷った末に、第2の人生を歩むことにしました」。こう語るのは、首都圏近郊に住むA氏(52)だ。A氏は50代を目前にした3年前、20年以上籍を置いた某大手新聞社を辞めた。現役時代は地方支局で行政・警察取材を経験。東京本社に転じてからは、主に社会部の遊軍記者として活躍した。退職後は、これまでの経験を生かして、民間企業や政治家を対象とした広報戦略のアドバイザーとして活躍している。「私の場合は、経歴がちょっと特殊だったんです。というのも、元々記者職で新聞社に入った訳ではなく、営業局で10年以上働いた後に編集に移った。だから、広報のイロハもわかっていたし、人前でプレゼンする能力もありました。記者時代に培った人脈を頼って、何とかやっていますよ」。大組織から抜け出して、裸一貫での再出発の道を選んだA氏。安定したサラリーマン生活を捨てて、フリーランスとして生きていく決断を下したきっかけは何だったのか? 「正直、迷いはありました。ただ、50代手前の年を食った記者が今後、社内で厳しい立場に立たされるのも目に見えていた。特に、私のような生え抜きではない記者は尚更です。丁度、社内で早期退職者を募集していた時期で、『退職金が割増し支給される』と聞いて、『それなら』と…」。新聞業界全体に沈滞ムードが漂う中、A氏が所属する新聞社も、ご多分に漏れず深刻な財政難に陥っていた。とりわけ中高年社員の人件費高騰も重大な懸案事項になっていたといい、幹部候補から外れたべテランには容赦のない“肩叩き”が行われていたという。

「新聞記者の出世コースというのは大体、パターンが決まっている。有望株は、社会部なら警視庁担当や司法担当、政治部なら与党担当に配属されるのが相場です。そこで成果を出せば、キャップ→デスク→部長と上がっていく訳です。専門分野を持っていて現場に拘りがある人や、途中でラインを外れた人には、編集委員や論説委員のポストが用意される。ただ、望み通りの役職を得られるのは極々一部です。意に沿わない仕事をやらされて腐っていく人も少なくありませんよ」(同)。地方の支局を盥回しにされたり、子会社や関連会社への出向を命じられたり、何らかの原因でミソが付いた記者に与えられる選択肢は僅かだ。A氏が所属していた新聞社には、ラインから外れた記者が集まる吹きだまりのような部署もあったという。「うちの会社では、使えないベテラン社員は、読者からの苦情を受け付ける専門部署や、記事や写真の管理部門に回されるのが常道でした。数年前には、編集局とは別に、記事広告を扱う専門部署が新設され、そこもダメ記者の受け皿になっていました。追い出し部屋とまでは言いませんが、人事面での冷遇で追い詰めて、暗に退職を迫る会社の悪質な意図を感じました」。中高年社員の人件費高騰は、A氏が所属していた新聞社固有の問題ではない。最近では、業界2位の発行部数を誇る『朝日新聞社』が、2016年1月から2度目の早期退職制度の募集を開始し、大きな話題を呼んだ。「2010年、『45歳以上を対象に、年収の50%、最大10年分を毎年支払い続ける』という破格の条件で早期退職者を募集しましたが、今回は40歳以上を対象に、『退職金とは別に、年収の40%を最大10年分、一括支給する』というものです。早期退職者の間口を広げたのは、経営を圧迫する人件費の圧縮に本気で取り組み始めた証左と言えるでしょう」(朝日新聞OB)。ベテラン社員がこれまで積み上げてきたキャリアの見直しを迫られる一方で、現場の第一線で活躍する若手記者が会社に見切りをつけるケースも目立つ。入社10年目の節目に、ある大手新聞社を退職したB子さん(34)は、こう語る。「仕事も好きで、同僚たちとも仲良くやっていたんですが…」。東京都内の有名大学を卒業後、新聞社に入社。6年間の地方支局勤務を経て、30代になる直前に東京本社に上がった。上司との関係も良好で、社内での評価も高かった。一見、順調な記者生活を送っていたが、その心の奥では会社への不信感を募らせていた。「東京に上がってきてから、民間企業担当から突然、省庁担当に変えられる等、1年毎に担当をコロコロ変えられました。僅か半年で交代させられた時もあります」。担当替えを繰り返す度に、築いた人脈がその都度リセットされるのも悩みの種だったという。「『自分に問題があるのか?』と悩んで上司に相談しても、『お前には期待している』と言うばかり。そのうち、『結局、いいように使われているだけじゃないのか?』という思いが強くなってきましたね」。仕事を介して知り合ったNPO代表から誘われたのを機に、転職を決意。現在は地方都市の振興支援の仕事に携わっている。「年収は記者時代に比べて半減しましたが、プレッシャーも無いし、纏まった休みもある。精神的には楽ですね」。

続きを読む

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

自動運転が変える産業秩序、自動車業界の新支配者は――まるで人間のようなクルマ、『インテル』は『BMW』と組んで逆襲

20170523 11
“TOYOTA”──。巨大なスクリーンに赤い文字が躍った瞬間、満員の会場は万雷の拍手と歓声で溢れた。今月10日、カリフォルニア州サンノゼで開かれた会見で、アメリカの半導体大手『エヌビディア』は、『トヨタ自動車』とAI(人工知能)を使った自動運転車の開発で協業することを発表した。エヌビディアが開発中のAI用半導体を、トヨタが実際に製品化する自動運転車に搭載。両社は、自動運転の実現に向けたソフトウエアも共同開発する。トレードマークの黒い革ジャケットを身に纏って壇上に立ったジェンスン・フアンCEOは、こう語った。「自動車業界のレジェンドとの協業は、自動運転の未来が直ぐそこまで来ていることを強く示している」。トヨタよ、お前もか。多くの自動車やITの業界関係者は、きっとこう思ったことだろう。ドイツ勢では『フォルクスワーゲン』・『アウディ』・『ダイムラー』と既に提携。アメリカ勢では『フォードモーター』に加えて、EV(電気自動車)の『テスラ』とも協業する。その列にトヨタも加わることになったからだ。AIは自動車の“頭脳”になる。但し、AIもコンピューターの中で動くプログラムの一種。スムーズに頭脳を回転させるには、高性能な半導体が必要だ。1993年にゲーム用の半導体メーカーとして誕生したエヌビディア。長らくニッチ企業の性格が強かったが、そこで培った高度な画像処理技術を生かして、AI用半導体で台頭しつつある。今年1月期の売上高は69億1000万ドル(約7900億円)。AI関連事業の急拡大によって、前期比で2200億円も増加した。今期に入って更に成長ペースが加速。瞬く間にAI時代の寵児になろうとしている。

世界で攻防を繰り広げる自動車メーカー。AIは、競争の前提をがらりと変える可能性がある。従来の産業序列は関係ない。エヌビディアの躍進は、その象徴である。先ず、AIの位置付けとメリットを整理しよう。何故、AIが今、注目されるのか? 端的に言えば、愈々本格的な実用段階に入ったからだ。AIを人間の脳のように“自ら判断する機械”だと捉えれば、イメージが掴み易い。右下図のように、情報をインプットし、人間の脳のように考え、答えをアウトプットする。これがどの産業でも当て嵌まる“AIの使い方”だ。AIの特徴は“学習する”点にある。人間の脳を模した計算手法『ディープラーニング』で、人間が教え込まなくても自ら進化することが可能になった。これまでのコンピューターと違い、学習した内容と全く同じ問題でなくとも、AIは類推して答えを導き出す訳だ。但し、AIが一人前になる為には、膨大な学習用のデータを読み込ませる必要がある。AIブームは1960年代と1980年代に2度訪れているが、当時はコンピューターの計算能力が足りず、結局“ブーム”のまま終わった。2010年代に入って第3次ブームが始まり、愈々本格普及に向けて動き出しているのは何故か? コンピューターの進化により、計算能力が飛躍的に高まり、AIの学習にかかる時間を大幅に短縮できるようになったからだ。自動運転は、まさにAIの出番と言える。センサーやカメラが捉えた人や障害物等の情報をインプットすれば、どのルートをどの程度の速度で走ると安全に通行できるかをAIが判断し、車を操ってくれる訳だ。AIの進化で自動運転の実現が見えたからこそ、世界中の自動車メーカーが一斉に動き出した。現在、実用化されている自動運転は、“レベル2”と呼ばれる運転補助機能。それを更に進め、ある条件下では運転を完全に車に任せる“レベル3”を実現するには、「AIが絶対に必要になる」(ドイツメーカーの自動運転担当者)。『日産自動車』で自動運転技術を担当する同社総合研究所の土井三浩所長も、「どの会社も(AIを使って)車の知能化を進めていくのは間違いない。何故なら、世界は複雑過ぎるからだ」と話す。トヨタは昨年1月、カリフォルニア州にAIの研究・開発拠点である『トヨタリサーチインスティテュート(TRI)』を設立。今年1月には、TRIが関わったAIコンセプトカーを発表した。『YUI』と名付けたAIが運転者のパートナーとなり、自動運転をするだけでなく、運転者の気持ちを理解し、好みに合わせた話題や関心の高いニュース等を提案するアイデアを盛り込んだ。TRIのギル・プラットCEOは本誌等の取材に対し、「AIによって、車の新しい付加価値をメーカーが提供できるようになる」と話した。『ホンダ』はAI技術で『ソフトバンクグループ』と提携し、トヨタと同様に、車が人格を持ったようなコンセプトカーを発表。日産も、AIを使った自動運転の技術開発を加速している。こうした“AIカー”の開発でも、エヌビディアは他社の一歩先を行く。

続きを読む

テーマ : 自動車バイクのニュース!
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR